裏書とは? 種類や効力など 詳しく説明します

裏書について種類と効力を説明するイメージ画像 起業家の基礎知識

裏書とは、一般的には、紙の裏に記載された文字や文章を指しますが、法律用語としては「署名に基づく有価証券上の行為一般」のことを意味しており、狭義では「約束手形、為替手形、小切手、あるいは民法上の指図証券の権利を法定の方式に則って他人に移転させる特有の債権譲渡方式」のこととされています。本稿では手形法などを踏まえながら裏書の種類や効力などに関して詳説します。

 

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1.裏書することができる証券とは

序文で述べたように約束手形や為替手形などは裏書をすることが可能です。裏書をすることが可能な証券ごとに裏書の効力や方法について説明します。

(1)為替手形・約束手形

民法上の債権譲渡の場合は、債権がその同一性を失うことなく譲受人に移転することから、抗弁もその債権に付されたままの状態で受け継がれるので、譲受人に対してはその抗弁を主張できるのが原則です(民法4682項)

しかし、裏書譲渡は、手形などの有価証券の流通を強化する、という経済的な目的のために、手形譲受人に対しては抗弁の主張が原則として制限されることになっています(手形法17条等)。 また、裏書譲渡においては、民法上の即時取得制度(192条)と類似している善意取得(162項)が認められています。なお、約束手形については手形法77条により為替手形の規定が包括的に準用されています。

①裏書譲渡の方法

  • 裏書譲渡の要件は、単純なることを要す、とされていて、条件付の裏書や一部の裏書は無効となります(手形法12条)。
  • 裏書譲渡の方式は、手形法13条に規定されている通り、「裏書人の署名があれば足り、被裏書人を指定しなくても裏書の効力は発生する」とされています。

②裏書譲渡の効力

裏書譲渡の効力には、権利移転効力(手形法14条)、担保的効力(手形法15条)、資格授与的効力(手形法161項)、があります。権利移転効力とは、債権譲渡を目的とする裏書の意思表示に基づく本質的な効力です。

次いで、担保的効力について説明します。裏書人として手形などに署名した人はその支払を担保する義務(遡求義務)を負うことになります。この効力のために、手形上の権利を取得することなく、手形債務を担保する目的だけで裏書を行う場合もあります。

ただし、この担保的効力については、裏書人の意思表示による効力なのか、それとも取引の安全確保の要請から法が特別に認めた効力なのか、について解釈上の争いがあります。また、手形法161項*では資格授与的効力について定めています。

*手形法第161

為替手形の占有者が裏書の連続に依り其の権利を証明するときは之を適法の所持人と看做す最後の裏書が白地式なる場合と雖も亦同じ抹消したる裏書は此の関係に於ては之を記載せざるものと看做す白地式裏書に次で他の裏書あるときは其の裏書を為したる者は白地式裏書に因りて手形を取得したるものと看做す

③譲渡裏書以外の各種の裏書について

裏書譲渡以外の各種裏書

取立委任裏書

(手形法18条)

「回収ノ為」「取立ノ為」といった文言を付された裏書のことです。

裏書人が自分の代わりに被裏書人に対して手形債務者への取立てをすることができる権限を付与する目的で行います。この場合には、被裏書人(所持人)は裏書人と同じ手形から発生する全ての権限を有することになります(1項)。

手形の債務者は、所持人に対しては裏書人に主張することができる人的抗弁を主張することが可能ですが、所持人(被裏書人)に対しては主張しうる人的抗弁は主張することができません(2項)。

また、文言を付さずに取立目的で通常の裏書が行われるケースもありますが、その場合の裏書を「隠れた取立委任裏書」と言います。

質入裏書

(手形法19条)

「担保ノ為」「質入ノ為」といった文言が付された裏書のことで、裏書人が被裏書人に対して、手形を担保に供する目的で行われるものです。

期限後裏書(手形法20条、771号)

満期日を超過して、正しくは支払拒絶証書の作成後あるいは支払拒絶証書作成期間経過後に行われた裏書のことです。

手形は満期日に支払を受けることが前提のため、満期日到来後は流通を予定してはいないので、特別な保護を与える必要がありません。したがって、期限後裏書は指名債権の譲渡の効果しか有さない(201項)とされています。

