起業したてでまだ資金的に体力がない…という事業主の人にとって、資金繰りを助けてくれる金融機関の選択肢は多いに越したことはありません。
起業まもない事業主の方が利用しやすい金融機関としては、日本政策金融公庫が有名ですが、地方自治体が主導して運営している「制度融資」も強い味方になってくれますよ。
ここでは制度融資とはどのような組織なのかといったことから、実際に制度融資に申し込みを行うときの手続きの流れについて解説させていただきます。
金融機関から少しでも良い条件で借り入れをしたいと考えている事業主の方はぜひ参考にしてみてくださいね。
制度融資とはどんなもの?
制度融資は、日本政策金融公庫と並んで「公的融資」といわれる融資制度です。
制度融資は、都道府県や市町村が金融機関に対してお金を供給して、そのお金を事業者に対して貸し出すという仕組みになっています。
通常、事業者がお金を借りる時には連帯保証人を準備しなくてはなりませんが、制度融資の場合には「信用保証協会」という公的な組織に保証料を支払うことで保証をしてもらうことができます。
まだ信用力の低い創業まもない事業者の人でも信用保証協会から保証を受けることがでるため、低金利で金融機関からお金を借りることができるというわけです。
制度融資のメリットとデメリット
比較的創業まもない事業者の方でも利用しやすい制度融資ですが、メリットとデメリットがあることもしっておきましょう。
制度融資のメリット
制度融資を使うことのメリットは、一般の金融機関と比べると低金利となることが多いことが挙げられます。
日本政策金融公庫の新創業融資なども低金利が魅力ですが、それでも担保を提供した場合で基準利率は1.16〜2.35%となっています(平成29年3月現在)
制度融資の場合、貸付金利は1%未満となることもあります。
制度融資の融資利率が低い理由としては、信用保証協会の保証がうけられるという点が大きいです。
お金を貸す側としては、万が一あなたがお金を返せない状態になったとしても、保証協会が借金を代わりに支払ってくれるので最低限のリスクでお金を貸せるというわけですね。
制度融資のデメリット
制度融資のデメリットは、融資の実行までかなり時間がかかってしまうことです。
これは制度融資の審査は金融機関、自治体、保証協会と3つの運営団体から受けないといけないためです。
制度融資の融資実行までは最低でも2ヶ月程度は見ておく必要があります。
一般的な金融機関や日本政策金融公庫であれば2週間〜1ヶ月程度で融資実行まで進めることが多いので、この点は制度融資のデメリットということができます。
制度融資の利用を検討する場合には、資金が必要になるタイミングよりかなり早めに審査申し込みを行う必要があります。
制度融資の申し込み手続きは?
制度融資への申し込みは、地方自治体(都道府県や市区町村)単位で受付されます。
会社の事業所を置いている地方自治体の窓口で「制度融資を利用したい」という旨相談してみましょう(実際に役場に行く前に電話予約しておきましょう)
その場で中小企業診断士といった人たちから簡単な事業計画書の作成アドバイスを受けることができるケースもあります。
この時点で特に問題がなければ、地方自治体から紹介状が発行してもらえます。
紹介状を持って金融機関へ
制度融資で実際にお金を貸してくれるのは銀行などの金融機関ですから、制度融資を取り扱っている金融機関で手続きを行います。
事業計画書や会社の商業登記などの必要書類を求められますので、申し込みを行うとともに提出しましょう。
信用保証協会の審査
次に信用保証協会に審査を申し込みます。
信用保証協会は万が一あなたがお金を返せなくなった時に借金を肩代わりしてくれる組織ですので、当然保証について審査があります。
信用保証協会に対して申し込みを行うと、面談などを通して審査の可否が通知されます。
審査が問題なければ融資実行
この後、金融機関、信用保証協会の両方で審査が行われます。
信用保証協会の審査に通ることさえできれば金融機関の審査はほぼ問題ないと考えておいて大丈夫ですが、すべての審査が終了するまでは2ヶ月程度はかかりますので注意しましょう。
審査が完了すると晴れてあなたの銀行口座にお金が振り込まれることになります。
まとめ
今回は、起業してまもない方向けに制度融資のメリットやデメリットについて解説させていただきました。
大手の都市銀行などからは相手にしてもらいにくい創業当初の事業者にとって、制度融資などの公的金融機関の融資は強い味方になってくれます。
特に、起業後まもない時期は売上も安定していないケースが多いでしょうから、金融機関に対して支払わなくてはならない利息の負担は少しでも小さくしておきたいものです。
これから初めて金融機関から融資を受けることを検討しているという方や、一般的な金融機関への融資を申し込んだけれど満足のいく結果を得られなかったという方は、制度融資の利用を検討してみると良いでしょう。