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コロナ禍で活用される有望テクノロジーを徹底解説。

コロナ禍で活用される有望テクノロジー徹底解説 業務改善

新型コロナ感染症の拡大は投資家の投資(出資)行動にも大きな影響を与えています。スタートアップ企業に対する投資意欲は、コロナ前までは非常に高いものがありましたが、コロナ後は投資資金を手元に保留している投資家が非常に増加し、新型コロナの動向や投資候補先の状況を見守っている事態が続いている、と言えます。

このような状況下において、新型コロナの影響を受けて業績が芳しくない企業への投資は見送って新たな投資先へと乗り換える動きが加速しています。コロナ対策の関連事業に携わっているスタートアップ企業に注目が集まるのは当然かもしれませんが、ポストコロナを見据えて有望だと考えられているテクノロジーにはどのようなものがあるのでしょうか。それぞれのテクノロジーの概要、メリットと課題、将来の展望、などを詳しく解説します。

1.コロナ禍で活用される有望テクノロジーとは

新型コロナ感染症の拡大は新しいテクノロジーの活用方法を生み出しています。多くの国で導入されているコロナ禍ならではの技術としては、例えば、濃厚接触者・感染者の確認・追跡アプリを先ずは挙げることができます。本稿では、コロナ禍で活用される可能性が高い新たなテクノロジーについて説明します。

<コロナ禍で活用される有望テクノロジー>

  1. 遠隔監視(ネットワーク・カメラ)
  2. オンライン決済
  3. クラウドコンピューティング
  4. VR/AR
  5. 人工知能(AI)
  6. 5G通信

(1)遠隔監視(ネットワーク・カメラ)

遠隔監視(ネットワーク・カメラ)システムとは、例えば、自宅にいながら会社、駐車場、などの離れた場所の状況をいながらリモートカメラで監視することができるシステムのことを言います。インターネット回線を利用することで遠隔地の画像をパソコンやスマホなどでモニタリングできます。

これまでも遠隔監視は可能でしたが、カメラをサーバーに接続するといった手間や費用がかかることがネックでした。しかし、現在ではサーバー機能が搭載されたカメラが登場しており、カメラ単体でシステムを構築することが可能になっています。

テレワークが拡大することにより、夜警や宿直といった業務に携わる機会も減少することとなり、無人警備を前提とした体制を構築する必要があります。そこで遠隔監視システムを利用することにより、テレワーク勤務に対応したモニタリングが実行可能になるのです。

また、遠隔監視のメリットとしては、画像を録画したい場合には、パソコンに録画ソフトを組み込む(インストールする)ことにより、録画システムを構築することが可能である点を挙げることもできます。

一方で遠隔監視システムを導入する際の課題としては、以下のようなポイントが指摘されています。

①サーバー機能搭載カメラの台数が増加すると、映像の帯域が大きくなる(負荷が重くなる)ため映像が表示される速度が遅くなってしまう

⇒カメラ台数が増えても映像速度が劣化しない高性能なカメラもありますが、価格が高いという課題が別途生じてしまいます。

②インターネットを経由して画像が録画されることになるため、ネットワークにトラブルが生じてしまうと録画ができない

③高感度カメラなどの機器の種類が少ないので、設置場所に適したカメラのチョイスが簡単ではない

遠隔監視はオフィスビルやマンションなどの監視・防犯カメラとしてのみならず、クラウド化の進展によって活用方法が様々な場面への拡大しています。中にはネットワーク・カメラ専用の格安SIMも販売されており、無線を利用して、インターネットを利用せずに、取得した画像データをセキュリティの高いクラウドに格納する、といることも容易く実現することも可能になっています。

例えば、工場内部や建設現場のモニタリング(監視)、ビニールハウス内部の農作物の生育状況や害獣・害虫による被害状況のモニタリング(監視)、医療介護現場でのモニタリング(見守り)サービス、などにおいてもネットワーク・カメラの活用範囲は広がっています。電源をオンにするだけで利用できるような操作性の簡単さ、外出先から画像を確認できる利便性の高さ、などを活用した事例が増加しています。

