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コンタクトレステクノロジーとは?将来性やメリット、活用事例を解説。

コンタクトレステクノロジーとは? 業務改善

新型コロナ感染症が拡大する前からコンタクトレス(非接触型)の技術は徐々に普及はしていましたが、コロナ禍が長期化、深刻化するとともにこれまで以上に大きな注目を浴びるテクノロジーとなっています。

本稿では、コンタクトレス・テクノロジーとはどのようなものか、コンタクトレス・テクノロジーのメリットとデメリット、コンタクトレス・テクノロジーの具体的な活用事例、コンタクトレス・テクノロジーの将来性、などについて解説します。

1.コンタクトレス・テクノロジーとは

コンタクトレス・テクノロジーとは、その言葉通り、コンタクト(接触)しない技術のことを意味しており、コンタクトレス・テクノロジーを活用することで台頭する経済活動や経済状態のことをコンタクトレス・エコノミーと呼んでいます。また、他にも「タッチレス・テクノロジー」、「タッチレス・エコノミー」とも呼ばれています。

例えば、従来であれば、実際にスマホのボタンを押したり、カードを物理的にカード・リーダー(カードの自動読みとり機)に挿入したり、実際に買いたい品物を買い物カゴに入れてレジに並んでお金を払ったり、というコンタクト(接触)を必要とする技術(テクノロジー)が中心だったと言えます。

しかし、デジタル・テクノロジーの進化の中で、わざわざ実際に「モノ」に触れて何らかの活動をしない方が、便利ではないか、清潔ではないか、などの意見が増えてきたことから、徐々にコンタクトレス(非接触)・テクノロジーが様々な場面に導入されてきました。

こうした状況が進んでいる環境下において、新型コロナ感染症が発生して、我々の生活に大きな影響を与えることになったのです。新型コロナ感染症を防ぐためには、いわゆる「3密(密閉、密集、密接)」を回避することが重要である、という認識が広がり、他人が触れたものにはそのままではなるべく触れないこと、という傾向が強まっています。

具体的には、ドアノブ、コンビニやシーパーの自動レジ、金融機関のATM、などで利用されているタッチパネルに手や指を触れる、ということ自体は高い感染リスクへと繋がるので、できるだけ回避したいと考えるのが人情です。

そこで、実際に触れなくても(コンタクトレスでも)、デジタル・デバイスを稼働させることが可能な、コンタクトレス・テクノロジーに大きな注目が集まっています。この「コンタクトレス・テクノロジー」において必要となるセンシング(センサー)のテクノロジーは、わが国の企業が高い技術力・競争力を保有していることから、世界のセンサー市場における日本企業のシェアは約5割にもなる、と言われています。

わが国が得意なテクノロジーを活用することで新規ビジネスを生み出すことが大いに求められており、人工知能(AI)やセンサーといった技術を利用して、様々な企業がコンタクトレス・テクノロジーの開発商品化を競争している、という状況にあると考えられます。

コンタクトレス・テクノロジーにおける重要なポイントは、

  1. コンタクトレス・テクノロジーを活用した製品には「センサー(センシング技術」が必要不可欠
  2. 日本企業はコンタクトレス型(非接触型)の製品開発や販売に注力

という2点を挙げることができます。

 

(1)コンタクトレス・テクノロジーを活用した製品には「センサー(センシング技術」が必要不可欠

新型コロナウイルス感染症が急激に拡大した環境下において、「コンタクトしない(接触しない)」という技術へに注目が集まっており、多くの日本企業で、例えば、手をかざすことで目的会を選べるようなエレベーターや、マスクをかけた状態で顔認証などが可能なコンタクトレスな新たな製品の開発・マーケットへの投入、などが急ピッチで進められています。

このような新たな商品が続々と開発可能なバックグラウンドには日本企業の高度な「センサー(センシング)」技術の存在を抜きにしては語れません。

「センサー(センシング)技術」とは、対象となる物理的な状態の変化などを捕捉して、その変化をデジタル信号へと変換・出力することができる設備装置・機器類のことを言います。

