営業活動によるキャッシュフローってどんなもの? 活用方法を紹介します

キャッシュフローとは「現金の流れ」の意味で、会社における資金の流れを表すものです。

会計上はまだ入金がされていなくても売上が計上されることがありますが、キャッシュフローの場合は実際の資金の移動を表現しています。

つまり、将来的な資金の移動は含まれていないので、足元の実質的な資金の出入りの状態を管理するためにはキャッシュフローをチェックすることが大切なのです。

1999年から上場企業にはキャッシュフロー計算書の作成が義務付けられていますが、中小企業にとっても自社の経営管理と金融機関などへの信頼獲得のための資料として、中小企業庁は作成が望ましいとしています。

キャッシュフローには、大きく「営業活動によるキャッシュフロー」、「財務活動によるキャッシュフロー」、「投資活動によるキャッシュフロー」の3種類に分けられていますが、本稿では「営業活動によるキャッシュフロー」について説明します。

 

 

1.営業活動によるキャッシュフローとは

営業活動によるキャッシュフローとは、原則として、本業で稼いだ金額から営業活動に必要な費用のを差し引いた金額のことを意味しています。

つまり、本業でどれくらいの資金を得ることができているのかが営業活動によるキャッシュフローで、企業としての販売力などの実力を表現しているものと考えられます。

 

2.営業活動によるキャッシュフローの構成

キャッシュフロー計算書(間接法)

金額

Ⅰ 営業活動によるキャッシュフロー

 

(1)当期純利益(+)

700

(2)非資金の費用項目

 

 1.減価償却費(+)

200

 2.諸引当金の増加(+)・減少(-)額

110

(3)回収・支払サイト

 

 1.受取手形の増加(-)・減少(+)額

-100

 2.売掛金の増加(-)・減少(+)額

-50

 3.棚卸資産の増加(-)・減少(+)額

-150

 4.その他の流動資産の増加(-)・減少(+)額

-10

 5.支払手形の増加(+)・減少(-)額

-100

 6.買掛金の増加(+)・減少(-)額

-150

 7.前受金の増加(+)・減少(-)額

-100

 8.その他の流動負債の増加(+)・減少(-)額

50

 9.その他の固定負債の増加(+)・減少(-)額   

50

 10.(利益処分)役員賞与の支払(-)額

-50

(Ⅰの計)

400

Ⅱ 投資活動によるキャッシュフロー

 

 

(Ⅱの計)

50

フリーキャッシュフロー(Ⅰ+Ⅱ)

450

Ⅲ 財務活動によるキャッシュフロー

 

 

(Ⅲの合計)

-350

キャッシュの増加・減少額(Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ)

100

キャッシュの期首残高

400

キャッシュの期末残高

500

 

営業活動によるキャッシュフローの求め方には、間接法と直接法という2通りの方法があります。

上表は間接法によるキャッシュフロー計算表の例ですが、当期純利益(税前)に非資金損益項目の減価償却費など、投資活動や財務活動によるキャッシュフローに含まれる有価証券売却益などの損益項目を加減して表示します。

利益と営業活動によるキャッシュフローとの関係が明確になる点が、明示される点が間接法による表示方法の利点と言えます。

直接法の営業活動によるキャッシュフローの表示(例)は以下のようになります。

 

営業活動によるキャッシュフロー(直接法)

金額

営業収入

200

原材料の現金仕入

-70

人件費

-60

支払利息

-10

 

 

営業活動によるキャッシュフロー

60

 

直接法では、商品の販売収入や原材料の仕入、給料や経費の支払い、などの主な取引についてそれぞれキャッシュフローを表示します。

営業活動の内容についてそれぞれキャッシュフローが表示される点が直接法の利点です。

しかし、取引内容ごとにキャッシュフローのデータを準備することが必要なので、実務的には手間がかかることが難点です。

したがって、現在ではほとんどの企業が間接法を用いて営業活動によるキャッシュフローを算出しています。

 

3.営業活動によるキャッシュフローがプラスの場合

営業活動によるキャッシュフローがプラスということは会社はどのような状態だと考えられるのでしょうか。

営業キャッシュフローがプラスと言うことは、銀行などからの借入金に頼ることなく、自社の生産・営業活動を自社のビジネスで回すことができているということを意味しています。

本業の業績が順調で、売上代金の中から支払いが賄われており、しかも売掛代金の回収も滞っていないと考えられます。

プラスの営業キャッシュフローは本業が順調に推移していると考えられますし、基本的にはフリーキャッシュフローも増加しているものと考えられます。

フリーキャッシュフローとは、前述した通り(2.営業活動によるキャッシュフローの構成の間接法)、営業キャッシュフローから投資活動によるキャッシュフローを差し引いたもので、企業が自社が獲得したキャッシュのうち自由に使えるキャッシュの量を表したものです。

企業にとっては、この営業活動によるキャッシュフローをプラスにすることが重要になります。

 

4.営業キャッシュフローがマイナスの場合

営業活動によるキャッシュフローがマイナスの場合には、自社の活動を継続するためには銀行などからの借入金に頼らざるを得ない状況にあると言えます。

原材料の仕入れをするために必要なキャッシュを自社のキャッシュから用意することができないと考えられます。

原材料の購入は後日支払いという契約も多いと考えられますので、その場合には買掛金は増加してもキャッシュフローにはすぐには影響がありません。

しかし、会計上は買掛金が膨らむ状態となり、金融機関や取引先から将来に対する不安の声が上がることが考えられます。

単純に考えると、会社の手元資金が減少していくことが十分に考えられる状態です。

したがって、現金の手当てをしなければいけません。それが金融機関からの借り入れであり、場合によっては自社資産の売却や資本の増加(増資)を検討しなければいけないでしょう。

 

5.営業活動によるキャッシュフローを増やすには

このようにプラスの営業活動によるキャッシュフローが企業にとって重要であるということは間違いないのですが、どうやって営業キャッシュフローを増やせばよいのでしょうか。

シンプルに考えれば売上を増やして経費を抑えれば良いのですが、多くの企業ではそうなるように日々の事業を推進しています。

ここでは会計とキャッシュフローの差異を踏まえて、対策を検討してみましょう。

営業キャッシュフローの金額と利益の水準に差異が大きいかどうかを確認してみてください。

もし差異が大きいようであれば、どのような項目が差異の原因になっているのか調べてみましょう。

例えば売掛金が大きく増加しているのに、営業キャッシュフローに大きな変化がないのであれば、回収が滞っている可能性が考えられます。

将来的に入金になる可能性が高く、入金までの期間の自社の資金負担に問題がないのであれば、良いのですが、未回収金が雑損になってしまう可能性が高ければ問題です。

売掛金の回収に関してはエイジングリスト(回収タイミングを一覧化して管理をする表)

を作成して、適宜回収を図ることと、取引先の信用調査を実施することが重要です。

 

営業活動によるキャッシュフローまとめ

営業活動によるキャッシュフローがマイナスであっても、会社がすぐにつぶれるようなことは基本的にはありません。

金融機関からの借入などによって会社としての資金が循環していれば、企業活動の継続は可能です。

しかし、キャッシュは企業活動の源泉であり、会社発展のために必要なものでもあります。

現在、中小企業を含めてキャッシュフロー経営が注目されているのは、会計だけではカバーできない企業活動の分析や評価をするためにはキャッシュが重要であることを多くの経営者が気付いているからでしょう。

黒字倒産を避けるためにも、営業活動によるキャッシュフローのプラス化を図るよう、継続するように努めましょう。

 

 

関連記事

ページ上部へ戻る