IPアドレスを保有して、インターネットを経由して画像の情報を送付できる遠隔監視(ネットワーク・カメラ)は、IoTやAIといった様々な新しいテクノロジーとの組み合わせにより、さらに今後は活用される範囲が拡大していくものと思われます。

既にモニタリングの目的のみならず、例えば、マーケティングや業務効率化などの活用例が行われています。遠隔で監視しつつ、情報の収集や蓄積も可能なネットワーク・カメラの特長を活かした利用方法を検討することで、新たな商機も誕生していくかもしれません。

(2)オンライン決済

オンライン決済とはインターネットを介して買い物などの決済を行う方法のことです。例えば、クレジットカードによる決済をオンライン決済と思っている人がいるかもしれませんが、店頭でクレジットカードを提示して買い物をする行為はオフライン決済になります。つまり、クレジットカードによる決済はオンライン決済の場合も、オフライン決済の場合もあり得るのです。

つまり、自宅に居ながらネットショップでクレジットカード情報を画面に入力して買い物をすることをオンライン決済、と呼ぶのです。事業者によっては、オンライン決済・オフライン決済の両方の決済手段を導入しているところも多いのが現状です。

コロナ禍において他人との接触を避け、外出も控えている、という状況ではネットショップを中心とした自宅にいたままで買い物ができる、という手段は利便性や安全性が高いことから利用者が大きく増加したものと考えられます。

オンライン決済の種類 概要
①クレジットカード決済 ネット上の決済画面に購入者がクレジットカード情報を入力することで、すぐにその場で決済が完了します。決済金額は、購入者のクレジットカードの引き落とし口座から契約で決められたた期日に引き落とされます。
②銀行決済 オンラインでの銀行決済は、ネット専業銀行(楽天銀行、ジャパンネット銀行、など)やペイジー(Pay-easy)によるインターネットバンキングやATMを利用することにより決済を実行します。
③キャリア決済 キャリア決済とは、携帯電話会社(NTTドコモ、au、ソフトバンク、など)やインターネットプロバイダなどの通信キャリアが実施している決済サービスのことです。前述したキャリアと契約している利用者が、インターネットで購入した商品の代金を通信料金と一緒に支払うことができるサービスです。
④電子マネー決済 電子マネー決済とは、現金を事前に前払い(チャージ)して、商品などを購入するというプリペイド方式の決済手段のことを言います。
主な電子マネーには「Suica」「Pasmo」などの交通系のものと「nanaco」「WAON」などの流通系のものの大きく2種類に分かれます。
⑤ID決済 大手企業が提供しているサービスの利用者のIDとパスワードを使用することで支払いが可能な決済手段のことです。例えば、国内ID決済サービスは「LINE Pay」や「リクルートかんたん支払い」などが、海外のID決済は「Amazon Pay」「PayPal」」などが有名です。
⑥コンビニ決済 コンビニ決済とは、オンラインサービスにおいて決済する際に「コンビニ決済」を選んでコンビニで料金を支払う決済手段のことです。
前払い方式(コンビニに決済画面で表示される受付番号を持参して支払う方法)と、後払い方式(商品が到着した後にコンビニに払込票を持ち込んで支払う方法)の2種類の支払方法があります。

(3)クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティング(cloud computing)とは、コンピュータの処理能力や機能、ソフトウェア(アプリケーション)、格納しているデータ、といったものをインターネット回線を代表とする通信網(ネットワーク)を経由しサービスにアクセスしてリモートで(遠隔地から)利用すること、あるいはそのようなサービスのことを言います。

サービスを提供する企業は規模の大きなデータセンターなどを用意して、数多くのサーバーや通信機材などを設置して、広域回線網(WAN)であるインターネットなどを介して、遠隔地からサービスの契約をしている利用者にシステムを操作してもらいます。利用者はサービスに登録すれば、すぐに既に準備されているシステムが提供する機能などにアクセス・使用することが可能になっています。

