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アウトソーシングの進化形態である「BPSサービス」活用する方法とは

Business Process Service 業務改善

BPSとはBusiness Process Service(ビジネス・プロセス・サービス)の頭文字を繋げたもので、従来のビジネス・ソリューションのひとつの考え方であるBPO(Business Process Outsourcing、ビジネス・プロセス・アウトソーシング)をさらに進化させた形態のことです。
本稿では、アウトソーシングとは、BPSサービスの概要、BPSとBPOの比較、などについて詳しく説明します。

 

1.アウトソーシングとは

現在の日本では急激な少子高齢化により労働力人口が減少しており、多くの企業では働き手の不足から業務の効率化が喫緊の課題となっています。さらにコロナ禍はテレワークを推進させることになり、極力無駄を省いた業務の進め方への要求に拍車をかける状況となっています。

アウトソーシング(Outsourcing)という言葉は「外部からの調達」を意味しており、業務を担当する人材・やサービスなどの経営資源を自社の外部から調達し(契約を締結することが一般的です)、会社の事業活動に活用する経営方法のことを指すビジネス用語です。

アウトソーシングの契約においては、委託側の企業と受託側の企業の両社が存在することになります。受託側企業のことは正しくは「アウトソーシー」と呼ぶべきなのですが、商慣習的に「アウトソーサー」と呼ばれています。本稿においても受託側企業のことをアウトソーサーと呼びます。

既に現在となっては、一般的に使われる用語になっている「アウトソーシング」ですが、導入初期においては、経理・財務・税務、といった定型的かつ社外の専門家に任せたほうが費用がかからず高品質のサービスが期待可能な業務、繰り返して何度も同じ作業工程を繰り返す必要がある外注作業などのリピート(繰り返し)作業プロセスの業務、などが一般的にはアウトソースされていました。

時代が進み、貴重な自社の経営資源である従業員により重要な仕事を任せるために、その重要な仕事以外の付加価値が高くない(低い)業務をアウトソースすることが徐々に一般化してくるようになりました。このように定型的な事務仕事や支援(サポート)業務を「派遣社員」のような雇用形態を利用することで社外のリソースに業務を委任することが通常のスタイルになったのです。

最近では、アウトソーシングそのものが大きく進化してきている、と言ってもよいでしょう。従来の「単純な事務仕事の外注」という概念を大きく超えた意味や意義を持ち始めている、と言っても過言ではないかもしれません。競合企業に対する競争力を向上させて、業務効率・業務スピード・業務品質の向上を目指し、ヒトの再配置で組織再構築を通じて高付加価値の創出を期待するために「アウトソーシング」の活用が行われています。

(1)アウトソーシングのメリット

後述するBPOやBPSにも共通する部分はありますが、アウトソーシングのメリットについて解説します。

<アウトソーシングのメリット>

  1. 企業における競争力の強化
  2. 業務の効率化・迅速化・高品質化
  3. 組織のスリム化

①企業における競争力の強化

人材育成には時間がかかります。その一方で、変化が激しい昨今の状況においては、十分に人材育成にかける時間的な余裕はなくなっているとも言えるでしょう。期待に応えてくれるような社員を育成するためには相応の時間と費用が必要ではあるものの、時代の変化は待ってくれない、というのが多くの経営者の正直な感想でしょう。

当然ながら、企業にとって中核を任せられるハイレベルなテクノロジーや業務に携わる人材は育成しなければいけません。しかし、標準化することが可能な業務やシステム処理に落とし込むことが可能な業務などは、自社でそれらを保有するのではなく、アウトソーシングすることによる処理を実行して、迅速に時代の変化に対応するべきです。こうした対応を行うことで中核(コア)人材に対して資金や教育を集中的に投下することが可能になり、企業間の競争力を強化することが可能になるのです。

