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損益計算書の基本的な見方。損益計算書が見れるようになるポイント!

経営分析

損益計算書とは会社の一定期間の経営成績を表したもので、決算書の1つです。「P/L」とも呼ばれます(Profit and Loss Statementの略)。損益計算書は、その企業に1年間でどのような収入(収益)があり、どのような支出(費用)があり、その結果、利益または損失がいくら出たのかの情報を明らかにします。損益計算書では、左側に費用と利益が、右側に収益が記載されます。ちなみに決算書には貸借対照表というのもありますが、こちらは、期末時点の資産、負債、純資産(資本)の状況を表したものになります。今回は損益計算書の見方について解説します。

1.損益計算書の構成

損益計算書は大きく3つのカテゴリに分類されます。

① 収益
② 費用
③ 利益

なお、この3つの関係性は下記の式で表せます。

① 収益 − ② 費用 = ③ 利益

① 収益

収益は企業の事業活動によって生み出された収入です。損益計算書上の収益には以下の3つのものがあります。

収益・・・営業収益、営業外収益、特別利益

営業収益」とは企業の営業活動によって得た収益です。簡単にいうと売上です。収益全体でも売上が占める割合が一番高くなるのが一般的です。

営業外収益」とは企業の営業活動以外で得た収益です。具体的には、金融機関からの預金利息や不動産賃貸収入(不動産賃貸が本業でない場合)が含まれます。

特別利益」とは通常の企業の営業活動以外で、一時的に発生する収益です。営業外収益との区別がやや難しいですが、営業外収益は継続的に発生が見込めるもの、特別利益はその期だけ発生するものと区別されています。具体的なものとしては、不動産売却益、備品売却益、有価証券売却益等が挙げられます。

② 費用

費用とは会社を経営していたくためにかかった支出です。損益計算書上の費用項目は以下のものがあります。

費用・・・売上原価、販売費および一般管理費、営業外費用、特別損失

「売上原価」とは商品を仕入れたり、製造したりするときにかかる費用のことを指します。

仕入れの費用や製造にかかった費用のみが売上原価に計上されます。水道光熱費や営業や事務関係の人件費等は売上原価には含まれません。

尚、水道光熱費や地代家賃などのうち製造や仕入原価に関わる費用があった場合、割合に応じて売上原価として計上します。

売上原価は一般的には変動費とも呼ばれ、売上が上がると売上原価が上がり、売上が下がると売上原価が下がることになります。

販売費および一般管理費」についてですが、事業を行う上での営業、販売関係の費用や事務、管理関係の費用が計上されます。具体的には、宣伝広告費、交際費、また製造工場などを除いた人件費や水道光熱費や家賃等です。基本的には売上原価に含まれない経費のほとんどがこの販売費および一般管理費に含まれます。売上原価の変動費に対して季節的な要因を除いた固定費となる費用が多くあります。

営業外費用」とは企業の営業活動以外で支払った費用になります。具体的には、金融機関からの借入の支払利息、手形割引料、有価証券評価損等です。

特別損失」とは通常の営業活動以外で、一時的に発生した費用です。具体的には、不動産売却損、有価証券売却損があげられます。

③ 利益

損益計算書上には利益は下記の5つの種類があります。特にア~ウは非常に重要なので、必ず意味は覚えましょう。

ア 売上総利益

売上高から売上原価を差し引いたものを売上総利益といいます。別名、粗利益ともよばれます。商品・サービスを販売したことによる利益であり、その会社の商品・サービス力を表すものでもあります。最も基本的な利益ともいわれています。 

イ 営業利益

売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いたものが営業利益です。企業の通常の営業活動で得た利益を表すのです。営業利益が高いほど、会社の本業での利益が獲得できており、事業の競争力は高いといえます。

ウ 経常利益

営業利益から営業外収益を加え、営業外損失を差し引いたものが経常利益となります。経常利益は会社全体の収益状況を表したものになります。営業活動だけでなく、本業以外での収入や支出を考慮してりものであり、会社全体として利益を計上できているのかどうかを示しています。

エ 税引き前当期純利益

経常利益から特別利益を加え、特別損失を差し引いたものです。

オ 税引き後当期純利益

税引き前当期純利益から法人税等の税金を差し引いたものです。これが最終的な利益となります。

以上が損益計算書を構成している項目となります。

 

