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会社の資金が足りない!資金ショートを防ぐために有効な手段とは

財務改善

 

企業の継続に大きな支障となるのが資金ショートです。

資金ショートが発生した(しそうな)場合には、会社としてどのような対策を行えばよいのか、説明します。

資金ショートとは、支払いが集中したり、期待していた収入が突然入金されなくなったりして、収支のバランスが狂い、手持ちの資金が底を尽いてしまうことを言います。

 

資金ショートを防ぐには

コストを削減する

資金繰りを改善するためには、まずコストの削減に取り組まなければなりません。

例えば、金融機関などに新規資金の融資を申し込む場合に、十分なコスト削減を実施しているかどうかは審査の重要なポイントの一つになります。

なぜならば、金融機関に助力を求めるよりも、自分たちで努力していることを示すことが評価されるからです。

コストの削減は、「実施までのスピード」、「削減されるコストの大きさ」、「実施した場合のリスク」の順に検討する必要があります。

まずコスト削減を実施するまでのスピードですが、これはどのくらいの準備期間でコスト削減の施策を実行することが可能か、ということです。

とは言え、相手のある施策の実行では、相手によって、スピード感が全然違いますので、自社にとって、なるべく早く始められる施策を優先的に行うことを推奨します。

続いてコスト削減額の大きさについてですが、自分たちにとって痛みを伴うことになる役員報酬の削減や、従業員の給与カットに手を付けない会社もあります。

このような会社では、「金券ショップでの新幹線の回数券購購入や格安航空券などの利用による出張費削減」などで、細かい支出を削ることで対応しようとしますが、このような対応ではコスト削減に大きな効果はありません。

少なくとも、平均赤字額の半分くらいは削減できるような努力が必要です。

最後にコスト削減を実施した際のリスクについてですが、わかりやすい例は社員の給与削減です。

社員の給与削減は大幅なモチベーションダウンは避けられませんし、場合によっては、その後の業績にも影響を与える可能性があります。

その他、販管費の削減など対外的な要素が絡む支出を抑える場合は、取引先との信用問題などについても十分に検討する必要があります。

コスト削減については、具体的にはどのような支出を減らすべきなのでしょうか。

一般的な優先順位について説明します。

1.役員報酬

まずは自分たち経営陣の報酬を削りましょう。

業績不振についての然るべき責任を取って、社内外からの納得を得るためにもとても大切です。

なお、事業年度の途中での役員報酬の変更は、減額であっても原則は認められてはいませんが、「経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情」(国税庁)がある場合は「業績悪化改定事由」に該当するとして、特別に減額し、損金に算入することができるとしています。

2.赤字事業の廃止

社内にコストセンターとなっている事業があるようなら、迷わず事業の中止あるいは一時停止の措置を命じる必要があります。

キャッシュを生まない事業を継続することが可能なのは、十分に黒字が出ている企業だけです。

現時点では、先々よりも足元の会社の存続を考える必要があります。

3.変動費

製造業や小売業、卸売業などの場合は、原材料費や仕入原価などの変動費が支出のうち大きな割合を占める場合がありますので、これらを一時的に縮小できないか、検討する必要があります。

4.人件費

人件費の削減は、慎重に進める必要があります。

給料の遅配や、支払総額の比較的安いパートやアルバイトなどへの契約変更、シフト表などを活用した業務効率化(余剰人員の活用)などによって対応することができないか、を検討してみてもよいかもしれません。

どうしても社員を減らさなければ会社の存続が難しい場合は、一般的には、まず間接人件費の部分(経理部門や総務部門など内勤部門}から削減する、とされています。

5.人件費以外の固定費

人件費以外の固定費は社内の支出における割合は比較的少ない場合が多いですが、「塵も積もれば山となる」形式で、効果を積み重ねられるかどうか、がポイントです。

 

個人資産、遊休資産を売却する

経営者の個人資産や、会社が保有する遊休資産などの売却も、早期に取り組むべき現金確保の手段です。

たとえば、投資用の不動産、ゴルフ会員権、リゾート会員権などを保有している場合は、個人法人の名義を問わず現金化することが重要です。

不動産を売却すれば、固定資産税や管理費などの削減にもなる点も見逃せないポイントです。

また、ワンマンの中小企業に多いケースとして、会社の資産と経営者個人の資産との線引きが出来ていない場合があります。

例えば、自宅、自家用車、船舶などといった主に経営者が個人として利用している資産が、会社の資産として紛れ込んでいるようなことはありませんか。

交際費なども、必要経費とプライベートの境目が曖昧になりやすい項目です。

金融機関との交渉の際に、貸借対照表にこのような不良資産や遊休資産が記載されている場合は、間違いなく融資を断られますので、なるべく早い段階で処理しておくべき対策の一つです。

 

税金・社会保険料の支払いを遅らせる

税金や社会保険料など、国に対して納めるべきお金(公租公課)の支払いで資金繰りが厳しくなっている企業も多いのではないでしょうか。

そういった方が一番恐れをなしているのが、国の最終手段である「差し押さえ」です。

「差し押さえ」は会社の不動産や買掛金、預金などを役所に差し押さえられるという、会社にとっては一番恐るべき事態で、特に買掛金や預金の差し押さえに至っては、金融機関や取引先に自社の状況が広く知れ渡るため、対外的に大きな信用問題となります。

それでは国は、少しでも支払いが遅れたらすぐに差し押さえを実行するのでしょうか。

もちろんそんかことはありません。

滞納が続いた場合などに、事前に会社宛てに告知が送付され、それでも支払いが行われない場合にはじめて差し押さえの措置が行われます。

さらに国も会社からの税金や保険料の「完納」を目指していますので、会社の倒産や破産を本意としない、という部分もあります。

苦しい資金繰り事情や今後の支払い計画などを説明して協力を求めれば、支払いの一時保留や分割払いに応じてくれるケースもあります。

 

銀行に対してリスケの交渉を行う

リスケ(リスケジュール)とは、金融機関への借入金返済が苦しくなった際、現在の経営状況と今後の事業計画をもとに、借入先の金融機関と相談を行い、「返済可能なスケジュール」に則って返済期間や毎月の返済金額を一定期間変更することをいいます。

会社の支出を一時的に減らすための手法としては一般的に用いられている方法です。

営利企業である金融機関は、1日でも早い貸付金の回収を目指していますが、会社が潰れて融資した全額が貸倒れるよりは、ある程度期間が延びても1円でも多く回収したい、という思いがあることがリスケ交渉をすることの理由です。

前述した税金や社会保険料と似ていて、金融機関も完済(あるいは完納)を受けて初めて事業が成立するのです。

そのことを理解した上で「リスケジュールに応じてもらえたら、いかに完済の可能性が上がるのか」という点を十分に説明することがとても大切です。

 

資金ショート まとめ

金融機関など第三者との交渉において見られがちなのが、業績悪化の要因を市場環境や従業員の怠慢などに求めて、自らの経営責任を認めようとしない経営者です。

このような傾向が強い場合、金融機関はその経営者が問題の原因を適切に探り当てられず、結果として十分な経営改善を実施できないのではないかと疑います。

経営の責任は全て自分にある、という気持ちを持って交渉に臨むことが大切です。