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日本政策金融公庫について

財務改善

 

日本政策金融公庫は、基本的には前身機関である国民生活金融公庫農林漁業金融公庫中小企業金融公庫が担っていた業務を引き継いでいます。

「民業圧迫」の意見に配慮し、国民生活に深くかかわる3機関で行っていた業務が一部見直されました。た。そこで今回は日本政策金融公庫について紹介していきたいと思います。

 

 日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫は、略称を「日本公庫」と言います。2008年10月1日に発足した「比較的若い金融機関」で、以下の金融機関が前身となり(これまでの)業務を引き継ぎました。

【前身となった公庫は3つ】
 国民生活金融公庫
 農林漁業金融公庫
 中小企業金融公庫

日本政策金融公庫は一般の金融機関とは異なり「政府の出資」によって事業を行っているのが特徴です。

政府が資本金の2分の1以上を出資する法人は、国内に220(2015年のデータ)ありますが、日本政策金融公庫は「政府100%出資」の政策金融機関として機能しています。

日本政策金融公庫の目的は「政策金融の的確な実施」です。具体的な事業としては、経済の活性化や創業(新事業)の支援、起業の再生支援、ソーシャルビジネス支援、海外展開の支援、農林水産業の新たな事業の開拓や展開支援など多岐に渡ります。

 

 日本政策金融公庫の代表的な融資制度

日本政策金融公庫の主な融資制度 内容 貸付限度額
普通貸付 最もスタンダードな融資制度、事業者のほとんどが利用できる。 4,800万円まで(特別設備資金は7,200万円まで)
金融環境変化対応資金(セーフティーネット貸付) 取引している金融機関の破綻などで、資金繰りが困難な場合に受けられる融資制度 別枠で、最高4,000万円まで
取引企業倒産対応資金(セーフティーネット貸付) 取引先企業の破綻などで、資金繰りが困難な場合に受けられる融資制度 別枠で、最高3,000万円まで
経営環境変化対応資金(セーフティーネット貸付) 経営の悪化している際、受けられる融資 別枠で、最高4,800万円まで
新規開業資金 事業の新規立ち上げ、もしくは事業開始7年以内に利用できる融資制度 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで)
女性、若者、シニア起業家支援資金 女性、30歳未満の若者、55歳以上のシニア世代が利用できる融資制度 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで)
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資) 廃業後に再度、事業開始にチャレンジするための融資制度 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで)
新事業活動促進資金 経営の拡大、事業転換、第二創業に利用できる融資制度 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで)
中小企業経営力強化資金 専門家を交えた、中小企業の経営拡大に利用できる融資制度 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで)
企業活力強化資金 小売業・卸業・サービス業者は店舗の新築やリフォーム設備投資に利用できる融資制度 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで)
IT活用促進資金 「情報化投資」に活用できる融資制度 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで)
地域活性化・雇用促進資金 地方での雇用創出、地域の事業活性化に利用できる融資制度 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで)
海外展開・事業再編資金 海外進出、海外でのビジネス展開に活用できる融資制度 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで)
事業承継・集約・活性化支援資金 事業の継承に対して利用できる融資制度 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで)

 

表中にある「セーフティーネット貸付」は、一時的に資金繰りに支障をきたしているが、中長期的には回復が見込まれる中小企業の皆様は融資を受けることができます。

「ソーシャルビジネス支援」は、新たなビジネスの可能性を広げてくれる制度です。また、日本政策金融公庫では「災害の復興支援 制度」を設け、震災で被害を受けた事業者に対して特別な条件(金利の優遇など)で融資を行っています。

このほかにも、日本政策金融公庫では「環境やエネルギー対策に対する」貸付、農業や林業、漁業従事者への融資、加工業や食品流通業者への資金融資、福祉増進や衛生環境に関する融資など、さまざまな分野で事業融資や事業支援を展開しています。

 また、日本政策金融公庫は国の税金を投入して中小企業の資金面をサポートすることを目的としていますが、地方行政も地方税を投入して中小企業をサポートしていますので、公庫融資以上の借り入れを希望する場合は、各市区町村或いは都道府県による公的制度融資を活用されることをお勧めします。

「創業者支援」は、別名「スタートアップ」融資と言います。スタートアップ融資では、起業に必要な資金が調達できます。こうした『創業者融資制度』は、日本政策金融公庫のほか、各地方自治体でも融資が受けられます。自治体の融資に関しては「信用保証協会を通して審査を受ける必要」があります。

起業資金は、プロパー融資(銀行が直接貸付を行うこと)で調達できません。創業したばかりの起業は「経営の実態が把握」できないからです。起業資金は公的な制度を利用して調達しましょう。会社が設立され「雇用が生まれる」と、国の経済発展に繋がります。このため、政府出資の「日本政策金融公庫」が(起業者に)融資を行い、会社設立のサポートを行っているのです。

同様に「地域の発展」を目的として、自治体メインの融資も活発に行われています。国の融資や自治体の融資は、貸し付け条件が良く、銀行よりも融資が通りやすいのが特徴です。地方自治体の融資については、最寄りの市役所や区役所、町役場で相談をしてみましょう。地域によって(制度)内容は異なりますが、事業者融資を積極的にバックアップしています。また、地域によっては、若者やシニア世代を中心とした層への起業支援のほか、IT産業の新規参入(起業)サポート、会社運営に関する「法律相談」に力を注いでいます。

