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どのような場合に従業員を会社の健康保険に加入させないといけない?

社会保険

従業員の人件費は毎月の賃金の他に、健康保険などの社会保険料もプラスして考慮する必要があります。

一定の条件を満たす従業員を社会保険に加入させることは会社の法律上の義務ですので、ルールを理解した上で適切に判断することが求められます。

ここでは従業員の健康保険について、加入義務がある従業員の条件について解説させていただきますので、これから従業員を雇用することを考えている経営者の方は参考にしてみてくださいね。

 

従業員を健康保険に加入させる条件について

企業が従業員を雇う場合、一定の条件を満たす場合には従業員を健康保険に加入させなくてはなりません。

この一定の条件については、企業側の条件と従業員側の条件の2つの側面から判断する必要があります。

企業側の条件

あなたの企業が個人事業主として活動しているのか、それとも法人(株式会社や合同会社)として活動しているのかによって社会保険適用の区分はことなります。

まず、法人として活動している企業の場合、従業員を1人でも雇う場合には原則として健康保険に加入させなくてはなりません。

一方で、個人事業主の場合には、常時雇用している従業員の人数が5人未満である場合には加入は任意となります(事業主本人は従業員には含まれません)

従業員側の条件

健康保険に加入させる義務のある従業員は、「常時雇用関係にある」従業員です。

「常時雇用関係にある」というのは雇用契約書の内容によらず、雇用状況の実態を見て判断されます。

例えば日雇いとして雇い入れた従業員であっても、1ヶ月以上引き続き雇用しているような場合には常時雇用されていることになります。

また、2ヶ月以内などの形で期間を区切って雇い入れた従業員であったとしても、当初の2ヶ月間を超えて雇用し続けている場合には自動的に常時雇用関係に移行したと判断される可能性が高いです。

また、1つの事業所で常時雇用となる人(正社員)と、パートタイムなどの形で働いてもらっている人の2種類がいる場合、前者については社会保険の適用対象となりますが、後者についても一定の条件を満たす場合には社会保険に加入させなくてはなりません。

一定の条件というのは正社員である人のおおむね4分の3以上の所定労働日数がある場合などです。

拘束時間は正社員よりもやや短かったとしても、フルタイムの形で働いてもらっている人であればパートやアルバイトであっても加入させる義務があるものと理解しておきましょう。

人件費は社会保険料込みで考える

中小企業経営者にとって、従業員を雇用することは事業を大きくしていく上でのターニングポイントとなります。

従業員を雇用したことをきっかけに大きく飛躍していく事業者がいる一方で、人件費の負担に耐えられずに廃業に追い込まれてしまう事業者の方も少なくないので慎重に判断するようにしましょう。

従業員を加入させる時の手続き

実際に従業員を社会保険に加入させるときには、年金事務所に届け出をしなくてはなりません。

以下、従業員を健康保険に加入させるときの手続き方法について確認しておきましょう(健康保険と厚生年金は加入させる条件が同じなので、一括で手続きを行うのが普通です)

 

▲初めて従業員を加入させるとき

初めて従業員を社会保険に加入させるときには、「新規適用届」を従業員と雇用契約を結んでから5に以内に年金事務所に対して提出しなくてはなりません。

新規適用届の書式は日本年金機構のホームページからダウンロードすることができますので、記入した上で郵送または窓口に持っていく形で提出しましょう。

なお、適用事業所が法人である場合には法人の登記簿謄本、個人事業主である場合には事業主の人の世帯全員の住民票を添付しなくてはなりません(いずれも原本が必要です)

その上で、加入させる従業員について次で説明する「被保険者資格取得届」を提出しましょう。

▲すでに新規適用届の提出がされている場合

新規適用届はすでに提出済みで、新しく従業員を雇い入れたいという場合には、雇用契約から5日以内に「被保険者資格取得届」を年金事務所に提出しなくてはなりません(こちらも書式は日本年金機構のホームページからダウンロードできます)

被保険者資格取得届には添付書類は基本的に必要ありませんが、従業員の本人確認ができるように基礎年金番号等の記入が必要になります(20歳以上の人であれば必ず基礎年金番号があります)

 

まとめ

以上、会社が従業員に加入させる義務がある健康保険の仕組みについて解説させていただきました。

従業員の人件費を考えるときには賃金の金額だけに目がいってしまいがちですが、実際には社会保険料の納付も資金繰りに大きな影響を与えます。

近年では従業員側も会社が用意している労働環境についてもシビアにチェックするようになっていますので、優秀な従業員を確保し、安心して仕事に専念してもらうためにも社会保険適用のルールについて正しく理解しておくことは大切です。

これから従業員を雇用することを検討している経営者の方は人件費について考えるときには社会保険も合わせて考えるくせをつけるようにしてみてくださいね。