
「毎月の経理処理に追われて、本業に集中できない…」
「請求書や領収書の管理がバラバラで、もう限界…」
「経理業務を効率化したいけど、どこから手をつければいいかわからない」
そんな声に共通するのが、「クラウド会計ソフトを導入したいが、コストが心配…」という悩みです。
人手不足や属人化の課題を抱える中で、経理業務をDX(デジタルトランスフォーメーション)で変えようとする企業が増えてきました。
とくに注目されているのが、補助金を活用した経理DXの推進です。
国の制度をうまく使えば、クラウド会計ソフトの導入や経理業務のデジタル化にかかるコストを大きく抑えられる上、導入支援や申請サポートまで受けられるケースもあり、経理改革が一気に現実的な選択肢になるんです。
この記事では、経理DXの基本から、活用できる補助金の種類、クラウド会計ソフトの選び方、申請の注意点までをわかりやすく解説していきます。
「経理を効率化したい」「補助金をうまく使いたい」という方にとって実践的なヒントが詰まった内容になっています。ぜひ最後までご覧ください。
1.経理DXと補助金の関係とは?
(1)経理DXとは何か?中小企業で進む業務効率化の流れ
「経理DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を聞く機会が増えていますが、実際に何を指すのかピンとこない方もいるかもしれません。
経理DXとは、経理業務におけるアナログ作業をデジタル化し、業務の効率化・可視化・自動化を進める取り組みのことです。
DX前(アナログ) | DX後(デジタル) |
---|---|
手書きやExcelでの記帳 | クラウド会計ソフトによる自動仕訳 |
紙の請求書や領収書 | 電子保存・オンライン発行 |
月末に集中する業務 | 日々の自動処理・分散処理 |
- 属人化をなくし、誰でも経理業務に対応できるように
- 業務負担を軽減し、人手不足対策にもなる
- 経営判断に必要な数字がリアルタイムで把握できる
こうした経理のデジタル化は、単なる「便利なツール導入」ではなく、業務全体の見直しと生産性向上につながる経営戦略の一環なんです。

(2)なぜ今「補助金」が注目されるのか
では、なぜこの経理DXの推進に「補助金」が強く結びついているのでしょうか?
その背景には、中小企業にとって次のような課題があるからなんです。
- 新しいITツールを導入したいが、コスト負担が重い
- 自社に合うツールがわからず、選定・導入に不安がある
- DXを進めたくても、人材や知識が不足している
こうした課題に対して、公的な補助金制度を活用すれば「実現できそう」と感じる企業が増えているんです。
特に近年は、中小企業のDX推進を明確に支援対象として打ち出した制度が増えており、経理部門に特化したツールの導入も対象になっています。

