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マネタイズのマーケティングのポイント、中小企業における戦略法を解説

【Monetaize】マネタイズ 経営分析

マネタイズとは2007年頃から使われ始めたビジネス用語で英語の「Monetize」に由来している言葉です。「収益化」「収益化する」という意味で、事業をマネタイズする、のように使われます。主にITやWebなどの業界やスタートアップ・ベンチャー企業などで利用されることが多いようです。

本稿では、マネタイズの概要、マネタイズの主な手法(それぞれの強み・弱み、など)、マネタイズのマーケティングにおける重要なポイント、中小企業におるマネタイズ戦略、などについて解説します。

1.マネタイズの概要

ビジネスを実施するうえでずっと無収益のままでは、当たり前のことですが、早晩そのビジネスを継続することはできなくなってしまいます。したがって、きちんと収益を生むようにビジネスモデルを構築して将来にわたって安定的な収益を確保しようとすることは、経営者としては当然でしょう。

従来のビジネスモデルをそのまま真似て事業を実施しても何らかの収益は生ずるとは思われますが、「マネタイズ」という言葉には、従来のビジネスモデルを大きく改善したようなモデルを構築したり、全く新しいビジネスモデルを創設したり、するような新たな価値を生み出すような事業モデルを利用して収益化を図る、というニュアンスが込められているのではないでしょうか。

2.マネタイズの主な種類

マネタイズには多くの種類が存在していますが、Web業界における主なマネタイズのモデルを例にして以下に解説します。

  • 広告モデル
  • 課金モデル
  • ECモデル
  • 仲介モデル

(1)広告モデル

広告モデルとは、自社で運営しているWebページ上やメディア上などに広告を掲載したり掲載した広告に対する何らかのアクションが行われたりすることで収益(報酬)を獲得することができるビジネスモデルのこと指しています。

多数の利用者を保有しているサービスに対して広告を出稿することによって収益を獲得するモデルなので、重要になるのは利用者(ユーザー)の人数です。利用者が多ければ多いほど高価格で広告を出してもらうことが可能になります。

広告モデルには、①広告が掲載されることを成果とする「インプレッション型」と、②エンドユーザーが画面をクリックしたり商品を購入したりすることで報酬を獲得する「成果報酬型」の2種類に大別されます。以下に広告モデルの例を紹介します。

①バナー広告

バナー広告は、別名ディスプレイ広告とも呼ばれていて、人気の高い広告モデルである、と言うことができます。Webサイト上において画像や動画などの形式で掲載されている広告のことです。

最近はバナー広告を自社サイトに掲せてくれる企業を募って、募集してきた企業から広告の掲載料を獲得するようなマネタイズの手法として活用されています。多くのバナー広告では広告がクリックされると報酬(収益)が生じるような仕組みが構築されています(一部では表示するのみで報酬が発生するような仕組みとなっているものも存在しています)。

②アフィリエイト広告

一般的には、アフィリエイト広告とは成果報酬型広告のことを指しています。具体例としては、自社のサイト上にアフェリエイト広告を掲載して、その広告を利用者がクリックしたら広告主の商品ページへと移動して、その商品の購入や資料請求といったアクションが行われた際に報酬が発生する、というケースを挙げることができます。

前述したバナー広告と比べると成果をもたらす結果のハードルが高いので、比較的高い報酬額がもたらされることが多いと考えられます。

③YouTube

YouTubeを利用して収益を獲得することも広告モデルの1種であると言えます。YouTubeの動画が閲覧される際に流される動画広告の表示により、その動画の投稿者に報酬を支払う、という仕組みになっています。YouTubeの広告には、一定の時間以上広告を視聴しなければ報酬が発生しないようなものもあるのですが、多くは表示されるのみで報酬が発生します。

④Instagram

新たにClubhouseなどの音声SNSなどの登場もあり現状では多くのSNSが乱立していますが、その中でも若年層を中心に注目度が高いSNSはInstagramになるのではないかと思われます。このInstagramにおいても報酬(収益)を獲得することができます。Instagramのインフルエンサーともなれば広告の依頼を企業から要請される場合があります。

