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基礎年金番号の知識まとめ!仕組みがわかればメリットも見える

基礎年金番号の知識習得をイメージする画像 社会保険

国民皆保険制度の一環として、わが国の国民(20歳~60歳)は年金保険に加入して年金保険料を支払う義務があります。その年金制度において基礎年金番号とはどのようなもので、どのように利用されているのでしょうか。本稿では基礎年金番号について詳しく解説します。

 

1.基礎年金番号とは

年金定期便お知らせの画像

平成9年1月までは、国民年金、厚生年金、共済組合、などの各年金制度において、それぞれ独自の加入者番号が付されていましたが、平成9年1月以降全ての年金制度に共通な基礎年金番号が実施されるようになりました。

従来の仕組みと現在の基礎年金番号の仕組みは以下のようになっています。

 

<平成9年1月までの仕組み>

 

 

 

厚生年金保険 共済組合
国民年金

(基礎年金)

国民年金

(基礎年金)

国民年金

(基礎年金)

国民年金の年金手帳記号番号で管理

 

記号   一連番号

○○○-○○○○○

(10桁)

厚生年金保険の年金手帳記号番号で管理

 

記号   一連番号

○○○-○○○○○

(10桁)

共済組合ごとの番号で管理

 

○○○○○

(7桁~12桁)

 

<平成9年1月以降の仕組み>

 

 

 

厚生年金保険 共済組合

国民年金

(基礎年金)

基礎年金番号(国民年金と同様の体系)

記号   一連番号

○○○-○○○○○

(10桁)

 

2.基礎年金番号のメリット

従来は転職などで加入する年金保険制度が変わる度に加入番号が変わっていましたが、基礎年金番号が導入されたことにより制度が変わっても加入者番号が変更になることはなくなりました。それでは基礎年金番号のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

(1)届出忘れによる未加入者発生の防止

・転職などの際には、市町村に対して、国民年金の第1号被保険者あるいは第3号被保険者は届出が必要なのですが、うっかり失念してしまうケースもあるかもしれません。しかし、基礎年金番号が与えられた人には、市町村から届出が必要である旨の連絡がありますので、忘れて放置してしまうことはないでしょう。

・自営業(第1号被保険者)の人がサラリーマン(第2号被保険者)となった場合にも届出が必要ですが、このような場合にも本人に対して確認の連絡が行われます。

(2)年金サービスの向上

・年金保険制度への加入記録を各制度を通じて管理することが可能なので、複数の年金を受給できる権利がある場合に、調整がなされていない場合に発生する年金の払い過ぎや、それと同時に発生する返納金の発生、といった問題を防ぐことができます。

年金保険制度への加入記録や将来的な受取年金見込額などを通知する行政サービスが行えるようになります。 また、加入者に対する年金相談や年金に対する裁定が従来に比べてより迅速かつ確実に実施できるようになります。

 

3.基礎年金番号の仕組み

基礎年金番号の体系は、以下のように10桁の数字で、4桁の記号と6桁の番号からなっています。

 

 (記号)   (番号)

 ○○○○−△△△△△△

    (基礎年金番号)

 

既に年金を受給している人の場合は、上記の10桁の基礎年金番号のうしろに4桁の年金コードが付されています。

 

 (記号)    (番号)

 ○○○○−△△△△△△ 年金コード××××

    (基礎年金番号)

 

平成8年12月以前から国民年金や厚生年金保険に加入していた人の場合は、加入していた制度の年金手帳の記号番号がそのまま基礎年金番号になりました。また、共済組合に加入していた人は、新たに基礎年金番号が付されることになりました。

平成8年12月以前から国民年金や厚生年金保険の年金を受給していた人は、最後に加入していた年金制度の年金手帳の記号番号がそのまま基礎年金番号となっています。共済年金のみを受給していた人は、新たに基礎年金番号が付されることになりました。

また、平成9年1月以降に初めて年金制度に加入するような人(20歳となり国民年金に加入した場合や就職して厚生年金保険や共済組合に加入した場合など)は、加入した時点で基礎年金番号が付されることになります。

 

