会社を興したら法人登記をしなければいけない?法人登記の方法などについて解説

起業家の基礎知識

多くの方は、会社を設立する時に登記をしなければいけない、ということを聞いたことがあるのではないでしょうか。会社を設立する場合の登記である「法人登記」について、その手続きの流れや必要な書類・費用などについて詳しく説明します。

 

1.法人登記とは

法人登記とは法律上は「商業登記」と言われる手続きのことで、株式会社や合名会社を設立した場合には、商業登記を法務局に申請して、その会社の基本的な情報を公示する必要があります(商業登記法1条)。

 

登記の申請は会社の設立から2週間以内に行う必要があり、この登記を怠った場合には設立発起人や取締役には最高100万円の過料に処せられます(会社法976条1項1号)。

似たような登記には不動産登記というものがありますが、不動産を取得した場合になどに申請するものが不動産登記です。

第三者に対する所有権を対抗するためには不動産登記を申請しておくことは必要ですが、不動産登記は不動産取得の際に法律で必ず登記しなければいけないとされているものではないという点が商業登記とは異なっています。

かつては商業登記は紙ベースで法務局に保管されており、必要に応じてその登記簿の閲覧や謄本のコピーを行っていましたが、現在では全てのデータが電子化されています。したがって、謄本内容を登記事項証明書などとして入手することが比較的容易に可能になっています。

 

2.法人登記の種類

法人登記に掲載されている情報を真正なものとして証明する登記事項証明書には以下のような種類があります。

 

<図表:登記事項証明書の種類>

種類

備考

現在事項全部証明書

現在の会社の情報が掲載されている証明書で、「会社登記簿謄本」(の写し)とも言われています。

現在事項一部証明書

登記簿に記載されている情報の中で、現在効力がある「特定の区」における事項を確認できる証明書です。「特定の区」とは、商業登記における区分のことで「商号区」や「株式・資本区」があります。

履歴事項全部証明書

現在の会社の現在情報だけではなくて、過去約3年の間に抹消された情報を加えた証明書です。

履歴事項一部証明書

登記簿に記載されている情報の中で、特定の区の履歴が確認できる証明書です。

閉鎖事項全部証明書

履歴事項全部証明書に記載されない抹消事項(例えば3年以上前に記載されていた情報など)も記載されている証明書です。

閉鎖事項一部証明書

履歴事項全部証明書に記載されない特定の区の事項を確認することが可能な証明書です。

代表者事項証明書

現在の会社の情報の中でも、特に代表者情報のみの抄本のことを言います。

 

3.法人登記の手続き

(1)法人登記の手続きに必要な書類

 

法人登記の手続きを行う際には、以下のような書類を用意して法務局に申請することになります。

 

書類名

備考

登記申請書

法人登記において最も重要な書類です。登記申請書には、①会社名(商号)②本店の所在地③登記の事由④登記すべき事項⑤課税標準金額⑥登録免許税⑦添付書類一覧⑧収入印紙貼付台紙、の8項目の記載が必要です。

 

<参考:法務省「商業・法人登記の申請書様式」>

商業・法人登記の申請書様式:法務局

定款

定款は会社を設立する時には必ず作成しなければいけないもので、会社の事業目的や構成員などの基本情報が掲載されており、公証人に承認されていることが必要です。

発起人の同意書

発起人とは会社設立の際に、資本金の出資や定款の作成を行う人を言います。以下の項目が定款で定まっていない場合に、発起人の同意書が必要になります。

・発起人に割り当てられる株式数と発起人が払い込む金額

・株式発行事項、あるいは発行可能株式総数に関する内容

・資本金や資本準備金の金額

代表取締役を選定したことを証する書面

口頭で代表取締役を決めることもあるかもしれませんが、それを書面としてきちんと残しておくもののことです。

代表取締役、取締役、監査役の就任承諾書

上記と同様に口頭だけではなく、選任されたことを承諾する書面を用意することが必要です。上記の書面を就任承諾書で兼用することも可能です。

代表取締役の印鑑証明書

代表取締役が就任承諾書に押印した印鑑の印鑑証明が必要になります。発行から3か月以内の印鑑証明書が必要になりますので、証明書の発行日には注意しましょう。

取締役、監査役の本人確認証明書

左記の証明書は、取締役、監査役の印鑑証明を添付しない場合に必要となります。本人確認証明書としては、

・住民票記載事項証明書(個人番号が記載されていない住民票の写し)

