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当座勘定照合表とは?使い方を詳細解説

当座勘定照合表をイメージする画像 起業家の基礎知識

当座勘定照合表とは、その名の通り、当座勘定における資金の動きを表した表のことを言いますが、通常であれば預金通帳で資金の出入り状況は把握できます。
当座勘定の場合は、なぜ「当座勘定照合表」というものが必要になるのでしょうか。当座勘定照合表について詳しく解説します。

1.当座預金とは

銀行の預金の種類には、普通預金、当座預金、貯蓄預金、定期預金、通知預金、納税準備預金、別段預金、などがあります。これらの内、個人で一般的に利用されている普通預金の場合は通帳が発行されるので、記帳をすることで日々のお金の動きを把握することができます。

 

【主な預金の種類】

預金の種類

説明

普通預金

預け入れ、払い戻しを自由に行うことができる預金口座で、銀行取引の基本となる預金商品です。

日本では当たり前ですが、金利が付される普通預金は世界的には珍しい存在です。

キャッシュカードの発行が可能で、ATM(自動取引装置)を利用して、預け入れ、払い戻し、振込などの取引をすることが可能です。

当座預金と並んで、決済口座としても大きな役割を担っています。

当座預金

(下記*参照)

貯蓄預金

残高に基準額を設けていて、最終残高が基準額に達した日には普通預金よりも高い利率を適用する出し入れ自由の預金のことです。

個人だけが口座開設可能です。

振込口座に指定することは可能ですが、口座振替や給与、年金、などの受取には指定できません。その他の商品性は、大体普通預金と同様です。

一部の金融機関では、上記に加えて、預入額が基準額を下回った日については普通預金よりも低い金利を適用したり、月毎に無料での払い戻し回数に制限を設けたり、といった定めがあります。

定期預金

定期預金とは、満期日または据置期間を設定して、満期日まで、または据置期間中の払戻をしない条件で、一定の金額を預け入れる預金のことです。

決済などに利用される普通預金や当座預金などに対して、貯蓄や運用の基本となる預金商品です。

銀行などの金融機関においても、期間内における流動が少ない資金として、預入期間に応じて普通預金よりも高い利率が付されています。

通知預金

通知預金とは、大体週間から1ヶ月未満の期間の預け入れに適した預金のことです。

通常は7日間の据置期間が定められていて、それ以降の希望日の2日前までに予告(通知)したうえで払い戻します。

一般的な通知預金は、制度や金利の水準を考慮すると、法人による資金の利用が多いと考えられます。

納税準備預金

納税準備金とは、納税に充当する資金を預け入れるための預金のことです。

納税のための資金の計画的な貯蓄や本預金からの口座振替による納税を推奨するために、預金利息は非課税となっています。

いつでも預け入れは可能ですが、払戻は納税時に限られています。

別段預金

銀行業務に該当しない預金のことで、雑預金とも呼ばれています。

一時保管金(預金者による払出指示後、実際に受け取るまでに営業日をまたいだ場合など)や出資振込資金、宝くじの当せん金管理口座(みずほ銀行の場合)、永年利用されないので休眠口座になった顧客の預金、が該当します。

*当座預金とは、一般的には、会社などの法人が手形や小切手の支払を決済するための口座であり、日本においては無利息と定められています。当座預金の開設手数料を徴求する金融機関もあります。払戻請求は、原則として、小切手または手形で行われるので、普通預金のように通帳というものはありません。

当座預金は預金保険法による「決済用預金」であるため、預入した金融機関が破綻した場合には預入金額は全額保護されます。口座開設には当座勘定契約が必要で、当該金融機関の審査が行われます。手形や小切手は現金同等物として取り扱われるので、振出人には決済責任(経済的な信用力)が求められるからです。

それでは当座預金口座における資金の移動状況はどのように確認すればよいのでしょうか。そのために利用されているものが「当座勘定照合表」です。

 