国内企業には、距離、速度、光、音、温度、圧力、電気、といった色々な現象に対して活用可能な「センサー」技術を有しており、高い競争力も持っています。代表例としては、世界各国・各企業において激烈な開発競争が展開されている自動車の無人運転(自動運転)技術の実現化には多くの「センサー」が必要不可欠なのです。

(2)日本企業はコンタクトレス型(非接触型)の製品開発や販売に注力

例えば、NECではマスクと眼鏡の両方を着けているようなケースにおいても、認識が可能で、マスクを外すために顔に手を触れることなく、本人確認をすることができる「顔認証技術」を開発しています。

顔が見えている箇所を「センサー」で抽出して、鼻や口などの形状や位置といった顔の似ているポイントを照らし合わせて認証をします。だたに精度を向上させて市販化を目指しています。

また、「センサー」を製造しているオプテックス社グループでは、衛生面への配慮やウイルスに感染するリスクを抑制するために、よく人々が触ってしまう場所に利用可能なコンタクトレスなスイッチである「クリーンスイッチ」という製品を生み出しました。

スイッチのある場所に手をかざすことで(ドアノブに触れなくても)、ドアの開閉が可能になるので、病院などの医療機関においてウイルスによる感染リスクを抑制・軽減することが可能です。新型コロナ感染症の拡大により、このような製品に対するでニーズが非常に高まっていることもあり、2020年3月に既に発売になっています。

 

2.コンタクトレス・テクノロジーのメリットとデメリット

コロナ禍が継続している環境下においては、コンタクトレス・テクノロジーを活用した商品開発は継続されるものと考えられますが、コンタクトレス・テクノロジーのメリットとデメリットを十分に踏まえて、利用することが重要であると考えられます。

 

(1)コンタクトレス・テクノロジーのメリット

  1. 感染拡大の予防と安全の確保
  2. 顧客(主に来場客)に不快感を与えない
  3. 人件費・人的コストの抑制・削減

感染拡大の予防と安全の確保

最初に、現在のようなコロナ禍においては「接触(コンタクト)」することが、即ち、感染リスクに直結する、と考えられてしまうので、コンタクトレスの最大の利点は「感染拡大の予防」と「安の全確保」になります。いわゆる、「新生活様式」や「ニューノーマル」といった新たなライフスタイルにもマッチした技術である、と言えるでしょう。

顧客(主に来場客)に不快感を与えない

衛生面や安全面を確保することが可能、ということは、ショッピングモールや役所などの公共的な施設、そして、病院などの、不特定多数の人々が集まる場所で「お客様に対して不快感を与えることがない」という利点も生じるでしょう。

人件費・人的コストの抑制・削減

例えば、来場されたお客様の検温をする、レストランでお客様からの注文を取る、といった行動においては、これまでは必ず人手が必要でした。しかし、これらの行動をコンタクトレス・テクノロジーを活用した方法・ツールに代替させることが可能になれば、その分の人件費・人的コストを抑制・削減することが可能になるでしょう。

(2)コンタクトレス・テクノロジーのデメリット

コンタクトレス・テクノロジーにはメリットばかりのような気がするかもしれませんが、以下のようなデメリットがあることも認識しておくことが大切です。

  1. 初期費用(導入費用)がかかる
  2. 従業員に対する教育が必要になる
  3. 利用できなくなった場合などの対応マニュアルが必要

初期費用(導入費用)がかかる

コンタクトレス・テクノロジーを活用した製品を新たに導入するためには、導入にかかる費用、いわゆる初期費用が発生します。ある程度普及しているようなコンタクトレス・テクノロジーを利用している製品であれば、初期費用もこなれていることも想定できますが、まったく新しい技術を活用した製品の場合はどうしても導入費用は高額になってしまいがちです。

