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法人税の滞納が融資に与える影響は?差し押さえ回避のための具体的手法

法人税滞納の状況をイメージする画像 財務改善

税金滞納は税務上、差押え対象になります。国民は「勤労の義務」「納税の義務」があるという憲法から生まれた法規が税法です。税法規定と法規的強制力は国家財政と深く関係しますが、現代は自治体が新しい税を地方議会決議で独自に徴収権を持てます。

会社に関係する税は、国税では法人税、源泉所得税、消費税などがありますが、地法税では法人県市民税、事業税、固定資産税などがあります。現代、民泊流行なる経済状況に目をつけ自治体は「宿泊税」などを設定しまています。

今回の記事では、税金滞納はなぜ事業の足を引っ張るかを検討しましょう。

税金滞納は決して許されるべきではありません。最悪は差押え処分が担当者権限でできる事実を知っておきましょう。行政官は確かに人の子ですので、行政法に応じた斟酌を行ってしまいます。権限を持つ行政担当官は、税金滞納したら利息が高くなるのをよく知っていますので、税金滞納者に督促し分納相談を持ちかけます。

ただし、分納相談は互いの口頭約束ですので、帰署して真面目に公文書記録に残します。これには一定の信ぴょう性があり、間違った記録は職務として許されません。したがって、必ず上司の決裁を仰ぎ、担当者の責任は上司が受けます。

ちなみに公文書は私文書と違い「みなし規定」とされ、信用性は高いとされていますが、裁判の証拠書類として提出しても反証されたなら、信用されないとして引っくり返される、公務員が記録した文書です。

 

1.税金滞納処分は国だけではなく、地方自治体もできる

国税職員は滞納者に対し差押え権限をいつでも執行できますが、地方自治体も同様に税務関連部門は権限を持っています。基本的法規を根拠とするならば、「国税徴収法」です。都道府県など自治体の徴収権は、国税徴収法を準拠とした「差押え権限」が行政委任事務として、各自治体の担当セクションに落とし込まれる実務になっています。

国税組織であれ、地方自治体組織であれ、税金滞納者に対してはいつでも差押え権限は執行できます。督促状の催告文書だけで法的差押えはできますが、情的感覚力が案外重要ですので、自転車をこいで滞納者を訪問し、留守であれば督促状の後追い文書をドアポストに投函するなどの措置を取っているのが実態です。

そこまでやっても滞納者から何も反応がなかったら、税務担当者はまず調査済の財産を差し押さえます。差押え対象財産は銀行預金、取引先の売掛金などの債権差押えが主流になってきました。不動産は簡単に売却(公売という)ができませんので、換金性が速い債権を押さえにかかります。

結局、納税者の性向も様々ですので、いきなり税務課に怒鳴り込むケースがあります。税務職員の覚悟と仕事能力は、怒鳴り込み対処であり、怒鳴り込みされるようではまだ税務官として青臭いとされています。

国税を滞納している場合、地方税も滞納している場合が一般的に多いですので、国税側と地方税側の差押え競争になることは言うまでもありません。

 

2.  差押え回避のためには、分納相談をすること

税務徴収官はいきなり差押えするより、相談して分納相談に向き合います。向き合ってもダメなら差し押さえ権限を発動しますが、感情的に納税者の逆恨みを買うわけです。税務職員のネックは、税務職員名簿などが一般書店で売られているため、職員名など名簿購入者は誰もが知っています。同時に名刺は支給されますが、滅多に納税者には渡しません。

会社経営者はいくら税務職員が若い担当者だったとしても、権力組織がバックになっていますので、よく知らなければ防衛できないと同時に、すべてを粗探しされ、差押えまでされてしまいます。最近は昔の税務行政より厳しくなってしまった現状がありますので、極力分納相談に向かっていきましょう。

 

3.  税金滞納は負けられない延滞税という利息税金がある

税金滞納は延滞税という強制的利息税が存在しています。いつまでも滞納状況を放置していれば利息がかさみ支払金が多額になります。これは分納相談しようが、差押え処分を受けても関係なく計算式として連続していますので、馬鹿にならない損なくじを引く結果になります。

