定時株主総会の手続ってどうするの? 詳細解説します

定時株主総会をイメージする画像 起業家の基礎知識

決算日の3カ月以内に開催しなければならないものが定時株式総会です。例年、5〜6月頃に定時株主総会の開催が集中しているのは、3月決算の企業が多いからです。本稿では、定時株主総会の手続きやポイントについて解説します。

 

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1.株主総会とは

株主総会とは、会社の株主が構成員となり、定款の変更や、取締役・監査役の選任、会社の解散や合併、などを決定する機関、のことです。つまり、株主総会は、株式会社における、会社の経営方針や役職を定めて、会社の方向付けを行う、という重要な機能を持っていると言えます。

(1)株主とは

株主とは、株式会社が発行した株式を保有している人々のことです。株式会社に対する出資者、とも言われています。株式会社が出資を受けて株式を発行すると、出資した人は株主となります。株主は、保有した株式を他の人に譲渡することもできます。

その場合は、株式を譲り受けた人が株主になります。したがって、現時点で株式会社にお金を出資している、会社の所有者、のことを株主と言うのです。

株主には、自益権と共益権という2つの権利があります。自益権とは、株式会社から剰余金の配当金などの経済的な利益を受けることができる権利のことです。また、共益権とは、株式会社の重要な意思決定に参加する権利のことを言います。株式総会については、この共益権が特に重要となります。

(2)株主総会での決定事項

株主総会での決定事項には、定款変更や事業譲渡などの会社の経営に関する基本的な事項、役員人事に関する事項、などがあります。所有と経営が制度的に分かれている株式会社においては、株式会社を実質的に所有している株主は、原則として、自分たちでは経営は行わずに、取締役を株主総会で選出して経営をしてもらうことになります。

つまり、一般的には「経営陣」とは、株主総会で選ばれた人々である、ということになります。また、会社の利害に大きな影響を与えるような事項を決めるのも株主総会です。例えば、剰余金配当や役員報酬などの決定が該当します。

剰余金配当に関する事項は株主に直接的な影響を与える事項です。そして、役員報酬を経営陣にお手盛りで勝手に決められてしまうと、想定以上に著しく高額な役員報酬になってしまう可能性があります。したがって、これらの事項も株主総会において決定することになっているのです。

これらの決定方法は、基本的に多数決となりますがで、株主総会での多数決は1人1票ではなく、原則として、1株につき、1議決権が与えられることになります。これは、「1株1議決権の原則」と呼ばれているもので、多くの株式を所有している人ほど影響力が強い、つまり、多くの出資をしている人ほど会社に対して発言力が強い、ということになります。

また、複数の企業の株式を保有しているので、同日同時刻開催の複数の株主総会には参加ができないような場合の議決権行使方法として、代理人出席、書面投票・電子投票制度、なども認容されています。

 

2.定時株主総会の手続きの流れとポイント

(1)定時株主総会の流れ

4つのステップ

①株主総会の招集決定

②招集通知の発送

③株主総会の開催

④議事録の作成

①株主総会の招集決定

招集決定を行う権限は、取締役会設置会社かどうかによって異なります。取締役設置会社の場合は「取締役会の決議」が必要ですが、取締役非設置会社の場合は「取締役の決定」が必要となります。

招集決定においては、定時株主総会の開催日時、開催場所、目的事項、などの、株主総会を開催する際に重要となる事項(「会社法298条1項」に定められた事項)を決定します。また、株主総会に出席しない株主に対しても、書面による議決権行使(書面投票制度)を認めることが可能です。

②招集通知の発送

招集通知とは、定時株主総会を招集するという内容を記載した通知を株主に送ること、を言います。招集通知の期間は、公開会社においては、株主総会が開催される期日の2週間前までに行うことが必要です。

ただし、ベンチャー企業などの場合は、この期間を短縮、あるいは省略してゼロにすること、も可能になっています。実際に、定款で招集通知期間を極めて短期間にしている会社も少なくないようです。

招集通知の方法は、取締役会設置会社の場合には書面に限られていますが、取締役会非設置会社の場合は、メール、口頭など、書面に限られない方法でも問題はありません。ただし、取締役会非設置会社の場合であっても、書面投票制度を採用する場合は書面に限られています。