4.基礎年金番号の確認

基礎年金番号は、以下の書類で確認することができます。なお、個人情報保護の目的のため、メールや電話で回答することは行っていません。

①青色の年金手帳(参照:https://www.nenkin.go.jp/faq/n_net/goriyou/moshikomi/20150519.html、青色以外の年金手帳を持っている人は以下の書類で確認してください。)

②基礎年金番号通知書(参照:https://www.nenkin.go.jp/faq/n_net/goriyou/moshikomi/20150519.html

③国民年金保険料の口座振替額通知書

④国民年金保険料の納付書、領収書

⑤年金証書

⑥各種通知書等(年金額改定通知書、年金振込通知書、など)

上記の書類で確認できない場合は、サラリーマンやOLの人であれば、勤務先の総務関係の部署に確認してみてください。

 

5.基礎番号を利用した事務手続き

基礎年金番号の実施により、年金関係の各種届出には、これまでの年金手帳の記号番号や年金証書の記号番号に代わって、基礎年金番号の記載が必要となります。特に、20歳以上の人は、基礎年金番号を保有していることが前提になっているので、届出の際には、基礎年金番号の確認をしっかりと行うようにしましょう。

(1)国民年金の手続き(市町村)

①資格取得届などに基礎年金番号が記載されている場合は、手続きはこれまでと同様です。

②基礎年金番号欄にそれ以外の番号があるような場合は、その記号番号を資格取得届の備考欄に記載するようにします。

③20歳到達による国民年金の適用の際には、第2号被保険者の情報を活用することが可能となるので、より迅速かつ確実に適用対象者を把握することが可能です。

④国民年金の第1号被保険者(学生や自営業など)の人が国民年金第2号被保険者(サラリーマンやOLなど)になった場合は、本人が届出を忘れていたとしても、自動的に手続処理が行われますので、その旨本人に連絡が行われます。

(2)厚生年金保険の手続き(事業主等)

①基本的な事務処理の流れには変更がありません(厚生年金の年金手帳記号番号で管理していた時と同様の手続き)。特に、20歳以上の従業員の加入手続きの場合には、基礎年金番号(あるいは年金手帳の記号番号)の有無についてはしっかりと確認しましょう。

②被保険者の住所の届出についても届出漏れがないように注意しましょう。

(3)被保険者・年金受給者の手続き

①年金関係の手続きには基礎年金番号(年金を受けている方は年金コード(4桁)も必要)を利用して行います。

②国民年金の加入などの届出を失念している場合には、その手続きについて連絡します。

③複数の年金を受給している人で、国民年金、厚生年金保険および船員保険における同じ内容の届出を行う場合には、1つの届出で手続きをすることができます。例えば、現況届(一部を除く)、氏名変更届、住所変更届、死亡届、などです。

 

6.基礎年金番号とマイナンバー

基礎年金番号とは、前述したように、年金加入記録を管理するために利用される、原則1人につき1つの番号が付与されているものです。一方、マイナンバーとは、日本に住民票を有する全ての人(含む外国人)が保有する12桁の番号のことです。

マイナンバーは、社会保障、税、災害対策、の3つの分野で、複数の機関や組織に在籍している個人情報が同一人の情報であることを確認するために利用されるものです。平成30年3月以降は、これまで基礎年金番号を記載していた書類について、基礎年金番号に代わってマイナンバーを記入することになり、基礎年金番号の使用範囲が狭くなってきています。

それでは、今後はマイナンバーさえ届け出すれば、もう基礎年金番号は不要になってしまうのでしょうか。日本年金機構のHPには、「海外に転出された場合や国民年金保険料の口座振替申し出などの手続きなどで、引き続き基礎年金番号により手続きを行っていただく場合がありますので、基礎年金番号が記載されている年金手帳などは、大切に保管をお願いします。」と記載されています。

したがって、まだ当面の間は、基礎年金番号を利用する場面があると考えられるので、年金手帳は手元にしっかりと保存しておくことをオススメします。

 

まとめ

年金基礎番号は年金保険の事務手続きで必要な番号ですが、今後は諸手続きにおいて必要になる個人を識別する公的な番号がマイナンバーへと変わっていくことが考えられます。しかし、基礎年金番号も形は変わりながらも長期間国民に利用されてきた番号なので、まだ当面の間は大切な数字であることは間違いないでしょう。