起業をするためには「お金」が必要になりますが、どのようなものに対して「お金」がかかるのでしょうか。
オフィスを用意したりパソコンなどの備品を購入したりすることは容易に想像がつきますが、起業に関する費用は上限はないとも考えられます。
起業に必要な資金とその資金の調達方法について説明します。
1.起業に必要な「お金」
起業する際には、法人の登記費用、本社の敷金・賃貸費用、設備購入代金、仕入れ代金、など様々な資金が必要になります。
これらの起業に必要な資金は起業資金と呼ばれており、全額を自己資金で賄うことができれば借入金などの資金調達は不要です。
しかし、満足できるレベルでの全ての起業資金を自己資金で充足することはなかなか難しいと考えられます。
また、起業者自身や家族などの生活費も必要になりますので、起業資金以外にも必要な資金はあるので、余裕資金を手元に残して起業することが重要なのです。
そこで起業資金については、自己資金以外にも調達をすることが必要になる場合が考えられるのですが、どのような方法で起業資金を調達すればよいのでしょうか。
2.起業資金の調達方法
起業資金の調達方法 | 具体例 |
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(1)出資 | 自己資金、社員持株会、取引先(他企業)からの出資受け入れ、ベンチャーキャピタル(VC)からの出資受け入れ
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(2)借入 | 親戚や友人などからの個人借入、消費者金融などからの個人での借入
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(3)融資 | 銀行、信用金庫、制度融資、日本政策金融公庫からの公庫融資、マル経融資
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(4)補助金・助成金 | 創業補助金、再就職手当
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(1)出資
起業資金を調達するには、起業する会社の株式などを保有してもらうことと引き換えに資金を提供してもらう方法があります。
原則として出資金は借入金とは異なり返済の義務がありませんので、安定的な資金調達手段として位置付けられています。
① 自己資金
その中でも、資金調達として位置付けてよいのかどうかは議論がありますが、自己資金を使って会社の株式を保有することでその見合資金を起業に利用する方法があります。
その場合は会社のオーナー兼経営者ということになりますが、多くの中小企業ではオーナー経営者の人は多いのでないでしょうか。
自分の思うとおりに事業を進めることができますし、他の株主に遠慮する必要もないので、経営の自由度は100%です。
しかし、100%自己資金で起業するような場合には、独善的な経営に陥ってしまうリスクがあることには十分に気を付ける必要があります。
② 社員持株会
社員が資金を出し合って会社を設立するような場合は、社員持株会が株主となって起業することになります。
社員持株会の設立には規約の他にも組織や理事などが必要になります。
社員持株会の存在は社員が働くモチベーション向上にもなりますが、一方で持株会の運営が大変なことと株主が分散してしまうデメリットがあります。
③ 他社からの出資受け入れ
起業する会社の事業と深い関係があり、今後もお互いに密接な関係を維持したいという意向があれば、取引先などの他社からの出資受け入れで資金調達をすることがあります。
お互いにメリットがある間は問題がありませんが、どちらかの業況が悪化したり、経営者が代替わりしたりして、両社の関係が変化したような場合は出資解消ということもあり得ます。
また他社からの出資比率が50%を超えてしまうと、経営権そのものを握られてしまうので、この点には特に注意が必要です。
④ ベンチャーキャピタルからの出資受け入れ
ベンチャーキャピタル(VC)は今後の成長が期待できるベンチャー企業に出資をして、株価の上昇に伴うキャピタルゲインを獲得することを目的としています。
上場の際に株を売却して収益を得るケースもありますので、投資期間中の業績には常に目を光らせていることが想定されます。
VC投資と言うと、短期間に株を売り抜けるイメージを持っているかもしれませんが、長い時間をかけて企業を育成することを目標にしているVCもありますので、起業する会社のビジネススピードに合っているVCからの出資を仰ぐことが重要です。