クラウドコンピューティング以前では、パソコンに最初にソフトウェアをインストールする必要がありましたし、バージョンアップの度に面倒なインストール作業をしなければならなかったし、セキュリティ確保のために別途ソフトを準備する必要があったり、と非常に煩雑かつ手間・コストがかかっていました。

ところが、クラウドコンピューティングによるサービスは、バージョンアップもセキュリティも、サービス提供側で実施してくれるので、安心かつ手軽に利用することが可能になっています。利用者は機器やソフトウェアなどを買切る費用がなく、インターネット回線のような利用する期間や実績に対応して料金を支払うことになります。公開されている(オープンな)サービスであれば、インターネットの環境さえ整えておけば、どこであっても自分が操作する画面やデータにアクセスすることが可能になります。

一般の消費者向けのクラウドコンピューティングサービスのケースでは、登録やベーシックな機能の使用は無料としておいて、追加する機能や増加した容量に対して、毎月一定の金額額を課金する*「フリーミアムモデル」を採用している例が多いようです。

*フリーミアムモデル
フリーミアムとは、「フリー」(free)と「プレミアム」(premium)を組み合わせた造語で、ソフトウェアやインターネットサービスなどを提供する方法の一つで、ベーシックな機能や内容は無償で提供し、高度な機能などは有償で販売する方法のことを言います。

<クラウドコンピューティングのメリットとデメリット>

メリット デメリット
個人向け
  • バックアップが不要
  • どこからでもアクセスできる
  • 保存容量を気にかけなくてもよい
  • インストールや更新作業の必要がない
  • メールなどの情報内容が分析されているリスクがあり得る
  • 今後永遠に利用可能な保証はない
企業向け
  • 初期費用が少額
  • 従量制課金による無駄のなさ
  • 保守、管理費用の抑制
  • いつでもどこでもアクセスが可能
  • 自社独自のカスタマイズが難しい
  • セキュリティ面での不安(情報流出リスク)
  • 過剰依存のリスク(自社管理とのバランスが重要)

コロナ禍においては、テレワークの拡大に伴い、自宅やコワーキングスペースなどからでもアクセスが可能でメンテナンスの手間が不要なクラウドコンピューティングのサービスも利用者が増大することになり、より一層活発に利用されています。

 

(4)VR/AR

新型コロナ感染症の影響で直接の対面や面談が制限されている中において、VRやARといった技術の活用に注目が集まっています。VRやARだけでなくMRやSRについても解説します。

<VR/AR/MR/SRの概要>

VR AR MR SR
正式名 Virtual Reality Augmented Reality Mixed Reality Substitutional Reality
日本語訳 仮想現実 拡張現実 複合現実 代替現実
技術 モニター(画面)上の仮想世界の中に自分が存在しているかのような体験ができる技術のこと。 現実の世界に仮想現実を拡張させることが可能な技術のこと。 MRは、ARとは反対に、仮想(デジタル)空間に現実の世界を反映させる技術のこと。 SRは、現時点では実験段階の技術です。過去の映像を今の出来事のように認識(錯覚)させるような技術のこと。
メリット
  • 物理的制限がない
  • 非日常的な体験が可能
  • シミュレーションが可能
  • 時間や経費のコスト削減
  • 作業の効率化
  • 企業研修に利用が可能
  • 現実には存在しないものを確認することができる
  • リアルタイムで合成することが可能
  • 将来的には認知療法などの医療分野で役立つことが期待
デメリット
  • 依存の可能性
  • 現実と仮想現実の区別ができなくなる可能性
  • 導入にコストが発生
  • データ通信量が多い
  • VR酔いの発生
  • スマホやタブレットなどの端末が必要
  • AR専用アプリのダウンロードやインターネット回線などが必要
  • 動作が回線の速度や状態に依存
  • MRを通じて得られた感動や興奮を体を他者への達(アウトプット)することが困難
  • MRはこれから本格的に発展する技術なので実際に体験できる機会がまだ少ない
  • 具体的な活用はこれから