一般的には、広告料は1〜3円/1フォロワー当たり、と言われているようですが、現実的には企業と交渉することによって広告料は決まります。なお、インフルエンサーとは単にフォロワー人数がとても多い人ではないことには注意が必要です。

インフルエンサーに対して企業が最も期待していることは「影響力の大きさ」であり、どれだけの人数を動かすことが可能なのか、ということに尽きます。したがって、ある分野で専門家として多くの人々に認知されているような人も、影響力というポイントでは、企業からはインフルエンサー として認識されて広告を依頼されるようなことがあるのです。

(2)課金モデル

課金モデルは利用者にサービスを利用するための費用を支払ってもらうことで収益を獲得するモデルのことを言います。基本的には無料で利用できるサービスになっているものが殆どですが、よりハイレベルなサービスを使うためには有料となる会員制度を設定しています。例えば、インターネット上のサイトで設けられている会員専用の「プレミアム会員コース」のような有料会員用の専用サービスがこの課金モデルに該当します。

この課金モデルには基本的には無料で提供しているサービスに対して付加価値をつけることにより収益を生じさせる、という言葉通り「マネタイズ」を具現化しているビジネスモデルである、という特徴があります。以下に課金モデルの事例を紹介します。

①オンラインサロン

オンラインサロンとは、共通の目的・趣味を持っている人が、インターネット環境下において、仲間通しの小さなコミュニティを作成・展開するようなサービスのことを言います。このオンラインサロンにおける収益の源は会員の入会金や月会費になります。

もし有料のコンテンツがあるのであれば、そこに高いクオリティのサービスを期待して利用者はオンラインサロンに加入することになります。そういった有料会員からの利用料などでマネタイズを行っている、ということになります。オンラインサロンを主催している多くの人々はSNSなどを利用して無料で見込み客を集めておいて、有料コンテンツがあるオンラインサロンへと誘導しているのです。

②スーパーチャット

スーパーチャットとは、YouTubeが保有している機能でライブを配信している最中に利用者(ユーザー)が投げ銭をして直接配信者に報酬がわたる仕組みのことを言います。つまり、投げ銭という課金を配信者が受け取ることで報酬(収益)を獲得する、ということになるのです。

利用者(ユーザー)がスーパーチャットで投げ銭をする目的は以下の2つです。1つめは配信者をダイレクトに応援するためです。そして、もう一つの目的は投げ銭をすることで利用者(ユーザー)がコメントを固定することができるのでそれを配信者や第三者に読ませることができるためです。

YouTubeそのものは動画を無料で配信することができるので、最初はスーパーチャットも無料で集客を行って次いでマネタイズへと繋げる」ための方法である、と言うことができます。

③ソーシャルゲーム・アプリ内における課金

ソーシャルゲーム・アプリ内での課金システムとはソーシャルゲームの利用者が利用代金を支払った金額に応じて特典(例えば、ゲーム内で利用できるレアアイテムなど)を入手することが可能な仕組みのことです。

ソーシャルゲームの運営サイドはソーシャルゲームそのものは無料で遊べることができることをきっかけにすることにより多くの利用者を惹き付けているのです。また、利用者が費用をかけてでもさらに楽しみたいと思ってもらえるような特別なアイテムの入手などの仕掛けをゲーム内に設定しています。このアプリ内の課金を活用したマネタイズ手法により複数の企業が大きな成功を収めています。

 

(3)ECモデル

ECモデルのECとは電子商取引(Electronic Commerce)のことで、ECモデルとはオンライン(インターネット)上の販売サイトで商品を売ることで利用者から対価を得て収益を獲得するビジネスモデルのことを言います。

具体的には、アマゾン(Amazon)楽天などが代表的なECモデルと言われていますがその他にも数多くのECモデルの種類は存在しています。なお、ECモデルには多くの収益を獲得できる可能性がある一方で、多額の在庫を保有してしまうリスクがあることには注意が必要です。以下にECモデルの代表例を紹介します。

