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運転資金の融資を受けるためには

融資知恵袋

 

金融機関から融資を受ける際に、必ず聞かれることは資金の使い道(資金使途)です。資金の使い道によって、金融機関では審査するポイントが異なります。では、資金の使い道はどのようなものがあるでしょうか。また、資金の使い道によって、金融機関では審査がどのように異なるでしょうか。今回は運転資金の融資を受ける際のポイントについて述べていきます。

 

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1. 資金の使い道(資金使途)

融資において資金は主に下記の2つに分類されます。

① 設備資金
設備資金とは機械や建物、土地、備品、車両等を購入するための資金です。機械や備品を購入することにより、生産性の向上や売上の向上を図ります。

② 運転資金
運転資金とは、商品や仕入れ、水道光熱費や家賃、日ごろの事業経費を決済するための資金です。固定資産等の購入や修繕に伴う設備資金とは異なり、得意先からの入金よりも先行して支出される材料費や外注費、または経営を維持するための経費などの支払いに充てるための借入が多いです。

 

2. 運転資金の重要性

運転資金の融資が必要な場合というのは、運転資金を払う資金がないという場合が多いです。では、運転資金の支払資金がない状況というのはどのような状況でしょうか。運転資金とは会社が継続していくために発生する経費です。一般的な生活に置き換えると、生活費(食費、住居費、教育費、交通費、娯楽費等)の様なものです。生活費がなければ、生活することが出来ず、死んでしまいます。会社にとっても全く同じで、運転資金がなければ、会社を運営する資金がなく、事業を継続していくことが不可能になり、倒産してしまいます。そのため、運転資金の支払いが足りなくなるというのは、会社が倒産するリスクの可能性もあり、非常に危険な状態といえます。

そもそも本来、運転資金とはどこから調達をするべきでしょうか。一般的な生活に置き換えて考えてみると、通常は給料を生活費に充てていると思います。では、会社でいう給料は何かというと、事業の売上になります。つまり、本来は売上で運転資金を賄う必要がありますが、何かしらの理由で、売上だけでは運転資金を賄えなくなった時に運転資金が不足してしまいます。

運転資金が不足する時はすべてダメな場合なのか

運転資金が不足することは危機的状況と述べましたが、運転資金が不足しているからといって全てがダメというわけではありません。事業を行っていくなかで、売上が計上できてもすぐに現金が入ってこないというケースは非常によくあります。一方で、仕入れや人件費、材料費といった経費は先に支払いをするケースが多いです。つまり、売上で入ってくる現金と、費用等で支払う現金に時間的なズレが生じてしまいます。このズレにより運転資金が不足するといったケースが非常に多いです。

帳簿上では黒字となっていますが、現金の収支では赤字となっている場合もあります。例えば、月の売上100万円であり、費用が70万円、売上の現金は当月に50%、来月に50%をもらい、費用については当月に全額を支払う契約の場合を考えてみましょう。当月の売上が100万円、費用が70万円であるため、月の利益は30万円となります。一方で、現金の収支にすると、入ってくる現金は売上の50%の50万円、支払う費用が70万円であるため、20万円現金が足りない状況です。つまり、現金収支は20万円の赤字となります。この場合、足りない20万円を調達できなければ、黒字ですが、支払いが出来ず、倒産となるケースもあります。これがいわゆる※黒字倒産というものです。

数字計算例)

利益ベースで計算した場合

売上100万円―費用70万円=利益30万円

現金ベースで計算した場合

現金収入50万円(売上100万円×50%)―現金支払70万円=損失20万円

※黒字倒産の別のケースとして、商品在庫が豊富にあっても陳腐化して売れず貸借対照表の資産に残っているケースなどもあります。

 

3. 運転資金と設備資金の融資

運転資金と設備資金の融資について、どちらの方が金融機関は融資しやすいでしょうか。当然、会社の業績にも大きく影響を受けますが、融資対象としては、基本的には設備投資の方が金融機関から好まれやすいです。設備資金は前向きな資金とも呼ばれており、設備を導入することで、事業を拡大したり、効率化を図る等、売上の増加や費用の削減が期待できます。その結果、利益が増加し、会社が更なる成長をし、事業拡大していく可能性もあります。また、設備資金は、設備を購入するための費用であり、資金の使い道が明瞭です。現在は、金融機関は融資をした資金が何に使われたか、本来の申込時の資金使途と異なっていないかという点までチェックをしなくてはいけません。設備資金の場合は、その点は分かりやすく、管理しやすいです。以上のような理由から設備資金の方が運転資金と比べて融資の可能性が高いです。

