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テレワークの概要と導入に際して注意することを徹底解説します

テレワークをイメージする画像 業務改善

情報通信技術の大幅な進化に伴い、時間や場所を選ばない柔軟な働き方であるテレワークが世の中に浸透してきています。テレワークとはどのような働き方で、従来の働き方とどういった点が大きく異なるのでしょうか。また、テレワークのメリットやデメリット、テレワークを開始する際の注意点、世の中に与える影響、などについても説明します。

1.テレワークとは

テレワークとは、Tele(離れた場所)とWork(働く)、という言葉を組み合わせた新しい造語です。テレワークは、テレコミューティン(telecommuting)と呼ばれることもあります。従来は、決まった時間に決まった場所(会社)に出勤して決まった場所(オフィス)で業務を行い決まった場所(家)に帰宅することが当たり前の生活でした。

確かに出張やクライアントの会社への訪問など、日常的な仕事の中には若干の変化が生じることもありますが、どこでいつ仕事をするのかを自ら自由に決定できるような裁量はなかったものと思われます。

しかし、テレワークにおいては、パソコンや携帯電話が繋がってさえいれば、場所はどこであっても仕事ができるようになっています。最近のように新型コロナウィルスに罹患してしまうリスクが高まっているような状況においては、いくつかの会社ではテレワークを推奨しています。

テレワークと一言で言っても、テレワークにはいくつかの形態・種類があります。それは、(1)在宅勤務、(2)モバイルワーク、(3)サテライトオフィス勤務、の3つです。

(1)在宅勤務

在宅勤務とは文字通り自宅に居ながら仕事をすることです。このタイプは昔から存在している働き方で、例えば営業職の人が自宅から取引先に直行して、取引先で仕事を終えたら帰宅、会社にはパソコン、携帯電話、FAX、などでその日の営業活動の内容を報告する、というものです。

また、妊娠中や育児休暇中の人や身体障害者の人なども、業務の一部を在宅勤務で行っているようなケースが見受けられますし、管理部門(総務、経理、など)の人が1週間の中で数日在宅勤務をすることを許可している会社もあります。

(2)モバイルワーク

モバイルワークとは、移動が多いために(主に営業職が想定できます)、携帯電話やパソコンを利用して移動中であっても仕事を行うことができるような働き方を言います。情報通信技術の革新的な進化により、携帯端末からであっても重いファイルを送信することができるようになっていることもモバイルワークを実行できる背景になっていると考えられます。

(3)サテライトオフィス勤務

サテライトオフィス勤務とは、勤務先の会社以外の場所(レンタルオフィスやシェアオフィスなど)を利用して仕事を行う方法です。都会ではシェアオフィスなどもたくさん誕生していますし、LANやプリンター、そして会議室まで共同利用できるようなスペースが増えています。一方で、都心に本社を構える企業が自然豊かな地方にサテライトオフィスを新たに設置したり、反対に地方企業が都心にサテライトオフィスを設けたりするような動きも見受けられます。

大きく上記の3つにテレワークのタイプを分類しましたが、実際には在宅勤務とモバイルワークを組み合わせた働き方を選んでいるような人もいます。自分にとって最も適した働き方を会社とも相談しながら決めることが重要であると考えます。

以上のようなテレワークがここまで浸透してきているのは、日本政府が推し進めている「働き方改革」と無縁ではありませんが、そもそも「会社に通勤する」という行為に疑問を抱く人や企業が増えてきていたことが大きかったのではないかと考えられます。

通勤地獄という言葉があるくらい、日本の朝夕の通勤・帰宅列車の混雑ぶりは異常です。朝2時間もかけて出勤すると会社に着いた頃には精魂尽き果ててしまっている人も少なくないでしょう。その状態では仕事の生産性は下がるばかりで、従業員の肉体的・精神的疲労は毎日蓄積されるばかりです。

