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基本給の決め方は3種類!経営者が押さえるべき基本的事項を解説

基本給の決め方をイメージする画像 起業家の基礎知識

私たちが手にする給与には様々な項目がありますが、その中でも基本給と呼ばれるものはどのようなものなのでしょうか。他の手当との違いや給与における基本給の位置付けについて説明します。

また、従業員にとって基本給とは給与の根幹を構成する重要な要素ですが、だからこそ経営者も基本給の取り扱いについては気を付けなければならないポイントがあります。本稿では基本給に関して経営者が留意すべき点についても解説します。

 

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1.基本給とはどのようなものか

一般的には、サラリーマンと呼ばれている多くの俸給受給者は、自身の労働を会社に提供して、その見返りに毎月給与を受け取っています。

実際に毎月受け取る給与の明細には、基本給の他にも、通勤交通手当、残業手当、出張手当、家族手当、住宅手当、など様々な項目で給与が支給されていると考えられます。

それらの中で基本給とは給与の根幹を成す項目で、定義すると「給与の中で、通勤交通手当、残業手当、などを除いた給与の基本となる賃金」とされています。つまり、基本給以外に支払うものが何もなければ、基本給=給与、となるのです。

基本給と似ている言葉に月給という言葉がありますが、月給とは毎月支給される給与のことで、上記で説明したように、基本給以外の様々な手当が含まれているものが月給(毎月の給与)となるのです。

ただし、残業手当のように不定期に発生する項目は月給には含まないことが一般的です。毎月定期的に発生する手当を含んだ給与を月給と言います。

<給与の内訳>

主な給与の内訳(名称)

説明

基本給

給与の基本を成す賃金のことで、給与から下記のような諸手当を除いたものを言います。

 

役職手当

課長や部長などの管理職に就いている人に支給される手当です。役職の責任に応じた手当であることが一般的です。

資格手当

特殊な技能や免許などに対して支給される手当です。企業によって、どのような資格に対して支給されるかは異なります。

家族手当(扶養手当)

扶養家族を持つ従業員に対して支給される手当です。通常は扶養家族が増えれば支給額も増額されます。

 

時間外手当(残業手当)

決められた労働時間以上に働いた場合に支給される手当です。会社によっては、あらかじめ残業するであろう時間に相当する金額を「みなし残業手当」として基本給に加えているケースもあります。

通勤手当

通勤にかかる電車賃などの費用として支給される手当です。例えば、「最も費用の安くなるルートの定期代」などが相当します。会社によっては、毎月ではなく、3ヶ月や半年分の定期代金としている場合もあります。

住宅手当

福利厚生制度の一環として、従業員が借りている住宅の家賃の一部あるいは全部を会社が負担するものです。

 

皆勤手当

会社の出勤日に休むことなく出勤した人に支給される手当です。

 

地域手当(寒冷地手当など)

勤務地の地域による物価格差に応じて支給される手当です。一般的には東京などの大都市では高めに、地方では低めに支給されることが一般的です。同じような手当に、寒冷地では冬場の暖房費が嵩むことから、寒冷地手当が支給される会社もあります。

 

 

2.基本給の決め方

給与の基本となる基本給はどのように決められているのでしょうか。大きく分けると以下のような3つの方法があると言われています。

(1)総合給方式

総合給方式とは、従業員が担当する仕事の内容、その仕事を遂行するために必要な能力、仕事上の責任の重さ、勤務年数、年齢、学歴、などを総合的に評価して基本給を決定する方法を言います。

総合給方式の利点は、様々な角度から従業員を評価することが可能であること、従業員を評価する会社側の裁量が大きいこと、会社にとっては人件費総額の管理・コントロールがしやすいこと、が挙げられます。

しかし、従業員の側からすると、どのような要素で基本給が決まったのかがわかりにくい、会社の恣意的な判断で基本給が決定されてしまう可能性がある、一般的には年功的な要素の比重が重くなる傾向がある、といった点に関して不満が出やすいことには注意が必要です。

(2)単一給方式

単一給方式とは、仕事内容、役職、年齢、勤務年数など、単一の指標を用いて基本給を決定する方法です。非常にシンプルでわかりやすい方法と言うことができます。

確かに従業員にとってもわかりやすい方式ではありますが、仕事の評価をたったひとつの指標で決定することは偏った面のみでの評価となる可能性が極めて高いことは懸念事項です。

また仕事の成果とは必ずしも関係ない、年齢や勤務年数のみでの基本給決定となった場合には、時間の経過とともに常に人件費は上昇し続けることにもなるので、経営的な観点からも好ましいとは言えない点があります。

(3)並存給方式

並存給方式とは、2つ以上の指標(項目)を組み合わせて基本給を決定する方法です。例えば、勤務年数と仕事内容の2つであったり、さらにその仕事を遂行するために必要な能力を加えて3つの指標としたりするものです。

この方法は、単一給方式のような極端に偏った評価になることを防ぐことができるし、従業員もどのような指標で評価されているのかが分かりやすいというメリットがあります。

しかし、会社が恣意的に評価指標を頻繁に入れ替えたりすることにより、基本給を決定する方法が安定しないようなこともあり得ます。従って、運用面に対する一定の歯止め(従業員代表との討議の場を必ず設定する、等)があることが望ましいと思われます。

 

3.経営者が知っておくべき基本給に関するルール

経営者になると従業員の基本給は自由に変更できると思っている方がいるかもしれませんが、既に決定した従業員の基本給(給与)は簡単には引き下げることができないことは知っているでしょうか。

原則として、基本給の引き下げは従業員に対する既得権の侵害(不利益的変更)になるため、勝手に引き下げることはできません。少なくとも従業員側の了承がなければ基本給の引き下げはできませんし、最低賃金(国が最低賃金法により定めた賃金の最低限度)を下回るような減額もできません。

ただし、従業員の了承がなくても基本給の引き下げをすることができる場合があります。それは、①従業員に対する懲戒処分と、②会社の業績悪化による賃金の引き下げ、です。

①の場合には、就業規則で懲戒処分に相当するような行為が行われており、その処分内容に減給という処分が明記されているのであれば、減給処分が課される場合はあるでしょう。懲戒処分の内容を巡って争うことは可能ではありますが、従業員代表あるいは労働組合が同意した就業規則に則った処分なので、この減給自体は従業員の同意がなくとも実行は可能です。

また、会社の業績が悪化した場合には、已むなく(従業員の同意なく)従業員の基本給を下げることが可能です。ただし、企業の業績が悪化していることを客観的に証明できるエビデンスは必要になりますし、従業員の基本給に手を付ける前に役員など経営陣の報酬返上や大幅引き下げなどの手段を用いても業績悪化に対処できないという証左が必要になります。

このように、従業員の基本給を引き下げることは、既に決定したルール内で実施するか、引き下げざるを得ないやむを得ない状況にあることを客観的に証明する必要があります。

 

まとめ

従業員にとって基本給は給与の基本部分であり、とても大切な生活のベースとなる給与の一部です。前述した通り、経営者の恣意的な運用で勝手に基本給を引き下げることはできませんが、状況によっては減額が可能になる場合もあります。

従業員側としては、自分の基本給がどのように決まっているのかを確認しておくことはとても大切ですし、会社側としても正しい労働法の運用をすることが安定した労使関係の構築、ひいては全社一丸となって事業に取り組む体制を構築できるのではないでしょうか。