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融資の審査に関する手続きとポイントについて

融資知恵袋

 

銀行などの金融機関に借り入れを申し込むと、通常は、審査を経て融資の可否が決定されます。

この審査のプロセスで融資が実行されるかどうかが決まりますので非常に重要な作業なのですが、金融機関が求める資料を用意すれば審査に自動的にパスするようなものではありません。

企業経営者、あるいは財務経理の責任者として金融機関の審査を乗り越えるためには、融資の審査の具体的な手続きの流れや審査におけるポイントなどについての理解が不可欠となります。

 

1. 融資に審査に関する手続きの流れ

金融機関に融資の申込みをすると、いきなり融資が可能かどうかの審査に入るわけではありません。融資案件そのものの審査は融資を申し込んだ企業や経営者がどのような会社、あるいは人物なのかについて調査をしたうえで、決算書などを踏まえた財務分析などを行い、融資の可否について判断します。

既存の取引先であればすでに基本的な項目については金融機関も認識していると考えられますが、最新の情報に更新する必要がありますのであらためて調査をすることが求められます。

① 融資対象企業(人物)の属性及び実態の調査

金融機関の融資の審査の最初のステップでは、融資を申し込んだ企業や人が取引先として問題がないかどうかについて調査を実施します。

例えば、反社会的勢力などに属している、あるいは関係がある人や集団は金融機関の取引先としてふさわしくはありません。

また過去に金融事故(銀行や消費者金融などで大幅に返済が滞り、信用情報機関にその情報が登録されること)を起こしている場合も不適切な取引先と判断される可能性が高いです。

この時点で融資対象企業(人物)が取引先として問題ありと判断された場合は、融資の審査は終了し、この融資の申し込みは断られることになります。

次いで融資対象企業(人物)の実態を把握します。

決算書を用いた財務分析などを通じて、融資申込企業の業績の現状や推移、今回の融資に対する返済能力、などを評価するのですが、これは融資の審査における非常に重要なプロセスとなります。

具体的には、経営者(や他の経営陣)の経歴、企業の経営形態(株式会社なのか合同会社なのか、など)や従業員の状況、株主構成、金融機関との取引状況、保有資産、などについて調査をします。

加えて、財務分析として、売上高、実質利益(経常利益-営業外利益)、流動資産(現預金水準)、有利子負債、などの把握、といった財務経理に関する項目に対して評価を実施します。

融資対象企業(人物)の実態を調査・評価した結果、融資に対する返済能力が認められない場合は基本的に融資の申し出は断られます。

② 案件審査

最後に、融資を希望している資金の使い道(資金使途)の確認をはじめとして、その妥当性(設備資金、運転資金、賞与などの季節性資金、緊急資金、などの資金使途に合致した計画になっているか、など)や返済計画などの項目を審査して、融資することが可能かどうか決定されます。

また設備投資などを目的にした融資を申し込む際には事業計画書を提出することが一般的なので、その事業計画の実現性(特に利益が発生するまでに必要な時間)を評価することも重要になります。

 

2.融資審査のポイント

金融機関から融資を受けるには審査を通らなければなりません。

ここでは融資の審査が行われる時の重要なポイントについて説明します。

① 審査に必要な書類を準備する

融資を申し込む時には審査のために書類の提出が必要になります。

金融機関によって求める書類は異なりますが、だいたい3期分の決算書、、合計残高試算表、資金繰り表、などは必要となるでしょう。

他には、(当初及び現在の)事業計画、事業計画を変更した理由、融資が必要になった理由、融資を受けた場合に予想できる変化やメリット、返済が見込める理由、なども文書にして提出しておくことが望ましいでしょう。

また、当然かもしれませんが、各書類に記載されていることについてしっかりと(なるべくポジティブに)金融機関に説明できるよう準備(模擬訓練)しておくことも大切です。

② 資金用途と返済原資を明確にする

金融機関にとっては取引先に融資した資金を利用してもらい、きちんと返済してもらうことが重要です。

したがって融資した資金を何に使うのか、そしてどのような資金から返済する予定なのか、を審査の段階で確認することになります。

本来の目的とは異なる使途で資金が使われてしまう可能性(例えば、設備投資を目的とした融資であるにもかかわらず遊興費などに使われてしまうおそれはないか、など)があると、事業計画などの見通しが立たなくなってしまうため確認が必要です。

また返済の確実性を高めるためにもどのような手段で返済をしていく予定(融資された資金を元手に工場に新しい機械を導入すると売上が○%伸びる見込みなので、この売上の増加分から返済していく、など)なのかも重要なポイントと言えるでしょう。

③ 事業計画と資金繰り表が連動していること

キャッシュフローで事業計画を表したものが資金繰り表です。

資金繰り表には毎月の収入や支出が記録されていて、収支バランスと現預金残高の状況が把握するための非常に重要な書類です。

時折事業計画に記載されている見込みと資金繰り表に記載されている予想に齟齬が見受けられますが(例えば、在庫が増えているのに資金繰りが好転している、など)、審査の段階でこのような齟齬は必ず指摘されることになりますので、事業計画と資金繰り表に限らず、提出書類の整合性を確保するように注意してください。

④ 税金は適正に支払う

納税義務がある会社(社会人)として税金をきちんと納めるのは当然のことですが、納税の記録は高い社会性の証明となりますので、適正に納税していることは融資の審査をパスするための絶対条件と言うことができます。

⑤ 担保や保証人の用意

返済原資を説明したとしても万が一返済が滞ったことを考えると保証人や担保があれば金融機関は安心して融資を実行することができます。

預金、有価証券、不動産、などを担保として差し入れることができます。

この場合なるべく現在営んでいるビジネスとは関係がないものを担保とすることが大切です。

もし事業で使っている工場設備を担保にしていて返済が滞ると、差し押さえられた場合には事業の継続が困難になってしまう可能性があります。

また保証人は、社会的な信用力が高い人、定期的な収入が見込める人、(例えば一部上場企業に勤務しているサラリーマン、など)が好ましいと思われます。

ただし、担保や保証人があれば融資が可能という考え方は、金融機関にとっても融資対象企業にとっても古い考え方と言わざるをえません。

融資の審査にあたっては、融資した資金をどのように活用して利益を得てビジネスを拡大していくのかという事業を成長させるための道具として融資を利用するという視点があるかないかをしっかりと評価することが重要です。

この評価には、金融機関には事業予測の経験やスキルを活かすことが不可欠ですし、一方、融資を申し込んだ企業(人)にはどうやって収益を確保するかという現実的な計画が求められますので、債権保全だけで融資の可否を決定するようであれば、人間ではなくロボットにその判断を委ねてしまえばよいということになります。

 

融資 審査 まとめ

このように融資の審査においては審査に通るための重要なポイントがいくつかあります。

これをしておけば問題なく融資が下りるという条件はありませんが、これをやらないと融資が拒否されるということはあります。

金融機関(融資担当者)とも相談をしながら審査に通るように、万全の準備をして融資に臨むようにしましょう。