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知っておきたい!運転資金を融資してもらうための基礎知識

融資知恵袋

●はじめに

事業経営をする上では、お金が必要不可欠ですね。不足した事務用品の購入、人件費の支払、商品の発送などほぼ毎日お金の出し入れがあると思います。このように、毎日・毎月発生するような支払に充てるお金を運転資金と呼びますね。反対に、新しい設備や工場を購入する資金は設備資金と呼ばれています。経営者の中には、毎月必ず発生している運転資金の融資をお願いするなんて恥ずかしい、と思っていらっしゃる方がいるようです。しかし、運転資金が不足することは全く恥ずかしいことではありません。実際、中小企業は少なからず運転資金を銀行から調達しているのです。しかし、運転資金がなぜ不足するのか、それを知らないことはあまり誇らしいことではありませんね。

そこで今回は、運転資金について理解するとともに、運転資金を融資してもらうために必要な知識をまとめてみました。運転資金の算定方法についてなど、詳しく解説していきます。

 

 

●運転資金の算出方法

まずは、運転資金の算出方法について具体例を用いて解説していきます。

例えば、商品を販売した会社から代金を回収するまでの期間を3か月とします。そして、材料の仕入先への支払までの期間を2か月とします。手元に資金の余裕がないとしたら、販売した代金より先に材料の支払期日がくるので、融資で補填する必要が出てきます。厳密には、滞留している在庫などがある場合が多いので、以下のような計算式で求めることが多いです。

運転資金=(受取債権回転期間+在庫回転期間-支払債務回転期間)×月商

在庫回転期間とは、在庫が月商の何か月分あるのかということです。この計算式からも分かるように、それぞれの回転期間や月商が変動することで必要な運転資金額は変化します。例えば、大口の受注予定があって事前に在庫を増やしたい場合は、棚卸資産回転期間が長くなるので運転資金の金額が増加します。また、事業規模が大きくなってくると月商が増加するので、その場合も運転資金額が増加します。

 

●「運転資金が不足する」とは

運転資金が不足するとは、一定期間の入金予定額に対し、同期間の出金額が多いためにお金が足りない状態です。先に述べたように、運転資金が不足すると経営が困難になるので、予測は早めにしたいものです。特に、売上が増加した場合は注意すべきでしょう。なぜなら、売上が増加したということはその分材料費が増えるのはもちろん、出荷にかかった人件費や配送料も増えていることが多いからです。その結果、いつもより支出予定額が増えてしまい運転資金が不足しがちになるのです。売上が増えたから資金不足なんて関係思いがちですが、思わぬ落とし穴があるかもしれないので注意してください。

せっかくなので、運転資金が不足する場合を計算式で考えてみましょう。事業規模が大きくなったことで増加する運転資金は、その後の入出金が安定しやすいので正常と言えます。しかし、回転期間の変化による増加の場合、債権や債務の金額の差によっては経営が揺るがされかねないので注意が必要です。

運転資金について詳しくは、「運転資金は何種類あるの?調達時に押さえるべき5つのポイント大公開」の記事でも解説しています。

 

●運転資金を融資してもらう時のポイント

最後に、実際に銀行から運転資金を融資してもらう際のポイントを解説します。

ずばり、先ほど紹介した運転資金の算出式を利用することです。融資を依頼する際に、大前提になるのが「なぜ運転資金が必要なのか」を具体的に説明することです。実は、「事業をしているのだから運転資金は必要」や「なぜか資金が足りない」といった説明をされる方が少なからずいらっしゃいます。しかし、運転資金が必要になる理由は、先に示した計算式で分かってしまうのです。しかも、具体的な数値を示して説明することができるので、銀行側もスムーズに理解してくれやすいです。債権債務の回転期間の変化が理由の場合、計算式と一緒に取引先からの依頼文書があれば、より強力な資料となります。依頼の際は手元に置いておくといいでしょう。

また、計算式で示されるような明確な変化がないのに資金がひっ迫している場合もあります。それは、「回収の遅延」と「在庫の陳腐化」が起きている場合です。商品の販売先は、1日でも支払を伸ばせば資金繰りが楽になると考えているでしょう。そのため、売掛金の中に支払を保留されているものがある場合、これが資金繰りを悪化させる要因になります。また、在庫についても同様です。帳簿上保有しているものの実際は使用できないものが溜まっている場合、計算式の在庫回転期間が長期化してしまいます。このような場合は、支払保留を行う取引先の売掛残高を徹底して管理することが必要です。そして、その管理表を作成して融資交渉の資料に使いましょう。また、銀行に対して必要な運転資金の金額額や回転期間の推移を尋ねてみて、自社の状態は適正か判断してもらうことも有効です。銀行員は、資金がひっ迫している状態の会社をいくつも見てきています。決算書や過去のトレンドだけで原因とその解決法を見つけてくれるかもしれません。もし、計算式でも分からない資金不足の状態になったら早めに相談しましょう。

 

●まとめ

ここまで、運転資金と融資についてお話してきました。運転資金という言葉を知らない方はいないと思いますが、どのように算出しているのかよくわからない方も多かったのではないでしょうか。紹介した計算式さえ知っていれば融資交渉もしやすく、企業の財務体質を改善することにもつながります。今一度、自社の運転資金の必要事情を確認してみることも事業を運営する上では大切です。ぜひ、覚えて使ってみてください。

融資交渉に臨む際には、「融資交渉で使おう!担保に関する知識まとめ」の記事の知識も参考になるかと思います。