通勤にかかる時間をなくしてしまい、自宅などの会社以外の場所で仕事をすることで仕事の効率性や生産性は大きく向上するものと考えられます。つまりテレワークとは、会社にとっては労働生産性を高める方法であり、従業員にとってはゆとりを持って仕事に臨むことができる労働環境の改善である、と言うことができるのです。

国土交通省の定義によると、テレワークを行なう人は「テレワーカー」と呼んでおり、「1週間に8時間以上、ICTを利用して職場以外で仕事をする人」となっています。

 

2.テレワークの主な効果

テレワークの効果には多くのものを挙げることができますが、本稿ではそれらの中でも特に効果が大きいと考えられるものを抽出して説明します。

テレワークの主な効果

解説

雇用の創出と新たな労働力の獲得

通勤困難な遠隔地に住んでいる人や身体障害者などを新たな従業員として迎え入れることが可能になります。

オフィスにかかる費用の削減

オフィスの賃料、紙代(ペーパーコスト)、通勤コスト、などの削減が可能になります。

優秀な従業員の確保・維持

育児休暇や介護休暇が必要な社員に対しても、会社を辞めることなく継続して働ける環境を用意することが可能になるので、離職を選択する社員が減少して、優秀な社員が会社に残りやすくなります。

ワークライフバランスの実践

家族と一緒に過ごす時間が増えることにより、仕事や余暇、自己学習、などの時間配分が自分の思うように設定できるようになります。つまりオンとオフを調和させることが可能になるのです。

労働生産性の向上

営業職であれば、クライアントに対してスピーディかつ的確な対応が可能になります。また、管理部門であれば集中して業務を実行することが可能になりますので、業務公立は大きく向上するでしょう。

環境に与える負荷の軽減

通勤する人が減り、オフィスも省力化されることから、電力消費量やCO2排出量も削減されることになるため、環境負荷が大きく減少するものと考えられます。

事業継続性(ビジネス・コンティンジェンシー・プラン、Business Contingency Plan)の確保

非常災害の発生時やパンデミック(今回の新型コロナのような感染症の大流行)発生の際に会社の事業を維持・継続させるための方策をあらかじめ策定しておくことです。

 

3.テレワークのメリットとデメリット

テレワークのメリットやデメリットは、会社や従業員といった立場によっても異なるポイントが考えられますので、それぞれの立場におけるメリットとデメリットについて説明しましょう。

<テレワークの主なメリットとデメリット>

主なメリット

主なデメリット

A.会社にとって

B.従業員にとって

A.会社にとって

B.従業員にとって

(1)いざという場合のリスクに備えることができる

(1)通勤地獄からの解放

(1)労働時間の管理が曖昧になってしまう

(1)自分でしっかりとタイムマネジメントをする必要がある

(2)従業員の定着率アップ

(2)育児や介護をしながら働くことが可能

(2)パソコンやタブレットなどの端末のセキュリティ管理が煩雑

(2)パソコンなどの端末を利用した仕事に限定されてしまう

(3)生産性や業務効率の向上

(3)居住エリアの選択幅が広がる

(3)運動不足に陥りやすい(健康面への悪影響)

(4)集中して仕事に取り組むことができる

(4)顔を合わせたコミュニケーションの機会が減ってしまう

(5)仕事と家事の両立を図ることが可能

A.会社にとっての主なメリット

(1)いざという場合のリスクに備えることができる

「2.テレワークの主な効果」でも触れましたが、20113月に発生した東日本大震災以降、1箇所にのみ会社の拠点を構えておくことにはリスクがある、という考え方が広がりました。本社やメインの工場が壊滅的な被害を受けた場合に、会社や工場のオペレーションを元のように再稼動させることがどれだけ大変なことなのか実感した人は多かったのではないでしょうか。

前述したBCPの考え方に基づいて、テレワークを推進することでリスクを分散させることができるというメリットがあります。また、大雪や台風などの自然災害などで職場に出勤することが難しいような場合でもテレワークを実施しておくことで業務を中断することなく進められるという利点もあるのです。

