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開業資金融資を受けるには?必要な条件を分析・解説!

開業資金を受けるイメージ画像 融資知恵袋

開業資金融資は、独立開業を行う場合に最も考慮すべき資金調達の手段です。

よく企業内ベンチャーや分社化など、傘下の企業内から独立起業するやり方はあります。いずれにしても新規開業資金の調達は、事業主が熟慮しておく必要があります。

新規で行う独立開業融資は独立目的ですから、脱サラを始め学生や女性起業家など事業者になりたい人を対象にしています。事業資金調達はもっとも悩みの種ですが、融資条件が縛られているため審査を通るには一苦労します。

開業資金融資は、政府系金融機関、地方自治体、民間銀行、商工会・商工会議所が窓口になります。融資条件は似通っていますが、異なる点もありますから、それぞれを具体的に分析・解説します。

 

開業資金の資金調達は、大きく8つに分類できる。詳しく解説!

開業資金の調達は、大きく8つに分類できます。調達方法は融資制度を利用するだけに止まりません。事業資金は少なくても自己資金を投入できる状態を前提にします。足らない資金を調達するという考え方がセオリーになります。運転資金を確保できず、最初からすべての自己資金を投入すると、事業開始後は返済に苦しむだけになります。全体の事業資金を適切に計算して把握しておき、いくら低金利時代でも必要資金だけを借入れしましょう。

では、1つ1つについて、詳しく解説していきます。

 

1. 親戚・友人・知人

これは個人的人間関係における借入れですから、もちろん融資制度ではありません。金銭消費貸借契約に基づく、個人と個人の関係による資金を貸し借りする方法ですから、融資制度ではありません。注意点としては人間関係が損なわれる場合があり、あとでトラブルになる危険性があります。

 

2. 税制優遇制度を利用したエンジェル投資

新しく事業を起こすとき、個人投資家から資金調達をすることができます。エンジェル投資は、投資家保護の観点から税制優遇制度が設定されています。開業資金融資ではなく、あくまで投資によって資金調達をすることになります。投資家保護の観点から認められる税制優遇措置があり、事業者は相手を投資家としますから株主として見なければなりません。

結果として株主は投資金額に応じ、経営に関する議決権があることに注意しましょう。

 

3. 日本政策金融公庫

(1) 新規開業資金融資制度

融資金額:7,200万円(うち運転資金は4,800万円限度)

設備資金の返済期間:20年以内

運転資金の返済期間:7年以内

担保・保証人は相談の上決定されることになります。

主な融資条件:

  1. 現在勤務の会社または同じ業種の事業を始める方。
  2. 雇用創出を伴う事業を始める方。
  3. 民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方。
  4. 産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方。

なお、上記の条件を満たさなくても日本政策金融公庫が独自判断により、新規事業の事業計画を策定し、計画実行ができる能力があると認めたとき、1,000万円を限度に融資することができます。

(2) 新創業融資制度

メリットは無担保・無保証人制度です。

新規開業資金、再チャレンジ資金融資、女性・若者・シニア起業家を積極的に支援する融資制度などを利用するとき、利用できる特例措置です。

融資限度額:3,000万円(うち運転資金1,500万円)

融資条件:

  1. 新規事業を始め、または事業開始後税務申告を2期終えていない。
  2. 雇用創出の要件を具備している。
  3. 創業時の自己資金が10分の1以上確認できる。

担保・保証人:原則不要。

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html
(日本政策金融公庫)

 

4. 商工中金

創業支援として、極めて珍しい制度があります。

(1) 融資制度名:再チャレンジ支援貸付

  1. 融資条件は過去に事業に失敗した経歴にある経営者であること。
  2. 再度事業経営にチャレンジするため新たに開業すること。

以上、2つの条件を持つ事業者は申し込むことができます。

(2) 融資制度名:新規事業育成資金

  1. 技術的水準が高い事業を行う中小企業。
  2. 製品・サービスに特色を持つ事業を行う中小企業。

上記、いずれかの条件を満たす中小企業は申し込むことができます。

なお、公庫の新事業審査委員会で新規性を認定した中小企業が対象となっています。

開業といっても新規性に重点が置かれていることに着目する必要があり、二番煎じでは審査に乗れず難しいと考えられます。

最近、世間をお騒がせていますから、詳しくは専門家・商工中金にお問い合わせを。

 

