賞与と社会保険料の計算について社長と経理が知っておくべきこと

社会保険

従業員に対して毎月の給与とは別に賞与を支給した場合、支給額に応じて社会保険料を納めなくてはなりません。

役員である経営者に対して賞与を支給した場合にも同様に社会保険料の徴収が必要になりますから注意して起きましょう。

以下では賞与に関わる社会保険の計算と納付の方法について解説させていただきます。

従業員に賞与を渡すときの社会保険料計算

まず、賞与とみなされるお金の支給とはどのようなものなのかについて理解しておきましょう。

法律上、「賞与」とみなされるのは「定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額があらかじめ確定されていないもの」のことをいいます。

簡単にいうと毎月のお給料以外の形でお金を渡す場合には賞与とみなされるということになります。

賞与にかかる保険料の計算

賞与を支給する場合、以下の4つの社会保険料が発生することになります。

健康保険料

厚生年金保険料

雇用保険料

いずれも保険料は「賞与の支給額×保険料率」で計算します(保険料率は毎年改訂になりますので、最新の保険料額表を確認するようにしましょう)

健康保険、厚生年金、雇用保険については保険料の一部を従業員も負担しなくてはなりませんから、「賞与支給額×従業員の保険料率」で計算した金額は支給する賞与から天引きするのが一般的です(労災保険料は会社が全額負担します)

なお、社会保険料の他に源泉所得税も発生しますから、こちらも賞与の支給額から天引きしておく必要があります。

経理処理の方法

社会保険料については、会社負担部分については法定福利費、従業員負担分については預り金などの勘定科目を用いて処理します。

具体的には以下のような会計仕訳を入力するのが一般的です(勘定科目の名称は企業によって異なります)

▲ 賞与を支給した時

賞与/現預金(実際に従業員に支払った金額)

賞与/預り金(従業員負担の保険料)

法定福利費/未払費用(会社負担の保険料)

▲ 保険料を支払った時

預り金/現預金(従業員負担の保険料)

未払費用/現預金(会社負担の保険料)

なお、健康保険と厚生年金については保険料は支給月の月末までに納付を行い、労災保険と雇用保険については年に1回まとめて納付を行います。

健康保険と厚生年金の納付については「賞与支払い届(賞与支給日から5日以内に年金事務所に提出しなくてはなりません)」を役所に届け出ると納付書が送られてきますので、記載されている期限までに支払うようにしましょう。

雇用保険と労災保険については年に1度の年度更新の手続きを行う際に申告書を作成して納付を行います(従業員負担の雇用保険料の徴収だけ支給時に行い、預り金勘定にためておくのが一般的です)

 

役員賞与の社会保険料はどうなる?

役員に対して賞与を支給する時には、従業員に対して賞与支払いをするときとはやや扱いが異なります。

理解のポイントとしては「役員賞与を経費(損金)として処理するための条件」と「社会保険料の計算と納付」とを分けて考えることです。

以下、順番に解説させていただきます。

役員賞与を損金処理するための条件

役員賞与については法人税の計算上で利益操作に悪用されるという事例が過去に多くあったため、法律のルールが厳しくなっています。

具体的には、以下の条件を満たしていないと役員に対して支給した賞与は法人税の計算上は損金として認めてもらうことができません(認められないとその分法人税の負担が大きくなります)

定期同額給与

事前確定届け出給与

利益連動給与

簡単にいうと、事前に税務署に対して「役員に対してこの金額の賞与を支給しますよ」ということを届け出ておかないと役員に対しての賞与は損金として認めてもらうことができないということです。

中小企業の場合、3つ目の利益連動給与については基本的に使われることはありませんので説明は省きます。

定期同額給与による賞与では毎月の役員報酬に対して賞与を含めて渡すことを指しますから、実質的に役員賞与の増額ということになります。

事前確定届け出給与は、株主総会で「この時点でこの金額を役員に対して賞与として支給します」という内容を定め、税務署に対して届け出を出しておく必要があります。

役員賞与を損金算入させるための手法については「役員賞与は損金算入できない?役員賞与を損金算入するには」の記事でも紹介しています。

役員賞与の社会保険料

役員に対して賞与を支給した場合には、その賞与の金額から計算した社会保険料を計算して納めなくてはなりません。

役員報酬の社会保険料と同様に、「支給額(1000円未満切り捨て)×保険料率」で計算した保険料を納めます。

なお、保険料は役員と企業が折半して負担しますので、上の計算式で計算した金額の2分の1が会社負担となります。

なお、役員賞与から発生する社会保険料は健康保険料と厚生年金保険料の2つだけです。

オーナー的な側面の強い役員は基本的に労災保険や雇用保険には加入しません(逆に、従業員としての側面が強い役員の場合は労災保険や雇用保険の保険料も発生します)

 

まとめ

以上、従業員や役員に対して賞与を支給する場合の社会保険料の負担について解説させていただきました。

賞与を支給する月には社会保険料の計算事務が発生しますから、役所への支給届けの提出や保険料の納付に遅れが出ないように注意しておきましょう。

社会保険料削減について気になっている方は、「企業の財務改善に必要な社会保険料削減を考える」の記事もおすすめです。