上記のように様々なXR技術(VR、AR、MR、SR、などの技術の総称)に注目が集まっていますが、既に現実に様々な分野で利用されているVRがコロナ禍においてどのように活用されているのか、について説明します。

テレワークが拡大する中でZOOMなどを利用したWeb会議がビジネス場面でも増えてきましたが、そこには新たな課題も生じてきました。例えば、「仲間内での雑談がしにくい」「参加意識が薄くて当事者意識が低くなる」といった、実際の対面コミュニケーションに比べると物足りない点です。

そこで、VR技術を利用して、同じタイミングで複数のメンバーが設定された会議室(バーチャル空間)にアクセスして、書類やホワイトボードなどのデータも共有しつつ、相互にコミュニケーションをすることができる企業向けのプラットフォームサービスを提供している会社もあります(NEUTRANS BIZ社)。

(5) 人工知能(AI)

人工知能(AI)とは、「Artificial Intelligence」(人工知能)の略称で、人間が行っている行動の一部をソフトウェアに代替させて再現することが可能になるので、ビジネスのみならず日常生活のシーンにおいても様々な仕事をすることができます。人口知能(AI)は、音声や画像の認識や自然言語の処理(言語を理解したうえで文章を作成できる)などはできますが、ゼロから何かを作り上げることや人の感情を理解することはできません。したがって、マネジメント業務や保育士などの仕事を完全に人工知能(AI)に任せることは不可能です。

<人工知能(AI)のメリットとデメリット>

人口知能(AI)のメリット 人工知能(AI)のデメリット
  1. 業務の効率化
  2. 労働力不足の解消
  3. データ分析
  4. 利便性
  1. 責任の所在
  2. 思考プロセスがブラックボックス化
  3. 雇用の減少

【人工知能(AI)のメリット】

①業務の効率化

人工知能(AI)は、様々な分野の単純作業を人間に代替して実施することが可能になります。例えば、企業の場合には、ルーティーン化しているような単純な決まり切った作業を人工知能(AI)に任せることにより、業務を効率化することができるでしょう。また、医療の分野では、CT/MRI画像などから人工知能(AI)が病気の状態状を診断することにより、診断する時間を約80%も削減することができます。人工知能(AI)は人間の脳では記憶しておくことが難しい量のデータを保有できるので、様々な病気に関して学習、診断をすることが可能なのです。

また、教育の分野では、試験の採点の自動化や生徒の特性に応じた学習の最適化といった面に人工知能(AI)を役に立てています。試験の採点のような細かい作業が減少することで、教育という業務の効率化が可能になる、いう点は企業の業務効率化と同様です。

②労働力不足の解消

人工知能(AI)は少子高齢化による労働力不足に悩んでいる日本の企業にとっては救世主となる可能性があります。人工知能(AI)が活躍している場所は身近にも存在しているかもしれません。例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでセルフレジが設置されているのを見たことがあるかもしれません。

このような店舗の無人化への取り組みには人工知能(AI)を活用したシステムの構築が非常に重要になっています。また、危険な場所でのロボットによる作業の場面などにおいて人工知能(AI)が活躍することにより、不足している人間の労働力を補っているのです。

③データ分析

人工知能(AI)は蓄積された膨大なデータを分析することにも長けています。例えば、医療データの分析や予測の速度や能力に関しては人間の能力を上回ります。このような能力に関しては、ビジネスの場面における経営やマーケティングなどの分野で大いに役立つことが期待されています。

④利便性

例えば、iPhoneに搭載されているSiriの機能や日本語アプリの予測変換など、既に我々の日常生活は人工知能(AI)とは切り離すことができない状態になっている、と言っても過言ではないでしょう。他にも、ECサイトを運営しているAmazonのように非常に多くの利用者を保有しているサービスでは、これまでの閲覧や利用した履歴や実績から、本人に合った商品をレコメンド(推薦)してくれます。このようなサービスを提供できるのも、人工知能(AI)を活用していることのメリットだと言えるでしょう。

