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経理DXとは?始め方と業務別クラウド化マップ【中小企業向け実践ガイド】

業務改善

「経理担当が毎月の締め作業に追われて残業続き」
「請求書のミスや入力の手間が絶えない」

そんな悩みを抱える中小企業の経理現場では、業務の煩雑化・法令対応の強化・人材不足といった複数の課題が同時に押し寄せています。

今、こうした状況を根本から見直す手段として注目されているのが、『経理DX(デジタルトランスフォーメーション)』です。

DXと聞くと「難しそう」「うちの会社には早いかも」と感じる方も多いかもしれませんが、実際はシンプルな改善から始めることができるのです。

本記事では、「会計ソフトと銀行口座の自動連携」を出発点に、中小企業が今すぐ取り組める経理DXのステップと、おすすめのクラウドツールをご紹介します。

 

1.経理DXの第一歩は「銀行口座との連携」

「経理DXって聞くけど、何から始めたらいいの?」

「経理DX」と聞くと、専門知識が必要だったり、大規模なシステム導入が必要だったりと感じてしまうかもしれません。
ですが、多くの中小企業が最初のステップとして取り組んでいるのが「銀行口座と会計ソフトの連携」です。

紙の帳簿やExcelによる記帳作業が残っている企業にとって、もっとも手軽に業務負担を減らせる入口とも言えます。

銀行口座と会計ソフトを連携すれば、月末にまとめて入力していた記帳作業が不要になりリアルタイムでの資金確認や経営判断にもつながります。
また、スマートフォンからも確認・操作できるため、外出先でも対応できる点もメリットです。

 

主なクラウド会計ソフトと特徴

多くのクラウド型会計ソフトでは、銀行連携機能が標準搭載されています。
以下は代表的な2つのツールです。

  • マネーフォワードクラウド会計
     銀行・カード・電子マネーなどの幅広いデータを自動取得。スマホアプリも使いやすく、資金状況をいつでもチェック可能。

  • 弥生会計Next
     弥生シリーズとの連携性に優れ、銀行やカード明細をもとに自動で仕訳を作成。学習機能つきで仕訳精度も高めやすい。

サービス名 銀行口座
自動取得
クレジットカード連携 自動仕訳対応 スマホ対応
マネーフォワードクラウド会計
弥生会計 Next

「クラウド会計ソフトは使っているけど、連携はまだ」という方も少なくありません。
すでに導入済みのソフトであれば、連携機能は追加費用なしで使えるケースが多く、即日でも設定が可能です。

経理の自動化はいきなりすべてを変える必要はありません。
まずは銀行口座の連携から小さく効率化を始めてみましょう。

 

通帳の転記、手入力のミス修正、確認作業……。
それらを少しでも減らすことで本来の業務に時間を使える環境が整いますよ!

※今回は、導入実績が多く補助金活用のしやすさやサポート体制に定評のある「マネーフォワードクラウド」と「弥生シリーズ」を中心に解説しています。
他にも freee や 勘定奉行クラウド など、業種や業務体制に応じた選択肢もありますので、比較検討の一助になれば幸いです。

 

会計ソフトと銀行口座の連携で、どのような業務が具体的に効率化できるのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

銀行口座と会計ソフトをつなげて記帳を自動化!経理の手間を1/3に減らす方法
「経理の時間、もう少し減らせないかな…」 「毎月、通帳見ながら仕訳してるけど、そろそろ限界…」 そんなお悩み、ありませんか? 最近は、クラウド型の会計ソフトが当たり前になってきていますが、特に注目されているのが銀行口座との自動連携機能。 こ...