 

5. 信用保証協会

新規開業事業者は経営実績がありませんから、融資を受けるとき、綿密なる「事業計画書」を作成しなければならないです。融資制度に付き物ですが、返済計画も根拠づけが必要と考えましょう。

信用保証協会は、無担保・無保証人融資制度はありますが、原則として保証人を立てる必要があります。通常、会社代表者の連帯保証が通例です。

(1) 融資制度名:創業等関連保証

融資条件:中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に基づく創業者(新規中小企業者)

保証限度額:1,500万円

(2) 融資制度名:創業関連保証

融資条件:産業競争力強化法に基づく創業者

保証限度額:1,000万円

      1,500万円(市区町村長の証明を受けた支援創業関連保証の場合)

(一般社団法人全国信用保証協会連合会)

 

6. 主な各自治体の融資制度を徹底比較

開業融資制度には、都道府県および市町村の自治体が独自で取り組んでいます。

いずれも信用保証制度ですが、窓口が自治体または商工会・商工会議所になっている点が異なります。中味は信用保証協会の保証付き融資制度です。

(1) 東京都

開業融資名:創業融資

融資条件:都内に事業所があり、保証対象業種であること。

  1. 創業した日から5年未満の中小企業等。
  2. 分社化によって5年未満の会社。

融資限度額:2,500万円

認定特定創業支援事業による支援を受けた場合は3,000万円

返済期間:設備資金10年以内。運転資金7年以内。

創業支援特例について

特例条件:認定特定創業支援事業により支援を受け、区市町村町の証明を受けていること。

または、商工会議所・商工会、東京都中小企業振興公社、保証協会により認定特定創業支援事業に準ずる支援を受け、その証明を受けていること。

特例内容:上記創業融資の金利から0.4%優遇利率。信用保証料は2分の1補助されます。

固定金利は、返済年数により1.9%以内から2.3%以内までですから、0.4%優遇利率はメリットです。

しかし、日本で唯一である首都東京都23区は特別区として定められており、区によって独自の創業融資制度を実行しています。市町村にもありますが、どうしても23区中心主義が否めません。

東京都中小企業制度融資『創業』|融資・助成制度
新規の創業資金や創業後の事業資金を円滑に調達していただけるよう、東京都、東京信用保証協会、金融機関の三者が協調して資金を供給します。

http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/chushou/13-14%20sougyou.pdf
(東京都創業NET)

(2) 大阪府

開業融資名:開業サポート資金

開業融資名:開業資金

融資条件:事業を開始するか、事業開始後5年未満の場合。

融資限度額:2,500万円。

返済期間:7年以内。

金利:1.4%

保証料:1.0%

開業融資名:地域支援ネットワーク型

融資条件:事業を開始するか、事業開始後1年未満の場合。

融資限度額:2,500万円。

      市町村長が発行する認定特定創業支援による証明を受けたら、3,000万円。

返済期間:7年以内。

金利:1.2%

保証料:0.5%もしくは0.6%。

融資後3年間、金融機関、商工会・商工会議所によるフォローアップを受けることが必要。

なお、女性・若者(35歳未満)・シニア(55歳以上)・UIJターン該当者は固定利率より0.2%割引です。特質すべきは、UIJターン該当者は東京圏より転居し、府内における創業が対象になります。

開業資金および地域支援ネットワーク型融資においては、担保不要であり連帯保証人は法人代表者のみです。

大阪府の場合は、東京都と同様ですが、主に商工会議所および商工会が相談窓口になっています。

http://www.pref.osaka.lg.jp/kinyushien/seido001/menu.html#kaigyo
(大阪府)