 

起業に興味のある方は、自治体に相談してみてください。銀行よりも低金利で融資が受けられ、返済負担も少なく済みます。現在、創業(起業)時に利用できる融資は、次の通りです。

融資制度の名称 内容 貸付条件
女性、若者/シニア起業家支援資金(新企業育成貸付) 女性、若者(30歳未満)、55歳以上の方を対象に「最高7,200万円」まで事業資金を融資する 設備投資は20年以内(据え置き期間は3年まで)、運転資金は7年以内(うち据え置き期間は1年)
創業支援貸付利率特例制度 新たに事業を開始する方、もしくは起業前の方を対象に融資を行う(各融資制度から、金利の引き下げを実施する) 利用できる制度については「追記:貸付利率特例制度」を参照のこと
新創業融資制度における女性向け小口創業特例制度 新たに事業を始める前の方、税務申告2期以内の事業主(女性起業家)に小口融資を行う制度 300万円以内であれば、過去の経験不要。無担保・保証人無しで融資が受けられる
生活衛生関係営業での女性創業資金繰り支援 クリーニング業・理容・美容・飲食店・生活衛生関係の事業を開始する(もしくは開始前)の女性起業家に対して、資金繰り支援を行う 300万円以内であれば、過去の経験不要。無担保・保証人無しで融資が受けられるほか、貸付金利の引き下げなど優遇措置が取られる(以下”女性の社会進出と創業支援”にて詳細を説明)

 

追記1:貸付利率特例制度について

「貸付利率特例制度」は、 以下の融資において実施されます。ここでは、金利の引き下げなど「借入の負担を少なくしてくれる」特別な措置が取られます。

貸付利率の特例が適用される制度
● 東日本大震災復興特別貸付
● 新規開業資金
● 女性、若者/シニア起業家資金
● 再チャレンジ支援融資(再挑戦支援資金)
● 新事業活動促進資金
● 中小企業経営力強化資金
● 食品貸付
● 生活衛生貸付
● 普通貸付
● 企業活力強化資金
● IT活用促進資金
● 海外展開・事業再編資金
● 事業承継・集約・活性化支援資金
● 地域活性化・雇用促進資金
● ソーシャルビジネス支援資金
● 環境・エネルギー対策資金
● 社会環境対応施設整備資金
● 企業再建資金

 

その他の創業融資

創業融資については「日本政策金融公庫」以外でも、さまざまな支援を行っています。

 地域商業自立促進事業(経済産業省:中小企業庁経営支援部)
 地域における女性活躍推進モデル事業(内閣府:男女共同参画局)
 創業・第二創業促進補助金(中小企業庁:創業・新事業促進課)

また、民間団体でもさまざまな起業支援を行っています。また、インターネット上でも、個人投資家による融資が盛んです。「ネットを使った起業支援」や設立資金の調達については、以下の記事を参考にしてください。 

 

 女性の社会進出と創業支援

年々「起業する女性の数」が増えています。実際に、国や自治体で特に力を入れているのが「女性の社会進出」です。

総理主導で女性が輝く社会の実現に向けた全国的なムーブメントを創出し、社会全体で女性の活躍を応援する気運を醸成するため、首相官邸をはじめ、全国各地で開催しています。また、「輝く女性応援会議オフィシャルサイト」を開設し、情報発信を行っています。 

日本政策金融公庫でも「女性の起業支援」を行っており(女性起業家に対して)年間 5,000件の融資を実施しています。日本政策金融公庫の中で、最も「女性人気が高い融資」制度は、次の2つです。

 新創業融資制度における女性向け小口創業特例制度(日本政策金融公庫)
 生活衛生関係営業での女性創業資金繰り支援(内閣府:男女共同参画局)

中でも、人気が高いのは「女性向け小口創業特例制度」と呼ばれる制度です。

創業2期未満の方が無担保・無保証人でご利用いただける融資制度(新創業融資制度)について、女性の小口創業を支援するため、300万円以内に限って、経験や雇用等の要件を撤廃する特例を設けます。 

融資額は「300万円」ですが、事業の経験を問わず、積極的に融資を行っています。もちろん、担保や保証人は必要ありません。審査が柔軟に行われるため、多くの女性起業家が「女性向け小口創業特例制度」を申請し、事業資金を確保しています。 

このほか、日本政策金融公庫では「生活衛生関係営業新企業育成資金」という融資制度があります。ここでは、女性の創業に関しては貸付利率の優遇(0.4%引き下げ)を行っています。また、創業から1年未満、創業前の女性には、別途0.3%(計0.7%)の金利引き下げが適用されます。女性の方は「優遇制度」を上手に活用してください。

 

その他の女性向け融資

民間団体でも「女性の起業サポート」を行っています。

 

日本政策金融公庫まとめ

今回は、日本政策金融公庫の概要について説明しました。なお、 日本政策金融公庫からの借入については、以下の記事が参考になります。ぜひ、本記事と合わせてご覧ください。

※ なお、日本政策金融公庫は国の税金を投入して中小企業の資金面をサポートすることを目的としていますが、地方行政も地方税を投入して中小企業をサポートしていますので、公庫融資以上の借り入れを希望する場合は、各市区町村或いは都道府県による公的制度融資を活用されることをお勧めします。