(2)借入
ここで言う借入は金融機関などからの借入ではなく、起業する人のネットワークなどを利用した借入を意味しています。
① 知人や親戚からの借入
よく知っている人からの借入は、一般的にはあまり問題なく実行されることが予想されます。
しかし、よく知っているからこそ気を付けなければならない点もあります。
知り合いからの借入の場合は、甘えが生じてしまい、返済が遅れたりしてしまうことも考えられます。
また、銀行などとは異なり専門的な助言を期待することはできません。
② 消費者金融などからの個人借入
起業する人の自己資金が不足している場合に、個人で消費者金融などから資金を借り入れて起業資金として会社に提供することも考えられます。
個人向け融資の流用となりますが、個人での信用による資金調達なので、素早いタイミングで資金調達ができることが一般的です。
ただし、消費者金融などは金利水準が高いことが多いので注意が必要です。
(3)融資
起業資金の調達の場合は、まずは金融機関などからの融資が検討されることになります。
しかし、一口に融資と言っても様々な融資のタイプがあるので、起業しようとしている会社の事業にはどのようなタイプの融資がマッチするのかを考える必要があります。
① 銀行
銀行からの起業資金調達は、今後の銀行取引を円滑に進めるためにも非常に重要かつ大切な方法になります。
事業のスタート段階で銀行から融資を受けることができれば、対外的な信用も高まりますし、様々な経営上のアドバイスを得ることも可能になります。
もちろん銀行から起業資金の融資を受ける場合には、銀行が求める各種書類を提出する必要がありますし、今後の事業計画をしっかりと伝えることも求められます。
② 信用金庫
地域金融を担っている信用金庫は地元の企業を育成するための融資を実行しています。
銀行に比べると融資のハードルは低いと思われがちですが、信用金庫によっては厳しい審査基準を設けている場合もありますので、簡単に融資が行われると考えるのは早計です。
大都市に展開しているメガバンクなどに比べると、地域での情報収集力には抜群の強みがあるので、取引先などとのトラブルがあると信用金庫にはすぐにわかってしまうので、日頃の立ち居振る舞いには十分気を付けることが必要です。
③ 制度融資
都道府県や区市町村では、信用保証協会を紹介して、利息の一部(あるいは全部)を補填してくれる制度を整えているケースがあります。
地方税を活用して利子補填をすることが多いので、納税をきちんとしていることが制度融資利用の条件となりますが、起業を応援している自治体も多いので、制度融資を利用できるかどうかを調べてみることは大切です。
制度融資を利用して起業した会社が将来、事業税などを自治体に納付してくれれば自治体としてもWin-Winになるのです。
④ 公庫(日本政策金融公庫)融資
起業希望者は、日本政策金融公庫の国民生活事業の「新創業融資制度」を利用することが可能です。
日本政策金融公庫には、「新規開業資金」制度もありますが、こちらは融資実行のハードルが高いため、「新創業融資制度」を活用することが一般的です
新創業融資制度は、上限が3,000万円(うち運転資金は1,500万円)、金利が1.11%~2.70%となっています。
ただし、実際の借入金の上限額は事業計画の内容や、自己資金の金額などを加味して決定されることになっています。
⑤ マル経融資
マル経融資は商工会議所の推薦で融資を受けることができる制度で金利水準は低くなっています。
しかし、1年以上の事業実績が必要なので、起業資金は制度融資等を利用して調達して1年経過以降にマル経融資への切り替えを検討することが、現実的と考えられます。
起業家必見の創業融資制度については、「起業するなら読んでほしい!創業支援を目的とした融資まとめ」の記事に詳しくまとめています。
(4)補助金・助成金
経済産業省では「創業促進補助金」を用意しているので、募集のタイミングが合えば(常に用意されている補助金ではない)申し込んでみることをおすすめします。
また、再就職支援のための再就職支援手当てという助成金は起業の場合でも対象になるので、活用を検討してみましょう。
起業資金調達まとめ
このように、起業資金の調達には様々な方法がありますが、調達方法が自社のビジネス展開にとってどのようなメリットやデメリットがあるのかをよく検討してから資金を調達することをおすすめします。
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