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会社で加入する4つの社会保険料の計算方法

社会保険

会社が従業員のために加入する社会保険の種類

会社が従業員のために加入する社会保険の種類には、健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険の4つがあります。

以下ではそれぞれの社会保険の計算方法について確認しておきましょう。

 

① 健康保険料の計算方法

健康保険料は「標準報酬月額×健康保険料率」で計算します。

標準報酬月額というのは4月〜6月に従業員に支払ったお給料の金額の平均額のことです。

例えば、4月に30万円、5月に31万円、6月に35万円というようにお給料を支払った時には、(30万円+31万円+35万円)÷3ヶ月=32万円が標準報酬月額ということになります。

標準報酬月額の金額から等級が決まる

この標準報酬月額の金額によって、その人の保険料に関する「等級」が決まります。

等級は標準報酬月額表(毎年改訂されて発表されます)によって決まっており、例えば、上で計算した標準報酬月額32万円の人であれば23等級ということになります。

23等級の人の場合、保険料は「32万円×保険料率9.91%=3万1712円」ということになります(平成29年4月分以降、東京の場合)

上で計算した健康保険料のうち、2分の1ずつを企業と従業員が負担することになりますので、従業員のお給料から天引きする保険料の金額は1万5856円ということになります。

介護保険料を支払う必要がある場合

40歳以上の人場合、健康保険料に介護保険料を上乗せで支払わなくてはなりません。

具体的には、上で解説させていただいた保険料計算の時の「保険料率」に、介護保険料を上乗せして計算します。

例えば23等級の人であれば「32万円×保険料率11.56%=3万6992円」が毎月の健康保険料と介護保険料の合算額となりますので、これを企業と従業員が折半して納めることになります。

 

② 厚生年金保険料の計算方法

厚生年金保険料は、上で解説させていただいた健康保険の保険料と同じように「標準報酬月額×保険料率」で計算します。

保険料率は毎年改訂されますが、平成29年4月分以降、東京の場合は18.182%ということになります。

そのため、上で計算した23等級の人の場合は「32万円×保険料率18.182%=5万8182円」が毎月の厚生年金保険料ということになります。

なお、厚生年金保険料も健康保険料と同様に労使折半となりますから、2分の1の金額(上の場合であれば2万9091円)を従業員のお給料から天引きして納めます。

社会保険料の支払額を抑えるには?

健康保険と厚生年金の保険料額は標準報酬月額によって決まります。

標準報酬月額は4月〜6月のお給料支給額の平均額になりますから、この時期に支払うお給料の金額を調整することで企業と従業員が負担する社会保険料を節約することも可能です。

例えば、4月〜6月は仕事の割り振りを工夫して残業時間を調整し、残業代を少なくすることで社会保険料の負担額を小さくするということが考えられます。

なお、健康保険料と厚生年金保険料は役員報酬に対しても同様にかかりますが、役員報酬額については事業年度開始の月から3ヶ月以内に、年1回しか変更することができませんから注意しておきましょう。

 

③ 労災保険料の計算方法

次に労災保険料の計算方法について見ていきましょう。

労災保険は他の3つの社会保険とは違って企業が全額を負担する仕組みになっています。

計算方法は「1年間で支払った賃金総額×労災保険料率」です。

労災保険料率はその企業の業種によって異なります(業種によって労働災害が発生する確率に違いがあるためです)

例えば水力発電施設の建設業を営んでいる企業の労災保険料率が「1000分の79」と高くなっているのに対して、金融業や保険業を営む企業の労災保険料率は「1000分の2.5」と低く抑えられています。

労災保険料の納付は次の雇用保険料の納付と一緒に行います。

 

④ 雇用保険料の計算方法

雇用保険料も労災保険料と同様に「1年間で支払った賃金総額×労災保険料率」で計算します。

ただし、労災保険料と違って一部を従業員が負担することになっていますので、毎月のお給料から雇用保険料を徴収しなくてはなりません。

雇用保険料率も企業の業種によって異なり、一般的な事業者の場合は1000分の9(そのうち1000分の3が従業員負担で1000分の6が企業負担)、建設事業者の場合は1000分の12(従業員負担は1000分の4、企業負担は1000分の8)となっています。

雇用保険料と労災保険料の納付

雇用保険料と労災保険料は毎年6月1日〜7月10日までに行う「年度更新」という手続きで納付を行うのですが、納付の仕方がやや複雑なので注意しておきましょう。

これらの保険料はまず1年間に支払う賃金の見込み額から「概算額」を計算、申告して納付しておき、4月1日〜翌年3月31日の1事業年度の賃金総額が確定したら、その金額から「確定額」を算出します。

この概算額と確定額の差額がある場合には清算(概算額の方が大きい場合は還付または繰越、小さい場合は追納)しなければいけません。

 

まとめ

以上、会社が従業員のために納める4つの社会保険料の計算方法について解説させていただきました。

社会保険料は企業が従業員を雇う場合に必ず負担しなくてはならない義務ですので、もし加入義務があるのに加入手続きをしていないような場合には厳しいペナルティが課せられてしまいます。

従業員と雇用契約を結ぶ時には加入漏れがないように注意し、毎月のお給料から従業員負担分の保険料は必ず徴収して納付漏れがないように注意しておきましょう。