①ショッピングモール・タイプ(アマゾン(Amazon)、楽天、等)

非常に数多くの店舗(ネット・ショップ)がまるで実際の商店街のように集中して出店している様子から、「ショッピングモール・タイプ・ネットショップ」と言われています。ECサイトの大手であるアマゾン(Amazon)や楽天といったECサイトがこのECモデルになります。

マネタイズの方法は、出店者が支払う出店料、物品の販売手数料、広告の掲載料、などを挙げることができます。ショッピングモール・タイプの強みは抜きん出た集客力にあります。強力な集客力を持っているので高めの手数料を設定をしていても出店者は集まるので、その結果として、ショッピングモール・タイプ・ネットショップは諸経費や初期費用などが高額になりがちです。

②ASP型ネットショップ

ASP型ネットショップとは、ネットショップそのものを*ASPサービスとして設置・提供することで、出展料や運営費用などを出店者から獲得するビジネスモデルのことを言います。例えば、BASE、カラーミーショップ、shopify、などが代表例になります。

ショッピングモール・タイプの場合と同様に主要な収益の柱は出店者からの出店料や販売手数料などになります。ショッピングモール・タイプに比べるとコストが低く設定されているケースが多いのですが、一方で集客力はショッピングモール・タイプには劣りますので、集客はショップオーナー各自の努力が大切になると言えます。

初期費用などが安いので、新たに事業を起こすケースや大きなリスクを回避したいケースなどにチョイスされることが多いECモデルである、と言えます。

*ASPサービス
ASPサービスのASPとはApplication Service Providerのことで、インターネットなどを経由してリモートでソフトウェアなどを利用することができるサービスのことを言います。
仕組みは、ソフトウェアを稼働させるためのプログラムデータはインターネット上のクラウドに置いてあり、インターネット回線を通して利用者がプログラムデータへとアクセスすることで、ソフトウェアを利用できるようになっています。

(4)仲介モデル

仲介モデルとは、売り手と買い手をマッチングさせるための「場」(プラットフォーム)を提供することで、そのプラットフォームを利用するための手数料を得て収益を獲得するビジネス・モデルのことを言います。最近では多くの利用者が見受けられるフリマアプリはこの仲介モデルに相当します。

仲介モデルにおいては、最初に商品の売り手をプラットフォームに集めなければなりません。そのうえで次いで買い手も十分に集めなければならず、もし集めることができなければ売買取引が成立しないので多くの売り手がそのプラットフォームからは離脱してしまうでしょう。仲介モデルにおけるマネタイズはテレビCMなど広告手段を活用して多数の人々にそのプラットフォームやサービスを周知させることが極めて重要になります。

①フリマアプリ

フリマアプリとはインターネット版のフリーマーケットのことで、使わなくなったり不要になったりしたモノを出品して売買することができるサービスのことです。フリマアプリを運営している企業はフリマアプリ内において売買取引が成立した場合に受領することになる仲介手数料を獲得することでマネタイズをしているのです。フリマアプリを利用する人を増加させて取引件数も増加させることにより運営サイドの収益増加へと繋がるのです。

②不動産仲介ポータルサイト

不動産仲介のポータルサイトでは全国に存在している数多くの不動産会社が取り扱っている不動産物件を掲載しています。不動産ポータルサイトの収益の柱は物件所有者や不動産会社から得られる掲載費用や仲介手数料などによるマネタイズのモデルとなります。

仲介ポータルサイトでは、借り手・買い手と貸し手・売り手をマッチングすることで手数料を得ることができるので、需要(借り手・買い手)に対してその要望にマッチした情報・サービスを提供することができるシステムの構築が極めて重要になります。一般的には大手企業の不動産仲介ポータルサイトは前述したような仕組みが上手く取り込まれていると言えるでしょう。

 

3.マーケティング視点から見たマネタイズのポイント

これまで説明してきたようにWebビジネスにおけるマネタイズの主な方法には4種類ありますが、手法はそれぞれ異なってはいるものの共通するマーケティング上の重要なポイントがあります。

