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新型コロナウイルス感染症特別貸付とは? 概要と申請方法を解説

新型コロナウイルス感染症特別貸付申請方法解説 融資知恵袋

新型コロナウイルスの感染拡大の影響は日増しに深刻になってきており、国民生活にも大きな負担を強いる状況になっています。とりわけ宿泊業や飲食業を営んでいる中小企業の中には売上が全く見込めない営業自粛を実施しているところもあり、日々の資金繰りにも窮しているのが実状です。 そこで日本政策金融公庫では2020年3月17日から新たな融資である「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を開始しています。本稿では新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要、利用者のメリット、対象となる業種、申請方法、その他の留意点(既に日本政策金融公庫と取引がある場合の取扱)などについて説明します。

1.日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要

(1)日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫とは2008年に設立された財務省所管の政府系金融機関であり、その前身は、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、です。よく間違えられるのですが、政府系金融機関の日本政策投資銀行とは全く別の法人です。

民業を圧迫しないという設立趣旨に基づいて、原則として、前身の各公庫が手掛けていた業務を引き継いでいますが、一部の業務については見直しが行われています。具体的な例としては、国民生活金融公庫が手掛けていた教育資金の貸付については、貸付対象者の範囲を低所得者に配慮しながらも縮小しています。

国民生活金融公庫の業務内容は、国内における金融業務として、国民生活事業(旧国民生活金融公庫、国民一般における資金調達のサポート)、中小企業事業(旧中小企業金融公庫、中小企業における資金調達のサポート、信用保険制度)、農林水産事業(旧農林漁業金融公庫、農林水産事業者の資金調達のサポート)、そして危機に対応した円滑化業務(金融秩序の混乱、大規模災害などによる被害への支援)を実施しています。今回の新型コロナウイルス感染症特別貸付は「危機対応円滑化業務」に位置付けられます。また、中小企業の海外事業をサポートするために海外の金融機関との提携も実施しています。

日本生活金融公庫については、日本政策金融公庫についての記事も参考にしてください。

(2)新型コロナウイルス感染症特別貸付の制度概要

(出典:新型コロナウイルス感染症特別貸付、URLhttps://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_m.html

新型コロナウイルス感染症特別貸付については、国民生活事業としての貸付と中小企業事業としての貸付に大別されます。これは旧組織の事業管轄による違いを反映したものではありますが、融資限度額や金利などの相違点はあるものの、概ね制度設計などに関しての違いはありません。

➀新型コロナウイルス感染症特別貸付の対象者

【国民生活事業】

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、一時的に業況の悪化をきたしている人であり、以下の(a)又は(b)のどちらかに該当しており、中長期的には業況が回復して発展すると予想可能な人

a直近1か月の売上高が前年、あるいは前々年の同期と比べて5%以上減少している人

b)業歴が3ヶ月以上11か月未満の場合には、直近1ヶ月の売上高が次のいずれかと比べて5%以上減少している人

1) 過去3か月(含む、直近の1ヶ月)の平均売上高

2) 令和元年12月の売上高

3) 令和元年10月~12月の平均売上高 

【中小企業事業】

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、以下の(a)または(b)のどちらかに該当する中小事業者

(a)直近1ヵ月の売上高が前年または前々年同期と比べて5%以上減少していること、またはこの水準と同様の状況にあること*

(b)中長期的にみて、業況が回復して、かつ発展することが予想できること

*業歴が3ヶ月以上11か月未満の場合は、上記の【国民生活事業】(b)と同様

②資金使途

【国民生活事業】

新型コロナウイルス感染症の影響による社会的な要因などのために必要となる設備資金および運転資金

【中小企業事業】

新型コロナウイルス感染症の影響による社会的な要因などのために必要とまる設備資金および長期運転資金

③融資限度枠

【国民生活事業】

6,000万円(*別枠

【中小企業事業】

3億円(*別枠

*別枠

これまでに日本政策金融公庫から融資を受けていた場合であっても、その融資額とは別枠で設けられた上限金額です。

④貸付金利

【国民生活事業】

3,000万円を上限に、融資後3年目までは*基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率となります。

*基準金利(202041日現在、年利%)

