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あなたの会社もホワイト企業化を!経営者は修得必須な労務改善の考え方

ホワイト企業をイメージする画像 起業家の基礎知識

世間では所謂「ブラック企業」に対する批判がますます強まっており、ブラック企業であるという評判が立つだけで、人材確保だけでなく会社の業績にも悪影響を与えているのが実情です。反対に「あの会社はホワイト企業だ」という評判があれば、その会社には多くのメリットが生じます。

ホワイト企業と言われるためには、労務に関してどのような改善が必要なのか、また、ホワイト企業のメリットとはどのようなものなのか、についても詳しく解説します。

1.ホワイト企業とは

世間でブラック企業と呼ばれている会社は、労働環境が厳しく、離職率が高いイメージがあります。具体的には、常に深夜遅くまでの残業や休日出勤を強いられていたり、福利厚生の制度もお粗末で従業員が会社に定着しなかったり、という会社をブラック企業と呼んでいます。

最近では上記のような過重労働だけでなく、社内でセクハラやパワハラが横行していたり、フェアな人事評価が行われていないような会社に対してもブラック企業としての評判が立ちやすいようです。これに対して、ホワイト企業とは、法令を遵守したきちんとした労務管理が行われており、社員が働きやすい環境を整備しているような会社を言います。

ホワイト企業とブラック企業の特徴について以下にまとめます。

ホワイト企業の特徴 ブラック企業の特徴
・社員の離職率が低い(定着率が高い)

・給料が良い(高い)

・女性が働きやすい環境にある

・社員ひとりひとりを大切にしている

・給料が悪い(安い)

・社員の離職率が高い(定着率が低い)

・社員は使い捨てという意識が強い

・労働時間が異常に長い

・人間関係がギスギスしていて職場の雰囲気が悪い

上記以外にも、ホワイト企業では、有給を取得していないと周囲から心配される、働き過ぎている場合には業務調整が入る、休憩時間に仕事をしていると同僚から本気で心配される、福利厚生が充実している、休日出勤にはちゃんと代休がある、社内がいつも整理整頓されている、といったこともあります。

 

2.ホワイト企業になるために必要な労働改善

資本家(経営者)と労働者が対立すべき立場として認識されていた時代には、いかに労働者から時間や賃金を搾取して資本家を富ませるかという考え方が主流でした。しかし、労使対立してばかりでは、会社の生産性は低下するし、労働者は別の見方をすれば、会社にとっては消費者でもある、という考え方が主流になってからは先鋭的な労使対立は減ってきたように思われます。

現在では、従業員の健康を損なわせてまで働かせることは、経済を回すという観点からは明確にマイナス効果しかないということがわかっています。それでも、一部の会社ではブラック企業として従業員を無理矢理働かせており、労働法などの法令を守らず、政府が進める働き方改革に逆行するようなことをしています。

まずは会社の経営陣に労務管理の重要性を認識してもらうことから始める必要があります。企業を存続させる大原則は、利益の獲得を根幹で支えている従業員に、より高い生産性を発揮してもらうことにあります。

しかし、単にこの高い生産性を生産量や生産時間などで求めようとすれば、当然のように従業員の労働時間は増えてしまい、労働強化となり、場合によっては重大な事故が発生してしまう危険性もあります。

反対に、法令を遵守し社員の健康状態に気を配った労務管理を導入することが、社員の働くモチベーションを向上させると共に高い生産性を実現させることになります。わが国を取り巻く経済状況は激しく変化しており、そのスピードも年々早くなっています。

そのような環境下で、利益の追求と労働環境の向上というバランスを保ちながら会社を運営することは非常に難しい課題でもあります。しかし、長期的な観点から、従業員に対して適切な労働環境を整備するということは継続的な企業の成長に対しては極めて重要です。従業員は、優れた労働環境において、能力を最大限発揮することが可能であることを忘れてはいけません。

従来の労働基準法では、原則1日8時間、週40時間の法定労働時間が定められていますが、労働基準法36条に基づく労使協定(通称、36(サブロク)協定)で定めている範囲内であれば、社員を時間外労働をさせることができました。

ところが、今回の「働き方改革関連法」においては、この時間外労働と休日労働の限度時間に1カ月45時間などの上限を設定しました。そして、これを超えた場合の罰則規定(6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金)も設けられました。

また、「年次有給休暇取得の義務化」や「労働時間把握の義務化」、「同一労働同一賃金」、』なども新たに定められ、労働条件の是正につながるものと期待されています。

労働改善の第一歩として、自分の会社の就業規則を確認してみましょう。以下のような項目に該当するような就業規則であれば、就業規則から見直すべきでしょう。

就業規則のチェック項目
タイムカードが存在しない(勤怠管理をしていない)。
出勤簿がない(勤怠管理をしていない)。
営業職の従業員に残業代を支払っていない。
管理職には一切残業代を支払っていない。
残業代を含んだ給与(手当)は支払っていない。
1時間あたりの単価は基本給だけを対象としている。
歩合給などの出来高給があり、基本給とのバランスが歪である。
専属の個人委託契約をしている人が存在している。
研究開発やデザイナーなどの高度な専門職部門がある。

なお、個人委託契約や高度専門職などは、それ自体に問題があるわけではないですが、恣意的な運用がなされた場合には労働環境の公平性に問題が生じる可能性が高いので注意が必要です。

 

3.ホワイト企業のメリット

ホワイト企業になることのメリットは何と言ってもレピュテーション(評判)の向上です。現代のようなインターネット社会においてブラック企業という評判が立ってまった場合は、凄まじい速度でその悪評は世間に拡散されてしまいます。

新卒も中途も合わせて、人材獲得市場での評判が大きく下がるので、優秀な人材の確保は相当難しくなることが予想されます。しかも、一度ブラック企業という評価が下されてしまうと、そう簡単にはイメージを戻すことはできないでしょう。

これに対して、ホワイト企業である、という評判が立てば優秀な人材がこぞって求人に募集してくることが考えられますし、周囲の家族や友人からも背中を押してもらえるような状況で応募してくる人は増加すると思われます。

また、通常の商取引においても影響があることが考えられます。ブラック企業と取引していることが世間に暴露された場合には、その取引先にも悪評が立ってしまう可能性があります。インターネット社会の怖さでもありますが、場合によっては、取引先を失ってしまう可能性もあります。

反対にホワイト企業と取引している会社であれば、世間からもそのホワイト企業と同等にみなされる可能性もあり、ホワイト企業との取引量を増やしたいと申し出てくる会社もあるかもしれません。現在のような人手不足の環境であれば、ホワイト企業であることは人材確保や取引拡大などにとって大きな武器になることは間違いありません。

 

4.まとめ

ホワイト企業になるためには、法令を遵守するのみならず、いかに従業員に満足感を持って働いてもらえるのか、という観点で労務改善を行うことが重要です。ホワイト企業とみなされることで得られるメリットは大きく、高い評判といった無形の財産だけでなく、優秀な人材の確保や取引の拡大などの実利を得ることもあるのです。