(1)無料コンテンツによる集客

上記で説明した4種類のマネタイズにおけるビジネスモデルほぼ全てのモデルにおいて利用者が最初は無料で利用が開始できるようになっています。ここで非常に重要な点はいかに有益性の高いコンテンツを用いて集客するのか、ということになります。

「無料」は、利用者にとってはとても魅力的な言葉ではありますが、既に今の世界には無料の商品・サービスが多く存在しているので運営サイドとしては、無料かつ魅力的である商品・サービスを提供できなければ集客そのものが困難になってしまうでしょう。どんなビジネスモデルであっても集客ができないことには収益化=マネタイズは困難なので、ファースト・ステップとしては有益かつ無力的な商品・サービスを提供することからスタートさせることが重要なポイントになります。

(2)収益に至るまでの動線を作成

どんなに優れたマネタイズのモデルであっても集客から収益に至るまでの動線が確りと作成されていないのであれば成功することは難しいと思われます。ここで言う動線とは、利用者をマネタイズへと導くための仕組み・工夫のことを指しています。

具体例を挙げれば、ソーシャルゲーム・アプリ内の課金でしょう。無料と有料のコンテンツを単純に分けるだけでは全く意味がないと言えます。利用者が「お金を使いたくなる」「課金をしたくなる」ような仕組みをゲーム内に組み込んでおくことが必要になるのです。

ソーシャルゲームのケースでは、ゲームの進行具合に応じてゲームを進めるのに有利になるようなアイテムを期間を限定して販売すれば、多くの利用者は欲しくなるでしょう。例えば、このような、マネタイズに至るまでの仕掛けが重要になるのです。

(3)PDCAサイクルの活用

PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)、のそれぞれの頭文字を繋げた生産管理や品質管理などの改善活動の手法を表すビジネス用語です。マネタイズの場合では、最初の集客準備から収益の獲得に至るまでの動線はPlan(計画)に相当し、集客そのものはDo(行動)に当たることになります。そして、インターネット上のアクセス分析を実施することがCheck(評価)となります。

集客状況、動線作成、収益獲得、のどの部分にボトルネックが生じているのかを把握・分析して、最終的に収益を増加させるために必要となる分析や改善を実行するのです。具体例としては、オンラインサロンの収益が増えない(少ない)場合には集客数が少ないことに原因があるのか、あるいは、見込み客はそこそこ多いにもかかわらず誘導に失敗していることが問題なのか、はたまた料金設定が安い点に要因があるのか、といったボトルネックとなるポイントを繰り返し改善することによりマネタイズのスピードを加速させることが可能になるのです。

 

4.中小企業におけるマネタイズ戦略

中小企業にとってもマネタイズを狙うことは重要なことであり事業推進においては必要不可欠なことでもあります。しかしながら大企業のように、例えばECサイト構築のために大規模な投資を実行したり、多額のコストをかけて広告を出稿したりすることは難しい場合が多いのではないでしょうか。

本稿では中小企業にとっても活用し易い「オウンドメディア」の利用を中心にマネタイズ戦略について解説します。

(1)オウンドメディアとは

オウンドメディアとは、自社で保有、管理を行っている媒体(メディア)のことを言いますが、オンラインでもオフラインでも、自社で所有・管理をしている媒体(メディア)であれば、それはオウンドメディアとされます。オウンドメディアには広義の観点では以下のような媒体(メディア)が含まれていると言えます。

オンラインのオウンドメディア(例) オフラインのオウンドメディア(例)
 

  • 企業サイト(会社のWebサイト)
  • ブログ
  • メルマガ(メールマガジン)
  • スマホ用のアプリ
  • 自社で発行している月刊誌や季刊誌
  • カタログやパンフレット
  • カタログやパンフレット

オウンドメディアは単にPR・広報やブランディングを目的としたツールではなく、自社(商品・サービス)のファンを獲得したり、見込み客へと育成したり、そして自社の商品・サービスを買ってもらったり、というマネタイズの手段として位置付けられているツールなのです。