当然ながら、アウトソーシングが可能な業務は重要ではない、というわけではなく、必要となる業務上の機能は必要となります。重要なポイントは「集中と選択」にあり、限られた経営リソースであるTime & Money(時間と資金)どのように使用するべきか、ということが問題になるのです。変化への対応には、必要である業務上の機能をアウトソーシングすることによりスピーディに調達して他社との競争力を強化することは極めて重要である、と考えられます。

特に日々の変化が目まぐるしい業界においては、自社内に経営リソースを抱え込むことなく、外部のプロフェッショナルな知見や経験が豊富なアウトソーサーと契約を結んだ方が良いケースが考えられます。具体的には、シード期のベンチャー企業や起業したばかりの会社のような場合であれば、会計業務(経理・給与計算など)をすることが可能なる社員を育成したり雇用したりするためには時間と費用がかかることになります。会社の急成長が必要なタイミングにおいては、中核とまでは言えないものの相応の専門性が求められるような仕事は派遣社員などにアウトソースして、自社の社員はより中核となる重要生が高い仕事を任せることが大切になります。

同じ様に、システムの保守、運用、開発、といった分野においては、加速度的に進展しているIT進化のスピードに社員が追い付けなくなっている状況にあることが現実的な状況ではないでしょうか。このような現状下では、恒常的・日常的に社員に対するIT教育を実施し続けることに高い費用がかかることになってしまいます。変化が速いIT分野に関してはアウトソースを実施することにより最新のナレッジ・スキルを納得性の高い費用ですぐに入手することができます。自社のIT負担を軽くしておきながらも即戦力を入手して他社との競争力強化・維持が可能になる、というわけです。

必要なタイミングで必要な分量・能力のリソースを調達する、ことにより、高い柔軟性を持ちながら臨機応変に即応することで競争力向上が可能になります。

②業務の効率化・迅速化・高品質化

アウトソーシングは社外の専門家(プロフェッショナル)のリソースを利用することが可能です。専門家が専門家と呼ばれているはその専門知識だけでに理由があるわけではありません。実際に経験を積んでいる専門家(プロ)は、業務効率、業務スピード、業務品質、がそれぞれ優秀である、と言って良いでしょう。

専門分野に特化しているアウトソーサー(受託側企業)は、その分野においてはプロである、と言えます。専門化人材による仕事は、当然ながら、素人の仕事よりも効率的であり、社員が数人必要な仕事であってもアウトソーサー側としてはたった1人で処理が可能なケースも見受けられます。

また、業務スピードも全然違うと言っても差支えはないでしょう。例えば、社員が1週間必要な仕事であってたった数時間で完了したりすることが可能です。専門分野に特化することにより、業務のコツを理解しており、リスクを避けることもできますし、最短時間でで仕事を完了させるノウハウを得ている、とも言えます。

さらに当たり前ですが、高品質の仕事をします。プロとしての業務遂行なのでプロとしても業務品質の維持は至上命題とされるからです。もしアウトソーサーとしての評判を落としてしまうようなことがあれば、今後の仕事獲得が難しくなってしまう可能性が大いに考えられます。業務の品質(クオリティ)はアウトソーサーを選択する場合には最もと大切な評価ポイントになるでしょう。

例えば、経理のプロフェッショナル(公認会計士や税理士など)には、一般的には、自社のことだけは詳しい会社の経理マンは太刀打ちすることは困難でしょう。あるいは、続々と誕生している最新のシステムを勉強しなければ生き残ることのできないアウトソーサーとなるIT企業の人材と比較すると、社内トラブルのシューティングで調整業務が中心となる企業内におけるITメンバーは、ナレッジや経験で大きく水をあけらてしまいます。

自社の社員で実行するよりも、専門家として、効率、スピード、品質、を同時に入手することが可能な方法がアウトソーシングなのです。

③組織のスリム化

アウトソーシングは企業を再構築するための重要な武器にもなり得ます。例えば、自社が保有している人材をアウトソーシングをしている会社へと移す(異動させる)ことで組織全体のスリム化を図るのです。

