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中小企業の決算書類を作成前にやるべき仕事が沢山ある!

経営分析

 

中小企業は、決算書類を作成して税務申告を行う社会的および法的責任があります。書類作成は常に決算時期になると経営者の頭を悩ませる問題です。

中小企業業は少なくても法人組織化されていますから、個人事業主と同等にはなりません。最終的に決算書類が作成できたら、税務申告書類として提出する順序は間違いはありませんが、年度の事業資金変動が見えてきません。すべて結果よし、という考え方で決算書類を作成しても、書類提出を役所側は受け付けても、体裁よく大義名分なる数字を表に出したら、会社経営はあとでボロが出てきます。数字計算の裏を知っているプロはよく見抜きます。

では、決算書類の種類とやり方を詳しく解説します。

 

中小企業の決算書類は、税務申告と融資のためにある!

中小企業の決算書類は、税務申告と融資のためにあります。税務申告は義務づけられていますから、必ず期限内申告に提出する必要があります。そして銀行などから受ける融資は、企業の財務状況で経営判断する借入れ検討ですが、金融機関は決算書類の呈示を要求します。

金融機関に借入を申込むとき、通常、過去3年分の決算書呈示を要求されます。融資審査は金融機関側が審査会を開いて決定を下しますから、決算書類を見て融資判断基準となる信用性を精査しますから、金融機関の審査判断力を知っておきましょう。

 

(1) 中小企業の中心になる決算書類は3つ。

中小企業で中心になる決算書類は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書の3つです。貸借対照表は期末の会社財産状況を示す種類に対して、損益計算書は1年間の事業実績を示す書類です。

金融機関などの融資には必ず融資審査に関係する決算書類として必要です。税務申告では決算書類に基づく申告書として法的に提出を義務づけられています。よく知っておく業務として企業内部会計の人事配置として、中小企業であっても、中立的な第三者になれる会計監査人設置は、会社法で認められていますから、企業内部監査人として人事配置は可能です。

・貸借対照表

貸借対照表は、法人設立から現在までの財産増減を累計した会社財産の現状書類ですから、金額の数値は会社の財産報告として示されています。貸借対照表は損益計算書と同様に、会社の経営分析に必要な根拠資料となっています。貸借対照表の特徴は、企業の実態保有する財産を株主や経営陣に知らしめる財務諸表でもあります。同時に税務申告や金融機関融資にも必要なる書類ですから、会計の基本としてミスは禁物です。

旧態型の企業経営分析手法は、貸借対照表中心主義だったことをよく知っておきましょう。

・損益計算書

損益計算書は、期間計算ですから1年間の事業実績を示す書類です。事業実績の進捗率は単年度計算では前年対比で分析しますから、今期の業績が上がったか、下がったかはすぐに分析できる書類です。

企業業績の実情は、1年単位で見ることは重要です。金融機関など融資する側は、事業改善と単年度の業績を噛み合わせて判断しますから、事業改善できるかどうかは、企業財務改善ができるかどうかで判断しようとします。

銀行融資などでよくプロパー融資は、会社と金融機関のお付き合いみたいなもので、財務上で一定水準に上っている会社に、銀行担当者が融資させて欲しいと申込む場合です。貸付けできない金融機関は利ザヤが獲得できないため、大人数の従業員を抱え込めなくなる金融業界の経営問題になります。

銀行を含め金融業界は、都銀から地銀クラスで整理されようとしている時代です。厳しい経済社会のなかで岐路に入っています。融資対象となる中小企業は地道な経営と運営に委ねられますが、従来型による貸借対照表中心主義は財務分析の主流でしたが、損益計算書の事業実績で見るように変わり始めています。会社は1年間の事業実績に対して目標達成を行い業績を伸ばせば、銀行などは「融資させて欲しい」と営業を掛けてきます。

銀行といえども利ザヤで商売する商いが主力ですから、決算書に基づく信用性は取り引きで担保できます。

・株主資本等変動計算書

株主資本等変動計算書は、株主に開示できる株主のためにある企業資本の変動を示す計算書類です。中小企業は、上場会社とは違いますから株式を市場で売り買いする土俵はありません。確かに二部上場とかベンチャー中心なるナスダックとは株式金融市場を別にしています。一部上場会社の影響力は、取引上で関係する中小企業の経済環境を牽引しますからある意味で強いと考えられがちです。