 一方で運転資金の場合は、後ろ向きな資金ともいわれています。運転資金の融資を希望する会社の多くは、業績悪化による資金不足という場合が多く、運転資金の融資をしても売上増加やコストの削減にはつながらないケースがほとんどです。そのため、金融機関としてもあまり積極的に行いたくはない資金です。

また、運転資金の融資の場合、資金使途も非常に重要となります。運転資金の場合は、設備資金と異なり、融資の資金を金融機関側がその使い道を完全に管理することはできません。設備資金の場合は、請求書や領収書の提出をしてもらい、余った資金は金融機関側に返済を行うこともあります。そのため、余分に多く融資を受けるということもできません。一方で、運転資金は、厳密に何にいくら使ったのかというところまでは把握していません。そのため、事業者は仕入れで使う資金と言って借りて、それを人件費の支払いとして利用することも可能な場合があります。また、当初、見込んでいた金額よりも支払いが低かった場合も、金融機関側に返済する必要はないので、余ったお金は自由に使うこともできます。このように運転資金は設備資金と比べて、自由度が高いです。自由度が高い分、融資審査も当然厳しくはなります。

 

4. 運転資金の融資を得るために

それでは運転資金の融資を受けるためにはどのようにするべきかですが、まず、運転資金が不足するケースは以下のように分けられます。

(1)売上の入金と費用の支払いのズレ

これは、先述した通り、売上の入金が入る予定があるが、それまでの支払いが足りない場合です。業績が良くても、手元に現金がない場合はよくあるケースであり、売上の入金日や受注の信頼性が高ければ、金融機関も融資をしやすいケースです。業種でいうと建設業や卸売業はこのパターンが多いです。建設業は1つの案件が長期間に渡り、案件が終了した後に売上の入金があることが多いです。卸売業もある時期に大量に仕入れを行うことが多いので、先に仕入れ費用の支払いが発生し、運転資金が不足するケースが多いです。このような場合、融資の種類としては、月々元金を返済する証書貸付以外にも、期限に一括返済する手形貸付で融資を行うケースもあります。

(2)一時的要因によるもの

突発的に起こった要因(取引先の倒産や原価の高騰、不良品発生による回収、等々)によって一時的に売上が減少して、業績が悪化し、運転資金が不足した場合です。あくまで一時的なもので、業績が回復する見通しがあれば融資を受けることはさほど難しくはありません。主に外部的な要因で業績が悪化した場合等は金融機関側も考慮してくれるケースが多いです。これが一時的ではなく、継続的に業績が悪化している状態になると融資のハードルは高くなります。

(3)業績が低迷しており、支払資金が不足している

(1)と異なり、まとまった売上の入金がなく、支払資金が不足している場合です。この場合は運転資金の融資は非常に難しくなります。金融機関も返済が可能かどうかという基準で審査をしているので、返済財源が何かを金融機関側に提示できないと融資審査を通過する可能性は低くなります。

そのほか、運転資金に関する注意事項は、運転資金は流動性資金だから、資金管理が必要」の記事でも詳しく解説しています。

 

運転資金の融資 まとめ

運転資金の融資は設備資金よりもハードルが高いと述べましたが、いずれにせよ、審査で一番大切なのは会社の業況、業績です。主に融資審査は決算書や試算表を基に行われます。その内容が良ければ、運転資金、設備資金に関わらず融資審査は通過する可能性が高いです。一方で、その内容が悪ければ、運転資金、設備資金に関わらず、融資審査を通過する可能性は低いです。また、会社の業績があまりよくなくても、返済財源さえ確保できている(売上の入金予定がある等)状況であれば、運転資金でも融資審査は通る可能性は高いです。

運転資金の種類については、「運転資金は何種類あるの?調達時に押さえるべき5つのポイント大公開」の記事でわかりやすく解説されています。