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融資交渉で使おう!担保に関する知識まとめ

融資知恵袋

●はじめに

銀行から融資を受ける際に、担保を求められることがあります。経営者の方の中には担保を求められると嫌な顔をしたり、担保の利用を拒んだりする方もいるようです。担保を求められるということが、企業を信用していないように思っていらっしゃるのかもしれません。この記事では、そもそも担保を求められるとはどういうことか、またどんなものが担保となるのかをまとめてみました。どの担保の場合、どのようなことに気をつけたら良いかについても解説します。担保という言葉にいいイメージをお持ちでなかった方も、読んでいただければいいイメージに変わると思います。担保について正しい知識をもっていただき、ぜひ融資交渉の機会に利用しましょう。

 

●担保を出すことのメリット

融資を受ける際の担保とは、融資する銀行側の貸倒れリスクを軽減させるためのものです。万が一企業が事業を続けられなくなった場合、担保として預かったものを現金に換えて回収します。これによって、多少事業実績が悪くても融資を実行してもらえます。また、担保を提供することで融資の利息を安くしてもらえることもあります。確かに、経営者の預金や不動産を担保として銀行に預けるのは気持ちのいいものでないかもしれません。しかし、事業の継続を第一に考えた場合、担保を提供することには多大なメリットがあります。デメリットがあるとすれば、担保とするのにかかる登記関連の費用だけです。差し出せる担保があるのでならば、前向きに検討することを強くお勧めします。

 

●担保の種類と注意点

次に、担保の種類について説明します。ここでは、企業融資の場面で担保として扱われる代表的なものを5つ紹介します。

① 不動産

担保と聞くとまず思い浮かぶのは、土地や建物等の不動産ですね。銀行も不動産を想定している場合が多いので、担保として認められる可能性も高いです。企業が所有する不動産は事業関連のものが多く、事業を行っている内に売却する可能性は高くありません。売却の可能性が低い不動産を担保とすることは融資審査で有利に働きますし、新たな資産を探るよりも手間が省けます。もし、担保となりそうな不動産が思い当たった場合、ぜひ融資担当者に相談してみましょう。

ただし、不動産を担保にする上で注意していただきたいことがあります。それは、所有者が想定するよりも担保価値は低いことが多いということです。銀行では、近隣の相場や換価性などを考慮し、さらに独自の掛け目を用いて担保価値を判断しています。すると、所有者が実際に考えている半分程度の価値と判断されることが多いのです。特に、本社や主力工場を担保にすると万が一の時には売却されてしまい、事業の立て直しが困難になります。銀行も企業には継続してもらいたいはずなので、本社を積極的に担保には勧めないはずですが、選定の際には注意してください。

② 預金

現預金が最も換価性が高いので、銀行も審査しやすくなります。ただし、預金を担保とする際は、少し交渉が必要だと心得ておきましょう。仮に1,000万円の定期預金を担保として差し入れるとします。当然、銀行は同額までの融資しか提案してきません。しかし、同じ金額なのであれば融資ではなく預金を崩して使う方が効率は良いですよね。そこで、担保金額の何倍を融資として引き出せるか交渉が必要となってきます。事業の規模にもよりますが、担保としたい預金の3倍ほど調達できれば非常に有効な手段であると言えます。この預金は、法人として持つものに限りません。代表者や親族名義の、喫緊で利用しない預金を担保にすることも、賢い事業運営の1つの手段です。

③ 有価証券

企業が保有している株式についても、担保にすることが可能です。株式の種類も様々ですが、有価証券の担保と言えば上場株式を意味すると考えてください。優良銘柄や株価が安定している銘柄であれば担保としての価値も高く、価格変動により低下しても追加担保の依頼を受けずに済みます。ただし、担保にすると容易に売買ができなくなるため、タイミングに合わせた売却ができなくなるというデメリットは理解しておきましょう。

④ 売掛金

不動産だけでは担保として間に合わず、さらに担保の追加依頼があった場合に売掛金や在庫を担保として提供する場合があります。これはABLと呼ばれ、在庫⇒売掛金⇒預金という企業の商流を担保にとるようなイメージです。これまで担保として見られていなかった資産が担保にできるようになり、融資のハードルが少し下がったのは事実です。しかし、売掛金を担保にする場合も注意すべき点があります。売掛金を担保にする際には登記が必要です。登記は第三者でも閲覧可能なので「売掛金まで担保にしなければならない企業」として風評被害が発生する可能性があるのです。もし、他に担保にふさわしいものがなく売掛金が選択肢に上がった場合は、銀行と相談して慎重に行う方が良いでしょう。

⑤ 動産譲渡担保

融資を依頼する銀行にもよりますが、企業で使用している設備や機械が担保になる場合もあります。しかし、設備や機械を担保として見てくれる銀行は限られるので、融資依頼したい銀行の担当者に確認が必要です。

 

●まとめ

銀行からの融資を急ぐ場合、担保交渉が疎かになりがちだと思います。だからと言って、メインバンクの言いなりになったり、担保ありきの交渉をする銀行に提供したりするのは賢明ではありません。企業にとって大事な資産を差し出すわけですから、今後も継続的に支援してくれる、信頼できる銀行を見極めて行いたいですよね。そのために、上記の知識を活かしていただけたら幸いです。