ところが、裏の手法として、徴収担当者は延滞税の利息を下げる方法(換価の猶予)を知っています。しかし、人の言葉に疑い深い職業ですので、納税者と分納約束相談しても簡単には信用しません。一定期間(実務的に3カ月程度)において分納したら、信用できるかどうかを担当官は判定します。

「換価の猶予」という税法上認められた制度をご存じでしょうか。残念ながら、滞納納税者がいくら訴えても受け入れませんが、決定権は税務当局側になっている現状があります。

「換価の猶予」は法的権利ですが、税金を分納すれば延滞税が半額になります。行政組織内では担当官が決めても、決裁が上にあがり認めれなければ効力がありません。いくら法的知識を知って税務窓口を訴えても、税金滞納者の言い分を信用できない税務職は、簡単に「換価の猶予」を決定しませんので注意しましょう。

国家と租税法律主義が存在する限り、税の賦課と徴収は連携した仕事として成立する国家権力側仕事です。賦課決定は調査部門が行いますので、決まった税金を支払わなければ徴収部門で差押え対象になります。延滞税は遅延利息ですが、税であり本税を基準計算にするため、あとになって交渉しても安くしてくれないため、本税決定のときが重要になります。よく知っておいてください。

 

4.  税金滞納リスクは社会的信用を失う

税金を滞納すると、まず金融機関の融資を受けることはできません。企業経営のずさんさを指摘され、信用性がなくなるからです。金融において社会的信用は第一優先ですので、税金を滞納すると、どのような事情があっても考慮してくれません。納税するための融資はありますが、滞納税金を納税するための融資はないと考えましょう。

特に税務調査は折り合いのつけ方が肝心ですので、優秀な税理士に相談してみてください。無理に理不尽さを訴えて戦うと、国税当局もムキになって戦いに挑んできます。まだ国税不服審査および訴訟になる前の段階ですので、おカネと税金の問題ですが、折り合いのつけ方は大事です。

税金の支払い能力は経費支出と同様に予定されますので、先行資金繰りで先々を予定しておきます。数年に一度の税務調査から発生する納税リスクはあるかもしれませんので、会社経営として予備費などの勘定科目で貯蓄し、不測の事態に対処できるように資金プールしておきましょう。

予備費は納税だけに限らず訴訟費用などに充当するために設定しておく資金です。ある意味で財務的リスクヘッジは経営会計には必要です。経営はチャレンジとリスクヘッジを持たなければ発展しませんので、マネジメント力、ガバナンス力の適切さが要求されます。

キャッシュフロー経営の大切さは、「健全な財務体質はキャッシュフローから」の記事でも詳しく解説しています。

 

税金滞納 まとめ

税金滞納について、従来型手法では差押えと分納相談です。企業経営において、税金滞納は金融機関から見ると信用がないと判定され、融資実行はされません。税金を払うために融資を実行されるときはありますが、それは近い将来納税が発生するときに行われる企業の資金繰りの問題です、。

税金を滞納する企業は社会的信用を失うばかりか、資金繰りまで苦しくなります。滞納したとき、行政側の最終処分は「差押え」になりますが、国が賦課する国税と地方自治体が賦課する地方税において、それぞれの滞納処分は競争原理が働いています。現代では昔と違い、地方税滞納について各自治体も積極的に滞納処分を行っています。

社会における税認識が厳しくなるにつれ、滞納処分は同様に厳しくなるものです。ですから、税金計算は企業の先行資金繰りにおいて、あらかじめ予定するようにしておき、滞納リスクを避けるために、融資相談が必要ならば先手を打って金融機関や商工会議所等に相談しましょう。必要な支出は決まっていますから、先々を常に考えておき対処してください。

資金繰りが厳しいとお考えの経営者の方は、「会社の資金が足りない!資金ショートを防ぐために有効な手段とは」の記事も参考にしてみてください。

延滞税の利率について
[国税庁ホームページ/No.9205 延滞税について/平成29年4月1日現在法令等]