 

2.請求書・経費精算のクラウド化で紙をなくす

銀行連携で入出金まわりを自動化できたら、次に取り組みたいのが紙で行っている処理の見直しです。
中でも、請求書の発行・受領や経費精算は、紙や手作業による非効率が残りやすい業務です。クラウド化することで、作業負担とミスの削減につながります。

 

(1)請求書業務のデジタル化

ExcelやWordで毎回ゼロから請求書を作成し、印刷して封筒へもしくはPDFに変換してメール添付、月末頃に入金確認…というフローは、多くの手間を要しますよね。
クラウド請求書サービスでは、請求書の作成・送付・管理に加え、入金状況の確認や会計ソフトへの連携も一元管理できます。

  • Web上で請求書を作成して即時送付
  • 郵送代行やPDF発行にも対応
  • 入金ステータスや未収チェックも自動化
  • 会計ソフトへの連携で売上管理も可能

作成から会計ソフトへの連携を一元化できると毎月発生する業務の手間が大幅に削減され、チェック漏れやミスも減らせるようになります。

 

(2)経費精算の効率化

経費精算も、紙の申請書やExcelベースでの処理ではミスが発生しやすく、
経理担当だけでなく申請側の負担も大きい作業です。

クラウド経費精算ツールを導入すれば、

  • レシートをスマホで撮影して即申請
  • ワークフローによる承認・却下
  • 会計ソフトへの仕訳も自動で反映

といった流れをすべてオンラインで完結させることが可能になります。

 

クラウド化により、「請求」「経費」それぞれの業務がスムーズになるだけでなく、
仕訳・記帳まで自動でつながる点も、大きなメリットです。

機能 マネーフォワード 弥生シリーズ
請求書発行 クラウド請求書 Misoca(みそか)
経費精算 クラウド経費 弥生会計 Next(ベーシック以上)
会計連携 ○(自社サービス間連携) ○(弥生製品同士で連携)
スマホ対応
毎月の請求書作成や経費精算、地味に時間がかかっていませんか?
クラウド化すれば、手間のかかる処理が一気に自動化され、作業効率が大きく改善されます!
請求書業務をクラウド化するには?中小企業に最適なツール比較と導入のステップ
手作業による請求業務の負担をクラウド化で軽減。中小企業に合ったツール選びと導入の進め方を実務目線でご紹介します。

3.給与計算・労務管理のクラウド化

給与計算や勤怠管理、年末調整などの業務は、手作業が多いほど人的ミスや確認漏れのリスクが高まりやすい分野です。

加えて、労務関連の法改正や社会保険制度の変更にも対応が求められ、限られた担当者で処理する中小企業にとってはかなりの負担になっています。

クラウド型の給与計算ソフトを導入すれば、

  • 勤怠データと給与計算が自動連携
  • 給与明細の自動作成・オンライン配信まで一括対応
  • 年末調整や法定帳票の自動作成

など、月次・年次の業務を効率化しながらミスのリスクも軽減できます。

さらに、こうした仕組みを整えることで給与計算業務は“経理だけの仕事”ではなく、現場と連携したプロセスへと進化します。

  • 勤怠打刻や残業申請がスマホから可能
  • 給与明細や源泉徴収票もオンライン配信
  • 申請・承認フローを可視化・自動化

クラウド化は、制度対応・法令順守・業務の平準化にも効果的。
給与計算の負担を軽減しながら、組織全体の労務管理体制の改善にもつながります

 

項目 マネーフォワード クラウド給与 弥生給与 Next
対応範囲 勤怠・給与・年末調整を一括管理 給与・賞与・年末調整をカバー
会計連携 マネーフォワードクラウド会計と自動連携 弥生会計Nextと自動連携
主な特長 チーム運用や明細Web配信にも対応 中小企業・個人事業主に親和性の高い設計

 

エクセルや手作業での給与計算は間違いの元にもなりやすく担当者の負担も大きくなりがちです。
クラウド化で正確性と効率を両立し、安心して給与業務を任せられる体制を整えましょう。

 