また、前述した病院などの医療現場で利用する機器類には精密さも求められることから、高額な初期費用になってしまう可能性も否めません。費用対効果をあらかじめ見積もったうえで導入の是非を検討することが必要になるのではないでしょうか。

従業員に対する教育が必要になる

コンタクト・テクノロジーを利用している製品に限ったことではないのですが、実際にそのようなツールを使用する従業員に対して、使用方法などを学習してもらう時間が必要になります。これは従業員にスムーズに顧客サービスを実施してもらうということと同時に、顧客からの使用方法などの問い合わせにきちんと対応してもらうためにも欠かせない教育と言えるでしょう。

特に実際に触らずにサービスを提供される側(お客様)からすると心理的な不安を持つ人は多い可能性があります。そこで誤った操作により、何度も同じことを実施してしまったり、機器類が動かなくなってしまったりして、困ってしまうお客様が増加してしまうかもしれません。

そのような場合にはお客様を非難するようなことは絶対にしてはならず(顧客離れの原因になりかねません)、逆に自社の製品やサービスを増やすチャンスだと思って、より丁寧な対応を心掛けることが重要です。つまり、そういった心理的な面でのケアもできるような社員教育を施すことが大切になります。

利用できなくなった場合などの対応マニュアルが必要

前述したように、社員教育は必要ですが、同じような問い合わせが続くことも十分に考えられます。その度にわかる人を探して対応してもらうのは非効率です。したがって、そのような場合の対応策をマニュアル化しておいて、だれでも対応できるようにしておくことが業務の効率化に繋がると考えられます。

 

3.コンタクトレス・テクノロジーの具体的な活用事例

それでは、ここで実際にコンタクトレス・テクノロジーを活用している内外企業の実例を紹介します。

(1)国内企業 (2)海外企業
企業名 事例 企業名 事例
①フジテック株式会社 既存エレベーター向けタッチレスボタン ①Nuro 代替医療施設などで物資を輸送
②株式会社ジークス AI顔認識・非接触サーモグラフィー体温計 ②アスラテック 医療施設などへ自律走行型ロボットを無償で提供
③合同会社優心 後付け可能のセンサー式水道タップ「ieUSE」 ③NAVYA ウイルス検体を自動運転バスを用いて輸送
④株式会社クラウドポイント タッチレスブラインド ④Pony.ai 無人配送サービスにロボタクシーを活用
⑤株式会社ショップパートナー 空中操作のユーザーインターフェース ⑤Neolix/アントワーク 中国で注目を集める配送ロボットやドローン

(1)国内企業

①フジテック株式会社

エレベーター、エスカレーター、などの専業製造業である、フジテック株式会社では、自社がこれまでに製造したエレベーターに対して、コンタクトレスで操作ができる「非接触(タッチレス)ボタン」を発売しています。これは、ボタンに接触することなく、コンタクトレスなエレベーターを実現しています。

既に設置・稼働しているエレベーターの中と各フロアーの乗り場に設置されているコントロール・パネル(操作盤)を、それぞれ非接触型のボタンも組み込まれている新たなコントロール・パネルに交換することでコンタクトレスなエレベーターに利用が可能になるのです。

フジテック社の非接触型ボタンでは赤外線ビームを用いたセンサーを使っていますす。手をセンサーにかざすと赤外線ビームの反射が検知されて反応する、というシステムでボタンにコンタクト(触れる)必要がなく、コンタクトレスでエレベーターを操作できるのです。

仮に、目的とする階を押し間違えた場合であっても、再度手をかざづことによりキャンセル(指示の取り消し)が可能です。さらに、コントロール・パネルにに近付いた人間の姿に反応することで、誤った動作が発生しないような仕組みも組み込まれています。

そして、コントロール・パネル付近を掃除する場合には、センサーの部分を拭いて掃除するときちんと認識してしまうのですが、そのようなケースでは、キャンセル機能を利用して、再度手をかざすことでキャンセル可能です。

