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社会保険料の計算方法はどんな仕組み?保険料削減のポイントとは

社会保険の計算方法と削減ポイントを解説する画像 社会保険

社会保険は全国民に加入が義務付けられていますが、広義では、公的医療保険、年金保険、労働保険、のことを言います。また、狭義では、健康保険と厚生年金保険、のことを指す場合があります。社会保険料の計算方法から保険料を少しでも節約できる方法はないのか検討してみることにします。

 

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1.社会保険の種類と保険料の計算方法

社会保険(広義)の種類とそれぞれの保険料の計算は下表の通りです。

 

社会保険の種類

説明

計算方法

(1)健康保険料

従業員が病気や事故(通勤時や仕事中を除く)により、病院などを受診する際の医療費の一部を負担する保険です。

健康保険料の計算方法は、

「健康保険料=標準報酬月額*×健康保険料率×0.5」です。

健康保険料は従業員と会社の負担割合が折半となっています。

健康保険の料率は、会社が所属する運営先によって異なります。

具体的には、健康保険組合(組合健保)と全国健康保険協会(協会けんぽ)では料率が異なります。

また、協会けんぽの場合は、都道府県によっても保険料率が異なっています。

(2)厚生年金保険

老後の年金を受給するための保険です。

厚生年金保険料の計算方法は、

「厚生年金保険料=標準報酬月額*×厚生年金保険料率×0.5」です。

厚生年金保険料も健康保険と同様に労使折半での負担となります。

厚生年金保険料率は、2017年までは毎年0.354%ずつ引き上げられていましたが、現在(2019年8月時点)では一律18.30%に固定されています。

(3)介護保険料

従業員が怪我や病気で介護が必要になった場合に補償を行う保険です。

介護保険料の計算方法は、

「介護保険料=標準報酬月額*×介護保険料率×0.5」です。

介護保険料も労使で折半されており、40歳?64歳の従業員(第2号被保険者)については健康保険料と合算して徴収されることになります。

また、協会けんぽの場合は、介護保険料率は毎年変動していますが、全国で一律となっており、健康保険料のように都道府県別の差異はありません。

(4)雇用保険料

従業員が退職した場合の、生活や再就職の支援を行うための保険です。

雇用保険料の計算方法は、

「雇用保険料=毎月の給与×雇用保険料率」です。

雇用保険料は労使折半の負担ではなく、業種によって従業員と会社の負担割合が違っています。

また、雇用保険料の計算の場合は、標準報酬月額ではなく、毎月の給与総額を利用します。

そして、雇用保険の料率そのものも、事業の種類(一般、農林水産・清酒製造、建設)や年度により異なっています。

(ハローワークHPより「平成31年度の雇用保険料率について」https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/content/contents/000403878.pdf

(5)労災保険料

従業員が通勤中や仕事中に怪我などを負った場合に、その補償をする保険です。

労災保険料の計算方法は、

「労災保険料=年度内の給与総額労災保険料は従業員には負担の義務はないので、全額が会社の負担となります。

また、労災保険料は、年度内に支払われた給与総額をベースに算出されます。

原則として、労災保険料率は3年毎に見直されることになっており、雇用保険の料率と同様に、事業の種類によって料率が異なります。

(厚生労働省HPより「労災保険率」

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000489156.pdf

 

*標準報酬月額とは、原則として年1回、4月~6月の3か月分の給与の平均額から算出されるものです。給与の金額には、通勤手当なども含まれている総支給額が用いられているので、諸々の控除を差し引いた後の、いわゆる手取り額とは異なっています。

 

3カ月間の支給額の総合計を3で割って、その金額を「標準報酬月額表」という、給与金額別に等級で分類したテーブルに照らし合わせて保険金額を決めています。健康保険と厚生年金保険では、上限・下限の金額や等級は異なってはいますが、重なっている部分では同じ標準報酬月額となります。

 

(参考:協会けんぽHPより「平成31年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/h31/ippan4gatsu_2/h31040213tokyo.pdf

 

