みなさんは、給与明細から引かれている社会保険料がどのような手続きで計算されているのかご存知でしょうか?経営者になったら、是非どのような保険があるか覚えておきましょう。知らないと、従業員を採用する時に、困ってしまうこともありますので、基礎は押させておきましょう。
社会保険の事務手続きは、社員を採用した時から、退職まで様々な手続きがあります。大きく分けると、「入社手続き」、「変更手続き」「給付手続き」「退職手続き」があります。今回は「入社手続き」、「退職手続き」を中心にお話をさせて頂きます。
社員が入社した場合にはどのような手続きがあるのでしょうか?健康保険、厚生年金、雇用保険の3つの具体的な例で見ていきましょう。
■ 健康保険についてご存知でしょうか?
健康保険とは、生活を守るための1つで、病気やケガでの出費に対して自己負担が軽減されます。病院に行った時の治療費を負担してもらえる保険になります。病気やケガによる医療費が発生した場合の一般的な自己負担額は3割となります。※3歳未満については2割、70歳以上については1割になっています。また、出産育児に対して一時金が支給される保険でもあります。
この保険は会社員が加入対象者となり、保険料は、企業と従業員が折半して保険料の支払いを行います。そのため、みなさんの給与から引かれている社会保険料は、総額の半分になります。また、保険への加入、離脱手続きは企業が行う必要があります。
■ 申請期限はどうなっているのでしょうか?
社会保険の資格取得は5日以内に会社が年金事務所に届出を行う必要があります。
■ 加入できるのはすべての従業員でしょうか?パートアルバイトのも加入できるのでしょうか?
加入の対象者は会社に常時雇用される70歳未満の者は、国籍をとわず厚生年金保険の被保険者になります。
パートアルバイトの方も下記の要件を満たせば対象となります。
1日の所定労働時間が社員のおおむね4分の3以上で、1カ月の勤務日数が一般社員の所定労働日数のおおむね4分3以上であれば、加入要件を満たすことになります。
パートアルバイト加入対象の例
会社の社員の労働時間が8時間で、週休2日制の場合、6時間以上勤務していて、1カ月15日以上勤務している場合はアルバイトやパートでも、社員と同じように、加入条件を満たし加入することになります。
■ 退職時の手続きについて
退職したときの社会保険の資格喪失は5日以内に行わなければなりません。資格喪失が遅れると、在職していない人の社会保険料を負担し続けることになりますので、注意が必要です。
■ 厚生年金についてご存知でしょうか?
次に、厚生年金について見てみましょう。
厚生年金保険は、会社などで働く人たちが加入する公的年金になります。公的年金の代表的なものには、「国民年金」と「厚生年金」があります。「国民年金」は1階部分、「厚生年金」は、1階部分の「国民年金」も含んでおります。そのことから、厚生年金を「2階部分」と呼ばれます。1階部分と2階部分を合わせて「厚生年金」と呼び、国民年金も含まれているために、1階部分に2階部分の年金が増えてるために、国民年金よりも年金支給額が増加します。
■ 申請期限、加入要件はどうなっているのでしょうか?
健康保険加入時に、厚生年金も加入する仕組みとなっているために、手続きは健康保険と一緒に行うことになります。
■ 雇用保険とはどのような保険でしょうか?
雇用保険には、『失業給付』『雇用安定事業』『能力開発事業』の3つの事業があります。では、それぞれの内容について見てみましょう。
『失業給付』
失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行います。もし、みなさんが会社を退職した場合に、働いていた時に雇用保険に加入していれば、ハローワークに行き手続きを行い一定の要件を満たせば、失業手当などをもらうことができます
『雇用安定事業』 『能力開発事業』
教育訓練を受けるために、必要な給付をおこなったり、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等の促進活動を行っております。
■ 申請期限
雇用保険の加入手続きは翌月の10日までに行う必要があります。
新しく人を採用して雇用保険に加入する資格取得手続きは翌月10日までに行います。4月1日入社であれば、5月10日までにすれば、問題ありません。
■ 退職時
雇用保険の喪失手続きは10日以内に被保険者喪失届・離職票の作成は10日以内に行うことになっています。喪失届を行っていないと、従業員が次の就職する会社でで資格取得の手続きを行っても、喪失届をしていないと加入することができません。雇用保険の個人番号は会社を変わっても継続するためです。また、6カ月以上遅れて喪失の手続きをすると、退職日を確認できる出勤簿などの添付書類が必要となってきます。
■ まとめ
今回は、社会保険料の事務手続きについてお話をさせて頂きました。支払う給与以外にも、会社が負担すべき保険料もあります。もし、会社が負担すべき保険料も考えずに、人件費を決めてしまうと、後から予想していた以上に経費が発生してしまうこともあります。経営者の方は、会社が負担する保険料も含めて人件費率を計算しましょう。