新型コロナ対応の雇用調整助成金とは? 活用方法を解説します

財務改善

本来は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされている事業主に対して、労働者に支払う諸手当を助成する目的設けられているものが「雇用調整助成金」ですが、昨今の新型コロナウイルスによる影響が拡大してきたことをうけて特例措置が設けられることになりました。

本稿においては、従来の雇用調整助成金の概要、特例措置の内容、その後の特例措置の追加内容、などについて詳しく説明することとします。

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1.雇用調整助成金とは

雇用調整助成金とは、景気の急激な悪化や自社を取り巻く社会環境の著しい変化などの経済上の要因により、会社の事業活動を縮小せざるを得なくなってしまった経営者が、一時的に雇用調整(例えば、休業、教育訓練、出向、など)を実施することで、社員の雇用を維持・継続したケースに助成される資金のことです。

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(1)従来の制度における支給対象者の要件

従来の雇用調整助成金の支給対象者の要件は以下のようになっています。

【雇用調整助成金の支給対象者の要件】

(1)雇用保険の適用事業主である必要があります。

(2)売上高、または生産量などの事業活動を示す指標に関しては、直近3ヶ月間における月平均値が前年同期と比較して10%以上減少していることが必要です。

(3)雇用保険被保険者数と受入派遣労働者数による雇用人数を表す指標に関して、直近3ヶ月間の月平均値が前年同期と比較して、中小企業の場合には10%を超過していてかつ4人以上、中小企業以外の場合には5%を超過してかつ6人以上増加していないことが必要です。

(4)実施する雇用調整が、以下のような一定の基準を充足する必要があります。

➀休業の場合

労使協定によって、所定の労働日の一日の全て(全日)において実施されるものであること(事業所の被保険者である従業員の全員に関して一斉に1時間以上実施されるものも可、となっています。

②教育訓練の場合

と同様の基準に加えて、教育訓練の内容が、職業に関するナレッジやスキルの習得や向上を目的としており、教育訓練の受講日においては業務(除く、本助成金の対象となる教育訓練)に就いていないこと(受講者本人のレポート等の提出が必要)。

③出向の場合

対象期間内に出向がスタートして、3か月以上1年以内に出向元の事業所に復帰するものである必要があります。

(5)これまでに雇用調整助成金を支給されたことがある事業主が、あらためて新規に対象期間を設けるような場合には、直近の対象期間の満了日の翌日から1年を超過していること(クーリング期間)が必要です。

(2)受給額

従来の制度における雇用調整助成金の受給額は、休業をしたケースでは事業主が負担した休業手当の金額、そして、教育訓練を行ったケースでは賃金を負担した金額に相当する額に下の表の➀の助成率を掛けた金額となっています。

一方で、教育訓練を実施しケースにおいては、これに下表の②の金額が加算されることになります(ただし、受給額の計算においては、11日あたり8,330円が上限になる、などの複数の基準が設定されています。)。

休業や教育訓練のケースでは、初日から1年間は最大で100日分が、3年間では最大で150日分がそれぞれ受給可能となっています。出向のケースでは、最長で1年間の出向期間中であれば受給することが可能となっています。

助成内容と受給可能な金額

中小企業

中小企業以外

休業した場合は休業手当、または教育訓練を実施した場合は賃金相当額、出向を行った場合は出向元事業主の負担額に対する助成率

*ただし、対象となる労働者1人あたりで8,330円が上限(令和2年3月1日時点)

2/3

1/2

②教育訓練を実施した場合の加算額

1,200

11日あたり)

 

2.新型コロナ対策のための雇用調整助成金における特例措置について

新型コロナの拡大により多くの企業においては、対策費用の増加、売上高の低減、など大きな影響を受けている状態です。また、新型コロナウイルス特措法に基づき緊急事態宣言が発令されることになり、さらに経済活動には深刻な影響が生じることが予想されています。

このような状況において、各社は従業員に対して一時的な休業などを求めていくことが続くものと考えられます。事業主としては、可能であれば、何とか雇用は維持したままで、この難局を乗り越えたいと考えているケースが多いのではないでしょうか。