基準

利率

特別

利率A

特別

利率B

特別

利率C

特別

利率D

特別

利率E

特別

利率J

特別

利率P

特別

利率Q

1.36

1.65

0.96

1.25

0.71

1.00

0.46

0.75

0.71

1.00

0.10

0.25

0.31

0.60

1.16

1.35

0.96

1.25

*実質無利子化とは

実質無利子化とは、新型コロナウイルス感染症特別貸付を返済した利子については、日本政策金融公庫以外の実施機関から利子補給を受けることにより、借入人(顧客)が負担する利子が実質的に無利子になる、というものです。

これは「特別利子補給制度」と呼ばれており、詳細は検討中(参照「「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と「特別利子補給制度」の併用による実質的な無利子化融資のご案内」、URLhttps://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/pdf/covid_19_faq_jisshitsumurishika_chusho.pdf)ですが、利用可能な人を以下のように定める予定です。

新型コロナウイルス感染症特別貸付を受けている人で以下のどちらかの要件に該当する人

*小規模事業者

中小企業者

個人

要件なし

売上高が20%以上の減少

法人

売上高が15%以上の減少

売上高が20%以上の減少

*小規模事業者とは、卸・小売業やサービス業においては「常時使用する従業員が5名以下の企業」、それ以外の業種は「同 20 名以下の企業」のこと。

【中小企業事業】

1億円を上限として、融資後3年目までは*基準利率-0.9(2)4年目以降は基準利率となります。

*基準金利(202041日実施、利率:%)

貸付期間

主な貸付利率

基準利率

特別利率

特別利率②

特別利率③

5年以内

1.11

0.71

0.46

0.30

5年超6年以内

1.11

0.71

0.46

0.30

6年超7年以内

1.11

0.71

0.46

0.30

7年超8年以内

1.11

0.71

0.46

0.30

7年超8年以内

1.11

0.71

0.46

0.30

8年超9年以内

1.11

0.71

0.46

0.30

9年超10年以内

1.12

0.72

0.47

0.30

10年超11年以内

1.13

0.73

0.48

0.30

11年超12年以内

1.15

0.75

0.50

0.30

12年超13年以内

1.17

0.77

0.52

0.30

13年超14年以内

1.19

0.79

0.54

0.30

14年超15年以内

1.30

0.90

0.65

0.40

15年超16年以内

1.30

0.90

0.65

0.40

16年超17年以内

1.30

0.90

0.65

0.40

17年超18年以内

1.30

0.90

0.65

0.40

18年超19年以内

1.30

0.90

0.65

0.40

19年超20年以内

1.30

0.90

0.65

0.40

*実質無利子化については、上記の【国民生活事業】における*実質無利子化と同様の対策が実施される予定です。

⑤返済期間

【国民生活事業】

設備資金の場合、返済期間は20年以内(その内、据置期間は5年以内)です。また、運転資金の場合、返済期間は15年以内(その内、据置期間5年以内)となっています。

【中小企業事業】

国民生活事業と同じく、設備資金の場合、返済期間は20年以内(その内、据置期間は5年以内)です。また、運転資金の場合、返済期間は15年以内(その内、据置期間5年以内)となっています。

⑥担保

【国民生活事業】

無担保、となっています。

【中小企業事業】

無担保となっていますが、「5年経過ごと金利見直し制度」を選択することが可能です。

5年経過ごと金利見直し制度

5年経過ごと金利見直し制度とは、当初の融資期間が5年超の貸付金について、最終期限まで契約時に定められた固定金利をずっと適用する方法か、契約時点から5年経過する毎に金利を見直す方法か、どちらかを借入人(顧客)が選択することができる制度のことです。

 

2.新型コロナウイルス感染症特別貸付のメリット

これまで説明してきたように、新型コロナウイルス感染症特別貸付には、小規模事業者向けに国民生活事業として融資を受けられるケースと、中小企業者向けに、中小企業事業として融資を受けられるケースに大別されています。この新型コロナウイルス感染症特別貸付には、従来の日本政策金融公庫などによる融資と比較してどのようなメリットがあるのでしょうか。

現時点(2020416日)においても新型コロナの感染は収まっておらず、多くの事業者が閉店や営業自粛を余儀なくされている、深刻な状況となっています。迅速に必要な資金が多くの事業者の手元に渡ることが必要不可欠な状態であることに鑑みて、この新型コロナウイルス感染症特別貸付の特徴が本当に利用者のメリットになっているのか、といった視点も併せて解説します。

