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当座比率とはどんな指標?キャッシュフロー改善に直結する考え方とは?

当座比率とキャッシュフロー改善をイメージさせる画像 起業家の基礎知識

当座比率とはどのような指標で、どのような方法で求められるのでしょうか。また、当座比率の数値にはどのような意味があるのでしょうか。会社の手元資金の安全性を評価するための当座指標について詳しく説明します。

 

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1.当座比率とは

当座比率とは、会社の資金繰りにおける短期的な支払能力を表す指標として、流動比率などとともに活用されているものです。当座比率とは、流動負債に対する当座資産の割合のことを言います。

当座資産とは、流動資産の中で、現金、預金、売掛金、受取手形、有価証券などを指しており、現預金そのものあるいは最も換金(現金化)しやすい資産のことです。

棚卸資産については、販売してから売却代金が回収できるまでは現金化できないので、当座資産に比べると換金(現金化)しにくい資産ということになります。

つまり、流動資産の中でも棚卸資産などは簡単には現金化できない場合もあり得るので、流動負債の支払いに対して迅速に換金して対応できる資産=当座資産がどのくらいあるのかを表す指標、とも言うことが可能です。

 

2. 当座比率の求め方

当座比率は以下の算式で計算します。

当 座 比 率  =

当 座 資 産

流 動 負 債

上記の算式でもわかるように、当座比率とは当座資産(1年以内に現金化される流動資産において換金性の高い現金、売掛金、受取手形など)と、流動負債(1年以内に支払期限を迎える負債)から計算されます。

当座資産よりも流動負債が大きければ支払能力は低いと判定されて、逆に当座資産の方が流動負債よりも大きければ支払能力は高いと考えられます。

それでは当座比率はどのくらいの水準が適正なのでしょうか。一般的には当座比率が1(百分率で表せば100%)以上あれば、流動負債に対する支払いを当座資産で全て賄えることから、1(100%)以上あることが望ましいと考えられます。

しかし、中小企業にととっては常に当座比率を1(100%)以上にしておくことは簡単なことではないでしょう。当座比率の水準(目安)については以下のような考え方が一般的となっているようです。

当座比率の水準 一般的な見方

1.2(120%)以上 当座比率が1.2(120%)以上であれば、短期的な支払能力については優良な水準にあると言えます。

0.9~1.19(90~119%) 当座比率が0.9~1.19(90~119%)であれば、短期的な支払能力については安全な水準にあると言えます。

0.7~0.89(70~89%) 当座比率が0.7~0.89(70~89%)であれば短期的な支払能力については、改善の必要性があると言えます。

0.69(69%)以下 当座比率が0.69(69%)以下であれば、短期的な支払能力については危険な水準にあり早急な対策を実施する必要があると考えられます。
一般的には当座比率が69%以下になると、取引先や金融機関からの心証も悪化してくるため、融資や取引などの交渉に際して悪影響が出る可能性があります。

もちろん当座比率の数値だけで会社の支払能力を評価すればよいというものではありません。業種によっても特徴があります。例えば、建設業や小売業の当座比率は一般的に低めとなっています。

さらに貸借対照表の当座資産や流動負債の数値は、ある一時点での数値を表したものにすぎません。

例えば、既に取引金融機関から融資の確約を取り付けていて、近い将来に融資が下りれば安全水準まで当座比率は回復するという見込みが立っている場合には、一時的な当座比率の悪化、ということで済むかもしれません。

さらに、現時点では棚卸資産に含まれている資産について、近々の売却・入金の時期が確定しているような場合であれば一過性の当座比率の悪化ということになるでしょう。

しかし、当座比率が安全な水準を超えているからと言って、必ずしも資金繰りリスクがないと判断してしまうのは早計です。

例えば、固定資産の有価証券などには不良債権リスクや(有価証券発行体の)倒産リスクがあります。状況によっては貸倒引当金を積むことによって、支払能力を担保することも可能ですが、手元資金だけで支払能力を確認することでは十分ではない場合もあるのです。

 

3.当座比率の改善方法

当座比率だけで会社の支払能力を判断することか危険な場合もありますが、それでも金融機関や取引先が支払能力を判断する基準として当座比率を利用するケースは多いと考えられます。

それでは、どのような方法で当座比率をアップさせることができるのでしょうか。当座比率の算式を見ていただければわかると思いますが、分母である流動負債の金額を減らすか、分子である当座資産を増やすことで当座比率をアップさせることができます。

流動負債を減らすには、例えば短期借入金の返済や買掛金の支払を行うことで可能となりますが、売上として預金(当座資産)に入金されたお金を用いて返済や支払いに回す場合には、同様に当座資産も減るので注意が必要です。

もちろん、原則として、利益分(儲かったお金)を流動負債の支払いに充当すれば問題はありません。

次に当座資産を増やす方法ですが、上記のように、利益分を含んだ売上を増やすことで当座資産は増えます。他に経営者はどのようなポイントに注意することで当座比率を上昇させることが可能なのでしょうか。

先ずは、精緻な資金繰りが行える体制を構築することです。資金繰りにおいて重要なのは、「いくら」と同様に「いつ」という点です。経理部門に入出金の金額と期日を正確に(あるいは保守的に)見積もった資金繰表を作成して、常にアップデイトするように指示することが重要です。

次に営業利益率を意識した商売を行うことです。売上だけが増えたとしても、実質的な営業利益が増えなければ、当座資産は確保できません。つまり、原価や販管費を意識した営業活動を行い、営業利益を確保して、資金繰りにも貢献する、といった営業マンの意識付が重要です。

「営業は単にモノを売ればよいのだ」と言う考え方は前時代的ですし、現在では利益の確保と売上の回収までも意識した営業活動が求めれていると言えます。

そして、キャッシュフローを重視した経営を実践することが大切です。会計上の数値も重要ですが、実際にいついくらお金が入ってきて、そのお金を何にいくらいつ使う、といった企業活動をキャッシュベースで認識・把握することも重要です。

このように、当座比率の改善を通じて、会社の課題も解決することが可能になるかもしれません。

 

4.当座比率と流動比率

当座比率と同様に、短期間での支払い能力を判断する指標として流動比率というものがあります。流動比率とは、流動負債に対する流動資産の割合のことで、

流 動 比 率  =

流 動 資 産

流 動 負 債

という算式で求められます。

前述したように、当座比率を求めるための当座資産と流動比率を求めるための流動資産には資産の内容が異なっており、当座資産には棚卸資産などは含まれていません。

したがって、どちらの指標も短期的な会社の支払能力を表しているのですが、当座比率の方がより正確に支払の安全性を表していると考えられます。

当座比率と深い関係にある「流動資産」については、「流動資産とはどんな指標?流動資産を用いて詳細な財務分析を」の記事で詳細に解説しています。

 

まとめ

これまで説明してきたように、当座比率は、流動比率以上に、会社の短期間における支払能力を示す指標であるということです。しかし、会社の支払能力の安全性は、当座比率だけで判断することは危険であり、他の資産の状況も確認することが重要です。

また、当座比率の改善は、すなわち会社におけるキャッシュフローの改善に直結することになります。したがって、経営者としてはキャッシュフローを重視する経営を実践するとともに、常にアップデートされた会社の財務情報を把握できるような体制を構築することが望ましいでしょう。

キャッシュフロー経営の大切さについては、「キャッシュフロー経営で資金の効率的な運用をしませんか?」の記事でわかりやすく解説しています。