(2)オウンドメディアを利用したマネタイズのメリット

オウンドメディアを利用した場合のメリットについて説明します。

①広告負の抑制

潤沢な広告費を投下することが難しい中小企業にとってはオウンドメディアは非常に有用なPR方法であると言えます。低コストでオウンドメディアを運営することが可能であり、コンテンツの内容や発信力で集客をすることが可能だからです。

リスティング広告(グーグルやヤフーなどの検索エンジンの検索結果に利用者が検索したキーワードと連動して掲載される広告のこと)のようなWeb広告を利用して集客をしようとする場合には数百万から数千万以上のコストが必要になることも珍しいことではありません。オウンドメディアの場合は文章の執筆・編集を社内で実行することにより余計なコストを抑制することが可能です。

②顧客データの収集

マネタイズの最大の障壁となるのが、「リード」つまり自社の商品やサービスを買ってくれそうな見込みがあるお客様に関する情報を収集することになります。オウンドメディアではアクセスだけをした利用者はまだリード(見込み客)と言うことはできません。

しかし一方で興味を持ってもらえる魅力的な情報や内容を継続的に提供することにより、オウンドメディアに関心を持ち続けてもらい、将来的にはリード(見込み客)へと変わる可能性は大いに見込めるのではないでしょうか。オウンドメディアは将来のマネタイズを目指す潜在的な見込み客を集客するために適切な方法である、と言うことが可能です。

③長期的なブランディングへ

オウンドメディアで自社(製品・サービス)のブランディングをすることは、自社の商品・サービスだけを紹介するような内容や記事に偏ってしまうと、かえって反発されて逆効果になってしまうことも考えられます。オウンドメディアを読んでいる側の立場からすれば、結局宣伝じゃないかと疎ましく嫌になってしまうからだと考えられます。

上記のような反発を避けるために最近では、自社の商品・サービスに触れることなく、働いている従業員のインタビュー、仕事を効率的に進めるための工夫、業界の情報、といったことを対象にコンテンツを製作しているオウンドメディアに人気を集まっています。

記事の内容から商売の臭いを消すことでメディアそのものに対するファンが増加します。ファンが増加すればコンテンツの被リンク(社外のサイトから自社サイトへ向けられたリンクのこと)やメディアや企業の名称のサイテーション(リンクはないものの企業などの名前がブログなどに言及されること)が徐々に増えていくことになるので、長期的には企業にとってのブランディングへと繋がることになるのです。

(3)オウンドメディアを利用したマネタイズのデメリット

次いでオウンドメディアを利用した場合のデメリットについて説明します。

①準備や成果発揮までの時間

オウンドメディアを運営するには方法によってはかなりのコストを抑えることが可能です。しかし一方ではオウンドメディアをスタートさせるまでの準備期間や成果が発揮されるまでにはそれなりの時間が必要になります。広告にあまりコストをかけない方法であるため、時間がかかるということは当然の結果となります。準備にかかる時間をも自覚して、いち早く成果を発揮したいのであれば、オウンドメディアを利用したマネタイズ戦略を薦めることはできません。

②成果を発揮できないオウンドメディアにはあまり存在価値がない

オウンドメディアは広告に依拠せずに見込み客などからのアクセスを加速させるためのメディアなので、グーグルやヤフーなどの検索エンジン、ツイッターやフェイスブックなどのSNS、メルマガ、といった迂回路とも思われるやや遠回りなルートを通って地道にアクセス数を集めることが必要になります。

したがって、一定レベル以上に認知度がアップするまでは存在価値が低いメディアとされてしまいアクセス数が伸び悩む状態に陥ってしまうことも考えられます。

③参入のハードルが低くめ競合している他社メディアとの差別化が大変

オウンドメディアは低い費用で買いすすることが可能なメディアです。参入するハードルの低さは競合他社も多いということにもなりますので、提供する記事内容やコンテンツそのもの他社と差別化をする必要があり、もしこの部分で手を抜くと競合他社が保有しているオウンドメディアに今までいた自社(商品・サービス)のファンをごっそりと奪われてしまう可能性も考えられます。

