銀行から融資を受ける際にはいくつかの条件があります。資金の利用目的、返済期間、返済金額等の融資商品の適格基準のようなものは当然として、融資の審査基準を満たす必要があります。特に後者の部分が、一般的な商品と比べて、融資商品の特徴ともいえます。今回は、そのような融資の条件について述べていきます。
融資には大きく分けて下記の2つの種類があります。
- 一般消費者向け(個人ローン)
- 事業者向け
融資の条件も一般消費者向けか事業者向けで大きく基準が異なります。それぞれについて説明してきます。
1.一般消費者向け
いわゆる個人ローンと呼ばれるものであり、住宅ローン、教育ローン、自動車ローン、カードローン、フリーローンと呼ばれるものが該当します。事業目的ではなく、消費者の方が、生活するうえで必要な資金を借入する時に使われます。各金融機関ごとに商品の内容は異なっており、条件もそれぞれ違いますので、ここでは一般論的な条件について紹介します。
融資の条件項目
商品ごとの条件
個人ローンの場合、借入金額、資金使途(資金を何にに使うか)、勤続年数、支払いを確認できるもの(見積書等があるか)等といった融資商品ごとの条件を満たす必要があります。これは、各金融機関、商品ごとに異なるので、あらかじめ確認しておく必要があります。
保証会社の保証が必要なケースが多い
個人ローンの場合、金融機関は保証会社(保証人の会社Verみたいなもの)を利用するケースが多く、保証会社の保証を得られれば融資を行うというケースは多いです。そのため融資を受ける条件として、保証会社の保証が得られる方というものがあります。(保証会社付きでない個人ローンもあります。)
保証会社の保証審査というのは、金融機関で融資申し込みをした後に、金融機関の方が保証会社へ審査依頼をするという流れになります。保証会社の審査では、返済が可能かどうかという点を中心に審査が行われます。具体的には年収、過去の延滞情報、勤務先、現在の借入金額等が審査基準を満たしているかという点を中心に行われます。個人ローンの場合は現在の収入で毎月の返済が出来るのかという点が非常に重要です。また、過去に延滞等がある場合は、信用情報に問題があるとされ、審査上はマイナス評価となります。延滞等をしている状況では、新規の借入は難しいです。
2.事業者向け融資
事業向け融資の場合、融資の条件というものはどのようなものがあるかについて詳しく説明していきます。
事業融資に関して詳しくは「事業資金融資とはどのような融資?事業資金融資の流れと留意点を解説」の記事も参考になります。
審査の方法
個人ローンと審査方法が異なり、事業向けの融資の場合はその企業であれば決算書、個人事業主であれば確定申告書を基に審査が行われます。個人ローンの場合は、収入や借入の状況といったところが主な審査項目ですが、事業者の場合は、業績がいいのかどうかといところに焦点をあてて審査が行われます。当然、業績が良ければ、倒産する可能性は低く、融資をした資金も返済してもらえる可能性が高いですが、業績が悪いと、融資をしても資金が返済されない可能性があり、融資審査ではマイナス評価となります。
プロパー融資と信用保証協会付き融資
金融機関が行う融資には大きく2つの種類があります。プロパー融資と保証協会付き融資です。
① プロパー融資
プロパー融資とは、金融機関が保証会社等を使わずに独自に融資をする形式です。保証会社を使わないので、例えば、融資先の業績が悪化し、融資の返済が出来なくなってしまった場合に、金融機関は融資を回収することが出来ず、多大な損失を出してしまいます。当然、金融機関が保証人や担保を設定する場合がありますが、融資したお金については、金融機関が自ら回収をする必要があります。
② 信用保証協会付き融資
金融機関が信用保証協会付きの保証を利用して融資を行うものです。信用保証協会とは簡単に言うとは公的な保証人です。債務者の行っている事業がうまくいかず、経営状況が悪化して、返済が困難になった場合に、信用保証協会が債務者の融資残高を代わりに金融機関へ支払ってくれます。以前は金融機関は担保や保証人付きの融資を行ってきましたが、最近では、金融庁からの指導もあり、出来るだけ担保や保証人をとらない融資を増やしています。