(3)クラウド会計導入に補助金を使うメリットとは
経理DXの第一歩として有効なのが、クラウド会計ソフトの導入です。特に以下のようなツールは、補助金の対象になる可能性が高く、導入による恩恵も大きいです。
これらのツールは、仕訳の自動化、レポートの可視化、請求書・経費の一元管理など、経理業務を効率化する機能が豊富に搭載されています。
また、補助金をうまく活用できれば次のようなメリットも期待できます。
- 初期費用やサブスク費用を大幅に軽減できる
- ITベンダーの導入支援を受けられる
- 補助金申請のサポート付きプランもある
こうした支援を受けられる今こそ、クラウド会計導入の好機ともいえるのです。
2.経理DXに活用できる主要な補助金制度
(1)IT導入補助金:クラウド導入を後押しする国の支援策
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者がITツールを導入する際に活用できる国の補助制度です。とくに、クラウド会計ソフトやインボイス対応ツールの導入に適しており、業務の効率化や法令対応を後押しする支援内容となっています。
なかでも「インボイス枠(インボイス対応類型)」は、経理DXを進める企業にとって実用性の高い制度です。以下の表のとおり、クラウド型会計・請求・決済ソフトなど、日常業務に直結するツールの導入に活用できます。
項目 | 内容(2025年8月時点) |
---|---|
対象者 | 中小企業・小規模事業者(法人・個人) |
補助対象ツール | クラウド会計、請求、受発注、決済、電子帳簿保存、EC構築など |
補助率 | 2/3 または 3/4(ツールの類型により異なる) |
補助上限額 | 最大350万円(ソフトウェア) +最大10万円(PC・タブレット等) |
特徴 | インボイス制度・電子帳簿保存法対応を目的とした導入支援 |
※補助率・上限額はツールの種類や導入構成によって異なります。
詳細は公式サイトにて最新情報をご確認ください。
この補助金はこんな方におすすめ
- クラウド会計ソフトを導入して、経理業務を効率化したい
- インボイス制度や電子帳簿保存法への対応がまだ済んでいない
- 申請支援を受けながら安心して導入を進めたい
▶ IT導入補助金(インボイス対応類型)制度詳細ページはこちら(SMRJ公式)
(2)小規模事業者持続化補助金:販路開拓と同時に経理効率化も可能
小規模事業者持続化補助金は、商工会・商工会議所の支援を受けながら、事業の見直しや販路開拓を行う事業者向けの補助金です。
本来は販促活動や店舗改装、チラシ制作などが中心の制度ですが、経理体制の効率化を販路開拓の一環として位置づけることで、クラウド会計ツールの導入費も補助対象に含めることが可能です。
項目 | 内容 |
---|---|
補助率 | 2/3 |
補助上限額 | 最大50万円〜250万円(申請枠や加算条件により異なる) |
対象経費 | クラウド会計導入、HP制作、販促物、業務効率化に関わる設備など |
申請要件 | 経営計画書の提出と、商工会・商工会議所との事前相談が必要 |

この補助金はこんな方におすすめ
- IT導入補助金の対象にならない施策とあわせて取り組みたい方
- 補助金だけでなく販路開拓支援も受けたい方
- 商工会・商工会議所とのつながりを活かしたい方
注意点としては、経理業務の改善が直接的な目的ではなく、あくまで「販路開拓」の一環として位置づける必要があることです。その点を意識して申請書類を作成すると、採択の可能性が高まります。
(3)その他制度:地方自治体の独自補助金など
国の制度以外にも、都道府県・市区町村などが独自に実施する補助金や助成金があります。
たとえば「IT導入補助金に上乗せ支給」「クラウドサービス限定の導入支援」「インボイス対応ツール導入支援」など、各自治体のニーズに合わせた支援が展開されています。
どこから情報を得ればいいか迷う方もいるかもしれませんが、次のようなルートをチェックしておくと安心です。
- 商工会議所・商工会:補助金の最新情報や
申請書のアドバイスを受けられることがあります。 - 自治体の公式ホームページ:公募が不定期な場合もあるため、
定期的な確認が欠かせません。 - 中小企業支援センター・金融機関・税理士:補助金の活用や
IT導入の相談に対応してくれるケースもあります。

3.クラウド会計ソフトの選び方と比較
(1)クラウド会計ソフトを選ぶときのポイント
経理DXを進めるうえで、クラウド会計ソフトの選定はとても重要です。導入後の業務効率やサポート体制に大きく影響するため、選定時には以下のポイントを意識しておきましょう。
- 自動仕訳・連携機能:銀行口座・クレジットカード・レジ・POSなどと連携し、
取引データを自動で取り込めるか。 - 電子帳簿保存法・インボイス制度への対応:証憑の電子保存や、
インボイス対応の請求書発行が可能か。 - 操作性・導入のしやすさ:UIがわかりやすく、
初めての担当者でも直感的に使えるか。 - サポート内容:チャット・メール・電話など、
困ったときにすぐ相談できる体制があるか。 - 補助金対応状況:IT導入補助金の対象ツールかどうか、
申請・導入までの流れが明確になっているか。
どの会計ソフトも一長一短がありますが、重要なのは自社の業務フローや課題にフィットしているかどうかです。自社にとって必要な機能はなんなのか?を念頭に置いて選びましょう。