2.  損益計算書の見方

まずは「利益」からチェックする

損益計算書はどこから見ればよいのかということですが、先述した通り、損益計算書は企業の一定期間の経営成績を表したものです。経営成績のなかでも最も重要なのは「利益」です。どれだけ収益(売上)が高くても最終的な利益を計上できなくては、意味がありません。一方で、費用がどれだけ少なくても、売上が少なく、利益が少なければ意味がありません。損益計算書上で最も重要なのは利益がどれだけ計上されているかです。そのため、損益計算書を見るときはまず利益からチェックするようにしましょう。

では、損益計算書のどの利益から見るべきかですが、規模が小さい中小企業や小規模企業の場合であれば、経常利益から見ることをお勧めします。まずは、経常利益がプラスかマイナスになっているかを確認しましょう。

経常利益 ➡ 営業利益 ➡ 売上総利益
の順で見ていくといいです。

中小企業の場合、支払う税金が少なく、税引き前当期利益や税引き後当期純利益と経常利益があまり変わらないケースがほとんどです。また、経常利益は会社全体の利益を表したものであるため、この値がプラスかマイナスかである程度、会社の業況を把握できます。ちなみに、経常利益がプラスであり、特別損益がない場合であれば当期純利益がマイナスになることは基本的にはありません。税金は利益に対してかかってくるので、利益を上回るような税金は発生しません。また。中小企業や小規模企業の場合ですと、営業利益と経常利益がほとんど変わらないケースも多いので、その場合は営業利益から見ても全く問題ありません。

損益計算書の利益についてプラス、マイナスになっているかを見ましょう。利益がプラス、マイナスとなるパターンはいくつか存在しますので、少し紹介します。

パターン ①

経常利益がプラス ➡ 営業利益がプラス ➡ 売上総利益がプラス

このパターンが一番理想的です。すべての利益がプラスとなっており、商品、サービスの販売による利益、事業活動での利益、会社全体としても利益を計上できている状態です。更に利益を計上するために、増加できる収益は何か、削減できる費用はどのようなものがあるかといったことを検討するために、収益や費用項目についてチェックをすることも大切です。

パターン ②

経常利益がマイナス ➡ 営業利益がプラス ➡ 売上総利益がプラス 

経常利益がマイナスですが、営業利益がプラスであるため、会社の本業での利益は計上できている状況です。経常利益がマイナスとなっている要因としては営業外費用の負担が大きいことが推測されます。営業外費用は本業以外での費用であり、支払利息や手形割引料、有価証券評価損があります。これらが一時的に増加しているのであれば、赤字も一時的なものと判断される場合がありますが、来期以降も同額が発生する見込みがあれば対策が必要です。

パターン ③

経常利益がマイナス ➡ 営業利益がマイナス ➡ 売上総利益がプラス

経常利益、営業利益ともにマイナスであり、本業での利益を計上できていないケースです。要因としては、販売費および一般管理費の費用が大きいか、売上原価が高く、売上総利益が低すぎることがあげられます。この場合は、販売費および一般管理費の費用負担が大きいものは何かをチェックすることや、売上原価がどの程度かかっているかをチェックしましょう。

パターン ④

経常利益がプラス ➡ 営業利益がマイナス ➡ 売上総利益がプラス

この場合は、本業での利益は計上できていませんが、本業以外の収入で会社全体としては利益が計上できている状況です。本業では利益が出せていない要因を把握することが大切です。また、本業以外の収入が今後も見込めるものかどうかも重要な要素となっています。

パターン ⑤

経常利益がマイナス ➡ 営業利益がマイナス ➡ 売上総利益がマイナス

すべての利益がマイナスとなっており、会社としては非常に危険な状態です。根本的な事業の見直しを行う必要があります。

このように経常利益から見ていくことで、どこに問題があるかを把握しやすくなります。

 

損益計算書の見方 まとめ

以上が損益計算書の基本的な見方となります。収益、費用の項目を理解し、利益の種類を把握できれば、損益計算書を見て理解することが出来ます。仕組みさえわかってしまえばそれほど難しいものではありません。言葉が難しいため、なかなか理解することが難しく感じるかもしれませんが、損益計算書を見れることはビジネスパーソンとしては非常に重要です。

補足説明としてですが、貸借対照表は決算を迎えても期末時点のそれぞれの勘定科目の残高が翌期に繰り越されますが、損益計算書は翌期の始めにはゼロから始まります。

従って損益計算書の当期純利益はその期一年間だけの利益となりますが、貸借対照表の繰越利益剰余金は、会社設立からその時点に至るまでのトータルした利益ということになります。