また災害が発生したような場合は、コンタクトレス(タッチレス)の機能が無効になり、普通のボタン操作で動かすことができます。元々、この既存のエレベーター向けの非接触型(タッチレス)ボタン、はコロナ対策要としてではなく、病院、要介護者向け施設、食品工場、といった、衛生面に配慮が必要な施設に向けて開発された製品だったとのことです。

しかしながら、ウィズ・コロナ時代を迎えるとともに、多くの人々が新たな生活様式に対して関心を持つような状況下で、もともとは考えてもいなかった大型ショッピング施設、構想マンション、など、様々な施設から問い合わせた注文が集まっている、とのことです。

②株式会社ジークス

株式会社ジークスでは、人工知能(AI)による顔認証システムを利用したコンタクトレス(非接触)なサーモグラフィー体温計の取扱をスタートさせています。これが、人工知能(AI)を用いた顔認証テクノロジーを利用することにより、高性能・高機能なサーモカメラと表示画面(ディスプレイ)とを一体化させたサイネージ型の検温システムである「グラウドサーモサイネージシステム」という商品です。

新型コロナウイルス感染が拡大する中において、ショッピングモールなどの大型商業施設や大規模なイベント会場などで迅速かつ正確に顧客や来場客の体温を測定したいという要望に応える製品です。

この製品では、歩行中であっても、一度のタイミングで最大30人もの複数の人数の検温をすることができます。もし、体温が高い人を検知したら警告灯が灯り、音声、画面、メール、によって警告することになります。簡単に設置できるので、いろいろなタイプの施設や会場などで利用することができます。そこで働くスタッフや来場するお客様などの感染リスクを低減するとともに、検温に係る人件費の削減・抑制へと繋げられるシステムと言えます。

③合同会社優心

合同会社優心では、一般の住宅向けの、後付けができるセンサー式の水道タップ「ieUSE」という商品の取扱をおこなっています。この商品は、コンタクトレス(非接触型)で、水道のハンドルに触ることなく水が出てくる水道のタップです。このような水道タップは、大型商業施設、空港、ターミナル駅、などでは頻繁に目にします。しかしながら、一般住宅ではコンタクトレスの水道タップを導入、備え付けている家庭は少ないものと思われます。

新型コロナ感染症の影響がまだまだ残るような中では、自宅においても何回も1日に手を洗うことが多いでしょう。一方で、手が汚れているような場合には、水道のハンドル自身の衛生状況も心配になるので、何回も水道のハンドルを掃除することが必要になってしまいます。そこで、コンタクトレス(非接触型)の水道タップに交換したい、と考えたとしても、水回りに関するリフォーム工事に必要な費用や時間などを考えると、つい躊躇してしまうことが多いのではないでしょうか。

合同会社優心が取り扱っている製品が、現在、自宅で使用している水道タップに非常に簡単に取り付けることが可能な、後付けOKのセンサー式の水道タップなのです。

センサーの下の部分に手をかざすことで、センサーから手を離すと流水が止まるインスタントモードと、側面に手をかざすと連続して水が流れ3分後には自動的に流水が停止する連続流水モード、の2つのモードを使い分けることができます。

自宅の水道タップの衛生面・利便性などが気になる人にとっては、多くの費用や時間をかけることなく簡単に導入することが可能な製品だと言えるでしょう。

④株式会社クラウドポイント

デジタルサイネージなどを取り扱っている株式会社クラウドポイントでは、IoTのデバイスやコンタクトレス(非接触)なセンサーと連動して、オン・オフのスイッチにタッチすることなく、居室や会場などの空間を仕切ることができる「タッチレスブラインド」という製品の販売をスタートさせています。

