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経営改善の実効性を向上させる「経営改善計画書」はどうやって作る?

財務改善

 

「経営改善計画書」には長期と短期のものがありますが、金融機関が要求する「経営改善計画書」とは、貸付先の業況が悪化し、貸付金の正常な回収が難しいと判断した場合に求めるもので、緊急事態に対応する短期の経営改善計画書となります。

 

経営改善計画書とは

経営改善計画書には、大きくわけて2つの種類があります。

① 前向き・長期の経営改善計画書

経営戦略として積極的に経営環境の変化へ対応することが目的です。

1つめの経営改善計画書は、変化する経営環境へ対応し、更なる利益の増加や生産性の向上を図るためのものです。

一般にこうした経営改善計画は「事業計画書」ともよばれ、5年後・10年後を見据えて作成されます。

② 緊急事態対応・短期の経営改善計画書

資金繰りの悪化などから緊急に経営改善が必要になることへ対応することが目的です。

2つめの経営改善計画書は、決算で(実質的に)債務超過となり、借入金の返済が困難となったり、金融機関からの新規の借入が困難となるような場合に作成されるものです。

ただ、こちらの経営改善計画も短期に緊急事態を乗り越えた場合は、前記の前向き・長期の経営計画への作成、実行に向かわなければなりません。

 

経営課題に気づいた時点ですぐに作成

経営課題に取り巻かれている環境下にある現代の企業には常に解決すべき課題が発生していますが、経営者が気づかないまま放置されていることがあります。

放置期間が長くなると、経営の屋台骨を揺るがすような大問題になることもあります。

経営者が解決すべき経営課題があると気づいた時点で、解決すべき課題と改善策、改善プロセスをとりまとめたものが「経営改善計画書」です。

本来であれば、経営課題に自ら気付き、積極的に経営環境の変化へ対応するため、経営改善計画書を作成すべきです。

しかし、現実的には金融機関からの借り入れが困難になってから作成するというケースが多いようです。

 

経営環境は常に変化

経営環境は日々変化しており、その変化は必ずしも目に見えるものばかりではありません。

しかし、目に見えなくとも経営環境の変化が起きていることを知っておく必要があります。

例えば、競合店や代替商品の出現はある日突然の出来事ですし、かつ目にも見えて分かりやすいものです。

しかし、構造的な経営環境変化である少子高齢化といわれる事態などは目に見えにくいまま、日々確実に進行しています。

その影響は突然には現れませんが、 「○年前と比べれば」という形で経営者の眼前に現れてきます。

そして、気が付けば、子供向けの商品やサービスの売れ行き不振、高齢者向けの商品やサービスの売れ行き増、などとなって現れてくるのです。

 

成功法則はいつまでもは持続しない

ある時期にうまくいった営業方法や評判となった商品がいつまでも有効だということはありません。

乗用車のモデルチェンジは、どんなに爆発的に売れた車でも次第に売れ行きが落ちてくることが認識されているから、計画的に行われているのです。

経営改善計画書も、経営内容の善し悪しに関わらず、時代にあった経営方法が必要だから作成されるものであると認識する必要があると思います。

 

経営改善計画書作成に要する期間は

経営改善計画書の作成に要する期間はどれくらいでしょうか?

当然かもしれませんが、経営改善計画書作成に要する期間は、早ければ早いほどよいと思います。

なぜなら、時間がかかってしまうと、資金繰りに重大な影響を及ぼす場合もあるからです。

ただし、作成を急ぐあまり重要なポイントを見落とすことがないように注意が必要です。

 

経営改善計画書作成の流れ

金融機関から経営改善計画書の提出を求められた場合は、次のような手順で経営改善計画書を作成します。

① 自社の現状把握

正確な決算書や試算表で自社の現状を把握する

② 経営課題の探索

外部課題・内部課題を検討する

③ 経営課題解決策の検討

課題に対応した対策の基本を確認する

④ 資金繰り表の作成

今後3ヶ月程度の資金繰り計画を作る

⑤ 経費削減計画の作成

経費支出の削減・在庫処分や資産売却などで対応する

⑥ 売上高増加策の策定

売上高の増加策、粗利益率の向上策を検討、作成する

⑦ 借入金返済計画の作成

返済財源を確保し、返済計画を立てる

⑧ 経営改善計画書の作成

具体的な数値とその根拠をわかりやすくまとめる

 