今日、大企業では組織の肥大化が常態化しつつあります。そのような場合によく採用される手法が、間接部門の分社化によるアウトソーサー企業としての独立・切り離しです。本体企業(親会社)を身軽にして本社人員を適正化することで費用削減も実現可能になるでしょう。

他方で、分社された側の企業も、継続的に親会社からの業務が委託されるとしても、独立した企業となった以上は、親会社以外への外部販売に昼食する必要があります。自社の技術・営業の力と技を磨いて、親会社から任される仕事がなくなったとしても収益を獲得することができるようになれば、これまでとは反対に親会社に対して貢献することも可能になるでしょう。実際にこのような事例は下表のようにたくさんあります。

<子会社が親会社を追い抜いた事例>

親会社 子会社
豊田自動織機 トヨタ自動車
富士通 ファナック
イトーヨーカドー セブンイレブンジャパン
ダイセル 富士フィルムホールディング

このように、「アウトソーシング」は、自社内の組織・チームをアウトソーサーとして分離・独立させて、企業を再構築して企業価値を高める経営手法である、と言えるのです。

 

(2)アウトソーシングのデメリット

次いでアウトソーシングのデメリットについて解説します。

<アウトソーシングのデメリット>

  1. 社内情報を社外に出さなければならない
  2. 自社固有の状況への対応は困難
  3. 業務フローのブラックボックス化

①社内情報を社外に出さなければならない

アウトソーシングでは、社内業務を外部へ委託することになるので、顧客・社員などの個人情報といった極めて重要な社内データを外部企業に知られてしまうことになります。アウトソーシングの専門的企業では、当然ながら、個人情報保護などにも細心の注意を払っていると考えられますし、社外の企業へアウトソーシングすれば即座に情報漏洩の危険性が高まる、というものでもないでしょう。

しかし、社外に情報が流出してしまうようなケースは発生しないとしても、自社とは異なる基準・ルールで情報が取り扱われてしまう可能性はあるので、このような部分についてはアウトソーサーとの間で緊密な確認や擦り合わせが必要です。

②自社固有の状況への対応は困難

アウトソーシングにおいては、一般的には、従来からの自社の仕事のやり方には関係なくアウトソース先において標準化されている手法や順に従って業務が実行されることになります。したがって、自社特有の業務手順で標準的な手法から外れているような手法・手順を求めるような場合にはアウトソーサーとしては対応が困難になることも十分に想定されます。

もし対応が可能だった場合であっても、対応するための余計なコストがかかることが考えられるので、最終的には自社で実施したほうが経済的・合理的な場合が多いでしょう。他社ではあまり実施されていないような自社に特有の作業ボリュームが多いような業務については、アウトソーシングを利用することはおススメできません

③業務フローのブラックボックス化

自社業務をアウトソーシングすれば、当然ですが、それらの業務プロセスの内容は全然可視化できなくなってしまいます。完成品のみを納品されて、その完成品をどうやって作っているのかは全く分からない、という状態になってしまうのです。

この点は、たとえアウトソーシングで余分な費用が生じていたとしても、自社ではその問題点や理由を見つけることも統制(コントロール)することもできない、ということとっ同義になります。アウトソーシングではこのように業務フローにおけるブラックボックスが発生してしまうことによって、業務・作業の状態を正しく把握・認識することが困難になってしまう、というリスクがあるのです。

 

2.BPSサービスの概要

前述したようにBPSサービスとは従来のBPOサービス(一部業務のアウトソーシング)の進化系と言えるものです。BPSサービスでは、デジタル・テクノロジーを利用して業務を抜本的に改革することや、業務改革後の人材の再活用などの課題をトータルで解決を図る目的で進化してきました。言い換えれば、業務のアウトソーシングを経験しながら仕事のやりかたを「変換(トランスフォーメーション)」すること自体をアウトソーシングする、という考え方のことです。