(1)無担保

新型コロナウイルス感染症特別貸付においては担保の提供を求められることはありません。実際に担保提供となると担保物件の査定にかかる時間が必要になりますので、スピーディーな対応が求められている現在においては無担保であることは利用者にとっては大きなメリットであると考えられます。

(2)返済期間が長い

日本政策金融公庫の一般貸付においては、運転資金の返済期間は5年以内(特に必要な場合7年以内で、その内、据置期間は1年以内)、設備資金の返済期間は10年以内(その内、据置期間は2年以内)、特定設備資金の返済期間は20年以内(その内、据置期間は2年以内)、となっています。

しかし、新型コロナウイルス感染症特別貸付においては、運転資金の返済期間は15年以内、設備資金の返済期間は20年以内、とそれぞれ一般貸付よりも長く設定されています。返済期間が長いということは、一般的には単年度(あるいは毎月)当たりの返済負担が軽くなるケースが多いと思われますので、事業者にとっては大きなメリットがあると考えられます。

(3)適用される金利が0.9%下がる

新型コロナウイルス感染症特別貸付では融資額が下記の範囲内の場合は当初3年間の適用金利が基準金利から0.9%の引き下げとなります(参照:上記の「1.日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要(2)新型コロナウイルス感染症特別貸付の制度概要③貸付金利」

小規模事業者で国民生活事業の融資額が3,000万円以下のケース:

当初3年間は適用金利0.46で、それ以後は1.36%(固定金利)となります。

中小企業者で中小企業事業の融資額が1億円以下のケース:

当初3年間の適用金利は0.21で、それ以後は1.11%(固定金利)となります。

一般貸付においては、融資種類などによって適用金利は変わってきますが、新型コロナウイルス感染症特別貸付のように基準金利から金利を下げるようなことはないので、金利面においても有利な取扱いとなっています。

(4)繰り上げ返済ができる

一般的には繰り上げ返済は金融機関からはあまり歓迎されるようなことではありません。借入人は早く融資を返済して利息負担を軽減したいと思うのは当然ですが、金融機関側としては見込んでいた収益(受取利息)がなくなってしまうわけですから、喜んで繰り上げ返済に応じる、ということはないのかもしれません。

一部の民間金融機関では、繰り上げ返済をする場合には違約金(繰り上げ返済違約金、という名称を用いるケースが多いようです)を求められるような場合もあります。これは金融機関側の事情なのですが、金融機関が融資を実行する場合にはその融資金に対応する資金を市場などから調達する必要があります(これを銀行などにおけるALMAsset Liability Managementと呼びます)。

もし期限前返済をされてしまうと調達した資金には利息を支払わなければならないのに、運用側である融資から発生する利息がない=逆鞘、という状態になってしまいます。そこで一部の金融機関では繰り上げ返済に対しては違約金を課すことで逆鞘の解消をしたい、ということになるのです。

しかし、新型コロナウイルス感染症特別貸付にかんしては繰り上げ返済をしても違約金を求められるようなことはありません。新型コロナウイルス感染症特別貸付の目的に鑑みれば、違約金を課さないことは当然かもしれませんが、余裕がある時にペナルティなしで返済することができることはメリットがあると言うことができます。

(5)条件を充足した場合は無利子にすることが可能

これも上記の「1.日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要(2)新型コロナウイルス感染症特別貸付の制度概要③貸付金利」で説明したように、一部の対象者に関しては、「基準利率から0.9%を差し引いた利子の部分」を後ほど戻ってくる「特別利子補給制度」を利用することで当初の3年間が実質的に無利子となる予定となっています。

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」における利用要件である「売上が5%減少している」とは異なり、「小規模事業者の場合は売上高が15%以上減少している」、「中小企業者の場合は売上高が20%以上減少している」、といった場合であれば必要な手続きを実施することで当初3年間の利息部分が戻ってくるという制度になる予定です。まだ詳細な点については決まっていませんが、具体的な手続きや実施機関などについては中小企業庁のホームページなどで公表される予定です。

詳細な点は未定ではありますが、実質的に無利子で活用できる貸付金であれば、事業者にとっては大変助かる貸付制度であることは間違いありません。是非最終的に借り入れをしようと考えている人々にとって有用な制度になることを希望します。