そこで国(厚生労働省)としては、従来の雇用調整助成金の制度に特例措置を設けることにより、コロナ対策に苦しんでいる事業主に対する助成を実施することにしたのです。それでは、今回のコロナ対策のための雇用調整助成金の概要とはどのようなものなのでしょうか。

当初の特例措置では、2020214日の時点で、日本と中国の間における人々の往来の急激な現象によって多大な影響を蒙る事業主であり、中国や中国人に関連する売上高、顧客数、件数が全売上高等の一定割合(10%)以上である事業主、といった項目を対象に、雇用調整助成金の支給要件の緩和が講じられました。

具体的には、令和2124日から令和2723日をスタート期日とする休業、などを対象にして、申請要件を緩和する内容となりました。申請要件に該当するような事業者は対象期間に実施した雇用調整について、本来は申請することができない「事後申請」をすることが可能になっています。

その後、ますます深刻となる新型コロナ影響拡大をうけて、令和2年328日に厚生労働省から「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置」の更なる拡大が発表されたのです。これまでの雇用調整助成金と特例措置、そして拡大措置の内容を下表のように比較してみましょう。

特例以外の場合の雇用調整助成金

特例措置

現行

(一般的なケース)

拡大措置:緊急対応期間

(4月1日~6月30日)

感染拡大を防止するため、この期間中は全国で以下の特例措置を実施

経済上の理由で事業活動を縮小することを余儀なくされた事業主

新型コロナウイルス感染症の影響を受ける「全ての業種の」事業主

新型コロナウイルス感染症の影響を受ける「全ての業種の」事業主

生産指標要件

3ヶ月で10%以上の低下)

生産指標要件を緩和

1ヶ月で10%以上の低下)

生産指標要件を緩和

1ヶ月で5%以上の低下

被保険者が対象

被保険者が対象

非雇用保険被保険者の労働者の休業も助成金の対象に含めるものとする

助成率

中小企業:2/3、大企業:1/2

助成率

中小企業:2/3、大企業:1/2

助成率

中小企業:4/5(中小)、大企業:2/3

(解雇などを実施しない場合には、中小企業:9/10、大企業:3/4

計画届は事前提出が必要

計画届の事後提出を可とする

124日~531日まで)

計画届の事後提出を可とする

124日~630日まで)

1年のクーリング期間が必要

クーリング期間を撤廃

クーリング期間を撤廃

6か月以上の被保険者期間が必要

被保険者期間の要件を撤廃

被保険者期間の要件を撤廃

支給限度日数は、1年100日、3年150

支給限度日数は、1年間で100日、3年間で150

支給限度日数は、1年間で100日、3年間で150日+上記の対象期間

今回の拡大措置のポイントは、4月1日から6月30日までの期間を「緊急対応期間」と位置付けて、感染の拡大防止のため全国で特例措置を実施する、という点にあります。緊急対応期間における拡充した例措置の内容は以下の通りとなっています。

・生産指標の要件を緩和して1か月で5%減に

従来の特例措置における「最近1か月の生産指標が前年同期に比べ10%以上減少した場合」という指標から「5%以上減少した場合」へと要件が緩和されています。

・対象者の要件を緩和して、正規と非正規を区別せずに全国で対象に

従来の特例措置では、「緊急事態宣言を発出している地域」のであれば非雇用保険被保険者の休業も対象でしたが、41日以降は全国で正規・非正規を問うことなく、雇用調整の対象となります。

・助成率の拡充

従来の助成率が、中小企業は2/3から4/5へ、大企業は1/2から2/3へ、とそれぞれ引き上げられることになりました。また解雇などを実施しない場合の助成率は、中小企業は9/10、大企業は3/4、となっています。

・事後提出期間の延長

書類を整備する前に休業などの実施ができるようになる「計画届の事後提出」が認められる期間が630日までと延びています。

・支給限度日数の拡充

41日~630日は、1年間の支給限度日数である100日とは別に、雇用調整助成金を利用することが可能になっています。

 

3.雇用調整助成金の申請手続き

特例措置以前の雇用調整助成金の申請手続きをベースにして、特例措置によって変更が生じた手続きについて補足した申請手続きの進め方について解説します。

(1)雇用調整の計画

雇用調整を実施する前に、具体的にどのような方法を用いて雇用調整を行うのかを検討して計画することになります。例えば、「休業」の検討に際しては、どの部門で、どれくらいの期間、何名が対象になるのか、といった点について考える必要があります。また、休業の対象となるメンバーはどのようにして選定したのか、その選び方に恣意性や偏りはないか、といった点についても十分に留意することが必要です。

