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貸付金の全知識!会計処理の具体的手法をケース別にレクチャー

貸付金の会計処理の具体的処理をイメージする画像 起業家の基礎知識

貸付金とはどのような勘定科目なのでしょうか。貸付金の種類とその特徴について説明して、貸付金に関する会計処理について解説します。そのうえで貸付金に関する留意点に関しても詳しく解説します。

 

1.貸付金とは

貸付金とは、返済期限を決めて貸したお金のことを言います。いつかは手元に戻ってくるお金(財産)なので、貸借対照表では資産の部に含まれる勘定科目になります。一般的には貸付金には利息が発生しますので、会社にとっては利益を生む資産と言えます。

しかし、製造業などの場合は、本来は「ものづくり」に関連した利益を上げることが本業ですが、取引先の支援などの理由で貸付をせざるを得ない状況も考えられます。この場合に生じた利益は本業以外からの利益ということで、会計的には営業外利益として計上されることが通常です。

貸付金は、その貸付期間に応じて(1)短期貸付金と(2)長期貸付金の2種類に分けられます。

(1)短期貸付金

短期貸付金とは返済までの期間が1年未満の貸付金を言います。短期貸付金は貸借対照表においては流動資産に計上されて、現金化しやすい資産に位置付けられています。下記で説明する長期貸付金の返済までの期間が、時間の経過とともに決算日(3月末日など)1年を下回った場合には、長期貸付金から短期貸付金に勘定科目が変わることになります。

つまり、貸付金の契約期間ではなく、決算日から1年未満に返済される貸付金を短期貸付金と言うのです。

(2)長期貸付金

返済までの期間が1年超の貸付金を長期貸付金と言います。長期貸付金は貸借対照表においては固定資産に計上される勘定科目となります。前述したように、貸付金は製造業や小売業では本業ではないので、長期貸付金から生じた利息も営業外利益として認識されることが一般的です。

また、短期貸付金も含めてですが、貸付金は金銭債権となりますので、引当金の対象となります。特に長期貸付金において返済が難しいような貸付先があるような場合には、何年も引当金の計上をしなければならない場合が考えられます。

引当金とは、返済されない危険性(リスク)を前もって定量的に見積り計上するもので、貸借対照表上では評価勘定として資産から控除されます。つまり、引当金の分だけ貸付金が存在しないもの(資産性がないもの)とみなされてしまうのです。

 

2.貸付金の管理

貸付金は、本業でないために、場合によっては管理が甘くなってしまう可能性があります。金融機関であれば、返済日や利息の計算などはシステム上でしっかりと管理されているのが当たり前ですが、一般企業の場合はエクセルなどを用いてマニュアル的な管理をしている会社が多いのではないでしょうか。

貸付金の期日管理や利息計算などは、会社の経理部門などが一元的にしっかりと管理をするように業務フローを定めておくことが必要です。また、債権保全という点も貸付金の管理では重要です。

貸し付けた相手先の信用状況の変化には常に注意を払っておくことが大切です。前述したように、貸付金は何らかの取引関係がある相手先にお金を貸す場合も多いので、日頃営業マンが相手先の会社に出入りすることも多いでしょうし、信用状況の変化には気付きやすいかもしれません。

もしも営業マンが取引先のちょっとした変化(支払サイトを延長して欲しいと依頼された、社長の金遣いが荒くなってきたという相手先社員からの話を聞いた、など)については、営業部門だけでなく経理部門などとも情報を共有する体制を構築しておくことも大切です。

また、他の取引先などからも貸付先の良くない噂を耳にした場合には、金融機関や信用情報機関(帝国データバンクや東京商工リサーチなど)により詳しい情報提供を依頼して噂の真実性を確認するという方法もあります。

本業で行っている貸付ではないからこそ、相手先の状況に日常的に留意しながら、自社の債権保全を図る、という意識が重要です。

 

