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中小企業の税金対策のポイントとは?実践的ノウハウを大公開

財務改善

中小企業にとって税金はきちんと支払いたいものではありますが、出来るだけ納税額は少なくしたいと考えている項目の一つでもあります。中小企業にとって税金対策は、事業活動に利用できる資金を確保するという意味でも非常に重要な経営施策だと言うことができます。

中小企業における税金対策のポイントと具体的な税金対策の方法について説明します。

1.税金対策のポイント

(1)税金対策とは節税のこと、脱税や租税回避とは異なる

税金対策とは合法的に様々な方法を用いて余計な税金を支払わないようにするという知恵を使った方法のことです。

違法な手段を用いて税金を支払わないようにする脱税や租税回避とは根本的に異なります。

節税と言われている手段が脱税や租税回避に当たる場合には、犯罪者として処断されてしまうこともありますし、重加算税などの重い処罰を課せられてしまう場合もあります。

別の言い方をすれば、この税金対策を知っていれば正しく節税することができる、という手段を知っているかどうかで結果的に会社の資金を有効に利用することができるのです。

(2)節税と課税の繰り延べとの相違点

課税の繰り延べとは一時的に損金が計上されて節税効果があったように見えるものですが、後になって益金の戻りが計上される(課税対象となる)のでトータルでみればプラスマイナスゼロの効果となって結果的には節税になってはいないものを言います。

同じタイミングで損金を計上できて初めて節税と呼ぶことができます。

つまり課税タイミングをずらしているだけでは税金対策とは呼べないということになります。

(3)事業資金の確保が最優先

中小企業にとって重要なのは、会社の資金を大切に有効に利用して事業を継続・発展させることです。

したがって税金対策のために余計な資金を使うことは本末転倒だと言えます。

会社の資金は事業資金として利用して、儲かったお金できちんと納税するほうが遥かに健全であると言うことができます。

また中小企業は様々な税務上の特典を利用することもできます。

顧問税理士や財務コンサルタントとよく相談をして税金対策を行うことが極めて重要です。

 

2.具体的な税金対策の方法

それでは具体的な税金対策の方法について説明します。

(1)年度内に未払費用を計上

従業員の給料や事務所の家賃などのことを未払費用と呼び、役務(サービス)の提供が終了したあとに支払われることが一般的です。

例えば従業員の給料を毎月月末締めで翌月20日に支払っている場合は、月末から翌月20日までの間は未払費用となります。

ところが未払費用は年度内に支払いが終わっていなくても、その会計年度の損金に算入することが可能です。

このように未払費用を年度内にきちんと計上していないケースがあり余計な税金を払っているケースがかなり見受けられます。

未払費用の精査をしてきちんと年度内に計上されているかどうか確認をしてみてはいかがでしょうか。

(2)出張手当の制度を整備

出張に関する旅費を「出張旅費規程」に基づいて支給するようにすれば、その旅費は全額損金として算入することができますので、税金対策になります。

実費精算の場合は手間と時間がかかりますので出張旅費規程の導入で業務の効率化も図ることができます。

一方、従業員の側も節約すれば実質的な手取りが増える可能性もありますし、給与所得としては取り扱われませんのでメリットが生じます。

税務当局に対してカラ出張がないことを示す必要はありますが、出張手当の整備は会社と従業員の双方にとってメリットがあると言えます。

(3)役員に対する「賞与」を「事前確定届出給与」に

役員に対する給与は従業員に対する給与と同様に損金として算入することができますが、役員賞与は損金として算入することができません。

これは役員賞与を会社の利益の調整弁として悪用されないようにするための決まりです。

しかし、これは役員賞与を税務署に「事前確定届出給与」として届ければ損金として算入することが可能です。

ただし、届出通りの内容(金額、支給期日)で支払わなければ損金に算入することは認められませんので注意が必要です。

「事前確定届出給与」について詳しく知りたい方は、「事前確定届出給与とはどのようなものか?事前届出確定給与にの手続きと留意点を解説」の記事もチェックしてみてください。

(4)不必要な資産は「除却損」、もしくは「評価損」として処理

会社の固定資産で不要なものがある場合には、その固定資産を廃棄して除却損を計上しましょう。

この除却損は損金に計上されますので税金対策になります。

また、固定資産税も不必要になりますので二重の意味で節税になるでしょう。

また棚卸資産についてもあらためて評価してみましょう。

陳腐化しているような棚卸資産があるような場合には廃棄して評価損を計上しましょう。

固定資産の除却損の場合と同様ですが、この評価損は損金に計上されますので税金対策になります。

また、商品を保管するスペースなども空きますので商品棚なども有効に利用することができるでしょう。

(5)回収不能な売掛金は「貸倒損失」

取引先から回収できていない売掛金は未収入金として計上されている場合がほとんどでしょうが、回収不能な売掛金をいつまでも資産に計上しておくことは正しい姿ではありません。

このような場合には、その売掛金を貸倒損失として損金計上処理をしてしまいましょう。

実際に貸倒損失として認められるためには、「一定の要件」をクリアする必要がありますが、損金計上することで税金対策にはなります。

貸倒損失の取扱いですが、回収努力にもかかわらず回収が不能となった未収入金については、貸倒損失に計上できる場合があります。

しかし、回収の努力が不十分であるにもかかわらず放棄してしまった未収入金については、寄付金とみなされて、必要経費として認められない場合があります。

貸倒損失の判定は、顧客の支払能力から見て全額の回収不能が明らかになった場合その時点で貸倒れ損失となる、あるいは、相当期間、継続的に債務超過の状態にあり返済不能と認められる場合で書面による債務免除を通知した場合はその通知をした時点でその金額が貸倒損失となる、とされています。

(6)「課税の繰り延べ」には「出口戦略」が必要

一時的に税金を安くすることができても、後になってその安くなった分の税金を払わなければならないことを課税の繰り延べと言います。

例えば支払保険料を全額損金に算入できる保険に会社が加入したとします。

一時的には税金対策になったように見えますが、保険が解約されて8割が解約返戻金で戻ってきた場合にはその返戻金は益金とみなされて課税対象になってしまいます。

このような場合支払保険料を従業員の福利厚生として取り扱うとともに解約返戻金も従業員に還元するような仕組みがあれば会社への益金算入を求められることはないと考えられます。

 

税金対策まとめ

中小企業にとって税金対策は非常に重要な問題をはらんでいます。

せっかく稼いだ会社の利益をできるだけ会社に残して従業員に還元したいという思いと、きちんと国に税金を納めることで社会的責任を果たしたいという思いと、それぞれに大切な思いですので両立することが出来れば一番良いと考えられます。

決してむやみに多くの税金を納めることが素晴らしいということではなく、きちんとルールに則って適正な納税をすることが重要なことなのです。

したがって現行ルールで問題がない方法で節税を行うことは適法であると同時に、企業経営上の巧拙がわかってしまう部分であるとも言えます。

節税のために余計な資金を使ってしまったり、ましてや脱税と指摘されるような方法を採用しないように、顧問税理士や銀行の担当者、財務コンサルタントとはよく相談をして、正しい納税ができることを大前提に税金対策を検討することをおススメします。

節税に関する具体的なノウハウは「中古車購入は節税に効果的?新車との減価償却年数の違いに見るメリット」の記事で詳細に解説していますので、こちらも併せてお読みください。