(2)従業員の定着率アップ

従業員のメリットでも触れますが、日本の会社(社会、と言ってもよいかもしれません)では、女性が結婚すると退職して家事に専念する、あるいはフルタイムの仕事からは離れて新たにパートやアルバイトなどのパートタイム・ジョブに仕事をかえなければならないような仕組や風潮がまだ根強いと考えられます。

つまり優秀な人であっても、離職せざるをえない状況の中では、今の仕事を続けていく、という選択肢を排除しなければならない人がたくさんいる、というのがこれまでの現状と言うことができるのです。しかしテレワークが推進されて多様な働き方が一定以上の市民権を得ることができれば、今までの仕事を続けながら働くことが可能になります。

つまり、テレワークの普及や拡大によって、会社としては、優秀な人に対する雇用を確保し続けることが可能ですし、離職率を低下させることができます。

(3)生産性や業務効率の向上

例えば、海外の拠点と連絡をしなければならない場合に、テレワーク導入以前であれば、深夜遅くまでオフィスに残って相手先の海外拠点がオープンするまで待ってから連絡をしなければなりませんでしたが、テレワークであれば自宅に帰って夕飯や入浴を済ませてから、場合によっては仮眠をとってから、海外拠点に連絡をすることができるようになります。

頭も体もリフレッシュした状態で仕事に臨むことができるので、テレワーク導入以前に比べれば生産性は大きく改善することが期待できます。つまり、従業員のプライベートな時間を充実させることで、会社における業務効率性や労働生産性を向上させることが可能になるのです。

A .会社にとっての主なデメリット

(1)労働時間の管理が曖昧になってしまう

テレワークでは、会社の目の届かない場所で従業員が仕事をしているため、労働時間の管理をどのように工夫するのか、が重要になってきます。会社によっては、テレワークの導入とともに、パソコンの稼働時間で労働時間を管理できるようなアプリケーション・ツールの導入や、Webカメラ付のパソコンを従業員意に貸与をして仕事振りを確認できるような方法を定めたり、しているところもあるようです。

ただし、この労働時間の管理については、「従業員を働かせる」、という目的よりも、「働かせ過ぎないようにする」という観点に重点が置かれているようです。会社として、働き過ぎてしまう従業員に対して、労働衛生上何の手立てもとっていないことの方が大きな問題だからです。

テレワークだからこそ、会社としてしっかりとした労働時間の管理ができるような仕組みを整備することが重要なのです。

(2)パソコンやタブレットなどの端末のセキュリティ管理が煩雑

テレワークに移行する従業員が多ければ、それだけ多くのパソコンやタブレットに対してセキュリティの設定をしなければならないので、IT部門にとっては重い負担が圧し掛かってくることが考えられます。また、端末を紛失してしまうリスクやカフェなどでの覗き見リスクなどに対策が必要になるでしょう。

テレワークの際のリスク対策も会社としてルールや対応方針を定めておくことが重要であると考えます。

B.従業員にとってのメリット

(1)通勤地獄からの解放

前述しましたが、日本における通勤はかなり重労働で、出社した時点で心身ともに疲れ果ててしまっている人が多いのが実情ではないでしょうか。長い通勤時間、混雑によるフラストレーション、などから解放されるテレワークは、通勤で苦しんでいる人にとっては大きなメリットになるでしょう。

また、会社との往復に費やす時間を、家族団らんや自分の趣味に使うことができるようになるので、リフレッシュもできるようになり、仕事に臨む姿勢もより前向きに変化していくことも期待できるのではないでしょうか。

(2)育児や介護をしながら働くことが可能

会社にとってのメリット、でも触れましたが、育児や介護を理由に会社を止めざるを得ない人は実際にはたくさんいます。自分のキャリアの継続性の観点から、本心を言えば止めたくはなかったのだが、という人にとっては、テレワークは救世主のような存在になるでしょう。

例えば、在宅で仕事をしながら、時間を決めて介護や育児を行う、という働き方ができるようになるのです。テレワークによりキャリアの中断を防ぐことが可能になりますし、充実した時間を過ごすこともできるようになっるでしょう。