(6)中長期での回復が前提となる

新型コロナウイルス感染症特別貸付を申し込む場合の条件には、「中長期的にみて、業況が回復し、かつ、発展することが見込まれること」という文言が入っています。したがって、貸付を申し込んだ後に、業況回復のためにどのような施策を考えているのか、今後はどういった取り組みを実施するつもりか、といいたことを面談の際にヒアリングされる可能性が高いと考えられます。

将来的な計画もなしに資金を借りることは野放図な資金供給に繋がってしまう可能性があるので、このような将来的な計画を持って資金調達に臨んでいるということを確認することは必要なのでしょう。しかしながら、緊急事態においてクドクドとしつこく将来のプランを確認している余裕はないと言えます。

したがって、この点においては実際の運用の場面において、最低限確認しなければいけないことをあらかじめ用意しておいて、どういったことが面談の際に聞かれるのかを公表しておくような、利用者の利便性に配慮した進め方できるような準備が求められている、と考えられます。

これまで説明してきたように、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」には多くのメリットがあるとされています。実際には、足元の資金繰りに窮している事業者がたくさんいるのが実状です。制度は設計するだけではなくて実際に運用されて多くの人の役に立つことが重要なのです。

 

3.新型コロナウイルス感染症特別貸付の申請手続

新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要やメリットについてこれまで説明してきましたが、実際にはどのように申請手続を行えばよいのでしょうか。申請が殺到しているような状況の中で、時間をかけずに円滑に手続が進められるように事前の確認や準備が重要になると考えられます。

(1)「国民生活事業における新型コロナウイルス感染症特別貸付」の申込の際に提出する書類

<個人営業・個人事業主の場合>

①借入申込書(様式URLhttps://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/mousikomi190701_dl.pdf

・表面と裏面を両面印刷するか、それぞれ両面(2枚)印刷して提出することが必要です。

・インターネットで申し込む場合は、借入申込書の代わりに、「お申込データ受付確認」の受信メール(印刷したもの)を提出してください。

※記入例は以下のURLhttps://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kinyurei190701.pdfを参照してください。

②新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少している申告書(様式URLhttps://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kokumin_sinkokusho_200403.pdf

・記入例は以下のURLhttps://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/covid_19_2_rei_200313a.pdfを参照してください。

③直近2期分の確定申告書(一式分)の写し

・なお、青色申告の場合であれば青色申告決算書を、白色申告の場合であれば収支内訳書を含むことになります。

ただし、初めて「国民生活事業における新型コロナウイルス感染症特別貸付」を利用する人は、以下の④~⑥の書類提出も必要になります。

④商売の概要(自己申告書、様式URLhttps://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kokumin_gaiyou_200403.pdf

※記入例は以下のURLhttps://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/covid_19_3_rei_200319.pdfを参照してください。

⑤運転免許証(両面が必要)、またはパスポートの写し

・なお、パスポートの写しは顔写真のページと現住所などの記載のあるページが必要となります。

⑥飲食店などの許可や届出などが必要な事業を営んでいる場合には、その許認可証の写し

<法人として営業を行っている場合>

借入申込書(様式URLhttps://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/mousikomi190701_dl.pdf

表面と裏面を両面印刷するか、それぞれ両面(2枚)印刷して提出することが必要です。

・インターネットで申し込む場合は、借入申込書の代わりに、「お申込データ受付確認」の受信メール(印刷したもの)を提出してください。

※記入例は以下のURLhttps://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kinyurei190701.pdfを参照してください。

②新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少している申告書(様式URLhttps://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kokumin_sinkokusho_200403.pdf

※記入例は以下のURLhttps://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/covid_19_2_rei_200313a.pdfを参照してください。

③最近2期分の確定申告書・決算書の写し

・なお、上記の書類には勘定科目明細書が含まれます。

ただし、初めて「国民生活事業における新型コロナウイルス感染症特別貸付」を利用する人は、以下の④~⑦の書類提出も必要になります。

④法人の履歴事項全部証明書、あるいはは登記簿謄本(原本が必要です)

・なお、法人の履歴事項全部証明書や登記簿謄本はオンラインや郵送で申請することが可能になっています。

詳しくは、法務省のホームページ

URLhttp://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00003.html)を参照してください。