保証裏書

(手形法30条、31条)

手形上の債権の支払の全部、または一部を担保する裏書のことを保証裏書と言います。手形面上の単なる署名は保証と看做されることになります(手形法313項)。

戻裏書

既に裏書人として署名をした人を被裏書人として裏書譲渡がなされることを戻裏書と言います。

 

2.航空券

手形以外には航空券にも裏書というものがあります。航空券の裏書とは、既に発券された航空券について、発券した航空会社から別の航空会社に変更する際に、発券航空会社の承認を受ける手続きのことを言います。格安航空券などの場合に多いのですが、「裏書不可」(Non-Endorsable: NONENDと省略される場合が多い) と記載されていれば、他社への変更ができないことを意味しています。

 

3.貿易における有価証券の裏書譲渡

 

さらには、以下のような貿易実務における裏書というものもあります。

貿易における裏書譲渡の種類

船荷証券*における裏書譲渡

船荷証券においては、証券面上のConsignee(荷受人)が当該船積貨物の権利を有していますが、貨物の権利書としての性格も有する有価証券でもあるので、一般的に裏書譲渡が行われています。

1)Consigneeが輸入者・L/C発行銀行等の場合(Straight B/L

輸出者は裏書不要です。Consigneeが乙仲(海運貨物取扱業者のこと)に作業を依頼する場合や、転売する場合には裏書することで譲渡が可能になります。

2)Consignee ‘TO ORDER’ 若しくは ‘TO ORDER OF SHIPPER’の場合

Shipper欄に記載されている荷送人(輸出者)が裏書することで譲渡性が発生します。

3)Consigneeが「TO ORDER OF ○○」の場合

意味合としては「○○の指示による。」となり、○○の裏書によって流通性が生じます。信用状発行銀行が○○に表記される場合が多いようです。

なお、有価証券ではないWAYBILLや、AIR WAYBILLなどは裏書譲渡ができないので、Consignee欄に「TO ORDER」あるいは「TO ORDER OF ○○」の記載は原則としてできません。

保険証券における裏書譲渡

海上保険・航空保険においては、保険証券上のAssured(被保険者)の権利(保険求償権)を裏書によって譲渡する、という形式をとることになります。一般的には、Assured欄は、保険を付保した輸出者が記載されているので、裏書が必要になります。

白地裏書と指図式裏書

白地裏書 (Blank Endorsement)とは、証券の裏面に荷送人(Shipper)または指定された権利者が、次の受取人を指名せずに、自己の署名のみをする(譲渡先を特定しない)ことを言います。

また、指図式裏書 (Endorsed to order of….)とは、権利の譲渡先(受取人)を指名する方式を言います。裏書上部にTo order of…とタイプすることでカバーされます。

*船荷証券

船荷証券とは、貿易における船積書類のひとつで、船会社など運送業者が発行して、貨物の引き受けを証明します。貨物受け取りの際のエビデンスとなります。

 

<まとめ>

手形などにおいては、その権利を譲渡することために裏書が利用されていますが、説明してきたように手形以外の有価証券においても裏書という権利移転の方法が利用されている場合が見受けられます。

しかし、一方で手形には裏書することができないものもあります。例えば、裏書禁止手形です。具体的には、振出人が手形面上に「裏書禁止」あるいは「指図禁止」と記載して、手形面上に印刷済みの指図文句を二重線で抹消します。

振出人が裏書を禁止する理由としては、万が一手形が支払えないような事情が発生した場合に対応するためです。手形などの有価証券が裏書譲渡によって広く流通をしていることを考えると、振出人に大きな損害を与える可能性も考えられます。

例えば、原因債務が消滅しているにもかかわらず、善意取得の第三者が現れた場合には振出人は二重に支払わなければならない可能性が高くなってしまいます。このように裏書は権利譲渡には便利ではありますが、リスクも十分踏まえたうえで裏書をするようにしましょう。

手形の裏書については、手形裏書とは? 仕組みとメリット・デメリットについて解説の記事も参考にしてみてください。