中小企業において、株主資本等変動計算書類は提出すべき書類として義務づけられていますが、中小企業の株主の実態をよく知らなければ、この計算書類の義務づけは解明できません。

中小企業には零細中小企業も少なくありませんが、株主資本等変動計算書は提出、義務づけられています。事業規模によって、株主資本等変動計算書など提出してもそれほど有益ではない決算書類となっている場合は少なくないということです。株主総会を開催して経営方針を議決できる中小企業がどれだけあるかです。

現実・現状はどうあれ、株主資本等変動計算書は決算書類として提出を義務化されています。

いうなれば、日本的経営はボトムアップ式から米国的トップダウン経営が流行的になり立ち行かなくなりリストラを決行し、膨大な歳月が費やされてきました。中小企業経営は、株主中心など考えも及ばなかったでしょう。なぜならば、経営者は従業員を守るために必死に全社一丸として、事業発展に取り組んできた護送船団方式だったからです。

中小企業体質の実態は身内主義が多いですから、税務申告書上に記載されている株式取得者を見れば一目瞭然です。経営は人材確保と収益力アップが基本ですから、終身雇用を破壊した大企業の影響を受けた中小企業は、少ないないと考えられます。

もちろん、中小企業であっても、グローバル経済社会に参加進出できます。キャッシュフロー計算書は、丁寧な税理士事務所なら株主資本等変動計算書と同時に、提出書類として作成して役所に提出すれば、少なくても決算書類作成の信用性は担保されます。

www.nichizeiren.or.jp/taxaccount/sme_support/guide/
(日本税理士連合会)

 

(2) 附属明細表 

附属明細表は事業報告をする上で、会計における計算書類における規則で定められています。

・有形固定資産および無形固定資産の明細

有形固定資産は、土地、建物など減価償却を必要とする固定資産など、目に見える資産です。一方、無形固定資産は、知的財産権に代表される価値であり、企業資産となります。もちろん、有形固定資産および無形固定資産は個人資産であることがあります。個人資産は個人所有の権利ですから会社の資産に計算上組み入れることはできません。

中小企業はワンマン経営が多いという指摘がよくされます。ワンマン経営は自分の会社を独裁できますが、個人資産は会社資産と分離されている会計ですから、会社のために自滅しようとは考えていません。企業の決算書類は会社資産として計上しますから、個人資産は除外されます。

会社をダメにする中小企業経営者は、個人資産だけが多いという実態はよくある事実です。

附属明細表は決算書類の1つですが、会社の会計基準を示す経営書類になります。

・引当金の明細

引当金の代表例は、貸倒引当金と賞与引当金そして退職給与引当金です。いずれも負債勘定科目ですが、将来のために引当するある意味でリスクヘッジを表示する財務会計です。注意すべきは、企業会計原則上では引当金額(特に貸倒引当金)は売掛金の数%で設定しますが、税務上で認められている引当金額幅は制御されています。税務上で認められている金額基準を越えた引当金額は認められませんから、財務会計担当者はその差異を良く知るとともに経営者に報告しなければならなくなります。

もっとも経営者がよく知っている場合は、経営トップでチェックが利きます。

・販売費および一般管理費の明細

販売費および一般管理費の明細は、一般的に「販管費」と呼ばれるものです。費用支出が多い会社は、細分化した勘定科目で細かく会計しようとします。細かい勘定科目別にすれば、チェック機能は細かくなりますが、増減比較などよく見えてきます。今後は会社の会計方針によるものですから、翌期必要なコストダウンがどうかを判別できます。

 

(3) 個別注記表

個別注記表は、主に会計方針の変更に係わる変更に対する注記する書類です。

企業は、会計方針をコロコロ変えてしまったら、会計処理実務と経営の実態を表す企業決算書類の真偽が疑われます。

会計手法の変更をやるならば、変更した旨を注記しなければ、決算書類の信用が損なわれるからです。会計方針は企業の自由意思で決断できますが、変更事由を根拠として決算書類とともに作成しなければ、提出された決算書類と信用は獲得できないからです。

https://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/commentary/companies-act/2016-06-03-01.html
(企業会計ナビ)

 