事業所内で教育訓練を実施する場合には以下のような点に留意する必要があることです。最初のポイントは、教育の内容(カリキュラム)の決定においては、教育内容を具体的に定めて、対象者や到達目標なども設定したうえで、無理のないカリキュラム、十分な効果が期待できる教育訓練内容、を定めることが重要な点です。

2点目のポイントは、教育訓練期間の設定が必要です。カリキュラムの内容や対象メンバーのレベルに応じた訓練期間を設定することが重要なことです。具体的には、例えば13時間未満のような教育訓練期間は短過ぎて十分な効果が見込めないと考えられるため、適当な教育訓練期間とは言えないでしょう。

3点目のポイントは、講師や場所の選定です。社内で教育訓練の講師を依頼するケースでは、講師と教育訓練対象者とのコミュニケーションも密となり、教育後のフォローアップも含めて、職場の一体感が醸成されやすくなると考えられます。一方で、外部講師に依頼する場合には、専門的なスキルやナレッジを教育できるという利点があるでしょう。

社内での教育訓練であれば社内の会議室や研修室などを利用して教育を実施することが一般的だと思われますが、社内にそのような施設がない場合には、独立法人高齢・障害・求職者雇用支援機構や各都道府県の公共職業能力開発施設や職業能力開発サービスセンター、などで各企業からの相談を受け付けています。また、講師の派遣を行っているところもあるので、相談してみるとよいかもしれません。

4点目のポイントは教育訓練実施後のフォローアップの重要性です。教育を受けっぱなしでは定着が図れずに一過性の教育で終わってしまう可能性があります。したがって、教育訓練後の理解度の確認をテストなどで実施して、レポートの作成・提出を義務付けることが重要です。雇用調整助成金の申請には、教育訓練実施のエビデンスとしてこのようなレポートの提出が必要になります。

事業所外で教育訓練を実施するケースも実際には多いかもしれません。前述した独立法人高齢・障害・求職者雇用支援機構や各都道府県の公共職業能力開発施設や職業能力開発サービスセンター、などでは講師や実施場所に関して受託しているところもあります。具体的にどのような教育内容を実施しているのか、情報を収集するところから始めてみましょう。

情報収集を終えたら、具体的な教育内容(カリキュラム)の決定となります。実際に受講してみたり、訓練指導員(講師)と直接面談してみたりして、受講メンバーに適しているカリキュラムや教材、講師、などを決定します。事業所内での教育訓練と同様に、事業所外での教育訓練でも実施後のフォローアップは非常に重要となります。

雇用調整には「出向」という方法もあります。出向先を探すことは困難であると考えがちですが公益財団法人産業雇用安定センターでは、各都道府県に設けてある地方事務所で、企業間における出向の斡旋を無料で実施しています。

具体的には、民間企業から派遣された協力員が企業を訪問する、企業間における情報交換会議を開催する、出向者の送出しおよび受入れに関する情報を収集して企業間の出向に関する打ち合わせを設ける、といったことを各地のハローワークや地域商工団体などと連携して実施しています。

出向元企業と出向先企業との調整で確認・調整が必要となるのは、以下のような項目です。

出向する労働者の氏名

職種

賃金(金額とそれぞれが負担する割合)

労働保険料と社会保険料(それぞれの負担割合)

出向期間

勤務する場所

出向先における労働条件

定期健康診断

上記の内容を出向契約書に記載することになります。

また、出向元企業は出向労働者に対して、出向前に出向に関する同意を得ておく必要があり、出向先企業(事業所)における労働条件を明示することも必要です。また、出向元企業(事業所)は労働組合などとの間において出向協定を締結することが必要です。

(2)計画届

休業などを実施する場合の計画届

特例措置が設けられる前までは、休業などに関する計画届は「事前に」提出する必要がありました。(届出様式:「雇用調整助成金 休業等実施計画(変更)届」、https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000498164.pdf