コンタクトレスセンサー、音声によるオペレーション、などを可能にしているIoTデバイスと連動することによって、操作ハンドルや切替スイッチなどに触ることなく、視界を遮断することを瞬時に切り替える(オン・オフにする)ことができます。また、衛生的であり、プライバシーも守ることが可能です。

最新の液晶テクノロジーを活用しており、具体的には、瞬間調光フィルムに対して電圧をかけることで、白濁した状態を透明な状態に変化させる、という仕組みになっています。会社の会議室、病院、自宅での書斎などのプライベートな空間、などにおいて色々な利用方法を目的に開発された製品です。

⑤株式会社ショップパートナー

システム開発を社業としている株式会社ショップパートナーでは、コンタクトレスな空中におけるオペレーションを可能にするUI(ユーザー・インターフェース)製品を取り扱っています。

例えば、駅の券売機、デジタルサイネージ看板、案内板、などは不特定多数の人間がコンタクト(触る)するタッチパネルを使っているので衛生が気になりますし、極力触れたくないと思ってしまうでしょう。そのUI(ユーザーインターフェイス)を、画像系人工知能(画像系AI)を利用してコンタクトレスで空中で操作することができる仕組です。

具体的には、レストランで注文したいメニューをあらかじめチョイスするような券売機のコンタクトレスなUI(ユーザーインターフェイス)画面上いくつかのメニューが表示された場合に、空中で指を動かしてカーソルを移動させてメニューを選択することが可能です。そしてメニューが決まったら、指で「OK」とジェスチャーをすれば認識されるので、発券されることになります。

あるジェスチャーを登録して、券売機などの機能を自分好みにカスタマイズすることが可能で、不特定多数の人々が利用するような環境においても、直感的に操作することができます。他にも、ドライブスルーなどにおいて、距離的にUI(ユーザー・インターフェイス)画面に手が届かないような状況であっても有効に機能します。公共施設、飲食店、商業施設、工場、医療現場、などでこれまでのUIから置き換えることを想定しているそうです。

 

(2)海外企業

①Nuro

米国のNuro社は自動車サイズの自動運転による配送ロボットの開発を手掛けています。新型コロナウイルス感染症の影響拡大を防止するために無人の車両である「R2」を役に立てることが可能かどうかを検討すると同時に、社会貢献を目的に米連邦、州政府、地方組織、などと協議を始めています。

現在は、患者を収容する代替的な医療施設としてR2が利用されており、屋内競技場のスリープトレインアリーナでは医薬品配送、試験施設、野戦病院、といった様々な目的に使われるイベントセンターとして、食料、水、などの物資を輸送するために配備されているそうです。

②アスラテック

アスラテック社はソフトバンクグループでロボット開発を担っている企業です(日本国内の企業ですが、文中の「RICE」は香港のRice Robotics社が開発した製品なので「海外企業」の事例に含めています)。

2020年4月にアスラテックは医療機関などを対象にした、新型コロナウイルス感染症対策に向けたロボットを活用するソリューションを無償提供することを発表しました。そのソリューションとは、①VRcon for Peppeを活用したリモートによる会話ソリューション、②リモートで操作可能なロボットによる消毒ソリューション、③自律して走行することが可能なロボット「RICE」を用いた無人の配送ソリューション、という3種類で、緊急事態の最中であっても稼働させなければならない生活のインフラをサポートするような業種にたいして提供します。

香港のRice Robotics社が開発したRICEとは、屋内向けの自律走行が可能なロボットで、品物の配送やお客様の先導や案内などを実施可能な機能を搭載しています。香港では、ホテルでの導入をメインに進めており、入国者(入境者)の義務となっている2週間(14日間)の隔離政策(強制検疫)で、隔離の対象者とコンタクト(接触)することがなく、食事や生活に必要な物資などを届ける目的で活用されているそうです。

③NAVYA

アメリカのフロリダ州ジャクソンビルにあるMayo Clinicという医療施設では、フランスのNAVYA社の自動運転バスであるNAVYA ARMAを利用してコロナウイルスの検体を輸送しています。