・戸籍の附票

・住基カード(住所が記載されているもの)

・運転免許証等のコピー(表と裏それぞれの写しが必要で、本人による「原本と相違がない」という記載と、記名、押印も必要となります)

・マイナンバーカードの表面のコピー(表面のコピーについては、本人による「原本と相違がない」という記載と、記名、押印が必要となります)

設立時取締役及び設立時監査役の調査報告書及びその附属書類

定款において、定款で「変態設立事項に関する事項」が定められている場合には必要となります。変態設立事項とは、変態設立事項とは、現物出資、財産引受、発起人の報酬、会社が負担する設立費用の4つの事項を言います。

払込みを証する書面

「払込みを証する書面」とは、資本金の振込を証明する書類のことで、

・通帳の表紙の写し

・通帳の1ページ目(口座番号・名義などの情報がわかるページ)の写し

・振込が確認できる通帳のページの写し

のことを言います。

また、各ページに契印するのを忘れないように留意してください。

資本金の額の計上に関する設立時代表取締役の証明書

資本金の出資が金銭だけの場合には不要です。土地や建物などの現物出資の場合には作成が必要です。

委任状

代理人に申請を依頼した場合には必要になります。

印鑑届出書

会社の実印を法務局に申請するために必要な書類です。

 

(2)法人登記の手続きの流れ

 

法人登記に関しては以下の5つの流れで手続きを進めることが一般的です。

 

①基本事項の決定

②定款作成

③資本金払込み

④登記(申請)書類の作成

⑤登記の申請

 

法人登記をする場合には会社名(商号)を決めたり、資本金額を決定したり、細かい部分では社判(会社の印鑑)を作成したり、たくさんやらなければいけないことがあります。ひとつひとつ確認しながら漏れの内容に進める必要があります。

また、定款を作成する際には、必ず定款に記載しなければいけない事項(絶対的記載事項、会社法第27条)があります。具体的には、目的、商号、本店所在地、設立の際に出資される財産の価額又はその最低額、発起人の氏名又は名称及び住所、発行可能株式総数、です。

上記以外の、定款に記載しない場合でも定款そのものの効力は有効であるものの、定款に定めていない場合にはその効力が認められないものを、相対的記載事項(会社法第28、29条)といいます。

(3)法人登記に必要な費用

 

設立する会社の形態によっても異なりますが、法人登記に必要な費用は以下のようになります。

 

<株式会社の場合>

支払先

自分で手続きをした場合

司法書士等に依頼した場合

公証役場

定款認証手数料

50,000円

50,000円

定款印紙代

40,000円

0円

(電子認証の場合)

定款謄本代

2冊で2,000円くらい

(250×枚数)

2冊で2,000円くらい

(250×枚数)

法務局

登録免許税

150,000円

(または、資本金の1,000分の7のいずれか大きい方)

150,000円

(または、資本金の1,000分の7のいずれか大きい方)

登記事項証明書代

1通600円

1通600円

印鑑証明書代

1通450円

1通450円

合計

243,050円

☆203,050円

☆ただし、司法書士等に依頼した場合には、別途司法書士等の報酬が発生することには注意が必要です。

 

まとめ

このように会社を設立した場合には、必ず法人登記をしなければなりません。法人登記をすることが起業の第一歩と言っても良いかもしれません。スムーズに法人登記を行うためには、事前準備をしっかりと行って、場合によっては専門家や経験者など法人登記に詳しい人に手伝ってもらうことも必要かもしれません。