⑤商売の概要(自己申告書、様式URLhttps://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kokumin_gaiyou_200403.pdf

※記入例は以下のURLhttps://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/covid_19_3_rei_200319.pdfを参照してください。

⑥代表者の運転免許証(両面が必要)、またはパスポートの写し

・なお、パスポートの写しは顔写真のページと現住所などの記載のあるページが必要となります。

⑦飲食店などの許可や届出などが必要な事業を営んでいる場合は、その許認可証の写し

(2)「国民生活事業における新型コロナウイルス感染症特別貸付」における手続の流れ

➀申込

申込に必要となる書類を準備・用意したうえで、最寄りの日本政策金融公庫国民生活事業の本支店に郵送してください。郵送する前に、各書類の記載漏れや書類の入れ忘れなどがないかを再度確認しましょう。

直接最寄りの本支店に提出することも可能ですが、現在は窓口が非常に混雑している可能性が高いので、普段よりも長時間待つ可能性がある点には注意しましょう。

電話で相談することもできます。

インターネットを利用して申し込み手続きを行うことも可能です。インターネット申し込みの場合は、「お申込データ」を受け付けた後に、申込に必要な書類についてメールで案内されるので、後日郵送等で提出する必要があります。

②面談

申込後に日本政策金融公庫の職員と面談を行う必要があります。面談内容は、融資資金の資金使途や事業状況などに関するものになります。また面談の際には、営業の状況などが分かるような書類を準備しておく必要があります(前述した「商売の概要」など)。

③融資の実行

提出書類や面談内容を踏まえて*融資の可否が決定されます。融資の実行が決定されると、借用証書などの契約に必要な書類を郵送することになります。契約手続が完了すると、融資金額が希望した金融機関の口座に送金されることになります。

*融資の可否

審査の結果、申込人の希望に沿えない場合がある点には注意が必要です。

(3)「中小企業事業における新型コロナウイルス感染症特別貸付」の申込の際に提出する書類

➀借入申込書

(様式URLhttps://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kariire_190507.pdf、本様式は国民生活事業に対する申込には利用することができません。前述した様式:https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/mousikomi190701_dl.pdfを利用してください。

②法人の登記事項証明書

現在中小企業事業を利用していない場合であれば、法人の登記事項証明書の原本が必要です。なお、個人事業主の場合は印鑑証明書の提出が必要です。

③代表者個人の印鑑証明書

現在中小企業事業を利用していない場合であれば、代表者個人の印鑑証明書の原本が必要です。

④納税証明書

現在中小企業事業を利用していない場合であれば、納税証明書直近2期分の法人税の税額証明(なお、個人事業主の場合は所得税に係る納税証明書の提出が必要)が必要です。直近に消費税の未納税額がないことの証明する必要もあります。

⑤直近3期分の税務申告書と決算書を含む勘定科目明細書

直近3期分の税務申告書と決算書を含む勘定科目明細書が必要です。なお、個人事業主の場合は直近3期分の申告決算書の提出が必要です。

⑥最近の売上高が把握できる資料

具体的には、試算表、売上帳、あるいは新型コロナウイルス感染症の影響によって売上が減少した申告書などをここでいう「資料」としています。

【上記書類に関する留意点)

・上記の書類などに関しては、一般的に想定される必要書類です。必要に応じて追加資料の提出を依頼する場合があります。

・設備資金を申し込む場合には、見積書の提出が必要となります。

・決算月から6ヵ月以上経過している場合には、試算表などの業況を把握することが可能な資料の提出が必要となります。

・融資の実行を急いでいるにもかかわらず、書類の準備に時間がかかるような場合には申込の際に相談しましょう。

(4)「中小企業事業における新型コロナウイルス感染症特別貸付」における手続の流れ

➀相談

申込に必要となる書類を準備・用意したうえで、最寄りの日本政策金融公庫中小企業事業の本支店に郵送してください。電話で相談することもできます。

②申込

・申込に必要な書類を提出します。なお、郵送での提出も可能となっています。・インターネットを利用して申し込み手続きを行うことも可能です。

・インターネット申し込みの場合は、「お申込データ」を受け付けた後に、申込に必要な書類についてメールで案内されるので、後日郵送等で提出する必要があります。

③面談

申込後に日本政策金融公庫の職員と面談を行う必要があります。面談内容は、融資資金の資金使途や事業状況などに関するものになります。また面談の際には、営業の状況などが分かるような書類を準備しておく必要があります(前述した「商売の概要」など)。なお、面談が難しい場合には代替となる方法するので、日本政策金融公庫に相談してみましょう。