④寡占状態が生じると後発参入組が上位に食い込むのが困難

競合している他企業が既にかなりの分量で記事・コンテンツを展開していて、さらに数多くのファンを得ているような場合には、同様のコンセプトや記事内容でオウンドメディアを開始したとしても、競合企業に匹敵するようなアクセス数を得ることはかなり困難でしょう。

基本的にはオウンドメディアは先行組が優位な世界と言えます。後発企業が先行メディアに追い付いて戦うためには記事内容やコンテンツの重複を避けて自社固有のファンを得られる優れた魅力的な記事やコンテンツを提供することが必要になります。

(4)オウンドメディアを利用する場合のマネタイズのステップ

中小企業にとってもマネタイズすることが可能なオウンドメディアはどのようなステップで進めていけばよいのか以下に解説します。

①メディアへのアクセスを増加させる

最初に自社のオウンドメディアが存在していることを多くの人々に周知させることが大切になります。方法としては、検索エンジン、広告、SNS、と様々なモノが考えられますので自社のリソースを十分に考えてチョイスすることになります。

重要なポイントはアクセスをしてくれた利用者につならないと思わせない、飽きさせない、ということです。利用者が欲している情報を適切なレベル(過不足のない水準)で提供できている記事やコンテンツを準備することが重要になります。

②オウンドメディア内の回遊

大切なことはオウンドメディアにアクセスしてもらった後の対応になります。流入した記事・コンテンツから他の記事・コンテンツにもアクセスすることが可能なように誘導策(誘導ルートなどの道すじ)を適切に設定しておくことは必須です。

オウンドメディアの中を事由に回遊してもらうための誘導策は必ず実施しておきましょう。例えば、記事・コンテンツ全体の構造をわかりやすく表示するグローバルナビゲーション、それぞれの個別の記事・コンテンツから別の記事・コンテンツへと誘導するローカルナビゲーション、現在自分がいる記事・コンテンツの場所・位置を表すパンくずリスト(ネットサイト内におけるウェブページの位置をツリー構造のハイパーリンクの一覧として表示するもの)、などです。

③ファン化、リピーター化

オウンドメディアは単純なキュレーションサイトではなく、また、世界中に氾濫している情報を纏めただけの記事でもなく、そのメディア独自の視点で情報を提供することがウンドメディアの使命であると考えられます。

したがってその場限りの情報を必要とする利用者ではなく、そのオウンドメディアのファン(リピーター)を増加させて、アクセス数を安定的に確保することが必要になります。オウンドメディアがファンやリピーターを得るためには、利用者がこれまで触れたことがないような知識・体験を提供する、といった飽きさせることのない記事・コンテンツを恒常的に更新していくスタンスが重要です。

④コンバージョン(変換、転化)への誘導

オウンドメディアを通じて得たファン・リピーター高いクオリティを持つ見込み客へと育っていく可能性を期待できます。したがって、なんらかの方法で自社の商品・サービスへのコンバージョンに誘導することが必要です。しかし、誘導方法が強引な場合にはあっという間にそっぽを向かれてしまう可能性が高いので注意も必要です。

具体的には、記事・コンテンツ中に自社の商品・サービスに関する紹介ページへと誘導するようなリンクを埋め込むような場合には、何度もしつこく繰り返して設置をしたり記事・コンテンツの本文を読みづらくさせてしまうようなオーバーなデザイン・コピーなどで飾り付けたりことはやめましょう。基本的にコンバージョンへの誘導はさりげなく行うことが鉄則です。

 

まとめ

事業をマネタイズすることは、当たり前のことではありますが、簡単なことではありません。収益を獲得するためには様々な方法が考えられますが、本稿においては主なマネタイズ手法を紹介するとともに中小企業におけるマネタイズ戦略のポイントについても触れています。

新型コロナ感染症の影響が長引いている現在の環境下においては、これまでのビジネスモデルを見直す必要があると考えている経営者の方も少なくないと思われます。そこで基本的なマネタイズの方法や考え方を確認しておくことも重要なヒントになるかもしれません。

 

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