しかし、特例措置実施後は、前述したように、計画届の事後提出を可としています(期間は2020124日から630日まで)。提出先は、各都道府県労働局、またはハローワーク、となっています。

また、雇用調整手段として出向を利用する場合は、届出様式として、「雇用調整助成金 出向等実施計画(変更)届」(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000498168.pdf)を提出する必要があります。

計画届に必要な書類は以下の通りです。

書類の種類

提出のタイミング

*書式

休業

職業訓練

様式第1(1)

休業等実施計画(変更)

毎回

(含む、変更届)

毎回

(含む、変更届)

A

様式第1(2)

雇用調整実施事業所の事業活動

の状況に関する申出書

初回のみ

初回のみ

B)

様式第1(4)

雇用調整実施事業所の雇用指標

の状況に関する申出書

初回のみ

初回のみ

C)

様式第1(3)

休業・教育訓練計画一覧表

休業と教育訓練を両方実施する場合は、休業の計画分についても教育訓練の分と合わせて任意提出が可能。

計画の変更届は、計画の範囲内で訓練を縮小するケースでも、変更の都度、提出が必要。

D)

確認書類(1)

休業協定書・教育訓練協定書

初回提出、以後は失効した場合に改めて提出

初回提出、以後は失効した場合に改めて提出

下記、*確認書類(1)参照

確認書類(2)

事業所の状況に関する書類

初回のみ

初回のみ

下記、*確認書類(2)参照

確認書類(3)

教育訓練の内容に関する書類

毎回

(含む、変更届)

下記、*確認書類(3)参照

*書式が掲載されているURL

A) https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000498164.pdf

B)  https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000498166.pdf

C)  https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000080306_1.pdf

D)  https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000155393.pdf

*確認書類

(1)労働組合等との協定書

雇用調整を実施する際に労働組合との間で締結した協定書

休業を実施する場合には、「休業協定書」、教育訓練を実施する場合には、「教育訓練協定書」が必要となります。どちらの場合であっても*必要記載事項が記されてなければならない。なお、休業と教育訓練を両方実施する場合には書類の名称を「休業等協定書」、として一つにまとめることができます。

*必要記載事項

「休業協定書」には、以下の(1)(3)(8)、「教育訓練協定書」又は「休業等協定書」(休業と教育訓練を両実施する場合に関する協定書)には(1)(8)の全てについて記載しなければいけません。

(1) 休業・教育訓練を実施する予定時期や日数など

休業・教育訓練の実施予定の時期(始期及び終期)、及びその間の休業・教育訓練の別の日数等

(2) 休業・教育訓練の時間数

休業の場合は、原則として、1日の所定労働時間(又はその時間に対応する始業時刻と終業時刻)。教育訓練の場合は1日の訓練時間(又はその時間に対応する訓練開始時刻と終了時刻)。時間数が複数になる場合には別紙も可。労働者1人当たりの時間数や、全労働者の延べ時間数の予定がある場合は付記が必要。

(3) 休業・教育訓練の対象労働者の範囲と人数

休業・教育訓練の期間内における休業・教育訓練を実施する対象の部門や工場などの別、及び各部門における休業・教育訓練の対象労働者の人数(確定している場合には確定数を、未確定であればその概数を、記入)

(4) 教育訓練の主体

雇用調整を行う事業主自体が実施する(含む、外部講師を活用する場合)「事業所内訓練」か、外部訓練機関へ委託して実施する「事業所外訓練」かが判明するように記載することが必要。

(5) 教育訓練の内容

教育訓練の科目、又はカリキュラム、及び学科・実技の別、を記載します。

(6) 教育訓練の実施施設

実際に教育訓練を行う訓練施設や会議室などを特定可能なように記載します。特に事業所外にある場合はその名称や所在地を記載します。

(7) 教育訓練の指導員(講師)の所属・役職・氏名

(8) 休業手当の額又は教育訓練中の賃金の額の算定基準(休業手当の金額が労働基準法第26条(平均賃金の6割以上)に違反していないものであることが必要です。また、教育訓練中の賃金額を通常の賃金の 100%未満とするような場合には、労働契約または就業規則において支給割合などの規定を実施する必要があります。)