(3)居住エリアの選択幅が広がる

これまでは通勤を考えると、住む場所には自然と制限がかかっていたかもしれませんが、テレワークになると、基本的には、情報通信端末が利用できる場所であれば、どこにでも住むことは可能になります。極論にはなりますが、南の島や山合のロッジなどであっても、居住地の候補となり得るのです。

サテライトオフィス勤務のケースでは、実際に地方(しかも、過疎が進行している場所)にサテライトオフィス(勤務地)を構えている会社もあり、「住む場所」の選択肢は大幅に広がることが考えられるのです。

また、都心の家賃は高いので、家計を圧迫している大きな原因ともなっています。しかし、都心から離れた場所に住居を構えることができれば、家賃はリーズナブルですし、自然環境も豊かな中で生活することが可能になる、というメリットも考えられます。

(4)集中して仕事に取り組むことができる

会社で仕事をしていると、かかってきた電話に対応しなければなりませんし、上司や同僚から話しかけられれば応対する必要がありますし、なかなか集中して仕事ができる状態にならないケースも多いのではないでしょうか。

しかし、テレワークの場合は、基本的には、自分の仕事を邪魔する人はいませんので、集中して業務に取り組むことができるのではないでしょうか。もちろん、小さいお子さんや近所の人が煩くて仕事の邪魔になることがあるかもしれませんが、その場合には、在宅勤務をしていることを家族や近所の人に説明をして協力を仰ぐことが必要なケースもあると思われます。

(5)仕事と家事の両立を図ることが可能

いまだ家事については女性がするものである、と思っている人も多いかもしれません。しかし共働きが増えている中においては、男性も家事には積極的に参加するべきである、というのが昨今の風潮です。しかし、性別を問わず、仕事が忙しくてなかなか家事にまでは思うように手が回らない、という人も多いかもしれません。

そこでテレワークを活用することにより、家事に時間を割くことが可能になるかもしれません。仕事も家事もきちんとこなすことができるような充実したライフスタイルへと、生活を大きく変化させることができるでしょう。

B.従業員にとってのデメリット

(1)自分でしっかりとタイムマネジメントをする必要がある

近くに口うるさい上司が目を光らせているわけではないので、サボろうと思えばいくらでもサボることはできるかもしれません。しかし、仕事の進捗状況や提出物のクオリティなどから、集中して仕事に取り組んでいたのか、それともサボっていたのか、はすぐに見破られてしまいます。そのような状態が続と、場合によっては、テレワークを禁止されてしまうかもしれません。そうならないためには、自己管理能力を発揮して、自らのタイムマネジメントをしっかりと行うことが重要です。業務時間のみならず、休憩時間や食事時間なども含めて、効率的に自分の時間を使えるように自己管理しましょう。

(2)パソコンなどの端末を利用した仕事に限定されてしまう

テレワークの場合は、基本的に、情報端末などを使った仕事と相性が良いので、専門スキルを求められている共同作業などには向いていないと考えられています。しかしながら、部分的にテレワークでも対応できるような部分はないか、など工夫を重ねて仕事を分割するような努力をしてみることも大切です。

(3)運動不足に陥りやすい(健康面への悪影響)

通勤は確かに疲れますが、駅の階段の上り下りなどで運動はしている、という見方もできます。しかし、テレワークの場合では、基本的に自宅などにこもることが多くなるので、通勤していた頃と比べると運動量は大きく減少することになるでしょう。

例えば、自宅で仕事をするような場合であっても、時間を決めて散歩をする、ジムに通う、などの健康対策のための運動をすることをおすすめします。

(4)顔を合わせたコミュニケーションの機会が減ってしまう

Webカメラなどで相手の顔を画面で確認しながら会議をすることは可能ですが、直接顔を見ながら話す場合とは微妙なニュアンスを読み取れないようなケースもあるかもしれません。そのためにはテレビ会議の頻度を増やす、アウティング(会社の外で同僚と会うイベントを開催すること)を催す、などの方法が考えられます。

