コロナ禍でも利益を残し続ける中小企業の秘訣

固定資産回転率とは? 求め方や分析方法について解説

固定資産回転率を説明するイメージ画像 起業家の基礎知識

固定資産回転率とは、会社が保有している固定資産を用いてどのくらいの売上をあげることができているか、を表しているものです。総資産回転率の算出方法や見方、そして総資産回転率を改善するための方法などについて詳しく解説します。

 

スポンサーリンク

1.総資産回転率とは

総資産回転率とは、固定資産と売上高の比率のことで、固定資産がどのくらい売上高につながっているか、また、無駄な固定資産を保有していないか、ということを示している経営指標です。つまり、固定資産を有効に活用しているかどうかを判断するための指標と言えます。

総資産回転率の計算式は、以下の通りです。

総資産回転率 = 売上高 ÷ 固定資産(当期・前期末平均)

固定資産は、その大部分が商品や製品を作ったり、管理したり、という、目的のために利用されています。例えば、製造業であれば、工場、機械装置、各種備品、などが固定資産になりますし、商品を仕入れてから販売するような小売業であれば、商品を保管するための倉庫、在庫管理のために利用されているコンピューター、などが固定資産となります。

したがって、固定資産は日常的に整備・管理されていることが重要であり、常に最適な状態を維持しておくことが必要なのです。

なお、固定資産は大きく以下の3種類に分類できます。

固定資産の種類

代表的な例

有形固定資産

有形固定資産とは、機械設備、工場、車両、工具や備品、土地建物、などのことです。

無形固定資産

無形固定資産とは、ソフトウェア、特許などの知財、などのことです。

投資その他資産

投資その他資産とは、株式や債券などの投資資産、などのことです。

固定資産回転率は、一般的には、高ければ高いほど(数値が大きければ大きいほど)よいと言われています。固定資産回転率が高いということは、それだけ固定資産を有効に活用することができている=効率良く固定資産を利用できている、ということを意味しているからです。

同業他社と比較して、固定資産回転率が低いような場合には、過剰な設備投資を行っている可能性が考えられます。ただし、設備投資を行ったばかりのタイミングであれば、固定資産の金額は大きくなりがちですし、設備がフルには稼働できていない状態の可能性もありますので、固定資産回転率が低くなってしまうことも考えられます。

現時点で固定資産回転率の数値が低いから即座に大問題になるというわけではなく、長期的な観点で当社における基準となる数値を認識しておくことが大切です。

 

2.総資産回転率の目安

総資産回転率は、業種によって数値が全然異なっており、原則として、商業では高く、製造業や電力などの巨額の設備投資が必要な業種では低くなっている、と言えます。また、一般的には、流通業では5回転以上、製造業では2.5回転以上、が適切な数値とされています。

ただし、実際には業種によって平均値は異なりますので、総資産回転率を利用する際には、同業他社との比較や自社の過去実績との比較など有用だと考えられます。

 

3.総資産回転率を改善するためには

固定資産回転率が低い(悪化している)原因としては、売上債権の回収が遅い、不良在庫を抱えている、固定資産を十分に活用していない、などが考えられます。それでは、総資産回転率を改善するためにはどのような方法があるのでしょうか。

総資産回転率を求める計算式を見て頂ければわかりますが、売上(分子)を増やして固定資産(分母)を小さくすれば、総資産回転率の数字そのものは小さくなります。

(1)売上の増加を図る

総資産回転率の数字を高めるためるだけではなく、売上の増加はほとんどの経営者が取り組んでいる会社経営における必然的な課題だと思われます。売上高を挙げるための施策は、マーケティング戦略などの販売的な手法も考えられますが、ここでは売上の中身を再検討することを挙げます。

取引慣行が長年見直されずに放置されていた結果として、例えば、過剰なディカウント条件やリベート支払いなどが残っている可能性があるかもしれません。棚卸のような機会に、全ての取引先との取引条件を見直してみることも重要です。

もし、契約書などを確認して自社に不利な条件などを見つけた場合には、取引先との交渉を通じて、現状の取引内容に整合している取引条件へと変更するように努めることが必要になるかもしれません。

また、売上の金額を増やせば、固定資産回転率は高くなりますが、単純に「売上の金額」を増やすことにはリスクがあることも認識しておくことが大切です。例えば、売上を確保するために、代金の回収条件を甘くしてしまい、例えば必要以上に長い支払期限までの猶予を与えてしまうような場合です。

売上は回収までが一連の流れになっているので、販売代金の回収ができていない場合には、キャッシュフローが不足してしまう(支払代金が足りなくなってしまう、など)危険性があるのです。つまり、固定資産回転率の数値を確保するためだけに、回収がむずかしいような売上を上げてしまうようなことがないようにすることも極めて重要です。

したがって、分子の「売上高」の内容を精査することも、固定資産回転率の分析には大切な観点のひとつだと言うことができるのです。

(2)固定資産の減少を図る

固定資産回転率の数値を上げるには固定資産(分母)の減少が効果的であることは、(1)同様に、固定資産回転率の計算式を見ればわかると思いますが、なんでもかんでも固定資産を減らせばよい、というものではありません。

前述したように、販売するための製品や商品を作るための工場や機械設備を全てなくしてしまったら、事業が成り立たなくなることは当然の帰結です。ここで述べている、減らすべき固定資産とは基本的には遊休固定資産を指しています。

遊休資産とは、会社が事業目的で取得した資産の内、稼働していない資産のことであり、固定資産として帳簿上は存在してはいるものの、事業サイクル(原材料調達→製品製造→商品保管→販売)において何の役目も果たしていない固定資産のことです。

つまり遊休資産なのかどうかを判定する必要はありますが、いわゆる無駄な資産を除くことにより固定資産の内容は健全化しますし、固定資産回転率の数値も改善すると考えられます。

また、固定資産の見直しは、固定資産回転率の改善そのものには直接的な影響はないかもしれませんが、経営効率の見直しという観点では大きな影響があるものと考えられます。例えば、製造に利用している機械設備が老朽化して生産効率が著しく下がっているような場合には、その設備機器を新型に入れ替えることで生産効率が飛躍的に向上する可能性が考えられます。

この場合は、新型生産設備への入れ替えにより固定資産の帳簿価額は上昇してしまうかもしれませんが、生産効率が上がることにより、売り上げ増加(あるいは生産コストの低下により原価が低下)へと繋がることも十分に考えられます。

このように固定資産回転率は、固定資産の効率的な利用を検討するためには有用な指標であると考えれれますが、その数値の質的な観点での分析も必要ではありますし、経営改善には他の経営指標ともあわせて総合的に分析したうえで、対策を検討・実施することが重要です。

 

<まとめ>

固定資産回転率は、会社の固定資産の利用状態が効率的なのかどうかを表す指標ではありますが、他の経営指標と組み合わせたうえで会社の状況を判断することが大切です。例えば、他社が導入した施策が、必ずしも自社に適していると限りません。

自社の状況を「客観的にファクトベースで分析することができる」姿勢を常にキープしておくことが経営者としての務めでしょう。