【人工知能(AI)のデメリット】

①責任の所在

人口知能(AI)のデメリットとしてよく挙げられるのは、責任の所在が明確でない、という点でしょう。例えば、人工知能(AI)を利用して自動運転をしていた自動車が事故を起こしてしまったような場合には、事故の責任は運転者にあるのか、それとも自動車にあるの、現在の法律では明確に定まっていません。

今後このような問題に対しても法律が整備されていくものと考えられますが、現状では人口知能(AI)を利用する場合にはリスクがあることをあらかじめ承知しておくことは非常に重要だと考えられます。

②思考プロセスがブラックボックス化

人間であれば、結論に至る過程の思考を段階的に表明することが可能ですし、他人にも思考のプロセスを伝達して理解してもらうことができます。しかし、人工知能(AI)の場合は、結論に至る思考プロセスが外部からは見えない、という点が問題になります。

つまり、思考プロセスに何かしらの問題が生じている場合であっても結論が下されることになりますので、人間の場合であれば可能な「プロセス検証」をすることが不可能なケースが発生してしまう可能性が考えられるのです。

③雇用の減少

人工知能(AI)が単純化された作業などの場面で活用されることが増えれば、これまでそのような仕事に従事していた人にとっては職場が奪われてしまうことになります。例えば、銀行の窓口業務やホテルの受付業務などは、徐々に人工知能(AI)に一部が置き換えられています。このように、人工知能(AI)の発展は、人間の雇用機会の減少に繋がる可能性が高い、と言えそうです。

これまで説明してきたように人工知能(AI)にはメリットもデメリットも存在していますが、今後人工知能(AI)の活用は増えこそすれ、減っていくことは考えにくいと言えます。したがって、人工知能(AI)のメリットとデメリットを十分に踏まえたうえで、「適切に」活用していくことが重要だと考えます。

(6)5G通信

最近耳にすることが多くなってきた5Gですが、正式名称は「第5世代移動通信システム」と言います。これまで主流であった通信規格・通信技術は4Gでしたが、5Gでは4Gでの高速かつ大容量なテクノロジーをさらに進化させて、加えて低遅延、多数接続、という特徴を持つ通信が可能になります。5Gでは4Gで使用する帯域幅よりもさらに広い帯域幅を使用するため、同時に大量のデータを送受信することが可能になります。

また、5GではMassive MIMO(多数のアンテナ素子を使用してデータ送受信をする技術)とビームフォーミング技術(決まった方向に電波などの指向性を高める技術)とを組み合わせることにより、電波を利用者ごとに絞って向けることで高速通信が可能になるのです。

既に大手キャリアなどから5Gに対応しているスマートフォン機種が発売されていますが、今後利用者が増加することが予想されており、徐々に4Gから5Gへと利用者が移行するものと思われます。

<5Gのメリットとデメリット>

5Gのメリット 5Gのデメリット
  1. 大容量通信が可能になる
  2. 通信遅延が発生しにくくなる
  3. 多くの端末に同時接続ができる
  1. 高いセキュリティリスク
  2. 対応端末が必要

【5Gのメリット】

①大容量通信が可能になる

4Gにおける通信速度は最大1Gbpsくらいとなっていますが、5Gでは4Gの約100倍となる100Gbpsの無線伝送が可能になっています。これは、5Gで利用する周波数帯域幅を拡大したことアンテナのテクノロジー進化などによって実現することができました。

このような技術革新により、これまで4Gでは10秒間が必要だったデータ通信の時間が、5Gでは0.1秒以下にまで短くすることが可能です。スマホなどによるインターネットの利用がますます快適になり、4Gでは技術的に対応することが難しかった(容量や速度の限界により)、4Kや8Kといった高緻細動画を配信することやVR/ARなどを利用したサービスの提供も実現可能となります。

