中小企業投資促進税制とは?中小企業投資促進税制のメリットを解説

設備投資を行う中小企業のために導入された制度である「中小企業投資促進税制」とはどのような制度なのでしょうか。

制度の概要を説明して、「通常措置」と「上乗せ措置」についても詳しく解説します。

 

 

1.中小企業投資促進税制とは

中小企業促進税制とは、中小企業が設備投資に使ったお金を特別償却して費用に計上したり、税額の控除を受けることができる制度です。

本制度の概要は、中小企業庁の広報資料(http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2014/tyuusyoukigyoutousisokusinzeisei.htm

によると、

「① 中小企業投資促進税制は、中小企業における生産性向上等を図るため、一定の設備投資を行った場合に、 税額控除(7%)又は特別償却(30%)の適用を認める措置。」
「② 中小企業投資促進税制の対象設備等について一部見直しを行い(上乗せ措置を改組し、中小企業経営強化税制を創設、器具備品を縮減)、適用期限を2年間延長。」

とされています。

ここで言われている中小企業とは、確定申告において青色申告書を提出する中小企業や個人事業主のことを指しています。

中小企業とは、資本金あるい出資金が1億円以下の法人や、資本金や出資金がない法人で常時働いている従業員が1,000人以下の法人を言います。

本制度では、前述①を「通常措置」と言い、②を「上乗せ措置」と言います。

① 通常措置

通常措置の場合は、税額控除は7%、特別償却は機械装置などの設備購入費用(取得価額)の30%、とされていて、どちらか一方を選択することになります。

通常措置を利用するためには、平成29年3月末日までに下表に掲載されているような設備を購入して、指定事業のために利用した場合とされていました。

なお、「指定事業」とは、不動産業や物品賃貸業、映画業を除く娯楽業、性風俗関連業以外のほとんどの業種が事業を営む会社が該当することになります。

<通常措置の対象設備(本制度導入当初)>

設備

要件

機械・装置

1台160万円以上のものすべて

器具・工具

・合計120万円以上の電子計算機

・1台120万円以上のデジタル複合機

・1台30万円かつ合計120万円以上の試験または測定機器や工具

ソフトウェア

合計70万円以上

普通貨物自動車

車両総重量3.5トン以上

内航船舶

取得価額の75%が対象

 

ただし、中古品の取得に関しては本制度の適用外となるので注意が必要です。

② 上乗せ措置

平成26年度の税制改正において、中小企業がより設備投資を積極的に行うことができるように「上乗せ措置」が設けられました。

上乗せ措置では、通常措置では取得価額の30%とされている特別償却が、全額を初年度に経費計上できる即時償却が選択可能となっています。

もし、即時償却をしない場合には、最大で10%の税額控除を受けることが可能になっています。

なお、上記の10%の税額控除の適用対象となっているのは、資本金3,000万円以下の法人と個人事業主です。

資本金が3,000万円超〜1億円の法人の場合は、税額控除7%となっています。

その後、平成29年度税制改正により、本制度は平成30年度末まで延長されて以下のように制度内容も改正されています。

<中小企業投資促進税制概要(平成30年度末まで)>

対象者

・中小企業者等(資本金額1億円以下の法人、農業協同組合等)

・従業員数1,000人以下の個人事業主

指定事業

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業を除く)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、損害保険代理業、情報通信業、駐車場業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育・学習支援業、医療、福祉業、協同組合、サービス業 ※性風俗関連特殊営業に該当するものは除く

対象設備

・機械及び装置【1台160万以上】

・測定工具及び検査工具【1台120万以上、1台30万以上かつ複数合計120万以上】

・一定のソフトウェア【一のソフトウェアが70万以上、複数合計70万以上】

※複写して販売するための原本、開発研究用のもの、サーバー用OSのうち一定のものなどは除く

・貨物自動車(車両総重量3.5トン以上)

・内航船舶(取得価格の75%が対象)

措置内容

・個人事業主

・資本金3,000万以下の中小企業 30%特別償却 又は 7%税額控除

・資本金3,000万超の中小企業 30%特別償却

 

平成29年税制改正では、中小企業投資促進税制の対象設備などに関して一部の見直しを実施しました。

上乗せ措置を変更して、「中小企業経営強化税制」を創設、「器具備品」を縮減して、適用期限も2年間延長しました。

 

2.「中小企業経営強化税制」とは

中小企業経営強化税制とは、「中小企業等経営強化法」の認定を受けた経営力強化向上計画に基づいて、青色申告を行っている中小企業が平成29年4月1日から平成31年3月31日までの期間に、企業の生産性が向上するような設備あるいは、収益力が向上するような設備を取得した場合に適用されるメリットのある税制のことを言います。

具体的な制度の内容は、①減価償却を行わずに、取得した設備投資の金額を全額経費にすることができる、②購入した金額の11.45%~11.61%(法人税と地方税を合計額)の税金を少なくすることができる(設備投資にかかった金額の実質的には11%に相当する値引効果あり)のいずれかを選択することが可能な制度です。

上記①を「即時償却」と言います。

通常は、設備投資を行うと、投資した設備に応じた耐用年数に応じて何年かにわたって少しずつ費用に計上される(償却される)ことになります。

しかし、即時償却の場合は、その期のうちに全額を償却することができるので、費用の前倒し計上が可能になるのです。

一方、②は「税額控除」となります。

取得した設備を、通常の場合と同様に少しずつ設備の耐用年数に沿って減価償却を行いつつ、同時に設備取得した年度に法人税や地方税を取得金額に応じて直接控除することが可能です。

即時償却と税額控除は同時に利用することはできませんので、どちらかを選ばなければなりません。

即時償却の場合は、すぐに費用計上による税金メリットを得たいときに利用すると良いでしょう。

長期的に税金メリットを享受したい場合には税額控除が良いと考えられます。

トータルでの経済的なメリットは①でも②でも差はありませんが、どのタイミングで税金メリットを得ることが効果的なのか、といった観点で決めることが重要です。

中小企業経営強化税制の対象となる設備とは、(1)生産性がアップする設備(生産性向上設備 A類型)、か(2)収益力がアップする設備(収益力強化設備 B累計)である必要があります。

(1)においては、設備の販売時期が一定期間内に販売されていること、そして、生産性向上指標(生産効率、精度、エネルギー効率など)が旧モデルと比べ1%以上向上していること、という2つの要件を満たしていることが必要です。

また、(2)においては、投資利益率が5%以上となることについての投資計画の確認申請書について、経済産業大臣(経済産業局)の確認を受けることが必要となっています。

ここで言う投資利益率とは、「営業利益+減価償却費」の設備投資後の3年平均増加額÷設備投資額、と定義されています。

この確認書を税務署へ提出することによって、収益強化設備のB類型の中小企業経営強化税制をうけることが可能となります。

 

中小企業投資促進税制まとめ

中小企業投資促進税制、あるいは現行の中小企業経営強化税制を上手に活用することにより、税制メリットを受けることができる設備投資が可能になっています。

現行の制度は平成30年度末までとされているので、タイミングを逃さないように注意しましょう。

 

 

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