(3) 名古屋市

開業融資名:新事業創出資金

融資条件:個人が2カ月以内に新規会社を設立するか、会社事業開始後5年未満の場合。

     または、分社化および分社設立日以降5年未満であること。

融資限度額:2,500万円。名古屋市が行う特定創業支援による証明を受けたら、3,000万円。

返済期間:運転資金7年以内。設備資金10年以内。

金利:返済期間に応じ1.2%~1.5%。

名古屋市スタートアップ企業支援補助金(平成29年度はすでに受付終了)において、一定の評価を受け新事業創出資金を利用すると、0.1%の引下げ優遇利率になります。

担保・保証人:無担保・無保証人あり。ただし所定に基づき相談して決定。

申し込み:取扱金融機関

ただし、愛知県の「創業等支援資金」では、名古屋市とほぼ同様ですが、担保不要ですが連帯保証人は法人代表者となっています。申込先は取扱い金融機関の他商工会・商工会議所、信用保証協会となっています。

http://www.city.nagoya.jp/keizai/page/0000054682.html
(名古屋市)

http://www.pref.aichi.jp/soshiki/kinyu/yushi.html
(愛知県)

このように各地域の開業融資を比較してみますと、互いに似通っていますが、細かいところで異なっています。たとえば京都府は開業支援融資の返済期間は、運転資金・設備資金は10年以内と、運転資金返済期間については緩やかに設定されています。

都道府県と市町村は、ある意味で独自の開業融資制度を設定できますが、すべて保証協会付き融資制度です。自治体が多少の負担をするならば、利率関係と保証料および返済期間、融資限度枠しか特化できない状況です。

地域によって、損得があると思いますが、地域物価と人件費上昇の関係性も視野に入れる必要はあるでしょう。開業資金融資といっても地域格差社会に影響されると言ってもよく、大都市一極集中化の経済的影響は大きく働いていると考えられます。

そして同時に開業者を増やすことで、地域経済の活性化を図りたい思惑は働いていますが、地域的金融行政政策は厳しい現状と伺い知ることはできます。

※一番手っ取り早い融資相談は、最寄りの商工会および商工会議所です。会員制ですが非会員でも相談には応じてくれます。そこは経営指導職員の腕の見せ所になりますから。

http://www.pref.kyoto.jp/kinyu/seido.html
(京都府)

 

7. ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルはかつて一時流行しましたが、ある意味で再燃しています。金融関連会社が行う投資ファンドが中心であり、ハイリスク・ハイリターンで経済活動する投資活動です。

事実、融資ではなく投資なので、投資資本は実績が伴わなかったら一気に塩を引いて去っていきますからリスクは高いです。資金調達としては、利用できますが手堅い融資制度とは異なりますから、実績にはシビアに働きます。

しかし、開業資金調達としては積極的支援があることは事実ですが、荒波なる経済活動社会のなかで資金調達することはできても、実績と結果しか評価しませんからリスクは高いです。昔に比べて多少、認知度は拡がり緩和されていますが、基本はハイリスク・ハイリターンですから熟慮と注意を要します。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%94%E3%82%BF%E3%83%AB
(ウィキぺディア)

 

8. クラウドファンディング

クラウドファンディングは欧米から始まった資金調達手段です。もはや日本でも認知されてきました。欧米と同じく「寄付型」「投資型」「購入型」があり、よく利用されるようになりましたが、基本形はアメリカ型ですから日本の金融能力は日本流に馴染む資金集めしかできない現状です。

考察するに、あまり海外の資金集めとあまり変わらないという実態が垣間見れます。不特定多数の人々から資金を集めるシステムですが、国内の認知度はさて置き、グローバリゼーション経済が後押しした金融システムとして利用できるでしょう。

歴史が浅いため、もっとしっかりした税制対応などはまだ未知数でもあります。

融資制度ではありませんが、現実は資金調達の手段になってきています。

 

中小企業開業資金融資まとめ

開業資金融資は資金調達として、私的・公的機関を利用することから始まります。無担保が原則もあれば、無保証人まで制度化された極めてリスクが高い融資金融市場があります。しかし、重要なことは、事業者として、少なくても中小企業の代表者として背負うリスクと将来の見通しに尽力できるかどうかが審査基準になります。

融資は他人資本ですから、返済を余儀なくされます。自己資本はゼロより、潤沢なる自己資金は確保しておくべきでしょう。開業はある意味で自己リスクを伴いますから、すべて他人資本である借入れで賄って、あとで返済に追いまくられ火の車になってしまっては、事業目的が遂行できなくなります。

よく綿密な計画を立て、目測を誤らず断行しましょう。あとで後悔するだけの人生は個人にとっても不幸ですから、現状の資金制度融資の情報を収集し利用できるかどうかを検討してください。