BPSは従来からのBPOとは違う特徴を保有しています。特別なスキルが必要である複雑な業務におけるオペレーション、マーケティング、アナリティクス(分析)、といった幅広い業務では、費用の削減だけではなく、社会の急激な変化に対する業務のフレキシビリティを得たり、売上高(トップライン)への貢献度が高い利益獲得部署(プロフィット・センター)へ移行したりすることが可能になります。

また、業務変革だけではなく、その職場で仕事を担当していた人材のトランスフォーメーションも同じタイミングで実現させて、経営戦略的に人材再配置することを可能にできます。従来のBPOのような「業務の委託⇔受託」という関係性のみならず、企業を変革するためのパートナー、として企業改革の実行を推進させる協業タイプの経営モデルがBPSなのです。

 

3.BPOとBPSの比較

それではここで従来型のアウトソーシングであるBPOとBPOの進化型であるBPSを比べてみましょう。

(1)BPOの対象となる企業の課題とは

経営施策の実行面においてBPOの対象となる課題には

  • AIやRPAといったデジタルツールの利用方法が理解できていない、さらには業務への落とし込み方(適応する方法)がわかっていない
  • 複数の部門を跨いで業務の変革を推進しようとしても、各部門間の調整が一向に進展せず時間ばかりが過ぎている
  • 発生する頻度が多くない(低い)業務が多い(例、少量多品種)、ROIが成立しない
  • 企業体質が保守的で、品質安定と業務変革を両立させることが非常に困難
  • 継続的に実施されている規制への対応といった日常的・恒常的に発生する業務変更への耐久力がない

といったものが挙げられます。

また、人事面におけるBPOの対象となる課題には

  • 業務面におけるDXを進めることができる中核的な人材が不足している(いない)
  • 業務を実際に遂行・担当している現場から抵抗が根強く苦戦
  • DXの推進で発生した余剰人材を活用する方法がわかっていない(EXIT戦略やキャリアステップの考え方の欠如)
  • 余剰人材を再配置するために必要となるスキルのシフトが円滑に進まない
  • デジタル化が進展して業務量が減少する環境下において残された担当者の仕事に対するモチベーションの維持が難しい

といった点が挙げられます。

上記のような様々な課題をクリアしながら企業の生産性の向上を目的とする解決策の1つが、費用の削減を主軸にして一部の業務を外に部委託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシングです。

多くの国内企業がBPOの活用を推進していて、引き続き年間で1~2%くらいのBPOマーケットの成長が見込まれています(出典:2019年12月24日発表、矢野経済研究所「BPO市場に関する調査)」。

また最近ではBPO活用の対象となる業務エリア拡大しています。従来は業種を問わずに企業が必要としている経理・財務・人事などの間接部門において業務の選択・集中と余計な費用の削減を目的とする業界を横断するようなタイプのサービスの提供が一般的でした。

しかし現在では、金融・医療・通信、といったそれぞれの業界に特有な事業エリアに足を踏み入れたようなアウトソーシングの形式が普及し始めています。こうした状況を踏まえて、BPOを進化させる形で登場したのがBPSサービスであると言えます。

(2)BPSサービスの特徴

BPOから進化したアウトソーシングのタイプとされるBPSサービスですが具体的にどのような点に特徴があるのか、以下に説明します。

<BPOサービスの特徴>

  1. 業務効率化の実効性
  2. 抜本的な業務効率化のノウハウ・スキルの提供
  3. 改善活動の継続
  4. 再訓練や余力を活用する範囲の拡大
  5. 国際的なネットワークの活用と事業継続能力の強化

①業務効率化の実効性

BPSサービスにおける最大の特徴は業務効率化の実効性にあります。大規模な業務改革を自社で実施するケースでは、各施策によって各部署間で相応の調整が求められることになり、例えば、社内稟議や承認のプロセスなどに非常に多くの手間と時間とかかることが一般的です。各施策を実施する場合には、現場からの抵抗・反対、現行の業務プロセスやITの整備状況などの制約によって事前に期待していたような効果やスケールが得られないことは珍しくありません。