金融機関は一般の方から預金を集めて、そのお金を融資して、金利での収入を得ていますが、最近では、融資の金利は非常に低く、収益性が大幅に低下しています。そのような中で、融資先が返済不可能となってしまった場合、金融機関に与える損失は非常に大きいです。そこで、保証協会付きの融資を増やすことで、債務者が返済が出来ないような状況になった時でも、保証協会から代わりに返済をしてもらうことができ、融資のリスクが低減します。保証協会の保証料は債務者の負担となりますので、金融機関は特に損をしません。(厳密には返済不可能となった融資のお金の全額を保証協会は支払ってくれません。多くの場合は融資残高の80から90%程度の支払となります。)以上の理由から金融機関は保証協会付きの融資を積極的に推進しています。
信用保証協会の審査は金融機関が融資申込者からもらった決算書や試算表を基に行われます。審査期間はさまざまですが、早ければ、2,3日、遅くても2週間以内には金融機関へ保証可否の連絡が来ます。保証可能となった場合には、次に金融機関内での融資審査が行われますが、これは形式的なものが多いです。(信用保証協会がOKなら金融機関での審査もOKであるため)金融機関単独の融資と比べると、信用保証協会が関わるため、書類等のやりとりも発生し、融資実行までに時間がかかります。また、申込書や契約書等の書類関係も多くなります。
返済方式
融資には返済の方式に主に2つの方法があります
① 元利均等返済
元利均等返済とは、毎月決まった金額を返済するというものです。元利均等返済では、元金返済分+利息の部分が毎月一定となります。その結果、毎月の返済額が同じ金額となります。元利均等返済の特徴としては、毎月の返済額は一定ですが、元金返済分と利息の金額は変動します。借入当初の方が、利息金額は高くなり、元金返済分は低くなります。徐々に利息金額が減っていき、元金返済分が増加していきます。
② 元金均等返済
元金均等返済方法では、毎月の元金返済部分が一定となります。元金が減少するにつれて利息が減少していきますので、徐々に返済額も減少していきます。
返済額=元金返済分+利息
上記の元金返済部分が一毎月一定となります。利息の部分は毎月変動していくので、返済額も毎月変動していくという仕組みです。元金均等返済の場合は、返済当初の返済額が最も高くなり、徐々に返済額が逓減していきます。元金均等返済は主に事業者用の融資で利用されます。個人ローンでは住宅ローンで利用される場合もありますが、あまり一般的ではありません。
条件変更(リスケ)
金融機関から融資を受けている事業者が、業績の悪化や入金の遅れにより、現在の返済条件を変更することです。
例えば、毎月5万円を返済していたが、業績の悪化により、返済金額を毎月3万円に変更するといったことです。条件変更をする際には、金融機関に条件変更をする理由を説明し、承諾をえなければいけません。また、試算表等の業績が悪化している根拠を示す書類も求められます。金融機関で条件変更の審査を行い、認められれば条件変更の手続きを行います。
条件変更は、基本的には金融機関にとっては、当初の借入の条件を変更するため、あまり行いたくないものです。条件変更は債務者にとっては有利な条件となりますので、当然、そのデメリットも生じます。一度、条件変更をしてしまうと、信用情報に問題ありと判断され、今後、新規の借入を行いにくくなります。債務者に条件変更を簡単に利用されてしまいますと金融機関も困ってしまうためです。
したがって、条件変更を行うときは、慎重に判断して決断をするようにしましょう。
銀行融資の条件 まとめ
銀行からの融資について条件について、一般個人や法人向け、また、返済方法によって融資の条件は変わってきます。融資を受ける際には、条件面をしっかりと理解して、少しでも有利になるような条件で借入を行うようにしましょう。
事業資金借り入れ時の注意事項は、「中小企業経営者が事業資金借入を利用する場合のポイント」の記事にまとめています。