(2)主要ソフトの比較【2025年最新】
以下は、2025年時点で経理DXの推進と補助金活用を考える際に有力な3つのクラウド会計ソフトを比較したものです。
※情報は各社の公式サイトおよびIT導入補助金ポータルに基づいています。
ソフト名 | 自動仕訳・処理の特徴 | 電子帳簿保存・インボイス対応 | サポート体制 | 補助金対応実績(※) |
---|---|---|---|---|
マネーフォワードクラウド会計 |
銀行・カード・POSなどと連携し自動仕訳。経費・請求管理も一体化 | 完全対応(電子保存・検索・証憑管理) | チャット・メール・導入支援あり | 公式でIT導入補助金対応を明示 |
弥生会計 Next |
銀行・カード・請求書・経費などの連携に対応し、自動仕訳・証憑管理を効率化。複数拠点利用も可能 | 完全対応(常に最新版に自動更新) | 電話・チャット・メール・画面共有対応 | △ 一部のIT導入支援事業者経由で対応可能(弥生公式では未掲載) |
freee会計 | 銀行・カード・レジ・請求書などと連携し自動仕訳。 経費精算も一元管理 |
完全対応(証憑の電子保存・インボイス発行) | チャット・メール・導入ガイドあり | 公式にIT導入補助金対応を明記 |
※補助金対応について:
弥生会計 Next は、弥生公式サイト上では補助金対応ソフトとしては掲載されていませんが、
一部のIT導入支援事業者によって補助金対象として登録されています。
そのため、補助金を活用した導入を希望する場合は、対象の支援事業者や登録状況を事前に確認することが必要です。

一方で、補助金なしでも業務改善を進めたい方には、弥生会計 Next
4.補助金を活用した導入の流れと注意点
(1)申請から導入までの基本ステップ
補助金を活用してクラウド会計ソフトを導入するには、以下のようなステップを踏むのが一般的です。
- IT導入支援事業者の選定(ソフト提供元 or 提携先)
- 導入ツールの決定・ヒアリング
- gBizIDプライムの取得
- 交付申請書類の準備(事業計画書など)
- 交付申請(締切日に注意)
- 審査・採択
- 採択後の契約・ツール導入
- 事業実施報告・完了報告(証憑の提出など)
- 補助金の請求・受取
最も重要なのは、「補助金の採択が確定してから契約・導入すること」です。
事前にソフトを契約したり、料金を支払ったりしてしまうと、補助対象外になってしまうため注意が必要です。
(2)よくあるつまずきポイントと対策
補助金の申請は一見シンプルに見えて、実際には細かいルールや注意点が多くあります。
特に次のような点には注意が必要です。
- gBizIDプライムの取得に時間がかかる:
発行に1週間以上かかることがあるため、早めの申請が必須 - 申請書類の内容が曖昧:
事業の目的や効果が抽象的だと不採択のリスクが上がる - 実績報告が手間:
証憑の保存や成果報告ができないと、補助金がもらえない可能性も

支援事業者と二人三脚で進めることが、成功のポイントですよ。
5.まとめ 補助金を活用して経理DXを一歩前へ
経理業務の効率化や正確性の向上を目指す「経理DX」は、今や中小企業にとっても避けて通れない課題です。
しかし、導入のハードルを感じている企業が多いのも事実です。
そんな中でIT導入補助金や小規模事業者持続化補助金などの制度を活用することで、費用負担を抑えつつDXの実現が可能になります。
クラウド会計ソフトの導入は、DXの第一歩として非常に有効です。
とくに、マネーフォワードクラウド会計や弥生会計 Next
のようなサービスは、それぞれに特徴があり、企業の規模や目的に応じた柔軟な選択が可能です。
また、補助金を活用する際には、申請の流れや採択後の手続きについてしっかり理解しておくことが成功のカギになります。
- 補助金申請には早めの準備が不可欠
- IT導入支援事業者の選定も重要なポイント
- クラウド会計ソフトは“今の業務課題”に合ったものを

まずはできるところから、動き出してみてくださいね。