 

4.テレワーク導入のポイント

総務省ではテレワークの導入を円滑に進められるように「情報システム担当者のためのテレワーク導入手順書」という冊子を作成しています(URL:https://www.soumu.go.jp/main_content/000668432.pdf)。

この冊子には、導入プロセス、セキュリティ対策、ルールの整備、などについて詳細に説明がなされており、テレワーク導入に対して実践的に役立つものと考えられます。この冊子に基づきながら、テレワーク導入のポイントについて説明します。

(1)テレワーク導入のプロセス

テレワークを導入するための主な流れとは

①テレワークの導入目的を明確にする

②対象の範囲を確定させる

③現在の状態(As Is)を把握する

④導入プランを立案する

⑤導入するための環境を整備する

⑥勉強会や研修の実施

⑦トライアルとしてテレワークを実施する

⑧トライアル実施後の振り返りと改善

①テレワークの導入目的を明確にする

前述の「2.テレワークの主な効果」にも記したように、テレワークには様々な効果が期待できます。そられの中で当社にとってはどのような効果やメリットを目的としてテレワークを導入しようしているのか明確にしておくことは重要です。また、導入目的はひとつに絞る必要はないので、複数目的を設定しても問題はありません。

②対象の範囲を確定させる

テレワークの対象者や対象業務範囲、実施頻度、などを、「何となく」「漫然と」決めてしまうと後になって手戻りが発生する可能性が高く、時間や費用を無駄にしてしまう可能性があります。したがって、あらかじめ、対象者、対象業務範囲、実施頻度、は明確に決めておくことが必要です。追って説明しますが、導入段階で問題が生じた場合には、「⑧トライアル実施後の振り返りと改善」のステップが完了するまでに解消できれば大丈夫です。

③現在の状態(As Is)を把握する

このステップではテレワーク導入に向けて、現状調査をして課題を洗いだすことになります。例えば、テレワークを実施するために必要なルールが就業規則に定められているのか、人事業績評価制度はテレワーク導入にも対応できるような仕組みになっているのか、在宅勤務の場合のIT環境は整備できているのか(整備が可能なのか)、といった点について確認することが必要です。そして、現状をあるべき姿(To Be)に変えるために何が必要なのか、どこに課題があるのか、を整理することが、このステップの重要なポイントになります。

④導入プランを立案する

テレワークの導入プランを立案するためには、以下のようなポイントについて盛り込むことが重要です。

  • テレワーク導入プロジェクトの計画書策定
  • テレワーク導入に関する諸制度や社内ルールの確認
  • テレワークを実施するための環境構築
  • テレワーク実施する対象者及びその上司や同僚に対する研修や勉強会などの開催
  • テレワーク検証(トライアル実施)
  • 実証事業(トライアル)完了後に継続計画を立案、改善実施

⑤導入するための環境を整備する

テレワーク導入のために社内ルールを見直したり、IT環境を整備したり、といったことが必要になります。この中でも特に重要度が高いセキュリティ対策については、後述します((2)セキュリティ対策、参照)。

⑥勉強会や研修の実施

テレワークの導入に向けて、責任者や担当者は、テレワークの対象者だけではなく、その上司や同僚も含めて導入教育を行うようにします。対象者本人の理解は当然必要ですが、上司や同僚などの周囲の人にもテレワークの重要性や留意すべきポイントなどについて知っておいてもらうことは、円滑なテレワークの導入と実施について必要不可欠がからです。

⑦トライアルとしてテレワークを実施する

例えば半年間と期間を定めて、特定の部署を対象にトライアルとしてテレワークを実施してみましょう。実際に始めてみると、考えてもいなかった問題点がみつかったり、課題が発生したりするものです。また、予定外のイベントが発生することで、トライアル自体が上手く進められないようなケースもあるかもしれません。そうした突発的な出来事の発生も含めて、トライアルを実施することには意義があるのです。

