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基礎からわかる社会保険料の計算について

社会保険

みなさん、社会保険と一言で言ってもいろいろと種類があり、公務員、自営業、会社員などその方の状況によっても加入する保険がかわってきます。また、『社会保険料の計算』は非常に複雑です。

会社員の給与から天引きされる主な社会保険料としては、健康保険、厚生年金、雇用保険があります。

今回は、その中でも厚生年金の計算方法を中心にお話をさせて頂きます。

20歳未満も含めて、サラリーマンで民間企業の従業員が加入する公的年金になります。

■ 厚生年金について

厚生年金という言葉を聞いたことがあると思いますが、原則として69歳まで加入することになっています。

■ 厚生年金保険料の計算について

厚生年金保険の保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に共通の保険料率をかけて計算されます。
保険料率は、平成17年9月以降は毎年9月に引き上げられ(被保険者の区分に応じて引き上げ率は異なります)、平成29年9月からは固定される予定です。

■ 標準報酬月額とは?

みなさんは、厚生年金の計算の元になる標準報酬月額という言葉を聞いたのとがありますか。この言葉は、社会保険料を計算する上でとても大切な言葉になります。

抜粋となりますが、下記の表が厚生年金保険料の標準報酬月額表になります。

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■ 標準報酬月額について

標準報酬月額をもとに、毎月の厚生年金の保険料の金額が確定致します。

標準報酬月額は、1等級(8万8千円)から31等級(62万円)までの31等級に分かれています。
報酬月額は、通勤手当等を含めた報酬に加え、事業所が提供する宿舎費や食事代等の現物給与の

額も含めて決定されます。
また、毎年9月に、4月から6月の報酬月額を基に、標準報酬月額の改定が行われます。

■ 厚生年金の計算事例

では、実際に下記の事例で厚生年金の金額を計算してみましょう。

計算例

下記の給与が支給された場合、9月分の厚生年金の保険料はいくらになるでしょうか?

1月 給与 150,000円 通勤手当20,000 残業代20,000  合計 190,000円

2月 給与 150,000円 通勤手当20,000 残業代20,000  合計 190,000円

3月 給与 150,000円 通勤手当20,000 残業代20,000  合計 190,000円

4月 給与 150,000円 通勤手当20,000 残業代30,000  合計 200,000円

5月 給与 150,000円 通勤手当20,000 残業代20,000  合計 190,000円

6月 給与 150,000円 通勤手当20,000 残業代40,000  合計 210,000円

7月 給与 150,000円 通勤手当20,000 残業代20,000  合計 190,000円

8月 給与 150,000円 通勤手当20,000 残業代20,000  合計 190,000円

9月 給与 150,000円 通勤手当20,000 残業代20,000  合計 190,000円

回答

1)社会保険料は、毎年4月、5月、6月の給与をもとに、その年の9月から翌年8月までの社会保険料が

決定致します。

4月200,000円+5月190,000円+6月210,000円=600,000円となります。

600,000円を3ヵ月で割って1ヵ月の平均を計算します。

600,000円÷3=200,000円となります。

2)次に、最初に説明しました、標準報酬月額の表をみます。

14等級(195,000~210,000)に該当しますので、この行に記載のある金額が厚生年金の金額となります。

一般の場合は下記の金額となります。

全額:36,364円 このうち半分を従業員が負担しますので、給与から天引きされる厚生年金の金額は、18,182円になります。2等級以上の変動がなければ、9月から翌年8月までは上記の金額が厚生年金の負担額となります。

※注意点として、定時決定の算定月以後に報酬月額に大幅な変動(標準報酬月額の2等級以上)があった場合には、標準報酬月額の改定の手続きを行い社会保険料の変更をする必要があります。

保険料は、事業主と被保険者とが半分ずつ負担します。

社会保険料の詳細な計算方法は、社会保険料の計算方法はどんな仕組み?保険料削減のポイントとは」の記事もお読みいただくと、削減のスキームも理解できるかと思います。

■ 標準報酬月額の対象となる給与について

厚生年金保険で標準報酬月額の対象となる給与は下記のいずれかを満たすものとなります。

特に、間違いが多いのが通勤手当も対象となりますのでご注意下さい。
(ア)被保険者が自己の労働の対償として受けるものであること。
(イ)事業所から経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計にあてられるもの。
(2)報酬の例
厚生年金保険で標準報酬月額の対象となる報酬は、基本給のほか、能率給、奨励給、役付手当、職階手当、特別勤務手当、勤務地手当、物価手当、日直手当、宿直手当、家族手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業手当、継続支給する見舞金等、事業所から現金又は現物で支給されるものを指します。
なお、年4回以上支給される賞与についても標準報酬月額の対象となる報酬に含まれます。

■ 保険料の納付について

保険料の納付期限は当月分を翌月末までに支払う必要があります。

保険料の支払いは、銀行の窓口でも支払をすることもできますが、口座からの自動引き落としも可能となっております。

経理財務の仕事内容を詳しく知りたい方は、「経理財務の仕事とは?身につけるべき業務上の必須スキル大公開」の記事もチェックしてみてください。