経営改善計画書を作成した後は

作成した経営改善計画書の達成状況を見ながら、計画通り経営改善が進めば「長期経営計画」へ、達成状況が不十分であれば再び「経営改善計画」の見直しへと戻ります。

達成が不十分な場合は、なぜ十分な成果が得られなかったのか、についての検討・分析が重要な課題となります。

 

長期経営計画の作成

経営改善計画書を作成した後に、3~5年計画の策定を行います。

短期的な経営改善計画書を作成することで当面の資金繰り等をクリアすることができたら、真の意味での経営の安定を図るため、長期経営計画の作成を行います。

また、中小企業庁では、「中小企業・小規模事業者の資金繰り管理や採算管理等の早期の経営改善を支援します」として、平成29年5月29日より早期経営改善計画の利用申請を開始しています。

中小企業・小規模事業者の経営改善への意識を高め、早期からの対応を促すため、認定支援機関による経営改善計画策定支援事業のスキームを活用し、中小企業・小規模事業者が基本的な内容の経営改善(早期経営改善計画の策定)に取り組むことにより、平常時から資金繰り管理や採算管理が行えるよう支援を行います。

事業内容は、中小企業・小規模事業者は金融機関に事前に本事業を活用する旨を相談し、外部専門家と連名で経営改善支援センターに利用を申請します、としています。

また、中小企業・小規模事業者が、外部専門家の支援を受けて早期経営改善計画を策定し、その計画について、金融機関に提出した場合、早期経営改善計画策定にかかる外部専門家費用を補助します、ともしています。

早期経営改善計画策定後1年を経過した最初の決算時に、中小企業・小規模事業者と外部専門家はモニタリングを実施。モニタリングにかかる外部専門家費用を補助するとのことです。

早期経営改善計画策定における作成資料は、以下の通りです。

  • ビジネスモデル俯瞰図
  • 資金実績・計画表
  • 損益計画
  • 早期経営改善計画実施にかかるアクションプラン
  • その他利用申請、支払申請、モニタリング費用申請に必要な書類

早期経営改善計画書を作るメリットとして、従来の経営改善計画は金融機関から返済条件を緩和してもらう等の金融支援を受けることを目的として、金融調整を伴う本格的な経営改善計画を作成します。

早期経営改善計画では、金融支援を目的とはせず、早期から自己の経営を見直すための資金実績・計画表やビジネスモデル俯瞰図などの基本的な計画を作成し、金融機関に提出します。

また、以下のようなメリットがあります。

  1. 自己の経営の見直しによる経営課題の発見や分析ができます
  2. 資金繰りの把握が容易になります
  3. 事業の将来像について金融機関に知ってもらうことができます

早期経営改善計画の利用申請から支払決定までの流れは以下の通りです。

  • 中小企業・小規模事業者は、認定支援機関たる専門家(以下、外部専門家。)と連名で「経営改善支援センター事業利用申請書(早期経営改善計画)」を、経営改善支援センターに提出するとともに、金融機関から事前相談書を入手し同センターに提出する。
  • 金融機関が、認定支援機関として当該計画の策定への関与を希望する場合は、申請に連名で加わることも可能。
  • 経営改善支援センターにおいて申請書の内容を確認する。
  • 経営改善支援センター事業において費用負担することが適切と判断した場合は、その旨を外部専門家に通知する。
  • 外部専門家は、中小企業者等の早期経営改善計画を策定し、申請者はその計画を金融機関に提出します。

 

経営改善 まとめ

経営改善は金融機関に求められて計画を策定して実行することが多いと思われますが、どのような部分に焦点をあてて改善を図るのか、銀行とよく相談をすることが重要です。

また中小企業庁から経営改善の進め方についてガイドラインが公表されていますので、参考にしてみてください。