労働者代表の確認のための書類

労働組合などとの協定書に署名又は記名押印した労働組合などの代表者が、当該事業所における労働者の過半数を代表する者であることを確認するための書類が必要です。どたらにしても、作成年月日が協定の締結前のものでなければなりません。

() 労働組合がある場合

組合員数を確認できる「組合員名簿」などの書類が必要です。

() 労働組合がない場合

労働者代表選任書」「委任状」などの書類(労働者代表及び労働者により署名又は記名押印されたものが必要です。ただし、「委任状」は署名のみでもOKで、休業などの場合は支給申請書提出時までに提出すれば問題はありません。)

(3)事業所の状況に関する書類

①事業所の概況と中小企業に該当しているかどうかを確認するための書類

a.事業内容や資本金を確認可能な、「会社案内パンフレット」、「登記事項証明書」、「法人税確

定申告書」、といった書類

b.日常的に雇用している従業員の人数を確認可能な、「労働者名簿」、「会社組織図」、といった書類

②生産指標を確認するための書類

直近3ヶ月分と前年同期3か月分の毎月の売上高、生産高、出荷高、を確認可能な「月次損益計算書」、「総勘定元帳」、「生産月報」、といった書類

③派遣を受け入れている労働者の人数を確認するための書類(派遣労働者を受け入れているケース)

直近3ヶ月分と前年同期3か月分の毎月の人数を確認することが可能な「派遣先管理台帳」

④あらかじめ定められた労働日、労働時間、休日、賃金制度などを確認可能な書類

a.事業所ごとに設定されている、所定労働日、所定休日、所定労働時間、などや、賃金締切日などの賃金制度のルール(規程)を確認可能な「就業規則」、「給与規定」、といった書類

b.休業など実施する事業所で、変形労働時間制、事業場みなし労働時間制、裁量労働制、を採用しているような場合には、上記a.に加えて、その内容に関して労働組合などとの協定書(なお、企画業務型裁量労働制を採用しているケースでは労使委員会の決議書)、または労働基準監督署に届け出た時の届出書のコピー(写し)

(4)教育訓練の内容に関する書類

①通常の教育訓練の確認に必要なの書類

通常時に実施している教育訓練内容を確認可能な「就業規則」といった書類

②雇用調整としての教育訓練を確認するために必要な書類

雇用調整の方法として実施する教育訓練内容を確認可能な書類。ただし、2回目以降となる届出の際は、前回の計画届(写)に代えることができます。

() 事業所内での教育訓練を実施する場合

a.教育訓練の計画内容(対象者、科目、講師、カリキュラム、実施期間、など)を確認可能な書類

b.生産ラインや就労場所において通常の生産活動とは分けて実施されることが確認可能な書類

c.必要なナレッジやスキルを保有している指導員や講師によって実施されることが確認可能な書類

() 事業所外訓練での教育訓練を実施する場合

a.実施主体、対象者、科目、カリキュラム、実施期間、などを確認可能な書類

b.受講料を支払ったことを証明する書類(除く、受講料が支払われない場合)

②出向を実施する場合の計画届

出向を実施する場合の計画届に必要な書類は下表の通りです。

書類の種類

提出のタイミング

*書式

様式第2(1)

出向等実施計画(変更)

毎回(含む、変更届)

A

様式第2(2)

雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書

初回のみ

B)

様式第2(3)

雇用調整実施事業所の雇用指標の状況に関する申出書

初回のみ

C)

確認書類(1)

出向協定書

初回提出、以後変更が生じた場合には提出書類(出向協定書は失効した場合にあらためて提出)

下記、*確認書類(1)参照

確認書類(2)

事業所の状況に関する書類

初回のみ

下記、*確認書類(2)参照

確認書類(7)

出向契約に関する書類

初回提出、以後変更が生じた場合には提出書類(出向協定書は失効した場合にあらためて提出)

下記、*確認書類(7)参照

*書式が掲載されているURL

A) https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000498168.pdf

B) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000080312_1.pdf

C) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000080313_1.pdf

*確認書類

(1)労働組合などとの協定書

雇用調整の実施に関して労働組合などと締結した協定書

「出向協定書」には必要記載事項(出向先の事業所名称・所在地・事業の種類・事業主の氏名(法人の場合は代表者氏名)、出向実施の予定時期と期間、出向期間中と出向終了後の処遇、出向労働者の範囲と人数)が記載されていなければなりません。

