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財務改善の具体的手法とは?効果の出る3つのステップを大公開

財務改善を喜びをイメージする画像 財務改善

財務改善とは文字通り会社の財務を改善することですが、具体的には財務のどの部分を改善するのでしょうか。財務改善は、企業財務の改善活動などを通じて、会社が筋肉質な財務体質となることを目的に行うものです。本稿では財務改善の各ステップにおける改善手法などについて詳しく説明します。

 

1.財務改善とは

財務改善とは、会社における財務上の課題を見つけ出して、その課題に対して改善を行tって課題を解決することを言います。財務改善により、金融機関からの融資を問題なく行うことができたり、会社の経営を安定的に行うことができるようになったり、今後の会社の成長にとっても大いにプラスになることが期待できるのです。

そのような意義があるのであれば、多くの会社で財務改善が行われていて当然のような気もしますが、実際には、財務改善の必要性を感じている経営者は多いかもしれませんが、財務改善を実践している経営者は少ないようです。

それは、財務改善を実施するためには、どこから始めればよいのか、どういう手順で何をしたらよいのか、がわからない経営者の方が多いからではないでしょうか。前述したように、財務改善は企業にとって必要なうえにメリットの大きい施策です。本稿では、財務改善のステップとその活動について解説します。

 

2.財務改善のステップと各ステップにおける活動

財務改善を実施するためには、下記のようなステップで改善活動を推進することが必要です。

 

<財務改善のための3つのステップ>

ステップ 概要
(1)財務分析 会社の財務を定量的に分析して、課題を抽出する
(2)財務体質の改善 (1)で抽出した財務上の課題を、一定の期間内で解決(早期に解決できる課題から着手する、など)して、健全な財務体質に変える
(3)財務管理体制の構築 資金繰りなどの管理体制をPDCAサイクルに則って構築、運用できるようにする

上記の3つのステップで財務改善を行うことが基本的な流れですが、それぞれのステップにおける具体的な活動について説明しましょう。

(1)財務分析

財務分析とは現状の会社の財務状況を定量的に把握することです。長年の経営者としての経験などから定性的(若しくは、主観的)な分析にも一定の重要性はあります。しかし、どうしても自身の経験にのみ頼ってしまう危険性がありますので、客観性の高い定量的な財務分析はより重要な分析結果となります。

①キャッシュフロー

中小企業にとって重要なのはキャッシュフローの状況です。そして、企業活動に大切なことはキャッシュを創造し続けることです。キャッシュフローとは、年間でどのくらい現金が増減したのか、というものですが、多くの中小企業では利益は出ていてもキャッシュがマイナスのことが多いのではないでしょうか。

つまり、資金調達(銀行からの借入など)をしないと資金繰りを回すことができず、資金繰り倒産のリスクに晒されている状態と言ってもよいかもしれません。キャッシュフローがマイナスになる原因は、資金の使い道に問題があることが多いと考えられます。

正しい資金の使い方や借りる方法を考えるするためには、②経常運転資金と③債務償還年数、の把握が必要です。

②経常運転資金

経常運転資金とは、「(売掛金+受取手形+棚卸資産)/(買掛金+支払手形)」、という計算式で算出されるもので、経常的に発生する運転資金のことです。例えば、経常運転資金がマイナスの場合は、売却代金などの資金回収を行ってから出ないと仕入れ代金などを支払うことができない、ということを意味しています。

③債務償還年数

債務償還年数とは、「有利子負債合計-正常運転資金/キャッシュ・フロー*」という計算式で算出されるもので、会社が借入金などの債務を返済するのにどのくらいの期間が必要なのかを表す指標です。

銀行などの金融機関が会社に融資をする際には、返済の確実性を判断するために特に重要な指標と考えています。(*キャッシュフローは簡易的に、「利益(営業利益、経常利益、税引後当期利益)+減価償却費」を用いられることもあります。)

つまり財務分析においては、キャッシュフロー分析で会社の課題を抽出して、経常運転資金と債務償還年数の分析で、どのような対策が必要なのかを検討することになります。

(2)財務体質の改善

財務体質を改善するためには、負債サイド、特に金融機関からの借入金の状況を改善することが重要です。前述したように多くの中小企業ではキャッシュフローがマイナスのケースが多いので、キャッシュフロー改善には借入金の見直しが有効かつ即効性があると考えられます。

もちろん、売上を伸ばしてキャッシュを増やすことも重要なのですが、キャッシュフローの改善という財務改善の効果が出るまでには時間がかかることが懸念されます。借入金の状態を改善するためには金融機関との協力体制を組むことが極めて重要です。

①取引金融機関からの評価を確認

現状の会社の債務状況を取引金融機関としてはどのように考えているのか、を確認します。経営者は借入金が適切な金額だと考えていたとしても、取引金融機関はやや負債が多いのではないかと考えている、などの認識の違いを確認して、認識を同じ状態にしておくことは重要です。

②これからの経営方針

優秀な銀行マンなどは常に取引先の経営方針をアップデイトしているものですが、もし経営方針に変更が合った場合などは会社の方から積極的に金融機関の担当者に説明に出向くことも大切です。財務改善の方針についてもしっかりとした説明が必要です。

③これからの財務方針

そして、具体的な財務方針、例えば、キャッシュフローを重視した体制に変えていきたい、などの方針を金融機関と共有することが必要になります。そのための具体的な財務改善施策のアイデアを金融機関に相談することも大切なアクションです。

そのうえで、④融資などの具体的な財務改善方法の依頼、⑤金融機関からの回答・実行、という流れで財務改善が行われることになります。

ただし、1点気を付ける必要があるのは、例えば融資の返済などの財務改善手法は、営利企業である銀行などは嫌がる可能性があります。財務改善のアイデアが自社にとって意味のあるものなのか、銀行の利益をより考えたものであるのか、を冷静に判断することは極めて重要です。

(3)財務管理体制の構築

借入状態の変更(改善)が実施されても、それは一時的な対症療法にしか過ぎない可能性もあるので、筋肉質な財務体質になるような抜本的な財務改善が必要になります。そのためには、財務管理体制を見直すことが重要です。

財務管理体制の構築には、以下のような流れで仕組みを構築します。

①予実管理(月次の損益)

②予実管理(月次の資金繰り)

③予実管理(年次の貸借)

④財務担当者を育成

⑤役員などの基幹社員に財務状況を共有

上記の流れでPDCAサイクルを回し続けることで財務体質が強化されていきます。

 

3.まとめ

財務改善とは、目先の財務の状況を改善することも大切ですが、恒常的に財務体質を強化し続けることのほうがより大切です。多くの中小企業では財務改善をしたいと考えていると思われますが、短期で効果の出る財務改善の施策から着手して、時間のかかる財務改善活動は並行して(若しくは、遅れて)実行するようにした方が経営的にはプラスでしょう。

改善活動は早く効果が出たほうがモチベーションが上がりますし、時間がかかる施策は時間の経過と共に焦りが生じてしまい、場合によっては中断してしまう可能性さえあります。つまり、基本的には、課題を抽出して、即効性のある改善活動を行って、根本的な対策を実行する、という流れが財務改善には必要なのです。