「これから事業を始めたいけれど、貯金だけでは資金が足りない…」
独立して事業を始める人にとって、資金繰りの問題は常についてまわる悩みですよね。
資金的に余裕がないと中長期的な視点を持って事業を展開していくことができず、気がついたら常にお金の心配ばかり…という自転車操業状態に陥ってしまいかねません。
これではなんのために頑張って独立開業までこぎつけたのかわからなくなってしまいますよね。
資金のとぼしい中小企業者にとって、強い味方になってくれるのが日本政策金融公庫の融資です。
日本政策金融公庫の融資は一般の金融機関(中小企業者の場合、地方銀行や信用金庫からの融資が選択肢になることが多いです)に比べると金利や必要になる自己資金についての条件が有利に設定されているためです。
これから事業を始めるという段階の事業者の方にとっては、融資を受けることを検討するなら日本政策金融公庫融資はまっさきに検討するべき資金調達元(お金を借りるところ)といえるでしょう。
ここでは日本政策金融公庫の融資をスムーズに通すためのコツについて解説させていただきます。
日本政策金融公庫の融資に一発で通るコツ!
日本政策金融公庫融資は、開業まもない事業者でも通りやすいと言われてはいますが、それでも審査に通る人と通らない人がいるのも事実です。
日本政策金融公庫の融資は、申し込みに関してはハードルは低いものの、実際に審査に通るためにはしっかりと準備をしておかなくてはいけません(審査を受け付けてもらえるかどうかと、実際に審査に通るかどうかは全く別の問題ということですね)
ここでは日本政策金融公庫の融資に一発で通るためのポイントについて解説させていただきます。
日本政策金融公庫融資のポイントは「自己資金」と「事業計画書」
日本政策金融公庫融資にスムーズに通るためには、自己資金の要件と、事業計画書の作成の2点についてしっかりと理解して準備をしておくことが大切です。
日本政策金融公庫の融資では、融資申し込み額のおよそ3分の1程度の自己資金が必要となります。
300万円の融資を希望する場合には、およそ100万円程度は貯金などの歩法で用意しておかなくては審査に通らないということですね。
なお、比較的最近になってからスタートした「新創業融資」では自己資金の要件はさらに緩和されている(融資限度額の10分の1でOKとなっています)ものの、これは「この金額しか用意できなくても審査はしてあげますよ」ということに過ぎないので注意が必要です。
実際にはよほど優良な連帯保証人がついているなどの条件がない限り、希望額の10分の1しか自己資金がなくいのに希望通りに融資が降りるということはまれです。
【自己資金は内容も重要】見せ金はダメ!
自己資金については、「その資金の出どころがどこか?」もチェックされていることに注意しましょう。
自己資金として第一に考えるのは自分で数年間かけてコツコツ貯金をしたというものですが、中には親族や友人にお金を出資してもらって事業をスタートするという人も多いかもしれません。
このように自己資金の大半が第三者からの贈与や貸与であるという場合には、日本政策金融公庫の審査では自己資金としてみなしてくれない可能性があります。
「お金に色はないんだから他人からもらったお金とはわからないのでは?」と思われる方もおられるかもしれません。
一時的に他人からお金を自分の口座に振り込んでもらって自己資金のように見せかける行為のことを「見せ金」ということがありますが、これについては審査担当者は銀行通帳の履歴を見ながら細かくチェックしているものと考えておくべきです。
このように、日本政策金融公庫の融資審査では自己資金の有無が重要な条件となります。まったく自己資金がない…という状況では審査に通るのは極めて難しいと理解しておくべきでしょう(自己資金が全くない状況では、そもそもまだ事業をスタートする段階まで至っていないと判断されてしまう可能性が高いです)
ただし、事業のために使う設備などを時間をかけて準備したというようなケースでは、そのための過去の支出は「自己資金」として考慮してもらえる可能性があります。
開業準備のための支出については経理処理にしっかりと含めておくとともに、詳細のわかる領収書や見積書をしっかりとっておくようにしましょう。
自己資金がない人は「制度融資」も検討しよう
自己資金がどうしても準備できない…という方は、「制度融資」の利用も選択肢に入れましょう。
制度融資とは、都道府県や市町村が資金提供して行われる中小企業者向けの融資のことです(信用保証協会の保証が必ず必要になるため、「保証協会付き貸付」といわれることもあります)
制度融資はあなたの事業所地にある商工会議所窓口となっていることが多いです。商工会議所では事業に関する様々なアドバイスを受けることもできますので、気軽に相談してみると良いでしょう。
事業計画書はどうやって作る?
日本政策金融公庫融資では、「事業計画書」の提出を求められます。
事業計画書とは、融資を受けた後のあなたの事業の展望について審査担当者に説明するためのものです(日本政策金融公庫のホームページからひな形をダウンロードすることができます)
事業計画書では、会計数字を用いた今期〜3期程度先までの将来予測や、現在直面している経営課題についての具体的な行動計画を盛り込む必要があります。
すでに何度か決算を行っている場合には、過去の決算書に基づいて空欄を埋めていきましょう(まだ決算を迎えていない事業者の方は、直近数ヶ月分の試算表などを使いましょう)
事業の展望を過去の実績に基づいて説明することと、資金の使い道(すぐ後で説明します)をはっきりさせることを意識して事業計画書を作り込んでいくようにしましょう。
この作業をしっかりとやっていく過程では、自分の事業の展望についてより具体的にイメージできるようになり将来の予測も立てやすくなることで安心感を持って事業に取り組めるようになるというメリットもあります。
事業計画書をしっかりと準備しておけば、面談でも自信を持って事業の展望についてアピールすることができるでしょう。
まとめ
今回はまだ事業を始めて間もない人向けに、日本政策金融公庫融資をスムーズに通すためのコツについて解説させていただきました。
本文でも解説させていただいた通り、日本政策金融公庫の融資を通すためには自己資金をいくら準備できるか?と事業計画書の内容がポイントになります。
融資担当者は何よりも「あなたにお金を貸した場合に、きちんと期限通りに返済をしてくれるかどうか」を気にかけています。
現在用意できる自己資金の金額から無理のない融資申し込みを設定した上で、あなたの事業が将来有望であることを、具体性のある事業計画書を使って説得する必要があります。
事業計画書の作成は顧問を依頼している税理士がいる場合には作成のアドバイスをしてくれることもありますので、相談してみると良いですよ。