ジャクソンビルの交通局とNAVYA、さらには自動運転のソリューション開発を取り扱っているBeep社は、自動運転の実証実験に以前から取り組んでいて、昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大、という有事にもスピーディーに対応することができており、これは今までの実証実験の成果である、と言えそうです。

④Pony.ai

中国のスタートアップ・ベンチャー企業であるPony.ai社は、自動運転の開発を手掛けています。実用化を目的に実証実験を推進しているロボタクシーの車両を活用して、アメリカのカリフォルニア州アーバインにおいて、無人、コンタクトレス(非接触)型の配送サービスに既に着手しています。

Eコマース企業である米国のYamibuy社とも提携して、受注する(注文が入る)と同時に自動運転の自動車がYamibuy社の倉庫に向かい、注文された荷物を自動車に積載して注文者に向かいます。そして、無人自動車が到着したら注文者へ連絡が入ることで、無人自動車の中から注文した荷物を受け取ることができる仕組となっています。

上記の他にも、Pony.ai社は、カリフォルニア州フリーモントにおいても、複合的な生活施設における緊急避難所のプログラムにおいて、住民に対して食事を届ける、という取り組みを実施しています。

⑤Neolix/アントワーク

新型コロナウイルス感染症が発生した起源とされている中国においては、*自動運転レベル4が可能な無人配送のロボット開発を手掛けているNeolix社に注文が集中しているようです。

<自動運転レベルとは>

自動運転化レベルとは、0〜6までのレベルが設定されていて、各レベルの名称、主体、走行領域、定義、などが下表のように定まっています。

自動運転化レベル 名称 主体 走行領域
運転自動化なし 人間
運転支援 人間 限定的
部分運転自動化 人間 限定的
条件付き運転自動化 自動車 限定的
高度運転自動化 自動車 限定的
完全運転自動化 自動車 限定なし

新型コロナ感染症の拡大を防止するために、中国においては配達員の居住地域への立ち入りを規模しく規制しており、移動制限を実施しています。そして結果的に自動配送ロボットに対して多くの注目が集まったと言えます。

ドローンを活用した物流事業を手掛けているアントワーク社では、中国の浙江省において、ドローンを活用した医薬品・検査キットといった医療関連物資を病院から疾病管理センターへと運ぶ、ドローンを活用した医療物資の輸送プロジェクト、をスタートさせたようです。

また、上記の他にも、インターネットを利用した出前サービスの大手企業である美団点評が、自動運転の自動車を活用した食品の配送事業をスタートする、という報道も流れており、新型コロナウイルス感染症の拡大をビジネスチャンスとして捉えて、コンタクトレスな配送手段に世間の大きな注目が集まっている、と言えます。

 

4.コンタクトレス・テクノロジーの将来性

新型コロナ感染症の状況によってはコンタクトレス・テクノロジーの将来性は大きく変わるかもしれませんが、少なくとも、新生活様式に沿ったコンタクトレスな技術を使った製品の我々の生活における利便性を考えると、簡単にこの技術が廃れてしまうことは考えにくいでしょう。

つまり、新型コロナ感染症の状況によって影響を受けることはあるかもしれませんが、今後もコンタクトレス・テクノロジーの活用、商品開発、などはより進化・深化していくものと考えられるのです。

まとめ

新型コロナ感染症の拡大を受けて、コンタクトレス・テクノロジーには今まで以上に注目が集まっています。既に様々なコンタクトレス・テクノロジーを活用した製品・サービスは登場しており、今後はさらにマーケットが広がっていくものと考えられます。

つまり、コンタクトレス・テクノロジーに関連したマーケットでは、日本企業のみならず、世界中の企業との競争がますます激化していくことが予想されます。コンタクトレス・テクノロジーの活用により、利用者にとって本当に役に立つ商品・サービスが開発・普及することを願っています。

 

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