一方で全社的な規模・サイズで変換(トランスフォーメーション)を一気に通して着手・実行することが可能なBPSサービスの場合には、デジタルストラテジーからシステムをデザイン、実行、操作、する各組織を横断的にアウトソーシングすることができます。したがって、業務管理部門・IT管理部門と現場部門との協業関係を俯瞰的な視点で調整を行い、業務スピードを維持しながら業務の効率化を推進することが可能です。

また、長期的な契約をベースとすることが多いBPSサービスは、アウトソーシングや新たなシステムの導入・設置などによる効率化の期待効果を試算してBPS契約価格のプライシングを実施することになります。したがって、最初に多額のコストが発生しがちな投資コストをBPSサービスの契約期間全体において平準化することが可能であり、多額の費用削減効果を期待できるような契約のスキームを提供することもできます。

②抜本的な業務効率化のノウハウ・スキルの提供

BPOなどの従来からの考え方においては、現行業務のプロセスが「所与の前提(あることが当然)」となっていることが多く、例えば、オートメーション化(自動化)ができるプロセスに対しても、まるでパッチワークをするように、ロボット技術(RPA)を導入するといった継ぎ接ぎをするような業務効率化になってしまうことが多いのではないでしょうか。

上記のような手段で期待できる業務改善の効果は、最大でも1割から2割くらいの水準に留まってしまうことが大部分ではないかと考えられます。しかし、我が国の大企業が抱えている生産性の低下と労働人口の不足、そしてコロナ禍でますます厳しさを増している企業の経営環境を考え合わせると、このような改善の水準では全く十分であるとは言えません。8割から9割という高い水準での業務改善を目指さなければ、現在の深刻な状況に対応することは困難でしょう。

BPSサービスにおいては、このような問題意識を踏まえたうえで業務や品質に関する制約条件を抜本的に見直して、全社的な改革を推進するために必要となる仕事の工程(プロセス)をゼロベースの考え方に基づいて構築することになります。

また人工知能(AI)や分析技術(アナリティクス)といったデジタル・テクノロジーを最大限に活用することで、提供サービスや継続的な業務の改善、人間と機械(マシン)による生産性の定量的なマネジメント、などを実行するために、現行に業務に対する圧倒的な省力化をすることができるのです。自社のみで従来から存在している制約を乗り越えて抜本的な業務効率化を実行することは簡単ではありません。しかし、豊富なナレッジ・スキルを保有している社外の専門家(パートナー)を活用することで効果的かつ抜本的な業務改革の推進が可能になると考えられます。

③改善活動の継続

ゼロベースでの業務改革と同様に、現場における継続的な業務改善の仕組みを構築することは非常に重要です。日常的なオペレーションから能動的・自発的に業務を改善することができるポイントを見つけて、IT部門とも緊密なコミュニケションを保持しながら業務改善に取り組む、と同時に業務改善の効果を定量的に把握します。つまり、PCDAサイクルをIT部門にも現場部門にもしっかりと根付かせることが極めて重要になるのです。また、改善効果が確認できた施策に関しては、その職場だけでなくて、職場全体、さらには他の工場(含む、海外工場)にも共有するために、最新で効果的な情報の共有手段を積極的に構築することが必要です。

さらには、人工知能(AI)・分析技術(アナリティクス)といったデジタル・テクノロジーは日々目覚ましい進化を遂げていますが、こういったデジタル・テクノロジーを活用した業務改革は、どうしても長い年月にわたる旅程(Journey)のようなものになりますが、このことはとても重要な意味を含むことになります。

つまり、デジタルな業務改革を含む今後のアウトソーシング・サービスを実現するためには、統合基幹システム(ERP)導入のようなただ一度きりの改革による「ビッグ・バン(Big Bang)」のようなものではなくて、日々進化しているデジタル・テクノロジーを短期間でのサイクルにおいて繰り返し試行錯誤しながら展開することになる「旅程(Journey)」となるので、継続的な業務改革を推進・実現していくことが必要になります。

