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「健康保険資格喪失届」の知識まとめ!必要書類と記入方法を全紹介

健康保険資格喪失届をイメージする画像 起業家の基礎知識

資格喪失届とは、正式には「被保険者資格喪失届」と呼ばれており、従業員が死亡、退職、転勤した場合、または一定の年齢になって厚生年金保険と健康保険の資格を失った従業員が在籍しているような会社に対して提出が義務付けられている書類です。

具体的にどのような場合に資格喪失届を提出しなければならないのか、どのような内容を記載しなければならないのか、記載・提出の際の留意点はどのようなポイントか、などについて詳しく説明します。

 

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1.資格喪失届とは

従業員が解雇、退職、死亡などの理由で健康保険及び厚生年金保険の資格を喪失する場合に手続きに必要となる書類が資格喪失届(正式名称は「被保険者資格喪失届」)です。転職の際に資格喪失届の提出が遅れてしまうと、転職先での健康保険証の交付が遅くなってしまう可能性もありますので、迅速に資格喪失届の手続きを行う必要があります。

従業員が退職する場合には健康保険と厚生年金保険の手続が必要になりますが、事業主は資格喪失届を日本年金機構と加入している健康保険組合に提出をしなければなりません。資格喪失届と一緒に健康保険証の提出も必要になりますので、従業員の退職時には従業員から健康保険証を返却してもらわなければいけません。

 

2.資格喪失届に必要な書類と記入方法

資格喪失届の届出用紙は日本年金機構と加入している健康保険組合のホームページなどからダウンロードすることが可能で、記入例も同時に記載されています。日本年金機構のホームページに掲載されている資格喪失届の様式は下記のURLを参照してください。

https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo.html

(1)資格喪失届に記載する内容

被保険者資格喪失届に記載する主な内容とは、対象となる従業員の氏名・生年月日、年金手帳の基礎年金番号・資格喪失の原因、月額標準報酬、となっています。また、健康保険および厚生年金保険の資格喪失原因については、退職や死亡などの区分から選択する方式となっています。

具体的には、①「70歳到達」(従業員が70歳に達したため、厚生年金保険対象から外れる場合)、②「75歳到達」(75歳に達したため健康保険の被保険者でなくなる場合)、③「その他」(退職や雇用形態の変更で資格を喪失した場合)、④「死亡」(従業員の死亡による資格喪失の場合)、⑤「障がい認定」(後期高齢者医療広域連合(通称は、広域連合)から障がい者の認定を受けた場合)、の区分から資格喪失原因を選択てし、備考欄にはその事実の発生日付を記載します。

(2)資格喪失年月日の認識

資格喪失原因

資格喪失年月日の認識

①「70歳到達」

70歳の誕生日を迎える被保険者が厚生年金保険の資格を喪失する年月日は、誕生日の前日、となっています。

②「75歳到達」

75歳に到達する被保険者の場合の健康保険の資格喪失年月日は、誕生日の当日、となっています。なお、事業所にもう少しで75歳になる被保険者が在籍している場合には、誕生月の前月あたりに被保険者資格喪失届の様式がその事業所に送付されることになっています。

③「その他」

(退職、転勤、など)

被保険者が退職した場合は、自己都合か会社都合かを問わず、退職日の翌日を資格喪失日とします。転勤で被保険者資格を喪失する場合は、資格喪失年月日は、転勤の当日、となっています。

④「死亡」

被保険者が死亡した場合の資格喪失年月日は、死亡の翌日が資格喪失日となります。

⑤「障がい認定」

65歳から74歳の被保険者が一定の障がいがあると認定された場合には、障がい認定日、が資格喪失年月日となります。

(3)提出先と必要書類

①提出先

事業主は、社会保険の被保険者資格喪失届を作成したら、日本年金機構へ提出します。事業者を管轄している年金事務所に持参してもよいですし、郵送で事務センター宛に送付しても問題はありません。なお、CDなどの電子媒体で提出してもOKです。

ただし、「70歳到達」を原因とする厚生年金保険の被保険者資格だけを喪失するような従業員がいるような場合は、それ以外の喪失原因による被保険者分とは別に、届出書類を作成・提出しなければいけません。

②提出期限と必要書類

資格喪失届の提出期限は、資格喪失の事実が発生した日から5日以内となっています。提出期限日が土日祝日の場合にはその翌日が期限です。あらかじめ余裕を持って届出様式への記載や必要添付書類の入手準備を行っておくようにしましょう。

添付書類としては、全国健康保険協会管掌健康保険(通称、「協会けんぽ」)の被保険者の場合は従業員本人とその扶養者の「健康保険被保険者証」が必要です。また、被保険者が「高齢受給者証」などの交付を受けているような場合には、それらも一緒に添付することが必要です。

なお、紛失などを理由に健康保険被保険者証が添付できない場合には、「健康保険被保険者証回収不能・滅失届」の添付もしなければいけません。

一方、対象となる従業員が、組合管掌健康保険(通称、「組合健保」)の被保険者の場合には、「健康保険被保険者証」は健保組合に返却することになりますので、年金事務所での手続きに必要な付書類はありません。

 

3.資格喪失届に関する留意点

資格喪失届を提出する際には、資格喪失の事実が発生した日から5日以内となっている提出期限を守ることが重要です。前述した通り、タイムマネジメントをしっかりと行い、提出が遅れないようにすることが重要です。

また、資格を喪失する対象従業員が、引き続き保険加入を希望している場合には、健康保険に継続加入することも可能となっています。

資格喪失日の前日までに継続して2ヶ月以上の被保険者期間があって、資格喪失日から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すれば、任意継続被保険者資格を取得することが可能なので、被保険者から依頼があった場合には、この届出用紙の作成も必要となります。

被保険者資格喪失届を提出した後の社会保険料の控除についても確認が必要です。例えば、退職を理由に被保険者資格を喪失した従業員に対する社会保険料は、前月分の保険料からの負担が必要になりますので、資格喪失日(退職日翌日)が属する月の分は徴収されないことになります。

特に、月末に退職をする従業員がいる場合には注意が必要となります。退職した日が月末の場合には資格喪失日はその翌月の1日となりますので、退職月の社会保険料も徴収されることになるのです。

そのような場合、つまり翌月には退職者へ支払う給与は発生しないことになりますので、退職月の社会保険料は退職した日が属する当該月分の給与から控除する必要があります。実務上では、社会保険料の徴収が正しく行われるように、月末が退職日が月末となるような場合には慎重に対応する必要があるのです。

また、社会保険の資格喪失届の控えは、一定の場所を決めて保管することが望ましいと考えられます。なぜならば、例えば、労働基準監査局などの調査の際に提出を求められる可能性があるからです。

そして、社員名簿や社会保険台帳にも従業員の退職日と退職事由を記入しておくことも推奨します。退職した従業員が被保険者番号などを問い合わせてくる場合や社会保険事務所などから問い合わせがある場合、なども考えられますので、その際に簡単に対応できるようにしておくことも、業務効率化の観点から、重要です。

 

まとめ

社会保険の資格を喪失した場合には、被保険者資格喪失届の提出が必要ですが、上記の観点を踏まえた書類の作成や提出を行うことが重要です。現在のように人材の流動化が激しくなっているような場合には、正確かつ迅速に被保険者資格喪失届を提出することが自社を含めた各社人事部門の業務効率化に資することになるでしょう。