よって、ベンチャー企業などで機動性を重視しているようなケースでは、取締役会を設置しないで、書面投票制度も利用しないのであれば、口頭で招集通知を行って、株主総会を当日に開催することもできるのです。

さらに簡略化して、招集通知を省略する方法としては、「招集手続の省略」と「全員出席総会」があります。

「招集手続の省略」とは、会社法300条で定められています。会社法300条によると、「株主全員の同意があれば、招集通知発送の期間を短縮、または省略することができる」とされています。したがって、株主全員が同意すれば、招集決定の当日に株主総会を開催することができます。

実際には、「招集手続の省略」は、多数の株主がいる大企業では実行することが困難だとは思われますが、限定された株主数である中小企業やベンチャー企業では、積極的に利用すべき方法だと思われます。

また、「全員出席総会」とは、株主全員が集まった際に、株主全員が株主総会を実施することに同意した場合には招集手続を行わずに株主総会を開催してよい、というものです。「招集手続の省略」と似ていますが、株主全員の参加が必要、という点が異なっています。

「招集手続の省略」の場合には、株主全員が参加していない場合でも、招集手続を省略することに株主全員の同意さえあれば問題はありませんが、「全員出席総会」の場合は、株主全員の参加が必須なので、「全員出席総会」の方が「招集手続の省略」よりもハードルは高いと考えられます。

③株主総会の開催

定時株主総会当日は、原則として、株主が一同に会して会議を行います。ただし、テレビ会議システムやSkypeなどの方法を用いて、遠隔地の株主に参加してもらうこともできます。この場合には、遠隔地の株主はどのような方法を用いて株主総会に参加したか、について、議事録に記載しておく必要があります。

④議事録の作成

「定時株主総会」が終了したら、議事録を作成します。一般的には、代表取締役が会社代表印を議事録に押印しますが、法律上は、押印について決まりがあるわけではありません。

(2)定時株主総会のポイント

①定時株主総会の報告事項と決議事項

「定時株主総会」の主な決議事項は以下の2つです。

・計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)の承認

・事業報告の内容の報告

報告事項と決議事項を実行するための手続きは、取締役会非設置会社よりも、取締役設置会社の方が手続きは煩雑です。取締役会設置会社の場合に、定時株主総会の前にしておかなければならない手続きは、次の通りです。

・計算書類及び事業報告について監査役の監査を受ける

・計算書類及び事業報告について、取締役会の承認を得る

・取締役会の承認を受けた計算書類、事業報告及び監査報告を、招集通知に添付する

これに対して、取締役会非設置会社の場合は、作成した計算書類と事業報告を、直接定時株主総会に提出すればよいので、上記の手続きは不要です。

②計算書類、事業報告の備置き

会社法においては、『計算書類、事業報告と、これらの附属明細書を、「定時株主総会」の日の「1週間前(取締役会設置会社の場合には2週間前)から5年間」、会社の本店に備え置かなければならない』、とされています。

備置き期間は、招集通知の事前通知期間を短縮している会社であっても、短縮することはできません。また、取締役会設置会社の場合は、監査役の監査を、備置きよりも前に受けておかなければいけません。

したがって、計算書類、事業報告に関しては、「定時株主総会」で承認を受ける前に、次のような準備をしておかなければいけません。

・取締役会設置会社の場合は、2週間前までに監査役の監査を受けてから、計算書類、事業報告を本店に備置き、招集通知に添付する

・取締役会非設置会社の場合は、1週間前までに計算書類、事業報告を作成して、本店に備置き、株主総会に提出する

③計算書類の公告

定時株主総会が終了したら、滞りなく、貸借対照表を公告しなければなりません。これを、決算公告、といいます。決算公告」は、全ての株式会社に義務付けられています。もし、違反した場合には、「取締役等に対して100万円以下の過料」、という制裁が設けられています。

 

<まとめ>

定時株主総会は、厳格な手続きが定められている、株式会社にとって重要な機関です。開催に関する詳しいルールなどを十分に理解したうえで、総会の準備を行うことが大切です。