④再訓練や余力を活用する範囲の拡大

業務の効率化で発生した人材余力をどのように活用していくのか、という人材の最適なアロケーションを実施するために人材スキルの異動(シフト)をどのような考え方・方法で実現していくのか、といったポイントは企業変革を推進するうえで非常に重要な課題になると言えます。

また、上記のデジタル・テクノロジーを活用するエリアを拡大するという点からも、継続的に社員の再訓練(リスキル)と再配置を実施することが必要になります。つまり、継続的な業務改革においては社員に対してモチベーションを喚起することにも努める必要があるのです。社員に対する影響を心配ばかりしていては、ロボット技術(RPA)などのデジタル。テクノロジーの導入が、従業員に対する福利厚生のようになってしまい、改善取組の効果を期待することができません。したがって、改善を完遂するためには強力なマネジメント体制そのものにも変革が必要なのです。

BPSサービスは、上記のような要望に対応するために、以下のような余力を活用する機会、活用のための方法、アセット、なども提供することが可能です。

チャンス(機会)の提供

アウトソーシング分野における幅広いサービスのために、これまでの延長線上ではなく、新たにチャレンジングなオペレーションを含めて、様々なチャンス(機会)の提供をすることが必要かつ重要になります。

研修(トレーニング)

従来の現場で培われてきたトレーニングの方法や資産(アセット)のみならず、現場研修(JTトレーニング)などの場でスキルを向上させるような機会の提供も重要です。クライアント企業の人材に出向してもらう、ような形式で現場の経験を積み重ねてもらい、自社へと戻ったときにはリーダー的な人材としてそのスキルとナレッジを自社に注入する、といったことも可能になります。

勤労意欲(働くモチベーション)の向上と保持

社員が高い働く意欲(モチベーション)を保持しつつ実際に働くことが可能な職場環境や社内制度の整備などを重視することも重要です。快適な環境環境のみならず、日常的に業務改善に関するアイデアを出しやすく、アイデアが出た際にコミニュケーションがし易い「場」を設けることは安定したオペレーションと高度化には不可欠です。

⑤国際的なネットワークの活用と事業継続能力の強化

昨今のコロナ禍においては、想定外のリスク発生に備えるためのBCP(Business Continuity Plan)管理の重要性にあらためて注目が集まっています。このような環境下では、自社の業務を他拠点へ移管することが可能なフレキシブルな体制の構築が重要になります。その場合には何処の拠点・工場であっても、同じ方法で仕事を進められる体制を共有していることが重要になります。通常時は当然ですが、仮に何処かで想定外の状況が発せしてもハイレベルかつステディ(安定的な)な業務やサービスを提供可能なスキル・ノウハウを共有していることが前提となります。

マーケットの環境がますます厳しくなっている状況下において、業務の変換(トランスフォーメーション)が避けられないことは、多くの経営者が認識しているのではないでしょうか。しかし、多くの企業経営者は、挑戦する対象のサイズに見合う企業変革の取組スピードには対応できていないと思われます。

事業の基礎的な部分を担当することになる仕事(オペレーション)は自社内で保持・管理していく、という発想は自然です。しかしながら、自社による業務運営を、シームレスな変革や人材スキルの効果的なシフトなどをハイレベルで両立する、という考え方には限界があることもまた事実なのです。デジタル・トランスフォーメーション(DX)の実効性や確実性を向上させながら、自社人材のキャリアやスキルに関する課題などに対してトータルで対応することができるBPSサービスはこれからの企業経営にとって非常に有効な手段になると考えられます。

 

<まとめ>

アウトソーシングは企業における業務効率化やコスト抑制を目的に多くの企業で採用されてきた経営手法ではありますが、デジタル・テクノロジーの進展と共に、従来のBPOからBPSへと提供サービスの内容が進化してきています。

自社にとって必要なアウトソーシングの内容やレベルを十分に検討したうえで、必要かつ最適なアウトソーシング・サービスを選択することが極めて重要です。

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