4.資金繰り・経営状況の「見える化」

経理DXの真価は、単なる効率化にとどまりません。
日々の記帳や処理で蓄積されたデータを活用すれば、経営状況を“数字で見える化”できるようになるのです。

「今の状況」と「先の見通し」がわかる

クラウド会計ソフトには、資金残高・売上・費用などをリアルタイムに可視化できるダッシュボード機能が備わっています。

  • 月次の売上や利益の推移をグラフで確認
  • 直近の入出金予定をもとにした資金繰り表を自動作成
  • 損益やキャッシュフローの傾向を即座に把握

これにより、経営判断のスピードや精度が大きく変わってきます。

特に「資金繰り表を手作業で作っている」という企業にとって、クラウド会計ソフトの導入は大幅な業務負担の軽減につながります。
定期的な入金・支払情報があらかじめ記録されていれば、それらをもとに未来の資金残高や支払余力を自動で計算してくれるため、資金ショートや支払漏れといったリスクも事前に察知しやすくなります。

経営数値をリアルタイムで見える化することで、
「なんとなくの勘」ではなく、「数字に基づいた意思決定」が可能になります。

項目 マネーフォワードクラウド会計 弥生会計 Next
ダッシュボード
資金繰り表の自動作成 ○(帳票形式)
グラフ表示
予実管理 △(エクセル連携等)

 

5.補助金を活用して経理DXを後押しする

「経理業務を効率化したい」「クラウドツールを導入したい」——
そう考えても、導入コストがネックになることは少なくありません。

そこで活用したいのが、国の補助金制度です。

中小企業がクラウド型の経理ツールを導入する際に使える主な補助制度には、以下のようなものがあります。

補助金名 対象 補助率・上限 ポイント
IT導入補助金 ソフトウェア・クラウド導入 最大50万円・2/3補助(通常枠) マネーフォワード・弥生なども対象に
小規模事業者持続化補助金 経費全般(販促費含む) 上限50万円〜200万円(条件による) 会計ツール導入+業務改善のセットで使える場合も

 

利用時の注意点

補助金を使うには、いくつかの前提条件や申請ルールがあります。
事前に以下の点をチェックしておくことが重要です。

  • 導入前に申請が必要(事後申請は不可)
  • 「IT導入支援事業者」との連携が必須
  • 対象製品が登録済みであることを確認

また、年度ごとに公募時期や条件が変わるため、最新情報の確認も欠かせません。

導入コストを抑えながら経理DXを推進するうえで、補助金は強い味方になります。
少しでも導入を検討しているなら、早めに制度の内容を確認しておくのがおすすめです。

6.よくある失敗と対策

「ツールを導入すれば経理DXは完了」——
そう思っていると、思わぬ落とし穴にはまってしまうかもしれません。

(1)よくある失敗パターン

  • ソフトを入れたものの、社内の業務フローが変わっていない
  • 担当者ごとに使い方がバラバラで、二重入力や確認漏れが発生
  • 書類は紙のまま、デジタルとアナログが混在して混乱
  • 部分的にクラウド化しただけで、全体の効率が上がらない

(2)対策は「小さく始めて、段階的に拡張」

こうした失敗を防ぐには、一気に全部を変えようとしないことが重要です。

  • まずは1つの業務(銀行連携、請求書作成など)から始める
  • 操作マニュアルやフローを整備して、社内で共有・標準化
  • 慣れてきた段階で、経費・給与・レポートなど他業務へ拡張

特に中小企業では、現場の理解や慣れも大切な要素。
“できることから一歩ずつ”が、経理DX成功のカギなんです。

「使えるツール」を「使いこなすツール」にするには、人と業務の連携が欠かせません。焦らず、少しずつ社内に浸透させていく意識がポイントです!

7.まとめ

中小企業にとっての「経理DX」は、単なるIT導入ではなく、
経営の土台を強くし、未来に備えるための改革です。

銀行口座の自動連携から始まり、請求書・経費・給与・レポート管理まで、業務ごとに一歩ずつ取り組むことで、ムリなく全体最適につながります。

マネーフォワードクラウドや弥生シリーズのような信頼できるクラウドツールを活用すれば作業を減らすだけでなく、数字を活かす経理体制へと着実にシフトできます。

まずは「いちばん負担の大きい業務」から、クラウド化を始めてみましょう。
小さな変化の積み重ねが、大きな経営改善につながります。