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定款認証とはどのような手続きなのでしょうか?定款認証における重要なポイントについて解説します

定款認証のポイントをイメージする画像 起業家の基礎知識

定款とは、会社の規則などを定めたルールのことで、定款認証とは、株式会社設立をする際に、作成した定款に対して公証人役場から認証を受けることを言います。定款認証における大切なポイントなどについて説明します。

 

1.定款認証とは

会社を設立する際に、最初に必要になるのが定款です。定款は、自分1人で会社を設立をする場合であれば自分だけ(発起人)で作成することになります。会社を設立する際に作成した定款のことは「原始定款」と言います。

原始定款は、株式会社の場合には、作成したままの状態では定款としての効力がありません。公証役場で、公証人に正式な定款として認定してもらうことで定款としての効力を持つことになるのです。このように、公証人が公証役場で定款を認める手続きのことを定款認証と言うのです。

そして、定款認証後に、法務局に会社設立の登記申請をすることになりますが、公証役場で定款認証を受けていなければ登記申請は受理されません。なお、会社設立において定款認証の手続きが必要なのは、株式会社だけです。持分会社である合同会社、合資会社、合名会社、の場合は定款認証の手続きは不要となっています。

 

2.公証役場とは

(1)公証役場

公証役場とは、全国の各都道府県に設置されている法務省・法務局所管の公的機関です。○○公証役場、○○公証センター、などと、名称に差異はありますが、所管業務に違いはありません。なお、東京都においてははほぼ区ごとに設置されていますが、地方の場合には県内に2箇所しかないような場所もあります。

公証役場は全国で約300ヶ所設置されていますが、詳細については、日本公証人連合会のホームページ(URL:http://www.koshonin.gr.jp/list)をご覧ください。

また、公証役場では法務大臣から任命された公証人が業務をおこなっています。公証人の方々は、元裁判官や元検察官などのように、長い期間法律関連の実務経験を経てこられた人で、定款認証を与える権限を保有しています。

定款認証を受ける公証役場は、会社の本店所在地と同じ都道府県に設置されている公証役場になります。例えば、東京都港区に会社の本店がある場合は、東京都内の公証役場であれば、どこでも定款認証の申請が可能です。

上記のように、申請する公証役場は会社の本店所在地の住所で決まりますので、発起人や取締役の住所とは無関係です。発起人が大阪府内に住居を構えていても、東京都内に会社の本社を置いている場合は東京都内の公証役場で認証を受ける必要があります。

仮に、管轄している公証役場以外で認証を受けた場合には、その定款は無効になってしまいます。もちろん、定款を認証する前に公証人が確認をするので、基本的には、公証役場を間違えてしまうようなことは考えられませんが、念のため注意をしてください。

(2)公証役場での手続き

そして、公証役場で定款認証を受けることになりますが、それ自体はさほど難しくはありません。事前に、定款原案を作成して、公証人とその内容について打ち合わせをする必要はありますが、認証自体は簡単に終わってしまいます。

最初に公証役場に連絡をして、株式会社を設立したいので、作成した定款の原案チェックをお願いしたい、と伝えます。公証役場によっては、定款原案をFAXで送ればチェックしてくれる所もあるようですが、直接出向いた方がスムーズな打ち合わせができる可能性が高いと思われます。

公証人が定款の内容をチェックした結果を受けて、もし修正事項があれば、修正します。最終的に内容に問題がなかった場合には、定款認証の日時の予約をします。公証人が業務上の都合で不在のケースや既にスケジュールが予約されているケースも考えられますので、予約なしに自分の都合のみで公証役場に行くことは無駄足になってしまう可能性もあります。

原則として、定款認証の際には発起人全員で公証役場へ出向くことが必要です。ただし、発起人が複数名いるような場合には、発起人の一人を代理人として公証役場に出向いてもらうことも可能ですが、その場合は委任状が必要になります。

実際は、複数の発起人がいる場合は、代理人に委任するケースがほとんどのようです。また、公証人に定款をチェックしてもらう時に、認証の際に必要な書類も確認しておきましょう。

 

2.定款認証に必要な書類

2018年11月30日以降に、公証人法施行規則の改正により定款認証に必要な書類が1枚追加されました。それが、「実質的支配者となるべき者の申告書」です。定款認証を行う際には、設立する法人の実質的支配者を明示して、暴力団員になどに該当するかどうか、を申告する必要があるのです。

具体的な申告書の書式は日本公証人連合会のホームページを参照してください(URL:http://www.koshonin.gr.jp/business/b07_4#newteikan

株式会社の場合には。実質的支配者とは以下の優先順位で決定されます。なお、上場企業やそのグループ会社なども自然人(権利や義務の主体である個人、という意味)に含まれています

カテゴリー(順位) 説明
(1)議決権の直接保有及び間接保有が50%を超える自然人 該当者がいる場合は、その1人が実質的支配者となります。

ただし、自室的に事業経営を支配する意思や能力がない場合にには、(3)の条件で判断します。

(2)議決権の直接保有及び間接保有が25%を超える自然人 (1)の該当者がおらず、(2)に該当者がいた場合に、(2)の該当者全員が実質的支配者となります。

ただし、実質的に事業経営を支配する意思や能力がない場合は(3)の条件で判断します。

(3)出資、融資、取引その他の関係を通じて事業活動に支配的な影響力のある自然人 (1)と(2)に該当者がいない場合や、該当者に実質的に支配する意思や能力がない場合は、(3)の該当者全員が実質的支配者になります。

 

(4)代表権を持つ取締役 上記(1)~(3)に該当者がいない場合には、代表取締役が実質的支配者となります。

 

申告書には、以下の内容を記載します。

・実質的支配者に関して、上表の(1)~(4)のどれに当てはまるかの確認(チェック)

・実質的支配者の情報(住所、国籍、生年月日、暴力団員、などに該当するかどうか、など)

また、上記の申告書の他に、以下の書類も持参する必要があります。

書類名 備考
定款 印刷したものを3部
発起人全員の印鑑証明書 原本を各1枚
収入印紙 4万円分(紙の場合)
認証手数料 5万円
定款の謄本交付手数料 1ページにつき250円
身分証明書 運転免許証、など
発起人の実印 発起人以外であれば認印
委任状 代理人の場合のみ必要

(1)定款認証の費用

収入印紙代や認証手数料は固定されているのですが、謄本交付手数料については会社によって異なりますので、いくら必要になるのかがわからないのではないかと思われます。概算ですが、だったい謄本交付手数料は2,000円前後となるケースが多いようです。

実際には、それよりも少なかったり、多かったりする場合もあるので、9万円(収入印紙+認証手数料)にプラスして、少し余裕を持った金額が認証費用として必要になることを認識しておいてください。

(2)電子定款の認証の場合

定款を電子データにして定款認証を受ける「電子定款」の場合には、収入印紙代の4万円が不要となります。電子定款を作成するためには、電子署名をするためのソフトや電子証明書が必要になりますので、ソフトを購入するか、または代行を依頼する必要があります。

既にソフトなど、電子定款の認証に必要なツールを持っているケースや、代行依頼手数料が4万円を下回るような場合には、コスト削減の観点から、電子定款を選択し、認証を依頼することもよいでしょう。

 

<まとめ>

会社の設立には、定款を公証人に認証してもらう必要があります。認証してもらうために、何度も公証人役場に出向くことを回避するために、公証人との打ち合わせ日時を予約したうえで、定款認証に必要な書類や定款の内容、そして必要な手数料などをきちんと確認しておくことが重要です。