④融資の実行

提出書類や面談内容を踏まえてて融資の可否が決定されます。融資の実行が決定されると、借用証書などの契約に必要な書類を郵送することになります。契約手続が完了すると、融資金額が希望した金融機関の口座に送金されることになります。

 

4.新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用する際の注意点

新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要や申請手続などについて説明してきましたが、新型コロナウイルスの感染が各地で拡大している現状において、新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用する際に留意すべきポイントについて解説します。

(1)窓口がとても混んでいる

新型コロナ感染対策として多くの会社や店舗は休業を余儀なくされていますが、国レベルでは原則として休業補償を実施しないとされていることから、資金繰りに困ってる人々は日々増加している状況であり、新型コロナウイルス感染症特別貸付の利用を申し込もうとしている人は非常に増加しています。

現状では窓口で数時間以上待たされる可能性もあり、日本政策金融公庫において新型コロナウイルス感染症特別貸付を申込に行ったのに新型コロナに感染してしまうという皮肉な結果になってしまうことが生じかねません。

窓口を待っている時間が長ければ長いほど新型コロナ感染のリスクは高まりますので、事前に予約をしたうえで日本政策金融公庫の本・支店に出かけた方が安心だと思われます。

(2)インターネット申込の活用

(1)で説明したように混雑した日本政策金融公庫の本・支店を訪ねること自体が新型コロナの感染リスクに晒されるということになります。そこで、なるべく日本政策金融公庫の本・支店に行くことは避けて、インターネットを利用した申込手続を実施することが賢明だと考えられます。

(3)地方自治体に確認しても無利息の融資は受けることができない

新型コロナウイルス感染症特別貸付融資制度に関しては、各自治体窓口への問い合わせが殺到しているようですが、各自治体においては「基準金利に対して▲0.9%となる金利の優遇」や「実質無利息となる融資制度」も取り扱っているわけではありません新型コロナウイルス感染症特別貸付融資制度を取り扱っているのは日本政策金融公庫*商工中金だけです。

*商工中金(商工組合中央金庫)による対応

今回の新型コロナウイルス感染症による影響の広がりや深刻さを踏まえて、2020310日に政府が公表した第2弾の緊急対応策に盛り込まれたていた商工中金による危機対応業務を実施する、と同年319日に経済産業省は発表しました。

日本政策金融公庫の本支店に加えて、商工中金の全国約100の本支店においても、中小・小規模事業者に対する実質無利子貸付の相談を受け付ける、としています。

(4)売上の減少に関する書類への記入は正確に

新型コロナウイルス感染症特別貸付を申し込む場合には、「売上の減少」を証明する書類が必要です。しかし、この書類について正確に記入していないものを提出する人が相当数にのぼっているようです。前年、あるいは前々年の売上を証明する書類と今年の売上を証明する書類を準備して所定の様式である申告書に転記するだけなので決して作成が難しい書類ではありません。

前年、あるいはは前々年の決算書や確定申告書における月次売上の欄と今年の試算表とを比べるだけなので記入をミスしないように注意してください。また、あとで確認証憑(エビデンス)として売上高を証明する資料提出が必要になる場合もあるので、必ず正しい金額を記載するようにしましょう。

もし提出書類に不備が発見された場合には、日本政策金融公庫などの担当者も事業主も余計な手間や時間がかかってしまうので、あらかじめ必要な書類をきちんと確認したうえで不備が生じないように申し込むように注意しましょう。

 

<まとめ>

新型コロナ感染の拡大に伴う国民生活や事業における影響を少しでも和らげるために新型コロナウイルス感染症特別貸付の制度が設けられていますが、現在はどの窓口も混雑していて、実際の貸付実施までには時間がかかっているのが実態のようです。

少しでも時間や手間をかけないように、提出書類の準備はしっかりと調べたうえでしっかりと確認をしてから提出することが極めて重要です。

雇用を維持しながら事業継続するための助成金活用方法について新型コロナ対応の雇用調整助成金とは? 活用方法を解説しますの記事もご覧ください。