3.貸付金に関する会計処理

それでは貸付金に関する会計処理を確認してみましょう。

(1)貸付金を実施した(お金を貸した)場合の会計処理

A社に300万円貸し付けた場合には、借方に「貸付金」勘定を用います。具体的な仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
貸付金 3,000,000 現金 3,000,000

(2)貸付金が返済された(貸したお金が返ってきた)場合の会計処理

返済の際には資産が減少するので貸方に「貸付金」を計上し、以下のような仕訳処理を行います。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
現金 3,000,000 貸付金 3,000,000

(3)利息を受け取った(受取利息)場合の会計処理

A社に対して期間6ヶ月間、貸付金300万円の貸付を実行して、6ヵ月後に元金と利息10万円の返済があった場合は、以下のような仕訳処理を行います。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
現金 3,100,000 貸付金 3,000,000
受取利息 100,000

(4)貸倒引当金の計上と貸倒が発生した場合の会計処理

あまり考えたくはないことですが、貸付先の信用状況が悪化してしまい貸倒引当金を計上しなければならなくなった場合と、実際に貸倒損失が発生した場合、の仕訳は以下のようになります。

①貸付金300万円のうち100万円が貸し倒れる可能性がある場合の貸倒引当金の計上(仕訳)

借方 貸方 適用
勘定科目 金額 勘定科目 金額  
貸倒引当金繰入額 1,000,000 貸倒引当金 1,000,000 当期末引当計上

②貸倒引当金を取り崩す場合の会計処理

貸倒引当金の取崩とは、貸倒引当金の設定金額が実際の期末の残高が大きい場合に期末残高を取り崩すことを言い、仕訳は以下のようになります。

借方 貸方 適用
勘定科目 金額 勘定科目 金額  
貸倒引当金 1,000,000 貸倒引当金繰入額 1,000,000 前期分取崩

③貸付金300万円のうち100万円は貸倒引当金を計上していたが、200万円の返済が不能になった場合の会計処理

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
貸倒損失 2,000,000 貸付金 3,000,000
貸倒引当金 1,000,000    

貸倒引当金で充足できなかった分(損失)は「貸倒損失」という勘定科目に計上します。

 

4.貸付金に関する留意点

社会保険の解説イメージ画像

上記で説明したように、本業で利益を出すことが製造業や小売業の本来の目的です。銀行などの取引金融機関からすると、融資したお金を又貸しするような形で利益を得ることはけして望ましいこととは考えません。

貸金業の免許を持っていて貸付が本業の場合であれば別ですが、銀行は製造、販売といった本業で儲けて欲しいので資金を提供しているのです。したがって、貸付金が多額となっている会社や営業外利益(受取利息)が営業利益を常に上回っているような会社に対しては融資の実行が難しくなる可能性があります。

中小企業の経営においては「お互い様」という面も正直ありますので、日頃の付き合いの中で、どうしても金銭の貸し借りということが生じてしまうような場合もあるでしょう。しかし、貸付金は会社の資産を社外に流出させることになります。

会社の資産を使う以上は、しっかりとした債権管理を行わなければなりません。特に期日管理の重要性は経理部門に対して徹底させる必要があります。また、どうしてもお金を必要としている、信用状況に不安のある会社に対して資金を融通しなければならないような場合には、会社の資金ではなく、社長個人の財産で貸付を行うべきでしょう。

そもそもそのような状態の会社にお金を貸すこと自体反対ですが、どうしても断れないと社長が判断されるのであれば、少なくとも会社の財産とは全く関係のない貸付取引にしておくことが自分の会社を守ることになります。

 

まとめ

貸付金については、仲間内で気軽に貸し借りしているような場合もあるようですが、金額の多寡、返済の確実性、会社資産の恣意的な利用、など考えるべきポイントがたくさんさる取引です。

会社の貴重な財産を利用するのであれば、期日管理をはじめとした貸付金の管理を実行することが非常に重要なのです。