(4) 製造原価明細書

製造原価明細書は、商工業というジャンルのなかで主に工業業種に必要とされる書類です。

モノづくりが日本の基幹産業みたいにいわれ長年経ちますが、生産管理と製造関係には必要なる計算明細書類です。

原価計算が中心になる会計書類ですが、原価率を見なければ企業の製造コストの実態を把握できない数値として存在しています。会計情報として決算書類として提出義務はありますが、製造業など工業だけが原価計算明細書を作成しているわけではありません。

たとえば、書籍出版を行う出版社は、書籍制作を行う業種ですが、原価計算を行い製造原価明細書を作成書類としている場合はあります。その他サービス業と思われているアメリカ型映画会社も同様に、製造原価報告書を作成していますから、製造業だけに係わらない決算書類を提出しています。

製造原価明細書は、事業コストを分析する上で経営上必要です。主力事業が商業であっても、作成する明細書になります。経営上の財務的緻密さを示すならば、製造原価明細書作成は有用な決算書類の附属書類になります。

 

(5) 保存期間と税務申告

決算書類は、国や自治体の税務側および融資する金融機関側が求める書類です。

保存期間は重要ですから留意を要します。帳簿などの決算書類計算上の根拠となる書類は、原則10年は保存しておきましょう。

という理由は、税務調査は過去にさかのぼる国家権力機関を持つ仕事ですから、通例として3~5年前が通例ですが、もっと遡れる権限を持っています。決算書類は、日常的、常に会計業務を行った結果ですから、原因と結果の金額数値は一致しなければ理屈に合わないという計算式に基づいたルールがあります。よく「正規の簿記の原則」「明瞭性の原則」など会計規則基準に縛られていますから、ミスを発見したら直ちに修正しましょう。

 

(6) 決算書類に関係する税務申告の種別

税務申告は、さまざまな特典を持ち、青色決算書と白色決算書に区分されています。税制控除特典がある青色決算書は条件が厳しくできていますが、現実は企業決算書類において青色申告と白色申告の境界線がボーダレスに近くなっています。

結局、税制特典があるかないかの違いだけであって、青色申告だろうが白色申告だろうが、決算書類は正しく計算作成して提出するように求められています。税務調査の考え方は、従来では白色申告書事業者には大雑把でしたが、そうではなくなった時代です。

青色申告でも白色申告でも申告決算書は、正しく作成されて当たり前である、が基準になっています。税務特典が欲しければ、控除が優遇される青色申告を税務当局は推奨しています。しかしながら、青色申告事業者でも、控除特典が使えない、認められない事実があります。それは税務調査の結果で、悪質と税務当局が判断したとき、青色申告取り消しを決定されたとき、特典を享受できない白色申告事業者として事業継続しなければならなくなります。

一度、青色申告事業者の承認を取り消されたら、承認復帰は難しくなっているが税務行政の現実ですからご注意ください。もっとも法的争闘を行うなら、この限りではありません。

決算書は税務申告につながる根拠書類ですから、税制特典を逃すかどうかは会社会計と経営陣の責任力が正確かどうかによります。

www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5930.htm
(国税庁)

 

中小企業決算書類まとめ

中小企業の決算書類は、

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 株主資本等変動計算書

が中心的書類です。

3つの財務諸表は税務関係、融資を申込む金融機関には必須書類です。中小企業は大企業とは違いますから、決算種類に取り組む会社財務の責任評価を受けたければ、一段レベルを上げても問題はありません。

  • キャッシュフロー計算書
  • 附属明細表
  • 個別注記表
  • 製造原価明細表

まで決算書類として作成しておけば、当事者である中小企業の財務会計意識を相手は理解できます。企業決算は、信用できる資料として、正しく計算されている事実を前提とします。財務改善に導くならば、会計実務が適正かどうかが問われます。

実態に即した決算書類を作成することで、財務改善と企業活力を呼び起こしてください。情報は企業活動における知識となります。知識は判断力を要求します。判断力は正誤を生み出すときがあります。

決算書類は、二度と同じ間違いをしないようにする、企業内における「おカネ」の信用を示すためにあります。ただし、誰もが正しい決算会計をしていれば、税務調査の仕事などなくなってしまうかもしれませんが、自分の会社だけは間違いはないという意識は決算書類に表されてきます。