2.社会保険料の削減方法

社会保険料の削減は、上表の計算式からもわかりますが、「標準報酬月額を減らすこと」がひとつの方法として考えられます。また、社会保険料の対象者を減らすことも一案ではあります。しかしながら、従業員が上記の案を素直に受け入れてくれるかどうかは、また別の話です。

 

具体的に社会保険料の削減をする方法について説明します。

 

削減方法

説明

即効性

退職金を賞与の一部として支給

賞与の一部を退職金として支給すると、退職金については退職控除が利用できるので、賞与にかかる社会保険料を削減することが可能です。

退職時期が近い従業員であればさほど大きな問題はないかもしれませんが、若い人にとっては支給時期がかなり先になるので、何らかの対策が必要になる可能性はあります。

期中に実行可

賞与の回数を変更して、月額給与として計上

賞与に対する社会保険料は標準月額報酬とは別の方法で算出されます(計算式:標準賞与額(賞与額)✕保険料率)。

一般的には、賞与は年2回の企業が多いですが、例えば、これを年4回の支給にすると、社会保険料の計算上では月額給与として計算されるので標準月額が上昇します。

この場合、厚生年金保険料は標準報酬月額が62万円で上限になり、上限の62万円を超えた部分は厚生年金保険料の負担がなくなります(節約できます)。

期中に実行可

非正規労働者(パート社員)などの活用

正社員の労働時間の3/4未満の短時間労働者は社会保険加入の適用外となります。

イメージとしては、週5日から週3日の勤務、または1日8時間から6時間未満の勤務、への契約変更、により社会保険加入の適用外となります。

期中に実行可

有期雇用期間での採用

2カ月以内の有期雇用契約での採用をする場合には社会保険への加入義務はありません。

したがって、2ヶ月分の社会保険料の削減が可能です。

しかし、正社員への転換がほぼ決まっているような場合には、社会保険への加入が必要になる可能性もあります。

期中に実行可

月末前日に退職日を設定

当月末に在籍していない従業員は社会保険への加入義務はありません。

したがって、退職日を月末前日にすることで社側の社会保険料負担は必要がありません。

ただし、従業員側は当月の保険料が未納の状態になるので、従業員に対して、丁寧に説明する必要があるでしょう。

期中に実行可

業務請負契約への変更

正社員として働いている従業員を業務請負契約に変更します。

雇用契約を結んだ場合には社会保険料負担、時間外手当、有給休暇、などが必要となりますが、業務請負契約であれば社会保険の加入や時間外手当の支給などは不必要です。

期中に実行可

4~6月(あるいは、3~5月)の残業代を削減

標準報酬月額を抑制して、等級が上がらないようにするために、標準報酬算定期間における残業代を圧縮します。

翌期に効果有

昇給月の見直し

昇給の時期を7月などの標準報酬月額を決定した後にすることにより、標準報酬月額の上昇を1年間遅らせることが可能です。

ただし、昇給月を変更する場合には就業規則の変更が必要になる場合があることには注意しましょう。

翌期に効果有

通勤費支給方法の検討

通勤手当は1カ月の定期運賃代ではなく6カ月の定期運賃代での支給する方が割安です。

結果として、通勤費支給額を削減することで標準報酬を抑制することが可能です。

翌期に効果有

借り上げ社宅制度の導入

住宅手当を支払うと標準報酬月額が増加してしまうので、会社で社宅を契約することで住宅手当を削減して、標準報酬を抑えることが可能になります。

この場合は、家賃の全額を会社で負担するのではなく、従業員にも家賃の一部を負担してもらう必要があります。

なせならば、家賃負担がない場合には、家賃相当額を所得とみなされてしまう可能性があるからです。

翌期に効果有

 

まとめ

社会保険料の負担は年々重くなってきており、少しでも社会保険料の支払を削減することは会社にとっても従業員にとっても重要です。各種社会保険の制度内容な計算式などから、保険料削減の方法を説明してきましたが、社会保険料を支払うこと自体は社会インフラを正常に機能させると言う点で極めて重要です。

 

社会保険料の支払逃れについては看過する事はできませんが、制度内容を十分に踏まえたうえで、保険料の支払を安く抑える方法を採用することは、会社・従業員の双方にとってメリットがあることだと考えられます。