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社会保険の等級についての全知識!保険料はどうやって決まるのか

社会保険

健康保険や厚生年金保険の保険料は「標準月額報酬」の等級によって決まります。標準報酬月額とはどのようなものなのでしょうか。また、保険料が大きく変わる要因にはどのような理由が考えられるのでしょうか。社会保険料の等級について詳しく説明します。

 

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1.社会保険料の等級とは

社会保険とは、病気になったりケガをしたりした場合や失業をした場合、高齢になった場合、などのいざという時の備えとして公的な保険として制定されている制度のことです。具体的には、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災(労働災害補償)保険、があります。

社会保険のうち、健康保険、厚生年金保険、介護保険、については「標準報酬月額」を基に保険料が決められています。また、健康保険と厚生年金保険については、この「標準報酬月額」の金額ごとに等級が定められています。

標準報酬月額とは、毎月の給与の額と一致するものではありません。標準報酬月額とは、毎年4月、5月、6月の3ヶ月の給与の平均額のことを指し、この決め方を「定時決定」と言います。

そしてこの標準報酬月額を基に決まった保険料が、その年の9月から翌年8月まで使用されることになり、1年ごとに見直すこととなっています。それでは多くの中小企業が加入している協会けんぽ(健康保険)の標準月額の等級表を見てみましょう。

参考:協会けんぽHPより「平成31年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/h31/ippan/h31313tokyo.pdf

 

上表の通り、協会けんぽの健康保険の標準報酬月額の等級は1等級から50等級まで細かく区分されており、該当する等級によって健康保険料が異なります。

健康保険の場合は第1等級の標準報酬月額は、0円以上63,000円未満となっており、その保険料率(介護保険第2号被保険者に該当しない場合)は9.90%となり、労使折半で負担すると事業主と従業員の負担保険料はそれぞれ2,871円となります。

また第50等級の標準報酬月額1,390,000円以上の場合は、労使折半で負担すると事業主と従業員の負担保険料はそれぞれ68,805円となります。

同様に厚生年金保険の標準報酬月額についても、上記の協会けんぽHPより「平成31年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/h31/ippan/h31313tokyo.pdfで見てみましょう。

 

厚生年金保険の標準報酬月額の等級は第1等級から31等級までの区分となっています。健康保険料と同様に各区分に応じた厚生年金保険料が定められています。

厚生年金保険の場合は第1等級の標準報酬月額は、0円以上93,000円未満となっており、その保険料率(一般、坑内員・船員の場合)は18.3%となり、労使折半で負担すると事業主と従業員の負担保険料はそれぞれ8,052円となります。

また第31等級の標準報酬月額605,000円以上の場合は、労使折半で負担すると事業主と従業員の負担保険料はそれぞれ56,730円となります。

このように健康保険料と厚生年金保険料に関してはそれぞれ標準報酬月額の等級には上限が設けられています。したがって上限以上の標準報酬月額を得ている人にとっては、一定額以上の保険料を支払うことはないので、その分お得な制度であるということはできるでしょう。

 

2.社会保険の保険料が決まる方法

社会保険料の決定方法は前述した定時決定が基本的ではありますが、一方で随時決定という決定方法もあります。随時決定がなされるのは下表のような3つの条件が満たされた場合です。

<随時決定が実施される3つの条件>

条件

備考

➀昇給または降給等による固定的賃金の変動

固定的賃金とは支給額や支給率が決まっている賃金のことです。例えば、ベースとなっている基本給、日給、時間給、または住宅手当や役付手当などの固定的な手当がこれに該当します。他には日給から月給への変更といった給与体系の変更時も該当します。

②変動があった月からの3ヵ月間に支給された報酬から算出された標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じる場合

左記の報酬には残業手当などの、状況によって変化する非固定的な賃金も含まれることには注意が必要です。

③変動月からの3ヵ月間の支払基礎日数が17日*以上の場合

*なお、特定適用事業所勤務の短時間労働者は11日です。

ただし、上記の条件を満たしていない場合でも随時決定が認められる場合があります。それは、会社の業績が著しく悪化した場合などに従業員を一時的に休ませる一時帰休(レイオフ)のため、継続して3ヵ月を超えて、通常よりも低い休業手当が払われた場合です。

また、一時帰休の状態が消されて、通常の状態まで報酬が戻った場合なども随時改定の対象になり得ます。

固定的賃金の変動月から3ヵ月間の標準報酬月額が2等級以上変更されていない場合でも随時改定の対象となる場合があります。それは、等級の上限や下限についての変更があった場合です。具体的には、昇給時は30等級から31等級になる場合や1等級から2等級になるようなケースです。また、降給により31等級から30等級に、2等級から1等級になる場合も随時決定のケースに該当します。

一方で下記のようなケースは随時決定には該当しません。2等級以上の変更があった場合であっても、➀固定的賃金が増えても非固定的賃金が減ったので変動後の3ヵ月間に報酬平均額が減少して2等級以上の差が出てしまった場合、②固定的賃金が減少しても非固定的賃金が増加して変動後の3ヵ月間の報酬平均額が増えて2等級以上の差が生じた場合、です。

そして病気・ケガや家族の事情などにより長期間会社を休む必要がある場合に休職して休職給を受給するような際は、固定的賃金の変動があるとはみなされませんので随時改定の対象にはなりません。

 

3.社会保険料を抑えるには

社会保険料は社会保険財政の状況を踏まえて、下表のように年々料率の上昇が続いています。

社会保険料率の推移

社会保険の種類

10年前(2009年)

現在(2019年)

健康保険(協会けんぽ)

8.200%

10.0%

厚生年金保険

15.704%

18.3%

いくらいざという場合の備えとは言え、このように負担感が増えている社会保険料の支払いを少しでも抑える方法はないのでしょうか。

前述したように、健康保険や厚生年金保険は標準報酬月額に料率を掛けることで保険料が算出される仕組みになっていますので、標準報酬月額を抑制することができれば支払保険料も抑制できるでしょう。

標準報酬月額は毎年4月から6月の給与の平均額で決まりますが、その中には残業手当も含まれています。つまり、4月から6月の間はなるべく残業をしないようにして標準報酬月額を減らすようにすることが重要です。

たまたま4月から6月にかけて残業が増えてしまったような場合には、反対に支払う社会保険料が増えてしまい、手取りの給与が減少する、ということも十分に考えられるのです。

しかし、社会保険料を多く支払った場合には将来的に給付される老後の年金に加えて、健康保険から給付される傷病手当金・出産手当金や雇用保険から給付される育児休業給付金などが増加するというメリットもあります。

そして何よりも残業しただけ残業代が加算されて手取りの給与が増えることも考えられるのです。したがって、残業をしない方が手取り給与が増える、一概とは言えない点にも注意が必要です。

 

まとめ

社会保険のうち、健康保険や厚生年金保険は標準報酬月額の等級によって支払う保険料が変わってきます。社会保険の制度を、いざという時や将来の役に立つことを念頭に置いて、上手に活用することが保険料を支払っている私たちの責務なのかもしれません。