⑧トライアル実施後の振り返りと改善

トライアルは何の問題もなく無事に完了すればよい、というものではありません。この時点で課題が見つかった方が、結果的にはテレワークの導入に関しては好影響が生じるかもしれません。このステップにおいては、トライアルの結果で発見した問題点を改善するためには、何をどうしたらよいのか、が検討され対策が実行されることになります。

そういた意味においては本格的にテレワークが導入された後であっても、社内の声に耳を傾けて、改善が必要な点が発生したら適時適切に改善をし続けることが極めて重要です。

(2)セキュリティ対策

通常は会社の情報資産は社内で管理されていますが、テレワークが導入されると社外に各種の情報が持ち出されてしまう可能性が高くなります。したがって、テレワークに対応したセキュリティ対策が必要になります。まずは、現状の情報セキュリティに関するルールがテレワークに対応しているかどうか、を確認してみてください。

そのうえで、個人情報保護法や金融商品取引法などの法的要請に対応するのみならず、取引先などからも厳しい情報セキュリティが求められるケースもあるかと思われますので、情報漏えいなどの発信源にならないように日常的にチェックすることができる体制やルールを整備することが重要です。

一般的には大企業においては、情報セキュリティ対策はしっかりと実施されているケースが多いとは思われますが、中小企業における情報セキュリティ対策はどうでしょうか。中小企業における情報セキュリティ対策における主な課題には、

・情報セキュリティ対策に必要なリソース(人、モノ、金)を確保することが難しい

・IT情報端末の導入やペーパーレス化が進んでいない

といったことが挙げられるでしょう。

しかし、会社規模の大小にかかわらず、最低限の情報セキュリティが確保されていることがテレワーク導入の要件だと考えられます。そのためには、中小企業であっても、業務のクラウド化を推進したり、情報通信端末の取り扱い方に関する定期的な研修を実施したり、といった対策を行うことが大切です。

テレワーク導入に関しては、SaaS経営とは? 戦略的に活用する方法を徹底解説の記事もご覧ください。

(3)ルールの整備

テレワークを実施するにあたって、ルールを整備することは非常に大切です。ここで言うルールとは、主に「情報セキュリティポリシー」のことを指します。情報セキュリティポリシーを策定する場合には、以下のような点に注意が必要です。

  • 保護対象となる情報資産を明確に定める。
  • 機密情報を取り扱うことができる対象者の範囲を明確に定める。
  • 可能な限り具体的に記述する。
  • 社内の現状を踏まえたうえで、無理のない実現が可能な内容とする。
  • 運用状況や維持・運営する体制を踏まえながら策定する。
  • 形ばかりのルールにならないように、違反した際の罰則を明記しておく。
  • 定期的に社員教育が必要である、という点を明記する
  • 定期的に情報セキュリティポリシーの内容を見直して、場合によっては改訂を実施する。

情報セキュリティポリシーは、一般的には、基本方針、対策の基準、実施手順、といったレイヤー(階層)構造で作成されます。基本方針には、組織や会社の代表者による「情報セキュリティが必要な理由」、「情報セキュリティを考える方針」、「顧客情報に対する取組み方」、などのポイントが含まれています。

次いで、対策基準には、実際に情報セキュリティ対策の指針を記載します。多くの場合には、対

策基準としてはどういった対策を実施するのか、という一般的な規程について記載します。そして、実施手順には、対策基準ごとに、実施すべき情報セキュリティ対策の具体的な内容を手順として記載することにんなります。

 

<まとめ>

新型コロナウィルスの影響が拡大する中で、テレワークの導入に踏み切る企業が増えています。テレワークは、単純に会社ではなく自宅で仕事をすればよい、というものではなく、メリットやデメリットを踏まえて、恒常的に会社や従業員にとって意味のある働き方にする必要があります。

働き方について働き方改革は中小企業にも影響有り? 意義とリスクについて解説の記事もご覧ください。