②通信遅延が発生しにくくなる

4Gでは、データ通信の際に10ms(0.01秒)ほど遅延が発生すると言われている一方で、5Gではほんの1ms(0,0001秒)ほどです。ほぼリアルタイムでデータ送受信をすることが可能となっており、音声・画像のズレが発生しません。これは、新たなアーキテクチャの導入や無線インターフェースの改善などにより実現可能になりました。

上記のメリットは、特に「高い精度の要求される作業」で活用されることが期待できます。例えば、遠隔地にいる医師が患者に対して医療行為を実施するリモート医療やコンピューターをリモート操作して自動車を操縦する自動運転、などを活用が期待できる事例として挙げることが可能です。

③多くの端末に同時接続ができる

5Gは、端末の同時接続数、と言う点においても優れていると言えます。4Gの端末接続範囲数は10万デバイス/㎢となっていますが、5Gの場合には100万デバイス/㎢となります。これは「グラント・フリー技術」(端末と通信吉局との通信をシンプル化する技術)や「ネットワークスライシング」技術」(目的・途に対応してネットワークを分割する技術)によって、大きく進化し実現可能になりました。

5Gにより同時接続範囲数が増加したことで、多数の人間が一斉に会場に集合するようなエンターテイメント分野や周囲の様々な機器をインターネットに接続するIoTの分野などにおいて活用が期待されています。

日本国内においてはコロナ禍の影響で多くの大手キャリアショップが時短営業や閉店を余儀なくされており、このタイミングが5Gサービス開始の2020年3月~と重なったことから、5G端末の販売が停滞するということになりました。

今後は、まもなく登場すると言われている5G対応のiPhoneと格安スマホの普及状況によっては、5G利用者が爆発的に増加するかもしれません。これまで5Gのビジネス活用という点では遠隔(リモート)操作IoTといった利用方法ばかりが注目されていました。

つまり、遅延発生の少なさや同時に多数続が可能、といった利点を踏まえた活用方法が可能になるというスタンドアロンでの運用が本命視されていたのですが、コロナ禍により働き方をDX(デジタルトランスフォーメーション、デジタル技術が進化して我々の生活をより豊かにする)することが必要になってきたこともあり、NSA(4Gのネットワークと5Gの通信基地局を組み合わせたシステム構成)の環境下であっても、5Gを有効活用する方法が見えてきつつある、と言えるでしょう。

実際に、一部のキャリアでは5Gに対応しているWi-Fiルーターが品薄になっている、という情報も増えてきたようです。今後、テレワークが一般的な働き方として定着するようなことになれば、5Gwpビジネスシーンにおいて活用するという流れは急速に進展する可能性があります。

まとめ

新型コロナ感染症の拡大は多くのビジネスに停滞・中止、といったマイナスの影響を与えています。しかし、様々な新たなテクノロジーを活用することにより、コロナ禍に対抗しようという機運が盛り上がっていることもまた事実として起きています。

新型コロナ感染症は、他人との接触や3密(密閉、密集、密接)を避けること、を私たちの日常に求めることとなりましたが、例えば、これまでクライアントと直接会って打ち合わせていたものをWeb会議で済ませるようにする、など、様々な工夫をしながら新型コロナ感染症に罹患しないように自分の行動を変容させることになりました。

この我々の行動変容を技術的に支えてくれたものが、遠隔監視(ネットワーク・カメラ)、オンライン決済、クラウドコンピューティング、VR/AR、人工知能(AI)、5G通信、などの様々な新たなテクノロジーなのです。これらの新たなテクノロジーに関連したベンチャー企業に対しては、今後さらに注目が集まり、出資者も増加する可能性が十分に考えられます。

まだ新型コロナ感染症は世の中から絶滅したわけではなく、今後さらにコロナの流行が増加する可能性を指摘している人もいます。しかし、私たちが保有している知識や技術を総動員することで、新型コロナ感染症による負の影響に抗して、我々が望んでいる生活を送れるように努めることが極めて大切だと考えています。

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