社長は厚生年金に加入すべき?経営者と従業員の老後を考える

老後をイメージする画像 社会保険

公的年金制度は、自分が老後に受け取る年金や、自分が亡くなった後に遺族が受け取る年金を確保するための保険です。

企業に従業員として雇用されている人は厚生年金、個人事業主として仕事をしている人は国民年金という公的年金制度に加入することになります。

企業経営者の方の場合、年金制度をめぐっては①自分自身が経営者としてどの年金保険に加入するべきか、②従業員に加入させる場合の手続きや保険料がどうなるか、の2つが問題となります。

ここではそれぞれの問題について経営者が知っておくべきポイントについて具体的に解説させていただきますので、参考にしてみてくださいね。

 

厚生年金保険はなんのために加入する?

厚生年金保険は老後に生活していくための年金を受け取ったり、被保険者自身が亡くなった後に家族が遺族年金を受け取れるようにするために加入するものです。

個人事業主の場合、基本的には国民年金という年金制度に加入していますが、国民年金は厚生年金と比較すると老後にもらえる年金や遺族が受けとれる年金額は小さくなります。

一方で、現役世代のときに支払う必要がある保険料は国民年金が一定額であるのに対して、厚生年金は「給与の金額×保険料率」で計算されますから、事業から多くの収入を得ている人ほど保険料の負担額も大きくなる仕組みになっています。

現役時代にたくさん保険料を支払う代わりに老後にもらえる金額も多くなる厚生年金か、保険料負担が小さい代わりに老後にもらえる金額も小さい国民年金を選択するかは、慎重に判断する必要があります。

一般的には、個人事業主の方は事業規模の拡大により法人化を行い、経営者は法人の役員として厚生年金に加入するというケースが多いです。

 

厚生年金の保険料はどう決まる?

厚生年金の保険料は、お給料の金額に毎年変更になる「保険料率」をかけることによって決まります。

ごく簡単にいうと、お給料の金額が高くなればなるほど厚生年金保険料の金額も高くなりますから、役員報酬や従業員給与の金額を考える場合には社会保険料も考慮しておく必要があります。

具体的には、4月〜6月のお給料の平均金額(これを標準報酬月額といいます)に保険料率(平成29年4月〜東京に事業所がある事業者で18.182%)をかけて計算します。

例えば、4月〜6月のお給料の金額が30万円の人であれば、30万円×18.182%=5万4546円が厚生年金保険料となり、この金額を会社と被保険者(従業員)が折半して負担することになります。

 

従業員を雇う場合

従業員を新たに雇う場合には、厚生年金への加入手続きを行う必要があります。

もし加入させる義務がある従業員について厚生年金加入手続きを怠った場合には後から追徴金や延滞金と言った形でペナルティが課せられてしまう可能性がありますから、雇用契約を結んだら速やかに加入手続きを行わなくてはなりません。

 

厚生年金加入のために必要な手続き

 

従業員と雇用契約を結んだら、最寄りの年金事務所に対して「被保険者資格取得届」を提出します。

従業員の基礎年金番号などの情報が必要になりますから、入社手続き時に確認しましょう(年金手帳を預かるのが一般的です)

 

保険料の計算と納め方

 

最初に提出した被保険者資格取得届の内容に基づいて、毎月20日ごろに「保険料納入告知書」が日本年金機構から送付されてきますから、会社が従業員に代わって納付を行います(口座振替も使えます)

厚生年金保険料は労使折半(被保険者が役員の場合も同様です)となりますから、従業員や役員に対して支払うお給料から従業員負担分の保険料を天引きするのが一般的です。

厚生年金保険料は毎月10日ごろに前月分が確定し、20日ごろに保険料納入告知書が郵送されます。

その納入通知書に基づいて月末までに納付を行うようにしましょう。

従業員を雇っている法人の場合、「従業員を雇ったときの社会保険の負担額は?計算方法を知っておこう!」の記事もチェックしておきましょう。

 

個人事業主と法人企業とでは従業員の加入条件が異なる

厚生年金保険に加入させる必要がある従業員の条件(加入条件)は、雇い主が個人事業主であるか、法人企業であるかによって異なります。

個人事業主の場合には事業所に常時雇用されている従業員が5名以上の場合に強制加入となりますが、それ未満の従業員数しかいない場合には任意加入となります。

法人企業の場合は従業員を1名でも雇う場合にはその従業員を厚生年金に加入させなくてはなりません。

法律上、社長も役員として法人企業に雇われている形になっていますから、個人事業から法人成りした時点で厚生年金加入の手続きは必須になるものと考えておきましょう。

健康保険への加入要件については、「どのような場合に従業員を会社の健康保険に加入させないといけない?」の記事も参考にしてみてください。

 

パートタイマーやアルバイトは加入させないとダメ?

 

パートタイマーやアルバイトを雇う場合、以下のような条件に該当する場合には厚生年金に加入させる義務があります(2016年10月以降法律が改正になっています)

週に20時間以上の労働時間がある人

月収が8万8000円以上の人(年収106万円以上の人)

1年間は継続して雇用される場合(期間限定での雇用でない場合)

ただし、従業員数が500名以下の場合は労使合意がある場合に限ります。

労使合意がない場合には正社員の4分の3以上の労働時間があるパートタイマーの人を厚生年金に加入させなくてはなりません。

なお、法律上は正社員やパートタイマーといった名称による区別がありませんから、あくまでも実際に働いてもらっている時間や日数をもとに加入条件が判断されることは理解しておきましょう。

 

監修
株式会社レクリエ / 公認会計士・税理士
沢田慎次郎

お金の流れを変えて、未来を創造する専門家。決算書や申告書から企業のお金に関する問題を洗い出し、財務改善・利益改善に活かすことを得意とする。
様々な規模・業種のクラアントをサポートしてきた経験と豊富な知識を活かし、調達再編スキームの構築や融資交渉サポートなども手掛ける。

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