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融資や補助金審査に必要な事業計画書とは~書かれていなければならないこととは?

経営分析

 

新たに事業を始める、事業を拡大してさらなるジャンプアップを目指す。

そのためには資金が必要となります。その調達手段として銀行の融資や国や地方公共団体の補助金を利用する際に貸す側は何を重点に判断するのでしょうか?それが「事業計画書」なのです。

銀行は、貸したお金によって事業が発展し、金利も含めてちゃんと返済することができるのか?

国は、税金を財源として交付した補助金を利用してその事業が発展し、結果的に経済の活性化につながるのかを考えて資金を投じます。

したがって事業計画には、事業が融資や補助金によって発展することが期待できることがわかる内容である必要があります。

それでは、融資や補助金の申請の際に必要となる事業計画書において欠かすことができない要素について説明していきます。

 

1.経営者としての理念(想い)が詰まっている

経営者自身の想いを伝えるものでなければいけません。経営者は事業を始めるとき何がしかの想いを持ってスタートしたはずです。日々の業務の忙しさに追われてその想いが忘れ去られる時もありますが、「なぜ自分は今この会社を経営しているのか?」ということを自問自答していくと、自己実現や社会貢献や地域への愛着、対従業員へ思いなどの目標が改めて見えてきます。

事業計画書を作成することで、その目標を達成するためにどう進んでいけばよいのか明確にすることができるのです。つまり、その事業を通じて、これから、どうなっていきたいのかという未来像が明確になり、その未来像へ近づくための指針が事業計画なのです。

今の経済環境が厳しい時代にあっては、経費削減やリストラなどの、やりたくないことも実施していかなくてはなりません。しかし、それは何のために実施しなければならないのか?その先にある未来が明確に意識されていれば、迷うことはないはずです。

何事も目指すべき未来の実現可能性が見えてくるとやる気も出て、最大限の力を発揮することが出来るものです。本来、事業計画書の本質はそこにあるのです。単に、資金調達のために書くというものではありません。あなたの事業計画書にはあなたの経営者としての理念(想い)が詰まっていますか?

 

2.計画が具体的で実行可能な内容になっている

「我が国の経済状況はじり貧で、業界の景気も不透明で当社も例外無くその影響を受けて今後の成長のために、資金調達の必要性がでてきました。さらなる顧客満足を追求し、売上予算を達成すべく努力する所存です・・・」

などといった外部環境の説明や努力するといいた決意表明だけの留まる具体性に欠けた内容の計画書がよく見られます。はたしてこれで、銀行も国も資金を投じる気になるでしょうか?答えは「No」です。

計画に具体性をもたせて、銀行や国に納得してもらえるにはどうすればいいのでしょうか。そのポイントは以下の通りです。

  1. 数値計画を達成するための具体的な行動計画が記載されている
  2. 自社の取り組むべき課題が明確になっている
  3. 自社の強みが発揮できる計画になっている
  4. 市場のニーズを満たす計画になっている
  5. 実現のための資源(ヒト・モノ・カネ・知識・情報・ノウハウ・経験)が確保されている
  6. リスク対策が盛り込まれている

この中で特に大事なポイントは「数値目標を達成するための具体的な行動計画」です。特に「行動計画」の中でも「売上計画(販売計画)」が大切です。最終的な目標数字は利益ですが、その利益を達成するためには、売上を上げるか、経費を下げるかしかのどちらかしか方法はありません。経費を使わなければ達成できるので、売上を上げるよりは管理しやすいと考えられ多くの場合経費削減が行動計画をなってしまいます。そして売上を達成するために、どんな行動をするのか(=行動計画)が明確でない計画書が多いのです。経費削減はいずれ限界が来て、最終的には売上を上げないことには目標利益が達成できない状況になってしまいます。

売上の目標を達成するための行動計画が具体的に検討されて書かれていることが大事なのです。

さらに行動計画にはもう1つポイントがあります。それは「コントロール可能な行動に集中する」ということです。例えば、「営業方針を再検討し、新規顧客の拡大を重点目標とします」という計画が書かれていたとします。これでは、具体的な行動には繋がっていきません。

「営業担当の訪問回数を現状の1日1件を、1日2件として、月々○件の新規顧客の獲得を目標とします」という計画であれば、「営業マンの訪問件数」という具体的な行動をチェックできるため、行動計画が達成される可能性は高まります。

このように、具体的に、計画を達成するための行動プランが明確になっているということが非常に大事なのです。さらにその行動計画はあくまで結果が検証できる自社の行動でなければなりません。

 

3.読む人がわかりやすい内容になっているか

事業計画書は銀行や国などの担当者が読んで理解していただかなければなりません。よくある残念な計画書は本人しかわからない内容だったり、専門用語が多く使われていたりというものです。書いてあることがわからなければ、貸す方はその決断ができないことになります。それを防ぎそうできればそうならないようにするには、事業計画書を提出する前に、第三者に読んでもらうようにしましょう。ご家族など事業について詳しくない人が読んでもある程度、理解することができれば合格です。

わかりやすい事業計画書のポイントをまとめると次の通りです。

  1. 適切なサマリー(要約・概要)がある(冒頭にあるのが望ましい)
  2. ほどほどのボリュームになっている(10~15分程度で概要とポイントがつかめるくらい)
  3. 専門用語はできるだけ使わない
  4. 補助金など募集要項がある場合は、その要項に沿って書かれている

 

4.事業計画書に盛り込むべき項目について

次に、事業計画書に盛り込むべき項目です。抑えるべきチェックポイントとして確認してみてください。

  1. 経営理念・ビジョン・目指すべき未来像が述べられている
  2. どの市場に、どんな製品・サービスを、どのように売るかが説明されている
  3. これまでの経験・経歴・実績と今後の計画に整合性はあるか検討されている
  4. ターゲット・市場ニーズが述べられている
  5. 製品(商品)・サービスの概要が説明されている
  6. 自社の経営資源の強み・弱み(ヒト・モノ・カネ・知識・情報・ノウハウ・経験等の経営資源)の分析がされている
  7. 既存の類似製品・サービスとの違いが明確にされており差別化が図られている
  8. 行動計画は時系列で記載し、具体的な数値目標に落とし込まれている
  9. 数値計画が揃っている(販売計画・利益計画・投資計画など)

 

5.事業計画書まとめ

現実は多くの会社で事業計画書を作成されていない状況です。冒頭に触れましたが、銀行から融資を受けるため、国の補助金をもらうためには事業計画書が必要となります。そして融資や補助金を得るために経営者は、経理担当者や顧問税理士に事業計画書の作成を頼む場合が殆どです。

しかしはたしてそれは、「事業計画書」でしょうか?単なる数字合わせに過ぎない根拠の無い「売上予想」です。

「計画」には、「売上予想」には「社長の想い」と「社員がやるべきこと」が入っていないのです。経営者の理念(想い)が入ってこそ「事業計画書」ということをしっかり理解することが大切なのです。