公証人役場って何をするの?公証人役場の業務内容について解説

公証人役場には「役場」という名前から、地方の行政機関のようなイメージがありますが、都会にも存在している公証人が執務を行っている官公庁で、全国に300ほどあります。

公証人役場や公証人はどのようなもので、どのような仕事を行っているのでしょうか。

また、公証人役場と中小企業との関係についても解説します。

 

 

1.公証人役場とは

公証人役場とは各法務局が所管している官公庁ですが、他の官公庁と異なり独立採算制を採用しています。

依頼人から受け取る手数料が収入源となっており、その手数料の金額は政令で決まっています。

公証人役場は公証人が業務を行っており、れっきとした官公庁なのですが、都道府県庁などのように立派な建物にあるものは少なく、雑居ビルのような建物の一室で業務を行っているケースも少なくありません。

 

2.公証人とは

公証人役場で仕事をしている人のことを「公証人」と言いますが、どのような人が公証人になっているのでしょうか。

公証人は誰もがなれるわけではなく、公証人法という法律に基づいて、法務大臣が任命する公務員です。

具体的には、ある事実の存在や契約の法律上の権利に関する行為の適法性などについて、公権力を背景に証明や認証をする人のことを指します。

法律に詳しく中立的な立場が求められる公証人には、退官した裁判官や検察官が多いのが実情となっています。

日本全国で約500人(2018年9月現在)ほどしか公証人はいませんが、法曹や法務局の出身者以外で公証人になることは極めて難しいと言えるでしょう。

 

3.公証人の仕事

公証人の業務にはどのようなものがあるのでしょうか。

公証人法などには以下のような主な公証人の職務内容が定められています。

職務内容

根拠法

法律行為その他私権に関する事実についての公正証書の作成

公証人法1条1号

私署証書の認証

公証人法1条2号

株式会社・社団法人・財団法人等の定款の認証

公証人法1条3号

私電磁的記録の認証

公証人法1条4号、

指定公証人のみ

遺言証書の作成

民法969条

金銭等の請求につき執行受諾文言のある公正証書(執行証書)への執行文の付与

民事執行法26条1項

手形・小切手の拒絶証書の作成

拒絶証書令第1条

私文書への確定日付の付与

民法施行法5条、6条

 

上記のように公証人には様々な職務がありますが、その中でも①公正証書の作成、②私署証書や会社等の定款に対する認証の付与、③私署証書に対する確定日付の付与、の3つは特に主要な職務と言えるでしょう。

① 公正証書の作成

公正証書とは、公証人法などに基づいて、私法上における契約や遺言などのように権利義務に関する事実について公証人が作成した証書のことを言います。

契約や遺言の内容について争いがある場合には裁判を経ないと法的に確定しませんが、内容を公正証書にしておくことで裁判の手間を省くことが可能となります。

例えば、金銭消費貸借契約のような金銭の支払に関する公正証書を作成していて、債務者が即座に強制執行を受け入れるような内容(執行認諾文言)が公正証書に記載されている場合には、「債務名義」となります。

つまり、訴訟や調停などの裁判手続をする必要はなく、公正証書があることにより、すぐに強制執行を申し立てることができるのです(執行証書)。

② 私署証書や会社等の定款に対する認証の付与

私人が作成した証書や定款はそのままでは何の効力もありませんが、公証人が公権力を背景に認証を与えることにより、文書の成立や正当性を証明することができます。

株式会社や一般社団法人における「定款」の認証が典型的な事例です。

③ 私署証書に対する確定日付の付与

私人が作成した文書の成立日が重要になるケースは多いと考えられます。

このような場合に、その日にこの文書が確実に存在していたことを証明するために文書に確定期日を与えることも公証人は行います。

これは、後になって文書の成立期日などを変更されない(主張されない)ために行う手続きです。

一般的には契約書が交わされていれば取引内容は有効なので、公証人に有効かどうかを認めてもらわなくても問題はないのではないかと考えがちです。

しかし、このような場合に争いの内容は、契約が有効かどうかではなく、お金を払ってもらえるか(あるいは物をちゃんと渡してくれるか)という、「取引の実行(執行)」の点にあります。

前述したように、契約書の内容が正しいかどうかを裁判で争って確定判決を受けて、それでも契約内容が実現しない場合には裁判所から執行命令を受けて実力行使をすることになります。

つまり、非常に手間と時間がかかってしまうのです。

公証人による公正証書の作成や確定日付の付与などを行っておけば、裁判で争う必要はなく、すぐに執行に着手することが可能になります。

したがって、「裁判いらずの公正証書」という言葉もあるくらい公正証書は強力な力を持っていると言えます。

 

3.中小企業と公証人役場

前述したように公証人役場には公権力を背景にした認証を行うなどの機能がありますが、中小企業にとっては公証人役場をどのように活用すればよいのでしょうか。

先ずは会社を設立する場合には会社の定款を認証してもらうことが挙げられます。

株式会社などを設立する場合には、公証人による認証が必要不可欠です。

私文書に公証人が認証を与える事例としては、身元保証書や契約書に信用を付与する必要があるために利用されるケースがあります。

日本国内では印鑑証明書がありますが、外国人を採用する場合には身元保証として公証人の認証がある身元保証書が使われる場合が多くなっています。

日本公証人連合会のサイトでは

「実務上、公証人の行う私署証書の認証は、そのほとんどが、外国文認証で、外国の官公庁等に提出する文書に対するものなのです。」

としています。

また、宣誓認証(公証人法58条の2)というものがあります。

これは、私署証書を作成した本人が、公証人の目の前で証書に記載されている内容が真実であることを宣誓して、公証人が認証するものです。

証書に記載されている内容の真実性を担保する方法です。

前述の日本公証人連合会のサイトには以下のような専制認証の事例が掲載されています。

  • 重要な目撃証言等で、証言予定者の記憶の鮮明なうちに証拠を残しておく必要がある場合
  • 供述者が高齢又は重病のため、法廷の証言前に死亡する可能性が高い場合
  • 現在は供述者の協力が得られるが、将来、協力を得ることが困難となることが予想される場合
  • 相手方の働きかけ等により、供述者が後に供述内容を覆すおそれがある場合などに宣誓供述書を作成しておくことは、証拠の保全として大変有用です。
  • 推定相続人の廃除の遺言をした場合に、遺言者が廃除の具体的な理由を宣誓供述書に残しておくこと
  • 契約書作成の際に、周辺の事情を知る関係者の協力を求めて宣誓供述書を作成しておき、当該契約を巡るトラブルに備えること

中小企業にとって重要な公証人役場の利用事例のひとつは、公正証書遺言の作成です。

遺言者が、原則として、2人以上の証人と一緒に公証人役場に行って、公証人に遺言内容を口述し、公証人が筆記して作成するものです。

費用はかかりますが、形式不備などによって無効のおそれがなく、公証人役場で原本が保管されるので紛失や偽造の可能性がなく、家庭裁判所による検認手続も不要です。

事業承継を考えている中小企業の経営者には、後のトラブルを回避するためにも公正証書遺言の作成をおすすめします。

 

 公証人役場まとめ

公証人役場は、私人間契約に対して公権力をベースにしたお墨付きを与えてくれる官公庁です。

中小企業にとっては、自社の主張や権利をより強固にしてくれる手段を与えてくれるので、上手に活用することが重要です。

 

 

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