(2)事業所の状況に関する書類

上記の「休業などを実施する場合の計画届」における確認書類(2)と同様

(7)出向契約に関する書類

出向の実施に関して出向先起業と締結した出向契約書

「出向契約書」(必要記載事項は、出向元及び出向先の事業所名称・所在地、各出向労働者の出向実施時期・期間、出向期間中の処遇、出向元及び出向先の事業主間の賃金負担・補助、となっています)。

(2)雇用調整の実施

雇用調整の計画を立案して計画届を提出したら(なお、コロナ対策としての特別措置により事前提出が不要となり、提出期間要件も、前述したように、緩和されています)、計画に沿って雇用調整を実施します。

(3)雇用調整助成金の支給申請

雇用調整を実施したら、次いで雇用調整助成金の支給申請を行います。支給申請に必要な書類は以下の通りとなっています。

休業等を実施した場合の支給申請に必要な書類

書類の種類

様式第5(1)

支給申請書(休業等)

様式第5(2)

助成額算定書

様式第5(3)

休業・教育訓練実績一覧表及び所定外労働等の実施状況に関する申出書

様式第1(1)

休業等実施計画(変更)

共通要領様式第1

支給要件確認申立書

確認書類(3)

教育訓練の内容に関する書類

確認書類(4)

労働保険料に関する書類

確認書類(5)

労働・休日及び休業・教育訓練の実績に関する書類

確認書類(6)

教育訓練の受講実績に関する書類

②出向を実施した場合の支給申請に必要な書類

書類の種類

様式第6(1)

支給申請書(出向)

様式第6(2)

出向先事業所調書

様式第6(3)

出向に関する確認書

様式第6(4)

出向元事業所賃金補填額・負担額調書

様式第2(1)

出向実施計画(変更)

共通要領様式第1

支給要件確認申立書

確認書類(8)

出向の実績に関する書類

上記、②の支給申請に必要な書類の様式や詳細な手続き(ガイドブック)などについては、厚生労働省のホームページ(各種様式のURLhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080400.html、ガイドブックURLhttps://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000172253.pdf)に掲載されていますので、参照してください。

(4)労働局における審査・支給決定

支給申請手続きが完了後に、各都道府県の労働局(ハローワークにて申請受付を行うケースもあるので確認しましょう)において審査が行われて支給決定となります。

(5)支給額の振込

4.まとめ

これまで説明してきたように。新型コロナウイルスの感染拡大をうけて、従来の雇用調整助成金の受給要件を大きく緩和して、困難な立場に陥っている事業者(結果的には従業員)に対して助成措置を行うことを目的に特例措置が講じられてきました。

確かに従来の制度に比べると手続きが緩和されてはいますが、現実としては、これまで説明したように非常に多くの書類(10種類以上)が必要になり負担が重いこと、支給判定に2ヶ月以上かかることが見込まれており、今後さらに支給申請が各都道府県の労働局に殺到することが予想されていることから実際の支給までに相当の時間が必要になるという懸念があること、また助成金が支給されるまでの期間でも事業主は給与の6割相当の休業手当を支払わなければならないこと、などから、世間からは多くの不満の声が上がっているようです。

緊急事態のため、全ての人が満足するような施策を早急に実施することが難しい、という側面も理解できなくはないのですが、せっかくの助成金制度を多くの事業主が有効に活用できるように柔軟な運用が行えるようにして欲しいものです。

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【追加】
なお、
2020410日に厚生労働省は、上記のように手続きが煩雑であると批判されていた「雇用調整助成金」に関して、4月13日から申請書類の記載を半分に減らして、手続きを簡略化することを発表しました。

新型コロナ対応で注目されるテレワークに関する「テレワークの概要と導入に際して注意することを徹底解説します」の記事もご覧ください。

監修
株式会社レクリエ / 弁護士・社会保険労務士
相川祐一朗

企業法務を専門とする他、社会保険労務士の立場から、中小企業経営における「事前対応」思考への転換を図るためのコーチングも手掛ける。
働き方改革対応を始め、従業員問題への対応や就業規則改定等による強い組織構築の提案、社外との紛争解決まで、企業が直面する法的な問題全般を扱う。

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