2.当座勘定照合表とは

社会保険の料率がどのように決まっているか疑問を感じている図

当座勘定照合表とは、当座預金における入出金状況を記した帳票、のことです。前述したように、当座預金には普通預金のような通帳が存在しないので、銀行などの金融機関は当座預金を保有している顧客(会社など)に対して当座勘定照合表を送付します。

会社など法人顧客の経理部門の担当者は、この当座勘定照合表を利用して、1ヶ月間など一定期間内における取引内容を照合することにより、会社の金銭の動向をを確認するのです。なお、金融機関によっては、紙ベースの当座勘定照合表ではなく、WEBベースの当座勘定照合表を提供しているところもあります。また、一定期間内に取引がない場合には、当座勘定照合表を送付しない場合もあります。

(参考:当座勘定照合表のサンプル URL:http://www.cm-publishing.co.jp/kigyou/download/02skr8dt156mckf_df59pe/2_1.pdf

(1)当座預金照合表による照合

前述したように、普通預金の場合であれば、預金通帳を見ることにより入出金の状況は把握可能ですし、会社の帳簿との整合性も確認できます。しかし、当座預金の場合は預金通帳がないので、普通預金のような確認はできません。

したがって、当座預金の入出金状況は、一般的には、翌月始めに銀行から送付されてくる「当座勘定照合表」を用いて、入出金の状況を確認するのです。具体的には、当座勘定照合表と会社の当座預金勘定とを照合して、残高が一致しているかどうかを確認するのです。この確認は、毎月1回、月初に行うようにします。

ちなみに、当座勘定照合表の発行には1回 220円程度を手数料として取る金融機関が多いようです。当座勘定の状況確認にかかる必要コストであるとの割り切りは必要かもしれません。
最近では、インターネットバンキングで当座預金の入出金状況や残高を確認できるようになってきました。このような場合では、毎月1回でなく、取引が生じた都度に当座の入出金状況を確認することが可能です。
インターネットバンキングを利用している事業者は利用金融機関で確認できるかどうかチェックしておきましょう。そのうえで、書面で発行されているのであれば停止する措置を行うとコスト削減できます。

(2)当座預金の不一致

当座勘定照合表と会社の当座預金勘定が一致している場合であれば問題はありません。しかし、必ずしも一致するとは限りませんし、その原因が経理部門担当者の間違いであるケースもありえますし、それ以外の理由の場合も考えられます。

当座預金勘定が当座勘定照合表と一致しない大きな理由のひとつには、小切手の振出日と引落し日が同一でないことが考えられます。会社が小切手を振り出した際はに、当座預金から出金がされたものとして取り扱われて記帳されますが、銀行においては振出日の翌々日に出金が実行されるため、2日遅れでの処理となります。

例えば、当座預金残高が500,000万円の会社が1130日に100,000円の小切手を切ったとした場合には、会社の帳簿上は、1130日に当座預金の出納帳から100,000円が出金された、と記帳します。一方、銀行では2日遅れの12月2日に出金が記帳されるのです。したがって、1130日の時点においては、会社の帳簿では残高400,000円、銀行の残高は500,000円ということになるので、不一致となってしまうのです。

(3)銀行残高調整表

(2)のように当座勘定照合表と会社の当座預金勘定が不一致の場合には、「銀行残高調整表」を作成します。銀行残高調整表とは、なぜ不一致になっているのかの理由を見つけるために利用されるものです。

最初に、表の左側(若しくは右側)に、月末の金額(上記(2)の例では11月30500,000円)を記入して、次に右側(若しくは左側)に銀行残高(上記(2)の例では500,000円)を記入します。

上記の例では、小切手が未引落分として100,000円があったので、勘定が不一致となりました。そこで、未引落100,000円を銀行残高から差し引きます(控除します)。そうすれば、残高は400,000円となり、当座勘定照合表と会社の当座預金勘定が一致することになります。

 

<まとめ>

預金通帳のない当座預金における資金の流れを確認する方法として当座預金勘定照合表がありますが、照合の際に不一致が生じた場合には、銀行残高調整表を用いるなどし、その要因を探って確認しておくことが経理部門としては重要な業務であると言えます。